ベル達3人がハンターなのは間違っているだろうか?   作:食卓の英雄

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日間ランキング8位…だと…!?
嘘だろ……。
お気に入りも1200突破してるし、凄い…。
やっぱみんなワイルズでモンハン熱が出たんだね。ちなみにこの作品の直後にワイルズのPVが出たのはマジでただの偶然なので、すごいラッキーなわけです。
ともかく、まだオラリオにすら行ってないのにありがとうございます!


追記

あと、感想で多かったので一応言っておきますが、ダンまちの方は“隻眼の黒竜”です。モンハンファンなら竜と龍の部分はお間違えのないよう…。
まあ、あくまでモンハン世界の話なので竜表記だから劣るとかそういうのはないんですけど…。


大切な仲間と別々の道を歩むのは間違いではない

 

 送別会は終わり、宴に騒いでいたアステラからも、次第に明かりは消えていった。

 

 そして、翌日。とうとう別れの時がやってきた。

 

 竜人族のハンターが発見した時空の裂け目は、何人も同時に入れそうな程に大きくなっており、これならば3人は疎か持ってきた荷物もすべて入りそうだ。

 

 最後の見送りにやって来たのは、大団長や総司令、各班の責任者といった調査団の中核を担うメンバーと、彼らと交流のある団員達だ。

 

「そなたらであれば、問題はないであろう。達者でな」

「古代樹の鉢植えも忘れないようにね。一応、それぞれの植物や虫なんかの繁殖方法とか、注意点とかも書いた本もあるからね。あれがあれば、効率は良くないかもしれないけど、植生研究所の代わりくらいにはなるよ。手間はかかるけど、向こうで代えが利くか分からないなら大切にして損はないからね」

「いってらっしゃい。ばんばん新しい発見をしてちょうだいね!」

「ヴェルフ!お前が二人の装備を整えてやるんだ。異世界の素材ってのがどんなもんかは知らんが、お前なら最高の装備を作り出すことが出来るはずだぜ」

 

 一人ひとり、激励とこれまでの思いを吐き出して送り出す。大切な言葉は先日交わしたし、何よりここはアステラから離れた外部の森の一角。即ち、モンスターの支配する領域だ。

 攻撃的なモンスターに察知される危険性がある以上、あまり時間をかけていられないという問題もあった。

 

 そして、いざ締めの言葉を放とうとした瞬間に、調査班リーダーが一歩前に出る。

 

「……調査班リーダー?」

「…思えば、長いようで短かったな。お前達3人がこの新大陸にやってきて、ハンターになるなんてな。……今だから言うが実はお前たちがハンターになるのは反対だったんだ」

「えっ…?!」

 

 今まで、気の良い兄貴分として導いてくれた彼の本音に、3人は瞠目する。問いただすよりも早く、本人からのニの言葉が紡がれる。

 

「だってそうだろ?ベルは戦うことも知らないような有り様だったし、リリは要領の良さと記憶力で商人の手伝いや、手先の器用さを活かした物資班になることも出来た。ヴェルフは言わずもがな、鍛冶師としてでも活躍は出来たんだ。知らない間に知らない世界に来て、常識も違う中でハンターをやるなんて危険すぎる。そう思ってたんだ」

「そう、だったのですか?」

「なら、なんで何も…」

()()()()()()()()。ここで育った俺は、これだけの先人達、スペシャリストがいたからこそ、こうして調査班のリーダーなんてものにならせて貰ってる。先生にもしっかり面倒さえ見れば、そう大事にはならないと言われてな。まずはやらせてみて、泣き言を言ったり、向いてなさそうなら辞めさせるつもりだったんだ」

 

 つまり、自分と重ねて、それを無下にすることが出来なかったということなのか。

 

「……どう、だったんですか?」

「それはもう分かりきってるだろ?お前たちは、俺の予想を超えて、諦めることなくハンターとしての高みに上り詰めていった。全員マスターランクだなんて、誇らしいったらありゃしない」

 

 そう、マスターランクとは本来ハンターの最上位階級。上位ハンターですら貴重な実力者として英雄視とされると聞けばそれも分かるだろう。

 

「…お前たちの指南役をして、ふと思ったんだ。俺は、ここで生まれて、ここで育ってきた。だから、アステラやこっちのことはかなり知り尽くしてると思う。だから、調査班リーダーなわけなんだが…。新大陸にやって来るハンターはどれも現大陸で活動していた奴ばかり。こっちのことには俺が教えることはあったが、それも一時的なものだ。…俺は初めて、真の意味で後輩のハンターに先達として導いてやることが出来たんだ」

 

 だから、と歩み出た調査班リーダーは、僕たち一人ずつにあるものを差し出した。

 

 それは、革袋の鞘に収まった山刀に近い大振りな銀色の刃。峰側には大きなガットフックを備えていて、戦闘用ではなく、解体に用いられるものだと理解することができる。

 

「剥ぎ取りナイフ…ですか?」

 

 そう、これは新大陸のみならず、ハンターの標準装備である剥ぎ取りナイフだ。ハンターは、狩猟したモンスターの素材をこれで剥ぎ取り、時にギミックを作動させたり、時に乗り攻防に用いている便利ツールだ。

 

「ですが、リリ達は配属初日に頂いたものがありますし…」

「メンテは毎日してるが、まだ十分使えるぜ?」

 

 しかし、ハンターとして活動している彼らは、当然のごとく持ち合わせのものがあり、それが劣化した訳では無い。では一体、何のためかと瞳で訴える。

 

「剥ぎ取りナイフは武器防具と並ぶハンターの証だ。聞いた話によると、現大陸では師が教え子が1人前になった証に贈ることもあるんだそうだ。……俺なんかに収まる器じゃないとは分かってるが、これが、俺がお前たちに贈ってやれる最後の形だ」

 

 受け取ってくれ、と渡されたそれは、今までのどの武器よりも重く感じられた。狩猟武器に比べれば、なんてことのない刃に、今までハンターとして過ごしてきた全ての歴史が詰まっている様な気がしたからだ。

 

「ありがとう、ございます…!」

「絶対大切にしますから!」

「…本当に、あんたには世話になった」

 

 受け取った剥ぎ取りナイフを腰に下げる。新品のナイフは、銀色の輝きを放ち、新たな旅立ちを祝福してくれている様だった。

 

 調査班リーダーが下がると、総司令が語る。

 

「…孫の気持ちに応えてくれて、ありがとう。さて、あまり時間をかけていられない故に簡潔に話す。君たち3人は、異なる世界の出身者であったというのに、これまで調査団に多大な貢献をしてきてくれた。今回、優秀なハンターを3名失うのは調査団としては惜しいが、君たちの帰る場所が見つかったことは何より喜ばしい。そして、ここで培った力を活かして壮健であれば何よりだ。……君たちに、導きの青い星があらんことを」

「「「はい!」」」

 

 最後の言葉は、新大陸へ旅立つハンター達に向けられていた、総司令の激励だ。こことは異なる新天地に旅立つベル達の旅立ちを祈ってのものだろう。

 

「では、もう行きたいと思います」

「今まで、本当にお世話になりました」

「ああ、俺達も、調査団のこれからを祈ってるぜ」

 

 そう言って、3人は空間に出来た裂け目に歩みを進める。幸いにも、時間が遅れたせいで穴の大きさも相応になり、持ち込んだ荷車も十分に通ることが出来たのだ。

 

 まずはヴェルフが。次いでリリにと順番に通っていき、最後にベルが通る瞬間、ちらりと背後を見ると調査班リーダーと目が合う。

 

「がんばってこい」

 

 目で応じたベルは、一気にその道を駆け抜けた。

 

 

 

 

―――…

 

 

 

 

 

 ベルが荷物と共に狭間を通ると暫しの光の奔流。眩く白い道に目を奪われていると、いつの間にか耳に先程とは異なる音が届き始めた。

 

 目の前には、これまでの鬱蒼とした野生の中にある森林ではなく、爽やかな野原の様な景色が広がっている。

 

 のどかな天気に、チュンチュンと小鳥が鳴く。

 

「ここは…」

 

 ふと、ベルはその光景に見覚えがあることに気がついた。

 

「僕の、家…」

 

 ここから見える景色は、幼い頃から目に入っていた。新大陸で過ごした2年と少し。成長期に豊富な栄養素を持つ狩人飯をたらふく食べ、背も伸び鍛えた体から視点こそ違っていたが、それでも忘れるわけがない。

 

 確信をもって振り返ると、そこには祖父と過ごした木造の家。これまでのベルのマイハウスほどのサイズしかないそれが構えられていた。

 

「…ただいま」

 

 約2年ぶりの自宅へ入ってみると、感傷に襲われる。ここまで、この家は小さかっただろうかと疑問に思い、それが住む人のいない家だからだと気がついた。

 

 今のベル・クラネルは、ここを今の家だとは思えない。いや、そもそも最初の出立の日に捨てたはずのそれ。祖父がいなくなり、自分が家を出る以上、そういうことだと心の片隅で認めていたのだろう。

 

 部屋の中を暫く見て回るが、特に真新しい発見もなく、懐かしさがこみ上げてくるばかりである。

 

「そうだっ、ヴェルフとリリは!?」

 

 ベルは、散策を止めて同時にこの世界に戻ってきた筈の仲間の姿がないことに気がついた。

 

 慌てて外に飛び出し、安置した荷車の周囲を確認する。が、ここは開けた平野。仮に隠れようとしていたとして、裂け目に入ったタイミングはほぼ同じ。荷車ごと隠れられる程の距離を移動しているとは考えにくい。

 

 その後も、見落としがあるかもしれないと培った経験を活かして痕跡の一つでも残っていないか確認してみても、精々が数ヶ月前に野生動物や馬などが通った形跡が残っている程度。ヴェルフ達ではない。

 

「そういえば、僕もヴェルフもリリも、みんな違う場所から来てる…。僕がさっき立ってたのは、オラリオに出発しようと思って家から出た所…」

 

 そこで、ベルは仮説を立てる。

 あちらに行った時と同じように、ヴェルフもリリも転移当時にいた場所に戻っているのではないか。と。

 

 外れていたら、その時に考えればいい。

 

 幸いにも2人のいた場所は迷宮都市オラリオ。ベルが冒険者になるために目指していた場所であり、どのみち目指すところであった。

 

 準備する物はほぼない。というよりも、家は既に引き払っているし、僕の荷物も荷車にのったまま。後は出発するだけだ。

 

「と、その前に…」

 

 ふと、あることに気がついてベルは道を引き返す。向かった先は家の裏手。

 

 そこに自分なりに作った拙い墓がある。祖父はモンスターに襲われて亡くなったと聞いただけなので、その遺体は行方知れずだ。

 それでも、せめて弔いをしなければと思い作り上げたからっぽの墓。

 

 中に祖父はいないが、それでもベルは言わずにはいられなかった。

 

「ただいま、おじいちゃん」

 

 オラリオに行く前に、別の世界でハンターになったって聞いたら驚くかな。そこで、僕はかけがえのないもの仲間に出会って、色んな体験をしてきたんだ。詳しくは言わないけど、古代の英雄譚にも負けないものだったと思ってる。

 

 亡き祖父への報告も程々に、ベルは再び立ち上がる。

 

「じゃあ、行ってきます。ちょっと遅れたけど、オラリオに向かうよ。……ハーレムとかは、ちょっと無理だけど、あそこに仲間が、未知があるんでしょ?」

 

 そう言って、ベルは墓の前に己の使っていた剥ぎ取りナイフを突き刺した。

 

「僕が向こうでずっと使ってた相棒の一本。僕には、調査班リーダーから貰った(新しい)のがあるからね」

 

 ベルは、今度こそ振り返らずに歩み始めた。

 

 ダンジョンを、未知を、仲間との再会を求めて―――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 視点は、再び調査団に戻る。

 

 あの裂け目は、まるでベル達の訪れを待っていたかのように、通りきってから程なくして完全に消滅した。

 今では、かつてそこに異世界へ繋がる裂け目があったとは思えない程だ。

 

 みなその別れに感慨に耽っていたが、総司令の一喝でアステラへと戻ることにした。

 

 引きずるようなことはせず、けれど大切に。ベル達がいなくなって寂しくなるなという旨で団らんしていた時、ふと現大陸から届いたギルドからの書状を総司令が手に取る。

 

「どうしたじいちゃん。ギルドからの指令か?」

 

 目ざとく気づいた調査班リーダーが尋ねると、総司令はふっと笑い書類を閉じる。

 

「いや、指令ではない。だが、興味をそそられたのは事実だな」

「へえ?総司令が言うってことは、中々凄そうっすけどね」

「君か。…まあ、否定はしない。どうやら、ギルドから調査隊が発足された様でな。我々の、この調査団のきっかけを思い出しただけだ」

「ギルドの報告書か?場所は?」

「“禁足地”というらしい」

「懐かしいワードッスけど…。多分俺が想像してるのとは違うのかな」

「ふっ、どうやら君の知り合いも参加している様だぞ?」

「そりゃまた何て偶然だ…!」

 

 調査班リーダーの疑問に応えた総司令から、広がる話の伝播。何より、今しがた見送ったベル達と同様に、ギルド(こちら)側も新たな土地へと踏み出したのだから。

 

 そんなこんなで、すっかり勢いも取り戻した彼らは、旅立ったベルや禁足地調査隊に負けていられるかと、更なる生態調査と狩りに勤しむのであった。

 

 

「相棒!聞きましたか!?ギルドが新たに調査隊を送ったようですよ!どんなモンスターがいるんでしょうね…。話によると、大規模な“ケラトノス”の群れや群れを形成する大型モンスター、“ドシャグマ”等が確認されているみたいです。時期が被っていなければ、そちらにも参加してみたかったものですね…」

「……」

「相棒?どうかしましたか?」

 

 集団から少し離れた場所にて、受付嬢が佇む青い星へと話しかけていた。しかし、沈黙を続ける青い星を不思議に思った受付嬢は、「おーい」と顔の前で手を振った。

 

「ああ、いや。ベル達のことを考えていて…」

「そうだったんですね。確かに、私たちの常識が通用するかは分かりません。ですが、きっと彼らなら大丈夫ですよ!」

「そうだな。サプライズに気づいてくれればいいんだが」

「サプライズ…ですか?……ああ、それで昨日の夜中にベルさんの荷物に何か入れていたんですか。何を入れたんです?」

 

 受付嬢の追及に、青い星は曖昧な言葉で濁すことにした。

 

「…魔除けみたいなものだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 ベルは、オラリオに向かう道を荷車を引いて歩き出したが、しばらくして小休止に入っていた。

 

 当然、水分補給と食事は欠かせない。

 厳しい狩猟生活になり体力はついていても、体を使う以上喉も渇くし腹も減る。

 水を飲み、ポケットに入れていた携帯食料を食みながら、少しの間持ち運びしやすいように荷台の整理にとりかかる。

 

 とはいっても、そこまでだいそれたものでもなく、単純に自分が動きやすく、荷が崩れにくくする程度だ。

 互いに傷つけないように動かしている最中に、ふと見覚えのない袋が目に入る。

 

「あれ、僕こんなのも持ってきたっけ…?入っちゃって、そのままとか…?」

 

 不思議に思ったが、中を確認せず放置するのも違うだろう。物によっては、干渉し合わないように置き場所を考える必要もある。

 

 軽い気持ちで紐を解くと、袋を覗きこむ。

 

「ほあああぁぁぁーーーっっ!!!??」

 

 絶叫。

 中に入っていたのは禍々しい紫の結膜に、黄色の角膜に縦長の瞳孔が睨みつけるモンスターの瞳。

 

 その名を黒龍の邪眼と言う。

 

「何してくれるんですかあの人おおぉぉっ!!!?」

 

 キラリ。空に青い星がいい笑顔でサムズアップした様な気がした。

 




青い星「黒龍の邪眼(魔除け)

魔除けというか“魔”そのものなんですが………。

あとダンまちの黒竜をミラボレアスと同格の禁忌級にしたらベル君が凄く強くなっちゃいました…。

多分ランキング的には(キャラはワールドアイスボーンのみ)


青い星>エイデン=ソードマスター=ベル達3人>ベル>アルバート(アリアの加護あり)になっちゃう……。

何気に公式でマスターランク古龍装備着ててミラボレアスとまともにやりあって生き残ってるエイデンってプレイヤーキャラを除くと最強格では?
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