ベル達3人がハンターなのは間違っているだろうか?   作:食卓の英雄

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Q.2ヶ月間不在な上に1ヶ月かかったけどヘスティアは大丈夫?
A.今でようやく原作ベルの到着とほぼ同時期です。ここのベルは引きこもり生活が早めに終わり、向かおうとしたらモンハン世界に飛ばされました。

あと、ワールドでは拠点内は50分で1日なので、逆算してゲームでの1分が大体30分とします。
つまり5分殴って帰れるお手軽周回モンスも実は2時間半は接近して殴り続けてるってことになってます。
まあ、実際は色んな準備や、リアルの狩りと同じように出会えない可能性や、怪我の度合い、調査のための痕跡集め、それぞれの武器道具の整備などなど、色々含めればクエスト期間自体は3日とか5日くらいだと予想します。
少なくとも、この小説の中ではそういうことです。

まあ、要はバフとかデバフ、後はモンスターの体力なんかが、現実ナイズすればそのくらいになっていると解釈してもらえれば幸いです。また、他にも疑問点などがありましたら気軽にお書きください。

ただ、あくまで指標であるだけですね。実際ダンまちとかだとLv.5とかでもオッタルとかなら一撃で仕留めれちゃうので、モンハン時間に置き換えると何のバフもないのにワンパンみたいなことになっちゃうし


最高の鍛冶師

 

 ヘファイストスは混乱していた。

 心配していた眷属が、突如として本拠に他人を引き連れて来たかと思えば荒唐無稽な話を披露したからだ。

 

 そして何より、超越存在(デウスデア)たる神だからこそ、目の前の青年が嘘をついていないことが理解できてしまう。

 頭でもおかしくなったのか、はたまたからかわれたことを真に受けているのか。常ならばそう判断し、頭の心配をするところであったが、しかしてヘファイストスには一笑に付せないだけの理由があった。

 

 それは、2ヶ月の間の失踪と、背後に控えている少年との関係性。加えて、今こうしてまじまじと見たからこそ、少し前のヴェルフよりも肉体的に鍛えられていることを見抜く。

 

「はい、事の発端は、俺が行方不明になった3ヶ月前まで遡ります。あなたもご存知のように、行方不明になっていた2ヶ月の間、俺は異世界へと行っていたんです」

 

 言葉を続けたヴェルフは、いつ向こうの世界に渡ったのか、向こうの世界の様子と、ハンターとして、鍛冶師としても腕を磨いていたことなどを簡潔に話す。

 

 ヘファイストスは静観を決め込んで、ヴェルフの話に耳を傾けている。

 あちらの世界で2年間を過ごし、ようやく戻って来れたらこちらの世界では2ヶ月間しか経っていなかったことを語って、ヴェルフの説明は終わった。

 

「……正直、信じられない、というのが本音ね。嘘を言ってないことは分かるし、眷属の話を信じてあげたい気持ちはあるけど、流石に鵜呑みには出来ないの。第一、何で今になってそれを話したの?チャンスはいくらでもあったでしょう?」

 

 口調は疑問形だが、その瞳はベルを見やる。ヴェルフの話を信じるのならば、こちらの二人も同じ経験をしてきた筈だ。そして妙なちぐはぐさと、軽く見ただけでは分からない装備。

 それらの疑問が点と点とで繋がって、理由が今日ここに来たばかりだという少年にあると推測していた。

 

 ヴェルフもそれを理解しているからこそ、真っ向から告げる。

 

「ええ、言葉だけでは伝わらないでしょう。……向こうで揉まれながら、鍛冶師として鍛えた俺の、全てを注ぎ込んだ二振りです」

 

 そう言って、ヴェルフは竜の皮に包まれたとある物体を取り出した。

 それが何であるか、ヘファイストスは即座に理解した。中に収められているのは、少年、ベル・クラネルの得物であると。

 

 それと同時、職人として素材の目利きにも精通しているヘファイストスは、その武器を包んでいる皮ですら、深層のドロップアイテムもまるで及ばない超抜級の素材であることを理解してしまう。

 

(これ程上質な素材が、ただの()()()代わり…。なら、一体これはどれ程の―――?)

 

 ヘファイストスは預かり知らぬことだが、この皮の正体は、銀火竜リオレウス希少種と金火竜リオレイア希少種のものだ。

 

 生態系の王者たる火竜の中でも更に希少で、天災と称される古龍種とも互角に渡り合う頂点の一角だ。

 

 そしてこの二匹の素材が使われている理由は、十分な強度を持ち、それでいて()()()()()()ことが挙げられる。

 

「……開けるわよ」

「ええ」

 

 ごくり。知らずつばを飲み込んだ。

 鍛冶神として、眷属の作った装備を見て感心したことも、下界の可能性に心躍ったことも幾ばくかある。中には、素晴らしい才能を持つ眷属の成長を楽しみに待ち、時にヴェルフの様な原石を愛おしく思ったことも少なくはない。

 

 だが、第一等級武装を初めて創り上げた時に似た心胆からの感動…いや、それ以上。下界に降りて久しいヘファイストスが長年感じることのなかった緊張が走る。

 

 そして、置かれたそれの皮布を、丁寧に解いた。

 

「っ――――」

 

 それを目にした瞬間、ヘファイストスは言葉を失った。

 

 現れたのは、歪な形状の二振りの剣だ。

 漆黒の甲殻が折り重なった様な、オラリオ(ここ)ではまず見ない方向性の加工。

 先端が曲がった二本の角様な形状になっており、二振りの内片方は左右非対称に伸びている。

 

 漆黒の甲殻で構成されたそれは、抑えきれない力が溢れ出ているかのように、妖しい紫紺の輝きが伺える。

 

 ヘファイストスにはこの素材がどのような物かは分からない。だがその身で感じ取ることが出来た。

 

 加工されて尚も存在感を放つそれ。ヘファイストスはここにいない筈の、逆鱗の黒き龍の姿を幻視する。

 

 その存在自体に圧されかけ、次にその技巧に目を見開く。

 

 一見、ただ甲殻を削り研磨しただけのように見えるが、其の実使われた技術も加工方法も様々。ありとあらゆる手法を試され、徹底的に鍛え上げられたそれの性質を最大限に活かしている。

 

 黒黒と光る刃は妖刀のような鋭さを見せ、内包する不思議なエネルギーはどこか神の力(アルカナム)を思い出させる。特徴的な形状と構造は、決して装飾などでなく、これが機能美の行き着いた先の地点であることを理解した。

 

 ここまで丹念に鍛え上げられた武器を、神ならぬ身で作り上げた人類を未だ見たことがない。

 

 舐めていたわけではない。貶める気持ちがあったわけでもない。ただ、純然とした、超越存在としての規格と親の様な視点から、まだまだ人間たちは成長途上だと思っていた。

 

(……神の力(アルカナム)を使えば……。いえ、そもそもの発想力が足りない)

 

 それがどうだ。鍛冶の神から見ても、この二振りには()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 少なくとも、この双剣の出来はヘファイストスを以ってしても最高だと言わざるを得なかった。

 

「……どうだ。向こうでの俺の、全てを使った一対だ。アンタから見て、どう思う」

 

 ヘファイストスが息を呑み、暫しの静寂を断ち切るようにヴェルフが尋ねる。唇は硬く引き結ばれ、その目には自信とほんの僅かな期待が覗いていた。

 

 その言葉に一度ヴェルフを見たヘファイストスは、再び双剣を一瞥すると、丁寧に丁寧に、傷や埃などつけないように優しく包み顔を上げる。

 

「………ええ、降参。認めるわ。こんな素材も、こんな加工方法も知らないし、僅かな期間でこれだけの上達も信じられない。……そう、本当に、本当に努力したのね」

 

 愛おしげに、ヘファイストスはヴェルフの成長と、それに伴う計り知れないほどの努力と経験を想像して、感慨深げに呟いた。

 幾分か逞しくなっていたというのがヘファイストスの見立てであったが、そんなものではなかった。男子3日会わざれば刮目して見よ、とはあるが、それにしたって成長しすぎだ。

 

 それだけでない。技術だけでなく、精神的な余裕も兼ね備えているように見える。今までは、魔剣に対する拒否感でどこか精神的な余裕がなかったが、どうやら割り切れたらしい。

 

 …… もっとも、その成長も自身の預かり知らないものによる影響だと考えれば面白くはないのだが。

 

「銘はあるの?」

「はい。“煌黒双剣アルブレ”と。ベルと俺達で倒したモンスターの二つ名をつけさせてもらいました」

「いい名前。使い手は……そこの子ね?」

 

 ヘファイストスはベルを見る。何かあるとは思っていたが、流石の神といえどこの展開は予想できなかった。ヘファイストスは立ち上がり、アルブレをベルへと返した。

 

「…今のヴェルフが認めているなら問題はないと思うけど、この双剣は恐らく世界で最も優れた名剣よ。最大鍛冶派閥の主神である私が断言するわ。……扱いは慣れていそうだけど、その双剣を狙う冒険者や派閥はきっといるわ。特に、あなたは実績ある冒険者ではないのだから舐めてかかる馬鹿もいるでしょうね」

「は、はい。分かってます。特に、あのアルバトリオンの武器ですから…」

「分かっているなら、いいわ」

 

 ところでアルバトリオンって何?とは聞き返さないのがヘファイストスクオリティ。

 

「…そうね。仕事はあったけど、別に急ぎじゃなかったし、貴方達の話を詳しく聞かせてもらうとするわ。そっちの話は、一ファミリアの主神としても、鍛冶師としても興味深いわ。…ああ、勿論口外はしないから、安心して」

 

 完全にリラックスし始めたヘファイストスは「お茶くらいなら出すわよ」と言って紅茶を取りに行ってしまった。

 

 それからは、腰を落ち着けて向こうの世界のことを語り合う時間が続いた。

 あちらの世界のハンターの仕組みや、モンスターがれっきとした生き物であること、様々な土地や能力、生態を理解し、こちらとも異なる素材を独自の方法で装備に仕上げてきたこと。

 

 ベル達自身がハンターになったきっかけや、新大陸で起こった事件や苦労話。

 殆どが思い出話のようなものだったが、ベル達はむしろ誇るように語っていた。

 

「これがライトボウガンね…。へえ、機構はクロスボウと銃のいいとこ取りなのね。弾はどうしていたの?」

「木の実のカラやモンスターの骨から作っていましたね。実の性質や組み合わせで様々な種類の弾丸が選べるので、私でも優位に立ち回ることができていました」

「…………木の実?」

「ええ、木の実です。まあ、こちらと違って、モンスターも生態系に組み込まれている様な世界ですので、共に発達する植物の生存戦略も自然と強靭になったりするんですよ」

「そう。銃の装飾の意味は?こっちからも凄い気配がするけれど…」

「ああ、それは内部との相性の兼ね合いだったりです。機構にも素材を組み込んでたりするので、効力を落とさない弾丸に特化させているんですよ。火力を高めて、それに耐えられる素材を外部に用いることで本体に負荷をかけない様になってます。ものによっては速射に対応したり、扱える弾丸の種類が異なったりしますよ」

「へえ、そういう方向性の強化もあるのね…。使い分け用の武具や副武装はあるけれど、これは初めから考慮されているのね。勿論、これ一本でも一生戦い続けることができるんでしょうけど…」

 

 ある時は、リリルカのボウガンを興味深そうに眺め、異なる世界で独自の発達を遂げた遠隔武器に驚き。

 

「…すごいわね。加工の難易度も高いでしょうに…。ここまで性質をそのまま残せるのね」

「あっちじゃモンスターの素材を流用した設備や日用品も普通でしたからね。こっちでは魔石に似た立ち位置ですが、種類と応用力で発展の度合いが全然違うってわけです」

「活かし方と組み合わせのレパートリーが異様な程多いのね。素材と鉱物、時に異なるモンスターの一部位を組み込んで、更なる力を引き出している……。モンスターの素材なんて、削ったことか、鍛造して形を整えてあげたことくらいしかなかったわ」

「まあ、ダンジョンとこっちじゃ事情が違うので仕方ない部分はありますよ。ダンジョン産のはみんな金属性質を持ってますし、ドロップアイテムも限られた部位が僅かに落ちるだけ。反面、こっちは鱗だったり甲殻だったり内臓器官や骨。一頭から得られる素材の豊富さと、簡単に加工できないからこその試行錯誤が無限にできるのでね」

「……やっぱり、モンスターの素材に関しては、今の私よりも上かもしれないわね」

「なっ!?いやいや、それは流石に言い過ぎですって!」

「……別に冗談のつもりはなかったのだけど」

 

 ヴェルフの大仰に否定する様に、逞しくなってもそんなところは成長していないのかとクスリと笑う。

 

 そして、楽しい時間というものはあっという間に過ぎるものだ。

 

「……嘘、もうこんな時間」

「話し過ぎましたね……」

「まあ、そんだけ積もる話があったってことだろ」

「…こんなに時間を忘れて話したのは、いつぶりかしらね」

 

 そう語るヘファイストスは、どこか清々しい顔をしていた。疑問が氷解したことも、己の眷属たちが異世界でどのようなことをして、どう生きてきたのか。その一端を知ることが出来たからだ。

 

 まだまだ聞きたいことも、見たいこともあるにはあるが、流石にこれ以上拘束するのも憚れた。

 

 そこで、返そうとした所で問題が生じた。

 

 ベルはまだどのファミリアにも所属していないことだ。故に、帰る場所もない。

 今までは、リリがヴェルフの工房に寝泊まりをしていたが、流石に3人となると手狭になる。

 

「そうね…。私が引き止めたせいもあるから、今日は本拠(うち)に泊まっていきなさい。ファミリア探しは、また明日でいいでしょう。……何なら、【ヘファイストス・ファミリア】への入団も歓迎するわよ?鍛冶が出来なくても、これくらいの使い手を確保してたら素材もテスターも困らないでしょうし」

「えっ…!……い、いえ、お誘いは嬉しいですが、すみません。ここを目指している鍛冶師志望の方にも、今努力されてる方にとっても、特別扱いはいい気はされないでしょうし…。っていうか、あの、それって僕たちの武具を研究したいからじゃ……」

「……そう。そんなに顔に出てたかしら?」

「あはは…。まあ、新素材を手に入れた青い星(似たような表情をした人)を知ってるので…」

「あら残念。…それじゃリリルカちゃんは」

「リリもお断りします。ベル様と同じ派閥に改宗(コンバージョン)する予定なので」

「……なんてお得なセットなのかしら」

 

 そんな訳で、部外者である二人は案内に従って、空き室に泊まり込むことになり、この場に残ったのは、元々同じ派閥であり、自身の寝床を持つヴェルフのみだ。

 

 そして、洛陽を迎え、窓からは青白い月明かりが執務室を優しく照らし出す。

 ふと、ヘファイストスはヴェルフに歩み寄るとその赤い頭髪を撫でつけた。

 

「……本当に、知らない間によく育ったわね」

「……やめてください。アンタにとってはガキだろうけど、俺ももう19です」

「そう、実感はしにくいけれど、時差があったのよね…。昔なら、直ぐに真っ赤になってたでしょうに」

 

 昔を懐かしみ、そういえばとヘファイストスは続けた。

 

「そういえば、私を認めさせるほどの作品を持ってきたなら、何か褒美を取らせようと思っていたんだったわ。……まさか、こんな短期間で達成されるなんて思ってなかったけど。全能じゃないこの身じゃ何でも、とはいかないけど、出来る限りなら叶えてあげるわよ?」

 

 それは、ヘファイストスなりにヴェルフを認め、その将来性に期待していたが故の思いだったが、自身に迫る、或いは超えかねない一本を出されるなどとは、夢にも見ていなかった。

 

 その浸るような声に、ヴェルフはヘファイストスの手を取ると、その燃えるような左眼と真っ向から目を合わせる。

 

「なら、俺と付き合ってください」

「へ」

 

 ポカンと、ヘファイストスは予想外の言葉に暫し停止する。その後に、からかう言葉を絞り出そうとしたものの、現物として出されている以上、夢物語とも断れない。

 

「……ふふ、久しぶりに聞いたわね」

「は?」

「……いたのよ。昔にも。認められる武具を作れたらと言って、求愛してきた子。貴方が初めての達成だけれど、そんな事よりも、貴方も早くいい伴侶を「そんな過去の奴ら俺が忘れさせてやります!!」見つけ……!!??」

 

 冗談として処理し、過去の例を出した瞬間に、ヴェルフが爆ぜた。続く言葉も聞こえていないかのように情熱的にその手を握ると、真剣な瞳でその感情を伝える。

 

「ちょっと、ヴェルフ…?冗談はそれくらいにして。永遠を生きる私たちに纏わりつかれたって……」

「冗談なんかじゃありません。俺は、アンタのことを異性として見てる!」

「わ、私は女として失格よ?この眼帯の下にはびっくりするほど醜い顔が」

「そこも含めてヘファイストス(アンタ)だ」

 

 ヘファイストスの眼帯の下。神の力をもってしてもどうにも出来ない醜い相貌。これにより、天界で疎まれたことも一度や二度では済まない。

 

 そのコンプレックスでもある顔を、惜しげもせずにヴェルフは眼帯を手に取り外気に晒す。

 

 思わぬ行動に静止する暇もなかったヘファイストスは、そこでようやく己の素顔が晒されたことを理解し、拒絶されることを恐れて咄嗟に手で隠そうとする。

 

「やっ…」

 

 が、それをヴェルフは許さない。隠そうとする手を掴み、優しくその貌に触れる。まじまじと見られ、ヘファイストスは怯えられることへの恐怖と不安が瞳に滲む。

 

「と、すみません。見過ぎました」

「……分かったでしょう?私の素顔がどれだけ醜いかが」

「醜い?どこがですか?」

「は?」

「舐めないでくださいよ。あの程度で、俺が躊躇するとお思いですか?……眼帯をしたアンタの見た目に惚れたんじゃねえ。アンタという存在自体に惚れ込んでるんですよ。例えあなたが、老婆の姿であっても、きっと俺はこうして想いを告げていたでしょう」

「嘘……」

「本気です。(あなた)なら分かりますよね」

 

 ヘファイストスは、これまでの告白の中に、何一つとして嘘の混じらない本音であることを感じ取っていた。

 

「…神に嘘はつけない。自信のない女への本気の言葉に、これ程の説得力はないでしょう?」

「……本気、なのよね」

「……そこまで疑われると、俺はもう行動に移すしかなくなるんですが」

「い、いやっ、いいわ!信じる!信じるから!」

 

 先程からペースに乗せられっぱなしで、これ以上は危険だと判断したヘファイストスは咄嗟に距離を開け、一呼吸して落ち着いた。

 

「それで、返事はしてくれないんですか?」

「……もう、しょうがないわね」

「!良いってこと、ですよね!?」

「ええ。認めるわ。完全に私の負けよ。……ええ、私ヘファイストスは眷属ヴェルフ・クロッゾの告白を受け入れます」

「〜〜〜っっ!!いよっっっしゃ「ただし!」」

 

 喜びを全身に顕にし、夜中だと言うのにガッツポーズで喜びかけたヴェルフを、その喜びように頬を赤く染めたヘファイストスが静止する。

 

「他の眷属には内緒にするのよ。これが知られれば、何があったかバレかねないわ。異世界、というのは劇物でもあるわ。利益だけを享受出来るならまだしも、良からぬ考えを抱く者は必ずいるわ」

「…ですよね」

 

 その考えはあったのか、ヴェルフは神妙な顔で頷いた。そして、次の言葉はヘファイストスが己の槌を取るのと同時に発せられた。

 

「それと―――こっちにも付き合いなさい。あれ程の武具を下界の眷属に魅せられて、血の滾らない鍛冶師なんていないでしょう?」

「……はっ、喜んでお受けします」

 

 色恋沙汰への動悸もあるだろう。頰を染めた二人はしかして、それ以上に高鳴る心臓は燃える鍛冶魂に火をつけた。

 

 告白を受け入れたからこその、ヘファイストスなりの対等かつ、同じものを共有するという初の経験。

 ヴェルフはその誉れと、生粋の鍛冶師である二人だからこその逢瀬を謹んで受け入れた。

 

 宵闇に、槌を降る音が重なる。静寂を切り裂きながら鉄を鍛つ青年と女神は、どこまでも鍛冶師であったのだった。





紐神「ボクは……?」


はい。やっちゃいました。
まあ、このくらいはいいですよね。実際ヴェルフと両思いなのは分かってますし、アルバトリオンの素材を最終強化出来る腕を持ってるので。

それはそれとして、血が滾るのも鍛冶師としての宿命。むしろ、受け入れたからこそ同じ作業を共にして高めようという鍛冶師独特の共同作業をするところも、ヘファイストス様なりの返礼です。

ヴェルフが言うには、こっちのモンスターは迷宮から生まれてるので、ドロップアイテムの金属っぽい性質が宿ってるんですよね。ミノタウロスの角も溶かして鍛えてたし。
そうやって金属と同じように扱え、取り扱う機会が少なく、様々な手法、部位、組み合わせを恐らくこちらではほぼしていないのではないか。
だって第一級冒険者の武器は殆どが金属系列ですし、仮にモンスター素材を使っていてもオッタルの大剣の様に削り出しただけだったり、元々武器として運用できる様な部位を刀身とする…くらいなので。
あと、ヘファイストス神が神話で作った物も殆どが金属、或いは植物由来のものでしたので、ヴェルフはモンスター素材の加工に関してはヘファイストスにも引けをとらないということです。
少なくとも(ry

何故か予定にないカップルが成立しましたが、それはそれとして感想評価がないと姉御が怖いぜぃ!
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