ベル達3人がハンターなのは間違っているだろうか? 作:食卓の英雄
そのせいで戦闘がねえ…。もうちょいテンポよく書きたい…
神様と出会い、まあ色々と割愛はするけど、晴れて僕とリリは【ヘスティア・ファミリア】所属となった。
因みに、団長は冒険者としても(あくまで低級サポーターだと卑下していたけど)先輩で、頭も回るリリの方が良いと思ったんだけど、本人からの希望で僕がすることになった。
リリは【ソーマ・ファミリア】で恩恵を受けているから同じ派閥としては登録できないのかなと思っていたけど、ソーマ様と話をつけたその日に『改宗』手続きは終わらせて、後は引き継ぐだけだったとのことらしい。
これは一度行うと最低1年は再改宗は出来ないというシステムだったけれど、僕が来ると信じて躊躇わなかったと言っていた。
こうして、晴れて冒険者になって、まず初めに行うことはダンジョンに向かってモンスターを倒すこと――――ではない。
そもそも、【ファミリア】を結成したことや、構成員の登録などをギルドに行わなければいけないので、ヘファイストス様に連れられて神様と一緒にギルドへと向かう。
「へ、ヘファイストス様…。本日は、どのようなご要件でギルドに?」
「ああ、今日はウチのファミリアは関係ないわ。ただ、神友がファミリアを結成したからその手続きの付き添いよ」
そう言って、神様がギルド奥の個室に案内されて消えていく。ま、まあ…。新興派閥で何の実績もないから、それこそ団員数や本拠ホームの場所などが登録できれば十分らしい。
その間、僕たち二人は冒険者登録だ。リリ自身の登録は親が勝手に行っていたとのことで、これはリリにとっても初めてのことらしい。
「あの、冒険者登録に来たんですが……」
「はい。新規の冒険者、登録の方で間違いありませんね?所属ファミリアとお名前をこちらに記入してください」
「……って、あ!き、昨日はお世話になりました……。お陰で言っていた友達とも再会できて、ちゃんとした神様の紹介からファミリアに入ることが出来て……」
「…はい?昨日……と、言いますと……。え、ええぇぇぇ!??も、もしかして白い鎧で、【ヘファイストス・ファミリア】と【ソーマ・ファミリア】のことを聞いていた、あの時の…?」
「はい!」
僕たちを担当したのは、僕がギルドに訪れた時に受け付けてくれたハーフエルフの職員だった。名前はエイナ・チュールと言うらしい。
「嘘…。確かにヘルムで顔が見えなかったけど…、私より年下……!?しかも結構幼い顔立ち……。当然といえば当然だけど、素朴な服を着てるとただの農村の少年にしか見えない……。大丈夫かな…」
と、何やらぶつぶつ呟いていたけど「あのー」という呼びかけに正気に戻った。
僕は必要事項を書き記し、リリのものと同時に渡す。
「はい。ベル・クラネル様とリリルカ・アーデ様ですね…。所属は【ヘスティア・ファミリア】……?」
「あ、今先程連れて行かれた神様のファミリアです」
「ということは、ファミリア結成の手続き中ですね。了解しました。後で共に纏めさせていただきます」
「お願いします」
「では氏名と年齢を登録させていただきますね。それと、ファミリア内の立場も教えてくださいね」
「ベル・クラネル。16歳で、ファミリア内の立場は団長をすることになりました!」
「リリルカ・アーデです。私はベル様より一つ年上で、相応しい人員が入るまでは副団長を務めさせていただきます」
ニッコリと、余所行きの顔で応えるリリの言葉に、エイナさんが資料を持ち出して訝しむ。
「アーデ氏、【ソーマ・ファミリア】の名簿によると貴女は15歳の筈ですが…?年齢の虚偽申告にはあまりペナルティは発生しませんが、あまりそのような態度を取られてしまうと……」
しまった。こっちとの時差があった。元々身寄りなしの僕やファミリア内で処理できるヴェルフは兎も角、リリが新たに派閥を変えるとなると、まずその年齢の壁に当たる。
あえて若く話しても、実際に向こうで2年を過ごしたのだから、神様に嘘として認識されてしまう。
冷や汗をかいて、リリを見れば、その顔に動揺はない。
「本当のことを申し上げたつもりですが……。ああ、そういえばリリの冒険者登録はまだ私が幼い頃、生みの親がいつの間にか行っていたのでした。なら、不備もあるかもしれませんね。何せ、あの人たちは私を金を持ってくる奴隷程度にしか思っていなかったので、適当な年齢を書いていたか、それとも本当に忘れていたのかも……。ですが、申し訳ありません。二人はもうとっくの昔にダンジョンで他界していまして…。どうしてもと言われるのであれば、神様の目の前で年齢は正しいと宣言するのも吝かではありませんが…」
ヨヨヨ、と目元を抑えて辛そうな顔をするリリ。その態度にエイナさんはたじたじだ。
「……っ!??いっ、いえいえ!そこまでしていただかなくて結構です!先ほども申し上げたようにペナルティ自体は発生しませんし、そうして頂くほどの問題でもありませんので!」
今の話を引き出させてしまったと慌てるエイナさんを尻目に、こっそり僕に目配せ。……いや、可哀想だから止めてあげようよ。
「えっと、冒険者登録ってこれで終わりなんですかね?」
「…はい、概ねは終了しました。今回は新規派閥の登録と同時なので、お時間は頂きますが……。アドバイザーの要望はありますか?」
アドバイザー…。向こうで言う、編纂者みたいな感じだろうか。
「えっと……それじゃあ、できれば知識豊富で、情報通……ダンジョンの情報や注意点をよく知っている人がいいです」
「…はい。では登録はこちらで終了です。決定などは後日になりますので、また明日来てください」
「あ、そうなんですね。分かりました。それじゃあ、お世話になりました」
丁度時を同じくして、神様も個室から出てきた。やっぱり、いろんなファミリアを管理しているからか、その忙しさは並大抵のものじゃないんだろう。
これ以上邪魔をするのも良くないと思って、僕たちはそそくさとギルドを退出したのであった。
■
ベル達がギルドを後にして数分。笑顔で持って彼らを担当したエイナへと、
「ありゃ早死にするね。間違いないよ」
「ロ、ローズさん!?」
「見込みがない…とまではいかないけど、あれはちょっとね。チュールもわかるでしょ、もう何年ここで働いてるのよ」
彼女の言い分も分かりはする。何せ外見は白兎の様に可愛らしく、田舎から出てきたばかりの少年と、今さきほど語られた様な境遇の
唯一、冒険者の先達がいることは幸運だが、その境遇故にまともな冒険も強さもないであろうと言う。実際に、前のファミリアでの役割はサポーターであり、今回のゴタゴタでようやく抜け出せた様な有り様なのだから。
方や素人の少年。方や非力な小人族でも更に虐げられてきた立場。これならば、そこらの新規派閥のほうがまだ層は整っていると言えよう。
「アドバイザーの要望はなんて?」
「えっと……知識豊富で、ダンジョンについてよく知っている方を、と」
「ぷっ、何それ。アドバイザー担当なら誰でもいいってこと?じゃあソフィ、あんたがやってみる?」
「結構です。長続きしない冒険者を二人も引き受けるなど労力の無駄でしか無いので。……自前の革鎧とアドバイザーの選択を外見だけにしなかったことは慎重さの証なのでしょうが、使い古された割には汚れも少なかった。……臆病なくらいが丁度いいとは言いますが、あれなら二人だからと無謀な真似をして、想定外に何も出来ずに死んでしまうのでは?」
薄紫の長髪を持つエルフの職員は、書類仕事を続けたまま淡白に、それでいて具体的な失敗を予想する。
……実際に、彼女の請け負ったことのある冒険者が陥って帰らぬ人となった経験があるが故に、今回も…いや、尚更無駄なことだと判断することが出来た。
(それは…そうかもしれないけど…。なんて言ったらいいんだろう。昨日の鎧もそうだけど、ただの素人じゃないと思う。感覚的なことだから、説明も証明も出来ないけど…。それに、アドバイザーの要望だって、とりあえずそれがいいからって感じじゃなくて、それが当たり前みたいな感じで………。ああもうっ!自分でも考えが纏まらない!)
そう頭を悩ませるエイナを、図星であると判断した狼人の職員は、ある
賭けの内容は、今登録した二人がどれくらいもつかというものだった。これを聞きつけた職員がこぞって反応を返す。
「私は半年かな」
「慎重っていってもまだ若いし、大目に見て三ヶ月!」
「
「おいおい、全滅しかないのか。なら俺はあの坊やが一ヶ月。小人族の嬢ちゃんは何とか生き残るで」
「えー、私は逆かな。坊やの方だけ生き残って現実を見るって感じで……」
等と、好き勝手に言い合っている。
この賭博が冒険者の死から目を背ける彼女たちなりの心配り、冗談だということは理解しているが、とても納得できたものではない。
例えどんな立場であれ、そうあるべきだと憤ると、受付嬢達は「とか言ってエイナもあの二人が冒険者として食っていけるなんて思ってないんでしょう?」とからかってくる。
そして、賭けに負けるのが怖いのだろう、とも。
「――っ」
ここでエイナが認めるなり、誤魔化すなりすれば話はそれで終わり。互いにふざけ合いで済み、翌日には気にもしない程度のものになっていたであろう。
だが、どうにも解せなかったエイナは、その冒険者の命で賭けをするような態度に、例え冗談であっても認めることが出来なかった。
「いいですっ!それなら私が。あの二人の担当アドバイザーになります!」
そう気炎を吐くと、狼狽えるのは職員たち。
「ちょ、ちょっとチュールっ?」
「貴方、上層部から他の案件も押し付けられて、担当冒険者を持つ余裕なんてないでしょう?それも二人もなんて…」
「片方は冒険者で、纏めて面倒をみるか互いに伝えるようにすれば何とか回せます!それに、ハーフとはいってもエルフですから!」
こうなっては、最早エイナを止められる者はいない。
「私が勝ったら金輪際、こういった賭け事は止めてもらいますから!」と言いつけて、彼らの担当を立候補するために事務室を後にする。
全ては、冒険者を死なせないため。そして逃避であっても、その生き死にを娯楽にさせないために。
そしてほんの少し、彼らの抱える不思議なものに惹かれて。
エイナは今日も仕事に精を尽くしたのだった。
■
また明日来てくださいと放られてから、しばらく。僕達はひとまず神様を拠点に送り返してから、二人でダンジョンへと向かうことにした。
ダンジョンに慣れる。体を動かすという目的はあったけど、今一番の問題は資金不足だ。
何をするにも先立つものは必要だし、そもそも【ヘスティア・ファミリア】の貯金はほぼないに等しい。僕も数日は過ごせる程度のお金は持っていたけど、オラリオに来るまでの間に食料品の購入に使ってしまった。
向こうのお金はこっちでは使えないから意味はない。……本当に最悪の場合、リリの貯金(ファミリアから脱退するために貯めていたものらしい)が丸々残っているので、そこから切り崩すことも出来ると言われたけど、それは本当にどうしようもない時まで手を付けたくはない。
向こうの世界に慣れたせいで、僕とリリは結構な大食漢だ。あっちではみんな食べていたから鈍っていたけど、こちらの世界の人々の体を維持するための食事を抜かしては、肝心な時に動けなくなってしまう。
神様のためにも、僕たちはお金を稼がなければならないのだ。
やってきたのはオラリオの中心。天を突く
ダンジョンへ繋がる道は数々の冒険者で溢れ、下りは長い。いくら階段の幅が広くなっており、詰まる心配がないとはいえ、かなりの距離がある。
「ねえ、リリ。ここから飛び降りちゃダメかな」
「…何を言って。……ああ、そういう意味ですね」
僕は忍ばせていた滑空の装衣を持ち出してリリに言う。最悪の場合、スリンガーもあるし、僕たち自身100M以上の高さから叩きつけられたことがある*1。
「…いえ、ショートカットにはなりますが、人の目もありますし、今のベル様は素顔。下手に目立つのも面倒なのでやめておきましょう」
「あ。そっか…。じゃあ、せめて少しだけ急ごっか」
「それくらいならいいですが…。あ、私が先導しますので、ベル様はついてきてくださいね?」
そうして、僕たち二人はダンジョンへと足を踏み入れたのだった。
「ここがダンジョン……」
階段を下った先。石で覆われた洞窟のような光景に僕はある種の感動を覚えてすらいた。何度経験しても、こうして新天地に挑む感覚は忘れ難い。
それに、元々憧れていた場所。合間の出来事があまりにも濃ゆかったから忘れかけていたけど、こうして見ると空いた期間の分だけ感慨深く思える。
完全に閉じた洞窟なのに、周囲が見渡せるくらい明るい。未知の樹海にもあったけれど、何か光源になるものはないかと辺りを見渡して、天井に当たる部分が点々と燐光を発しているのを見つける。
「うわぁ…あれ便利そうだなぁ」
「最初に出てくる感想がそれとはベル様もすっかり染まってますね。…どうにも、ダンジョン自体が魔石の下位、あるいは上位物質でできているようなので、こうして陽の光の届かない箇所でも光源の心配をせずに探索できるのです。…まあ、リリのこれもそうと知っているだけなのですけども」
キョロキョロと辺りを見渡す僕へ、リリは冷静に返す。それにしても、ダンジョンとは不思議だ。ここから世界中のモンスターの祖先が進出してきたのだと思うと、その規模感と異物感が一層目立つように思える。
と、そんな風に歩いていると、道の奥から人型のモンスターが4体現れる。小柄な体に、尖った耳と鷲鼻を持つ、緑色の肌をしたモンスターだった。
「ベル様、ゴブリンです」
「こっちに来てるね」
ギャーギャーと金切り声を上げて近寄ってくる4体の異形を視界に収め、ふと感傷に浸る。
あれはまだおじいちゃんが生きてた頃、僕がただの田舎の子供だった時の話。ある時、山に現れたゴブリンに殺されかかったことがあるのだ。
あのときは本当に非力で、おじいちゃんが撃退してくれたんだっけ。そこから、モンスターともまともに戦う冒険者になりたいって思ったし、おじいちゃんの頼もしさにも触れたんだった。
ある意味では、僕の冒険者の道の始まりであり、因縁であったかもしれない相手だ。
「幸先がいいのかな」
僕は、腰から双剣クロムクロスⅢを抜く。
これは希少鉱物であるエルトライト鋼を主として、メランジェ鉱石の接合作用を利用して鍛え上げられた二振りだ。
シンプルな金属の剣だからこそ、職人の技量が光る。工房の親方が鍛ったもので、今でこそ一軍じゃないものの、それでも安定性と取り回しやすさ、整備の手間などを考えれば見劣りはしない。
今の装備に属性解放はないから毒属性はないけど、それでも冴え渡る切れ味は古龍にすら通用する。
「はあっ!」
裂帛の気合と共に僕はゴブリンへと斬りかかる。
最初の切込みで中央のゴブリンの首と胴体が泣き別れし、僕の動きを追えないゴブリンをそのまま回転して一撃で葬り去る。
一連の動作を終えた僕は、一呼吸おいて武器を仕舞う。
「お見事です。当然といえば当然ですが、この階層ではとても相手になるモンスターはいませんね」
「まあね。これでも調査団の中じゃ結構強かったし。……うん、腕は鈍ってない」
たかがゴブリン。冒険者どころか、市民に聞いたところでそう返されるのがオチだろう。
でも、今確かに僕はダンジョンで、己を殺しかけた怪物を打ち倒したんだ。
ここが僕の、冒険者としての一歩。その初戦闘は呆気なかったけれど、経験のあるなしでは決定的な差がある。
おじいちゃん。僕は冒険者になりました。ハンター業のお陰で戦うことには苦労しなさそうで良かったです。
「それじゃ、剥ぎ取ろうか」
斃したゴブリンへ向かって、僕は向き直る。
するとリリが気まずそうな顔で告げた。
「……ああ、そういえば、ベル様は知りませんでしたね。……こちらでは、倒したモンスターを剥ぎ取るという行為は存在しないのです」
「へ?」
「いえ、正確に言えば剥ぎ取るのはあるのですが、基本的に胸に埋まった魔石を取り出す際に用いられる程度で、魔石を失ったモンスターは……こうして塵になって消えるのです」
僕の眼の前で、ゴブリンの胸から小さな紫紺の石を取り出すと、言われた通りにその死体は消えてしまった。
「………ええ?」
おじいちゃん。ダンジョンって未知がいっぱいだって言ってたけど、なまじ現実的なモンスターと戦ってきたせいで、その事実に僕はキャパオーバーを起こしてしまいそうです。
モンハンってファンタジーしてるけど色々と現実的な設定があるから面白いんですよね。
尚今のベル君の装備はレザーX。
新大陸にはないけど技術的には絶対作れるので出しました。スキル、及び見た目はサンブレイク仕様です。
新大陸のハンターは飲み会時なども着てるので、普段着としても使える程度には着心地がいいです。
ゲーム的な視点では防御力が全てですが、現実的な視点では同じくらいのランクの素材なら流石に鉱石などのほうが強いです。
とはいえ革とはいえマスターランク。そこらの上級冒険者の全身鎧などよりは防御力があります