ヒロアカ世界なのにスパイダーマン世界だと勘違いしてる精神異常者   作:醤油でした

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マスコミの人ってあんなに一生懸命働いてるのに、みんなに叩かれて可哀想だよね

オールマイトが雄英の教師に就任したというニュースは、全国を騒がせ、連日雄英にマスコミが押し寄せる騒ぎになってしまった。

そして、それは雄英へと通う生徒たちの登校の妨げになっていた。

 

「オールマイトの授業はどうですか!?」

 

 

そして、また妨げの被害者が生まれるはずだった。

しかし、インタビュアーのお姉さんも運が悪い。彼女が話しかけたのは、細蟹(精神異常者)である。

 

 

「え、オールマイトの授業?……うーん、そういえば昨日のあの授業の後、寒すぎて家でおでんを食べたんだけど、お姉さんはおでんだと何の具が好き?

僕が好きなのはもちろん———餅巾着さ!」

 

 

お姉さんが欲しかった答えとは、斜め上というよりかすりもしない返答を意気揚々とする細蟹。

そんな細蟹を見て、これはインタビューとして使えないと思い、お礼を言いながらそそくさとお姉さんは去っていった。

細蟹はそんなお姉さんを見ながら、「お仕事頑張ってくださいね〜!!」と手を振りながらエールを送り、教室へと向かうのであった。

 

 

 

*************************

 

 

 

相澤が先日の戦闘訓練でのお小言を緑谷と爆豪を話しながら始まったHR。

しかし、それはこれからの話の前置きであった。

 

 

「さて、次が本題だ。

急で悪いが、君らには———学級委員長を決めてもらう…」

「「「「「学校っぽいの来たーーーーーーー!!!!!!!!!」」」」」

 

 

相澤からA組の学級委員を決めるという学校らしい課題が始まった。

そして、同時に始まった自己推薦の嵐。

普通科などのクラスであれば、雑務を多く任される役割だと思い、このような風にはならないだろう。

しかし、ここは雄英高校ヒーロー科だ。集団を導くというトップヒーローとしての素地を磨ける役目であり、トップヒーローには学級委員長経験者も多い。

その為、トップヒーローを目指すA組の面々はこの役職に就くために必死である。

 

そんなことは関係ないたばかりに、細蟹は1人静かに考え込んでいた。*1

どうやら細蟹は『ピーターって学級委員長をやるキャラじゃなくない?』などと真剣な顔つきで考えていたようだ。*2

 

取り敢えずこのバカは置いておいて、A組の皆は自分を推薦するばかりで他者を推薦するものが現れない。

このままではみんなが自分に票を入れることになり、面倒ごとになりそうな予感がしていたが———

  

 

 

「——静粛にしたまえ!!」

 

 

 

と飯田の大きな声が教室内に響き渡る。

それと同時に自己推薦していたクラスメイトたちも口を閉じた。

 

 

「多を牽引する責任重大な仕事だ…!【やりたい者】がやれるモノではないだろう!!

周囲からの信頼あってこそ務まる聖務…民主主義に則って、真のリーダーをみんなで決めるなら————これは投票で決めるべき議案!!!」 

 

 

投票により学級委員長を決めるべきだと飯田は言ったが、そんな飯田自身も相当学級委員長になりたいらしく、ピンとまっすぐ綺麗に伸びた挙手をしながら提案した。

そんな飯田の提案に、切島が「お前もそびえ立つほど手挙げてんじゃねーか!!」とツッコんだり、「知り合って日も浅いのに信頼もクソもないわ、飯田ちゃん」がいろんな声をあげるが、飯田がめげずに「だからこそ、ここで複数票を取ったものこそ真にふさわしい人間ということにならないか!?」と反論した。

その言葉にみんな納得したようで、相澤も「時間内に決めりゃ、決め方はなんでもいいよ」といいながら寝袋に包まれていった。

 

その後、各人に学級委員長にふさわしい人の名前を書くための白紙が渡された。

皆が素早く用紙に名前を書いているというのに、細蟹はペンすら持っていない。

『僕が委員長にならなければ、誰でもいいんだけど…』と思いながらも、誰に入れようか考えていた細蟹であったが、先程の飯田のリーダーシップを見て、『さっきの飯田くん、めっちゃ委員長っぽかったし——彼の見た目もよく考えたら、学級委員長って感じするや!』と思い、細蟹は白紙の用紙に飯田の名前を書くのであった。

 

 

そうして、1番投票するのが遅かった細蟹の投票が終わったことで、投票結果が発表された。

やはり想像通りクラスの大半が自分に投票していたのだが、3票と2票を取ったものがいた。

緑谷と八百万の二名であった。

 

 

「僕、三票———!!!?」

「うーん、あと一票。悔しいですわ…」

 

 

 

投票の結果、緑谷が学級委員長。そして、八百万が副委員長ということになった。

そして、細蟹に関しては0票であった。それを見た細蟹は『よかった〜…学級委員長って僕のキャラじゃ無いし、面倒くさそうだもん』とホっと胸を下ろしていた。

 

昨日の戦闘訓練の結果を考えなければ、自分達よりも自警団(ヴィジランテ)として長く活躍していた細蟹に投票しようとする者がいたかもしれないが、『彼が学級委員長になれば自分たちと彼の差がまた広がるのでは?』と考えた者たちは、彼との差をなくすためにも、自分の成長につながるであろう学級委員長になるために自分に投票したのであった。

 

 

「僕に……一票?——いったい誰が…?」

 

 

そんな中———1人、飯田天哉は疑問を抱いていた。

そんな飯田の疑問に誰も答えることはなく、学級委員長を決めるというHRは終了したのであった。

 

 

 

 

 

 

**************************

 

 

 

 

 

 

午前の授業が終わり、細蟹は昨日と同じように、峰田・芦戸・切島・耳朗・上鳴・蛙吹を誘い、食堂で昼食を取ることになった。

昨日と同じように他愛もない話をしていた七名であったが、上鳴が「そーいえば……」と何か思い出したかのように喋り出した。  

 

 

「細蟹、昨日予定があるからって帰ってたけど、もしかしてデートとか?」

「なにっ!?やっぱりスパイダーマンってモテるのか??!!」

 

 

上鳴の言葉に峰田が過剰に反応する。

そして、大食堂だというのにスパイダーマンの話題を出してしまった峰田は思わず口を手で覆った。

それを細蟹は周りを見渡しながら、両の手を横に振りながら「セーーフ!!」と笑った。

どうやら大食堂にいた他のグループたちの声が大きいのとわざわざ自分たちのグループの会話を聞こうとするものがいなかったというのが奇跡的に噛み合ったみたいだ。

 

そして、細蟹は上鳴たちからの質問に「僕、彼女とかいないんだよね———どうしても、MJが見つからなくってさ」と答える。

6人とも『MJって……なに?』と思い、顔を合わせていると「ごっめ〜ん!食事中に申し訳ないけど、ちょっとお手洗いに行ってくるね!」と細蟹はトイレに行ってしまった。

 

細蟹がいなくなったことで、先程の謎発言について議論しようとした時————ウウー

とサイレンが鳴ったのちに、放送が流れた。

 

 

 

 

【セキュリティ3”が突破されました、生徒の皆さんはすみやかに屋外へと避難してください】

 

 

 

 

「え、なにこ——」 

 

   

 

芦戸が疑問の声を上げようとするよりもはやく避難しようとする人の波に6人それぞれが呑まれて行った。

どうやら雄英高校でこの様な放送がされるのは極めて稀らしく、みんなパニックに陥っているようだ。

出口に向かって膨大な人の波がぎゅうぎゅうと押し寄せる。

人の波に飲まれ、転んだり押されたりする人が続出している。このままでは怪我人が出るのは時間の問題だと考えた切島や上鳴、芦戸に耳朗、蛙吹と峰田はそれぞれこの人の波を止めようと声を張り上げ活動するが、いかんせん人の量が多すぎるため、このパニックは治らない。

 

『このままじゃヤバい』と皆が思ってると、不意に出口の上に急突進してぶつかる男の子がいた。

よく見るとそれはクラスメイトの飯田であった。

 

 

 

「みなさん、大丈ー夫!!この騒ぎはただマスコミが侵入しただけです!なにもパニックなる必要はありません、大丈ーー夫!!ここは雄英———最高峰の人間に相応しい行動をとりましょう!!!」

  

 

 

 

出口の上にいる飯田は非常口の標識のようなポーズで、パニック陥ってる人々に語りかけた。

飯田の声を聞き、人々は落ち着きを取り戻し、このパニックはどうにか収束することが出来た。

 

そんなパニックが起きた時、細蟹はというと未だにトイレで「やっぱり昨日の訓練でお腹冷やしちゃった……」と1人トイレで格闘していた。*3

    

 

 

 

 

 

**************************

 

 

 

 

   

 

 

パニックが治り、人々が自分のクラスへ帰っていき、午後の授業が始まることになった。

細蟹もトイレでの格闘に勝つことが出来たようで、午後の授業の開始チャイムギリギリに帰って来ることができた。

 

午後の授業では他の委員を決めるというまたもや学校っぽいことが始まったのだが、最初に話したいことがあるとのことで緑谷が話し始めた。

   

 

 

「委員長は、やっぱり飯田くんが良いと…思います!

あんな風にかっこよく人をまとめられるんだ、僕は飯田くんがやるのが正しいと思うよ」 

  

 

 

先ほどのパニックを治めた勇気と機転の利いた行動をした飯田こそが委員長に相応しいと緑谷は思ったのだ。

そして、そんな緑谷の言葉に切島や上鳴など先程大食堂にいた6名が賛同の声を上げた。

 

その賛同の声に答えるように、飯田は「委員長の指名ならば仕方あるまい!!」といい、委員長になることになったのであった。

 

 

   

 

 

 

**************************

 

   

 

 

 

 

 

午後の授業も全て終わり、下校時間になり帰ろうとした細蟹であったが———「細蟹くん、すまないが少し時間をくれないか?」と飯田に話しかけられた。

『なんか僕、飯田くんにしたっけ?』と思いながら、飯田くんと話をする。

 

 

「君が、僕に一票投票してくれたんだね…」

「……1票?———あぁ!あの投票のことね!!そうだね、僕が入れたよ!」

 

 

飯田はそう言いながら、細蟹の肩にポンっと手を置いた。

細蟹は最初なんのことを言われているのか分からずに困惑していたが、午前中に行った学級委員長を決める投票のことを思い出した。

 

 

「僕はあの投票では他の人に入れたから、0票になると思っていたのに一票入っていることがきになってしまって———君以外のみんなに誰に投票したのか聞いたんだ!そしたら———君以外、誰も僕に投票していなかったんだ!」

 

 

興奮した様子で話す飯田を見て、細蟹は「確かに僕が投票したけど、それがどうしたの?」と聞くと、飯田はフっと目を逸らしながらポツポツと語り始めた。

 

 

「君は、戦闘訓練の結果や僕の兄さんから話を聞いていた限りだと明らかに僕よりも圧倒的に上の立場だろう。

そんな君が何故、自分じゃなくて僕に票を入れたのか知りたくて———」

 

「あー、そりゃ〜僕が委員長ってじゃないってのもあるんだけど————このクラスで君が1番委員長に向いてると思ったから、かな!」

 

「———!!…なんで、僕が委員長に向いてると思ったか理由を聞いてもいいかな?」

 

「君が『委員長を投票で決めよう』って言った時に、君は周りを見て周りを尊重することができる優しさをもち、自分の意見を言う勇気も持っていると思ったから———ていうのと」

 

「……その他にも、なにかあるのか?」

 

 

既にこの時点で飯田は自分の憧れである兄が認めた自警団(ヴィジランテ)スパイダーマンに褒められたことに言いようのない嬉しさが胸に溢れていたが、急に細蟹が一拍おいたため、その続きを聞かせてもらおうとした。

 

 

 

 

「————見た目かなっ!!!君、メチャメチャ委員長似合いそうだもん!

 

 

と細蟹は高らかに笑いながら喋る。何かもっと他にすごい理由があるのかと思い身構えていた飯田は、唐突にしょうもなくなった細蟹の理由に肩を落とした。

 

そんな肩を落とした飯田にはお構いなしに、先ほどの飯田との会話に何か引っかかる所があると感じていた細蟹は先程までの会話の違和感の正体を探していた。

  

 

「あっ!てか、飯田くんのお兄さんって僕のこと知ってるの??」 

 

 

ようやく違和感の正体に気づいた細蟹は、今度は飯田に質問する立場となった。

 

 

「……ん、あぁ。そうだったな、君にはまだ言ってなかったな。

僕の兄は———【ターボヒーロー インゲニウム】さ」

 

 

 

【ターボヒーロー インゲニウム】は東京の事務所に65人もの相棒を雇っている大人気ヒーローであり、その昔、細蟹は彼ともう1人で一緒にとある事件を解決に導いたり、彼から逃げたりなど様々な体験をさせてもらったヒーローの弟がクラスメイトだったことに、「えっ!?うっそ、マジ?!」と元からそこまで高く無い語彙力が下がりに下がっていた。

 

 

「僕が自警団(ヴィジランテ)として活動してた頃、彼には色々学ばせてもらったり、助けてもらったりもしてたんだよね!」

 

「ふふっ、僕も兄からそう聞いているよ」

 

「君のお兄ちゃん————インゲニウムには、自警団(ヴィジランテ)の頃に1つ借りを作っちゃったから、今度お兄ちゃんが困ったら僕に連絡するように言ってくれないかな?」

 

「あぁ、わかった。まかせてくれ」

 

 

細蟹はおそらく自分の電話番号を書いた紙を飯田に渡した。

飯田は紙を受け取り、兄に渡すことを約束してくれた。

そうして、また2人はインゲニウムの話をし始めるのだった。

 

この日を境に、飯田は細蟹に積極的に話しかけるようになり、細蟹も飯田と話すようになったのであった。

 

*1
どうせロクなこと考えてないよ、こいつ

*2
ほらね?

*3
はやく逃げなよ




細蟹「君のお兄ちゃん、すごいよね!」
飯田「うんうん」
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