ヒロアカ世界なのにスパイダーマン世界だと勘違いしてる精神異常者   作:醤油でした

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USJといえば、スパイダーマンだよねっ!

雄英でのパニック騒動から数日が経ったある日。

その日の午後は、A組の面々は相澤が教えるヒーロー基礎学の時間であり、今回の授業の内容の説明を受けていた。

 

 

 

「今日のヒーロー基礎学は、俺とオールマイト、もう1人の3人体制で見ることになった。

そして、今回行うのは災害災難なんでもござれの人命救助(レスキュー)訓練だ」

 

 

 

相澤の言葉を聞き、「レスキューとか今回も大変そうだな」と漏らす上鳴に切島は「バカ!おめー、これこそヒーローの本分だぜ!?鳴るぜ!!腕が!」と言い返していた。

そんな2人を相澤はギロリと睨む。

 

 

「おい、まだ途中————今回コスチュームの着用は各人の判断に任せる。中には、行動を限定するものもあるだろうからな。

 

あと、訓練場は少しここらから離れているからバスに乗っていく。

以上、準備開始」

 

 

蛇に睨まれたカエルみたいに縮こまった2人をよそに、相澤は説明を続けた。

どうやら、今回の訓練はコスチュームが自由らしい。

細蟹は先日の戦闘訓練の際に届いたスパイダーマンスーツをモチーフにしたコスチュームを着なくていいことを知り、安堵する。

昨日のヒーロー基礎学では、相澤に無理やりコスチュームを着せられた。そのコスチュームが余りにもスパイダーマンからかけ離れていたため、A組の面々も笑ってはいけないと思いながらも笑ってしまった。

細蟹は決意した。もう2度とあのコスチュームは着ない、と。

 

そうこうしている間に、みんなバスに乗り込むために色々準備し始めていた。

細蟹も遅れたらまずいと思い、更衣室に行き、スパイダーマンスーツに着替えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「バスの席順でスムーズにいくよう番号順に並ぼう!!」

 

 

 

細蟹が着替え終わりバスに到着すると、飯田がクラスメイトに指示を出していた。

早速学級委員長として頑張っている飯田の指示に従おうとバスの中に入ると、路線バスのような対面式の席であったため、「こういうタイプだったか、くそぅ!!」と嘆いていた。

 

 

「私、思ったことなんでも言っちゃうの———緑谷ちゃん」

「あ!?ハイ!?蛙吹さん!!」

「梅雨ちゃんと呼んで」

 

 

そんな飯田はさて置いて、緑谷に蛙吹が話しかける。

細蟹はそんな2人を見ながら、『今日はポンポンいたくない!!』と考えていた。

 

 

「あなたの個性———オールマイトに似てる」

「そそそそそそそそそ、そうかな?いや、でも…」

「緑谷くん、なんかバグった昔のオモチャみたいだね!」

 

 

 

蛙吹の発言に驚いた緑谷がどもりながら返答する様を見た細蟹がイジる。

そして、そんな3人の話を聞いていた切島が話に混ざってきた。

 

 

「いやいや、待てよ梅雨ちゃん。

オールマイトは怪我しないぜ、似て非なるモンだろ!

でも、増強型のシンプルな個性はいいな!派手で出来ることが多い!

———その点、俺の【硬化】は対人じゃ強えけどいかんせん地味なんだよな〜」

 

「いや、僕はすごいかっこいい個性だと思うよ。プロにも充分通用する個性だよ!」

 

切島が自分の腕を個性を使い、ガチガチに固めながら説明する。

そんな切島を見て、プロ向きの個性だと言った緑谷は先ほどよりは落ち着いているようだ。

 

 

 

「プロなー!

しっかし、ヒーローも人気商売みてえなところあるぜ!」

「僕のネビルレーザーは派手さも強さもプロ並み———」

「でも、お腹痛くしちゃうのはヨクナイね!」

「うん、本当に僕もそう思うよ」

 

 

 

ヒーローの世界も大変なことを知っている切島に、今度はキラキラした格好をした金髪の男———青山が話に混ざってきたが、芦戸とそれに賛同する先日までお腹を下していた細蟹により、何も言い返せなくなってしまった。

 

 

 

「でも、やっぱ派手で強えと言えば———轟と爆豪、そして細蟹だろ!」

「ハハハっ、そんな褒めても僕は糸しか出せないよ———あ、ごめん。今のなし。今はスパイディジョークしか出てこないよ!」

 

 

 

切島の褒め言葉に嬉しくなった細蟹は、ファンサービスと言わんばかり手首から糸を出す動きをしようとしたが、相澤と目が合い、『またお説教される…』と思い、言いなおした。

 

 

 

「スパイダーマンはもうすごい人気だけど、逆に爆豪ちゃんはキレてばっかだから人気でなそ」

「んだとコラ!!!そこの蜘蛛野郎より、めっちゃ余裕で人気出すわ!!!

「ホラ、またキレた」

 

 

 

蛙吹の指摘に、指摘通りキレて返した爆豪。

そんな爆豪と蛙吹の2人の話を聞いてた上鳴が爆豪へ「この付き合いの浅さで既にクソを下水で煮込んだような性格と認識されるってスゲエよ…」といじりとも煽りとも取れる発言をする。そして、爆豪は今度はそんな発言をした上鳴に噛み付き、細蟹が「まぁまぁ、フラッシュも落ち着きなよ」と仲裁に入り、爆豪が「だから俺はフラッシュじゃねぇつってんだろ!!!いい加減にしろや!!!クソ蜘蛛!!」とキレた。

 

そんな様子を見ていた緑谷は、『あのかっちゃんがイジられている…!信じられない光景だ、さすが雄英…!』と幼馴染である爆豪がイジられている光景に衝撃を受けていた。

 

流石にうるさすぎたのか相澤が「いい加減にしろ」と一言いうと、みんな静かにするようになった。

しかし、そういう雰囲気をいつも壊すのはこの男———

 

 

 

「糸の出せないスパイダーマンには、このおしゃべりっていうアイデンティティしかもう残ってないんだよね!!!」

 

 

 

細蟹はひけらかすようにみんなに語りかけた。そんな細蟹の言葉に、数人がクスッと笑う。

ここ数日でA組の面々は細蟹のことを『なんかたまに変なこと言うけど、明るくて強いクラスのムードメーカー』のように感じていた。

自警団(ヴィジランテ)として自分たちよりも経験も強さも上なのに、それを威張るような素振りをする所かこちらを褒めたり、場を和ませるために冗談をいう彼のことを段々とクラスメイトとして受け入れてきていた。

 

 

 

「そーいえば、なんで細蟹はスパイダーマンになろうと思ったのさ」

 

 

 

爆豪の隣に座っていた耳朗は、今このA組と相澤先生しかいない状況を活かし、細蟹に中々出来ていなかったスパイダーマンについての質問を始めた。

 

「それは、僕が僕だからっていう他ないよね!!」

「いや、そういうのいいから。動機とかホントにないの?」

 

いつものようにカマす細蟹を一蹴する耳朗。

切島や芦戸、峰田などのグループで細蟹と一緒に昼飯食べたり、細蟹の隣の席ということで他のクラスメイトよりかは細蟹のあしらい方がうまい。そして、そんな耳朗よりもコイツのあしらい方がうまいのは峰田くんである。いつも隣の席で訳わかんない話聞かされて、その才能が開花した。

 

そして、少し悩む素振りをしながら、細蟹は語り始める。

 

 

 

「僕は人から感謝されることが好きでさ、色んな厄介ごとに首を突っ込みまくってたんだよね。

そんな時に、『———大いなる力には、大いなる責任が伴う』って叔父さんから言われてさ」

 

 

 

そう喋る細蟹からは普段のおちゃらけた明るい雰囲気が感じられない。

むしろ、とことん真面目で真摯に答えていた。

 

 

「このまま僕が色んなことに首を突っ込めば、僕だけじゃなくて僕の周りの人も危ない。

でも、困った人も助けたい。

だから、顔も全身もわからないこのスーツを着ることでみんなを助けるあの【親愛なる隣人 スパイダーマン】になれると思ったんだ」

 

 

いつにもない真剣な様子の細蟹の言葉に、耳朗だけでなく、このバスの中にいるほぼ全員が細蟹の一挙手一投足に集中しながら話を聞いていた。

 

 

「このスーツを着て、色んな人を助けて、(ヴィラン)を捕まえて。

平和に暮らす人たちを守ってきたんだけど———」

 

「……大丈夫?どうしたの?」

 

 

話している途中に急に黙り、プルプルと震え始めた細蟹を見て、緑谷は心配の声をあげた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「————今度は僕が牢屋にぶちこまれちゃった!!!」

 

 

 

そんな緑谷の心配をよそに、キャハっとピースしながら細蟹は話す。

いつもの細蟹である。さっきのは演技だったのだろうと考えた耳朗に細蟹は頭を叩かれた。

 

そんな感じでみんなで和気藹々としていると、ついにバスが目的地についたようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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「すっげーーーーー!!!!USJかよ!!?」

 

 

巨大な遊園地のように様々な災害や事故を想定したエリアがある施設をみたクラスメイトの1人が興奮して声を上げた。

 

 

「あらゆる事故や災害を想定し、僕が作った演習場———その名も、ウソの災害や事故ルーム!」

 

 

そんな声に応えるように、宇宙服のようかコスチュームを見にまとったヒーロー【スペースヒーロー 13号】がこの施設についての説明をしてくれた。

どうやら、彼?彼女?が相澤が言っていた今回のヒーロー基礎学のもう1人の先生のようだ。

しかし、周りを見渡してもオールマイトの姿がない。

どうやら、相澤もそのことに気付いたようで13号にそのことを話すと、「それが……」と2人でコソコソ話し、相澤はため息混じりに「仕方ない、はじめるぞ」といった。

 

 

「わかりました、先輩!

えー、じゃあ始まる前にお小言を1つ…2つ……3つ……4つ……」

 

「ポケットを叩けば出てくるビスケットみたいに増えてくね!!」

 

 

どんどんお小言の数が増えてる13号に対して、細蟹は昔の童謡みたいだとツッコんだ。細蟹がチラリと横を見ると、相澤にメチャメチャ睨まれていたため、今度はお口チャックの動作をしていた。

 

 

「さて、みなさんはご存知でしょうが、僕の個性は——《ブラックホール》。

どんなものでも吸い込んでチリにしてしまいます。

僕はこれを使い、災害現場での救助活動を行っています。

 

しかし、これは————簡単に人を殺せる個性です」

 

 

殺せる、という強い言葉を急に聞いたA組の面々の体が少し強張ったが、真剣に13号は説明を続ける。

 

 

「超人社会は個性の使用を資格制にし、厳しく規制することで一見成り立っているようには見えます。

しかし、一歩間違えれば容易に人を殺せる“いきすぎた個性“を個々が持っていることを忘れないでください。

 

相澤さんの体力テストで自分の秘めている力の可能性を知り、オールマイトさんの対人戦闘でそれを人に向ける危うさを理解したと思います。

 

ですので、この授業では心機一転!!

人命のために、個性をどう活用するか学んでいきましょう!君たちのその力は人を傷つけるものではなく、助けるためにあるのだと心得て帰ってくださいな」

 

 

そんな13号の説明を真摯に受け止め、緑谷や麗陽、飯田は13号に歓声の声を挙げていた。

 

 

「っ!———」

 

 

そんなクラスメイトたちの様子を見ていた細蟹であったが、背中にムズムズの嫌な感じが走る。

これは、細蟹になにか嫌なことが起こることを教えてくれる。いわば、第六感と呼ばれるようなものだ。

『しかし、なぜ授業中に?』と思い、辺りを見渡すと、下の噴水ら辺に黒い渦が出来ているのが見えた。

 

 

「みんな、ヤバいっ!!なんかいる!」

 

 

細蟹の声により皆が細蟹の見ている方を見ると、黒い渦は大きくなり、そこから多くの人間が出てきた。

それを見て瞬時に相澤は、みんなに動かないように指示を出した。

どうやら、今目の前に多数出現した人間は(ヴィラン)であるらしい。

 

 

(ヴィラン)ンン!?ヒーローの学校に入り込んでくるなんてアホすぎるぞ!」

「13号先生、侵入者用センサーは!?」

「もちろんありますが…!」

「おそらく向こうにセンサーを反応させねえ個性持ちがいるってことだな。

それに、バカだがアホじゃねえ。コレは用意周到に画策された奇襲だ」

 

 

切島、八百万、13号、轟は話しながらも目の前に現れた(ヴィラン)達を警戒し、(ヴィラン)達が何をしようとしているのか注意深く観察している。

そんな13号たちに相澤は指示を出す。

 

 

「13号、生徒を連れて避難を開始しろ!

あと、上鳴。お前は、学校への連絡をためせ」

「ッス!」

 

 

相澤からの指示に13号と上鳴が了承し、相澤はゴーグルを装着し、戦闘体制に入った。

しかし、そんな相澤を緑谷が止めようとする。

 

 

「相澤先生は、1人で戦うんですか!?

イレイザーヘッドの本来の戦闘スタイルは個性を消してからの捕縛!!——正面戦闘は……!」

 

「一芸だけじゃ、ヒーローは務まらん。

13号、頼んだぞ」

 

 

教師としてもヒーローとしても相澤は(ヴィラン)と戦わなくてはいけない立場にある。

緑谷の静止の声を振り切り、(ヴィラン)との交戦を相澤は始めた。

そんな相沢の様子をみてすぐ、13号は生徒たちと避難を開始しようとしたが、それは阻止される。

 

「———はじめまして、我々は【(ヴィラン)連合】といいます。

僭越ながら…この度、雄英に入らせていただいたのは———平和の象徴、オールマイトに生き絶えていただきたいと思いまして……」

 

(ヴィラン)とか悪党ってみんな、なんでそんなに喋りたがりなのかな———っと!」

 

 

避難経路に突如として現れた黒いモヤに覆われた男によって、13号とA組の生徒たちの避難が阻まれる。

そして、黒いモヤに覆われた男は、自分達の組織であろう名前と目的について語った。

その隙を細蟹は見逃さず、瞬時に糸を(ヴィラン)の男に放出する。

 

 

「——おっと、危ない危ない。そういえば、あなたも居ましたね———親愛なる隣人、スパイダーマン。

しかし、我々の目的はオールマイト……あなたは———オマケです」

 

糸を躱しながら、(ヴィラン)の男は話を続ける。

 

「本来ならば、ここにはオールマイトがいらっしゃるハズですが……何か変更があったのでしょうか?

 

まぁ————それとは関係なく…」

 

「関係ないなら、そのまま僕とおしゃべりしよーよ」

 

 

(ヴィラン)の男の黒いモヤが大きくなりそうな一瞬をついて、今度は細蟹が目の前の男に対話を試みる。先程の糸を避けたこの男に対する警戒度を引き上げ、どうにか他にも何か情報を聞き出せないかと思った細蟹の作戦であった。

 

既に臨戦態勢に入っていた13号やA組の面々は、急に(ヴィラン)相手に喋りかけた細蟹に視線を奪われた。

そして、どうやら(ヴィラン)である目の前のこの男もそんな細蟹の姿を見て、大きくなりかけていた黒いモヤをしぼめて話し始める。

 

 

「……自警団(ヴィジランテ)———親愛なる隣人、スパイダーマン。

先ほども言いましたが、あなたはオマケなのです。

オールマイトほどの優先順位はないですが、しかし、あなたにもしっかり消えていただきます」

 

「消える?———え、僕、逮捕されてからは表舞台からは消えてるよね?」

 

「いえいえ、あなたの帰りを待つ人々は多く、未だあなたはそんな人々の光になっておられる。

そんなあなたに———会いたがってる方もこちらにおりますので…」

 

 

話を続ける細蟹と(ヴィラン)

A組の生徒たちは、多少なりとも急に現れた(ヴィラン)という存在に恐怖を抱いていた。そんな彼らを逃がすためにも、どうにか話を続けることで逃げるチャンスを作ることができないか考えながらも、『急に目の前に現れたってことを考えれば、恐らくこの(ヴィラン)の個性は移動系の個性……

高速で移動する系の個性の可能性もあるけど、さっきの噴水での黒い渦がこいつの個性によるものだとするなら———』と目の前の(ヴィラン)についての分析を行うが、細蟹は相手の個性に確証がなく、強さも未知数、それにこの場にいるA組面々のことを考えると動くに動けないでいた。

 

 

「———さて、では、まず最初に貴方から飛ばしましょう」

「細蟹くん!!??」

 

 

そんな細蟹を絶好のカモだと思ったのか、(ヴィラン)の男のモヤが細蟹のみを覆う。

細蟹は(ヴィラン)の男と話すために、A組の生徒よりも前に出ていた。それに、細蟹が話している間に13号が生徒たちを集めていたため、助けに行こうにも距離が離れていた。

その様子を見た緑谷が声を荒げた。

 

 

黒いモヤに細蟹の姿が消えていく。

13号はスパイダーマン時代の細蟹を知っていたため、彼の(ヴィラン)と話す行為の真意を察知し生徒たちを集めていたが、『自警団(ヴィジランテ)としての経験があるとはいえ、彼も生徒——!…彼を止めるべきだった!』と自分の判断ミスを嘆いていた。

  

 

しかし、この状況でも細蟹は落ち着いていた。

細蟹は冷静に先ほどの男の発言を思い返し、先程の(ヴィラン)たちが出てきた黒い渦はこの男の個性だと確信し、このまま黒いモヤに呑まれれば———瞬間移動のようにどこかに飛ばされると判断した。

 

自分1人がどこかに飛ばされるのはいいが、この(ヴィラン)の男をこのままここに置いていく訳にはいかないと感じた細蟹は瞬時に右手から糸を出して、(ヴィラン)の男を自身の元に引き寄せる。

 

「僕、1人で何処に飛ばされるのかな!?———でも、1人はちょっと寂しいよね!!!」

「なっ————」

 

 

細蟹は全身が黒いモヤの(ヴィラン)の男に抱きつきながらも、『やっぱり糸を避けるってことは、全身が黒い霧状になってる訳じゃなくて実体があるタイプ!』と彼の想像通り事が進んでいた。

 

 

 

 

そうして、(ヴィラン)の男と細蟹は黒いモヤにのみこまれ、消えてしまった。

 

 

 

「さぁ、みなさん!今のうちに!!」

 

 

13号の声により、生徒たちは目の前で起こったことを理解しながも、『彼の作ってくれたこの隙を逃してはダメだ』と思い、避難し始める。

『生徒に(ヴィラン)の相手を任せてしまうなんて、完全に僕の失敗だ!はやく助けを呼びに行かなくちゃ!』と自責の念に13号はかられながらも、生徒たちと先導するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

**************************

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒いモヤによって、細蟹と(ヴィラン)の男は燃え盛る街———火災ゾーンへと運ばれた。

 

 

 

「このっ!———はなせっ!!」

「———オッケー、じゃあ、離すねっ!」

 

 

 

空中に移動されられて、密着している2人。

ジタバタと逃げようとする男の言うとおりにするため、細蟹は思いっきり男を蹴り飛ばす。

男を蹴飛ばして後、即座に細蟹は地面に糸を放ち、地面に着地した。

 

 

 

「っ!はやく戻らなk———」

 

 

 

蹴られ、地面に叩きつけられた男は多少ダメージを受けたようだが、細蟹から離れられたことでこれ幸いとばかり身体のモヤを大きくする。

しかし、男は1つあることを見落としていた。いまだ、男の体には糸はついている。

 

 

 

 

「ここまで飛ばしてくれたお礼に、今度は僕が空を飛ばしてあげるよ!」

 

 

 

細蟹は男にくっついている糸を両手で握り、ハンマー投げのようにグルグルとその場に回り始める。

たとえ、拘束したとしてもこの男の瞬間移動のような個性ならば逃げることが可能。

しかし、そのような個性には相当な集中力や平衡感覚、自分の位置が乱されれば使うことが困難になる考えた細蟹は、この男の平衡感覚をなくすために三半規管を乱そうとしていたのだ。

 

 

 

 

「くっ———!!」

 

 

 

あまりにもはやく回されるため、男は目が回りかけてきていた。

このままいけば、この厄介な個性の男を拘束することができると思っていた矢先————強烈な悪寒が細蟹の背中に走った。

 

 

 

 

「オイオイ、楽しそうなコトしてんじゃねえか————スパイディ!

オレ様も混ぜてくれよぉ!!」

「うわぉっ!?」

 

 

 

 

何者かの突進を受けて、細蟹は燃え盛るビルまで吹っ飛ばされ、壁に激突した。その衝撃で、細蟹は糸を握っていた手を離してしまった。

『ヤバっ!?』と細蟹が思うよりもはやく、その隙をつき、黒いモヤの男は消えてしまう。

 

細蟹はこの場に自分と黒いモヤの男の2人以外にも、何名かいることは黒いモヤモヤ(ヴィラン)との先程の会話と細蟹の優れた聴覚によって理解していた。

また、細蟹には自身に危険が迫っていることを察知することができる第六感があるのだが、先程の攻撃は危険を察知することができていたが、その攻撃のあまりのスピード故に喰らってしまった。

 

 

 

「けけけ、いくらあのスパイダーマンといえどアイツの突進を受けりゃ立たねえだろ」

「はっ、ちげえねえ!さーて、あとはじっくりといたぶってやるか!!」

「あぁ、今までのお礼をたっぷりしてやろうじゃねえか!」

 

 

 

吹っ飛ばされた細蟹を見て、ゾロゾロと6人ほどの男女が話しながら出てきた。

細蟹は「いてて…」と呟きながら、現状を把握しようと周りを見まわした。

『思ったよりも数が多いな』と思いながら、出てきた(ヴィラン)たちを見て、細蟹は気づいた。

 

 

 

「あれ?……みんな、僕が昔捕まえた(ヴィラン)じゃん」

 

 

 

そう、自警団(ヴィジランテ)の頃に自分が捕まえた(ヴィラン)たちが今この場に集合していたのだった。

『僕に会いたい人って、この人たちのことか…

取り敢えず、この場は即座に片付けて———あのモヤモヤ(ヴィラン)を追わないと!』と思った細蟹の前に、先程を彼を吹き飛ばした張本人が出てきた。

 

 

 

 

「よォ、久しぶりだな———スパイダーマン」

 

 

 

 

その男を見て、細蟹は言葉を失った。

細蟹が以前戦い、捕まえた(ヴィラン)なのはその男も同じだったが———他の(ヴィラン)と違う点が一つあった。

 

 

 

 

 

「えっ———ライノっ!!??」

 

 

 

 

そう—————巨大なサイのような見た目をしたその男は、細蟹に会い、彼に捕まるまでずっと勝手につけられた名前で呼ばれているのであった。

細蟹からそう呼ばれたその男ことライノの表情は一瞬キョトンとした顔をしたが、すぐに悪どい笑顔へと変化した。

 

 

 

「——ハッ、そうだな。

昔と違って、今はテメェに名付けられたその名を使ってる」

 

「!!……ようやく認めたんだね、ライノ!」

 

「……あぁ、認めてやるよ———オレ様はライノ!!テメェをぶっ飛ばす(ヴィラン)だ…!

 

 

 

そうして、細蟹とライノは互いに向き合いながら戦闘態勢をとる。

この対決で先に仕掛けたのは、先程細蟹を吹っ飛ばした時と同じように突進を始めたライノであった。

そして、細蟹はそれに応えるかのように近くあったマンホールの蓋を糸でつかみ、ぶん投げた。

 

この両者の戦いに、火災ゾーンにいた他の(ヴィラン)たちは介入できず、ただ指を加えて見ることしか出来ない。

 

 

そんな細蟹斗真ことスパイダーマン、そして、ライノこと犀藤来野(さいとう くるや)の因縁の戦いが始まった。

 

 

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