魔法科高校の劣等生 黒羽の姫と焔の絶対王者   作:レオ2

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初めまして,レオ2と申します。あらすじから見て読んでいただき,ありがとうございます。

今度は魔法科に手を出してみました。
亜夜子とオリ主もののお話で,初めて書く作品なので登場人物の口調あってるかなとか諸々不安はありますが取り合えず残しときたいなーって感じで投稿します!

さわりと2人が出会うまで,2話にかけて駆け抜けます。


本編
序章


 焔は照らす,眩い未来を,消してしまいたい過去もまるで向き合えというように運命というものを引き寄せてくる。

 誰かを憎むことも,誰かを愛する事もその運命とやらのイタズラならば実に不可解である。何故ならそれは残酷なものを強要し,それにも関わらず人間を潰そうとしてくる。理不尽な謳い文句である。

 

 だから,彼は今日もこのフレーズを目の前にいる観客たちへぶつける。

 

 

 ——運命なんざ握り潰してく!

 

 

 サビ前に入るこのフレーズは,彼の代名詞とも言えるこの曲のテーマをこれでもかと言い表したもの。つまり,曲のテンションが爆発的な高まりと共に目の前の観客たちの胸へと震わせた。

 

 ステージ中央でマイクスタンドの前に立ち,眉間に皺を寄せ,年齢よりも老けて見られる青年が凄まじいシャウトを放ち観客たちの心を揺さぶる。それと同時にステージに炎が噴き出して客達の興奮による悲鳴が響き渡る。だが,悲鳴はやがて歓声に変わり曲が終わるとライブ会場が揺れているのではないかと思うほどの盛り上がりを見せていた。

 

 ステージに立ちマイクを握っていた彼は,MCもする事なくマイクスタンドに手に持っていたマイクをセットすると次に彼が手にしたのは真紅のギター。

 彼はエフェクターを一瞬で操作し,肩慣らしと次にやる曲のヒントとして軽くフレーズをかき鳴らす。その心の中の炎を沸き立たせるような音は確実に観客たちの衝動を刺激して……曲のイントロを引き始めた。

 

「今夜はお前らの身体を壊しに来たよろしくどうぞ」

 

 言うと同時,殺気とも言える程の気配が彼を包み込み観客たちへ己の音を叩きつけるように歌い始め……彼のライブが終わる頃には殆どの観客が叫び疲れ――否,今なら何でもできると錯覚させるほどの優越感とすさまじい満足感を得ていたのだった。

 

 ★

 

 2099年,魔法が超能力と呼ばれたものから発達し,現代の技術として確立された時代。

 2097年,司波達也という青年が世界に大きな変革をもたらした。それは,たった一人の人間が1つの国家を潰せるという絶対的な現実と共に世界を震撼させた。

 しかし,この話はそんな名実ともに世界最強の話ではなく音楽で世界を変えるという理想を持つ1人の男と,司波達也の再従妹である女性の物語。

 

 旧長野県との境に近い旧山梨県の山々に囲まれた狭隘な盆地に存在する地図にも載っていない名も無き小さな村,その中央に存在感たっぷりと佇む屋敷。

 どことなく妖しさと雰囲気を持つ屋敷の中で見た目だけなら30代にも見える女性は,執事である葉山という男から映像と彼女に評価する事が出来ない音楽が流れていた。

 画面の中の高校二年生という青年は,年よりも随分大人びて見えるがそれは司波達也も同じ事。というよりも,達也の方が大人らしい顔つきをしていると言える。

 だが青年のそれは,司波達也とは別種の大人らしさを感じる。達也が闘争心を表に出さない顔つきだとすれば,青年は全てを圧倒するがための鋭い目つきと迫力を伴った闘争心むき出しの顔。

 

「彼が本当に魔法を増幅させたというのかしら」

 

 映像をいったん止め,彼の音楽が頭にこびりつきながらこの映像と報告を持って来た葉山に問いかける。

 葉山は背筋をピンと伸ばしたまま恭しく頷いた。

 

「はい。音羽焔矢の音楽が流れている間,魔法師の調子が良くなったと報告を受けています」

 

 魔法力を増幅する……それは一般的に不可能だと言われている事。そもそも魔法演算領域のロックを解除し脳に多大な不可を与える代わりに絶大な力を発揮する事が出来る十文字家のような例外でなければ基本的にあり得ない事だ。

 女性…十師族四葉家現当主である四葉真夜は懐疑心を隠せず答えた。

 

「調子が良くなった,それは常識的に考えて彼の音楽によって興奮状態になったからではなくて?」

 

 ライブなら当然情報端末からダウンロードした曲を聴く,といった当たり前のものとは違う感覚が当然あるだろうし真夜には全く分からないがライブ会場独特の雰囲気も観客のアドレナリンを分泌させそれが結果的に”調子よく”した可能性の方がずっと高い。

 いや,葉山が言わなければ真夜ですら気にも留めなかっただろう。

 

「はい。私もその確率の方が高いとは思いますが万が一という事もあります」

 

 葉山のいう万が一とは,もしもその事が事実で他の十師族或いは国防軍,その他大勢に魔法力増幅の手段を手中に収められてしまうという事。

 今回,彼の事に気が付いたのは新発田勝成という四葉の分家の1つである新発田家の次期当主。彼がガーディアン…否,今や婚約者でもある堤琴鳴とデートで彼のメジャーデビューを飾るライブに行ったところ自身の魔法力を増大させたかもしれないと報告してきた。

 何故デートでそんな所に行ったのかと真夜には思ってしまったが,それは一旦棚に上げておいてこの青年に意識を戻す。

 

 新発田は四葉の次期当主ではないものの,魔法力自体は当主になれても可笑しくないものだ。”普通”であることに長けた魔法師で彼以上の人間は中々いないだろう。

既に決定した次期当主とその婚約者がもしも存在しない世界線ならば十分に当主になれただろう。

 そんな彼が本家に伝える程魔法力が向上したという話を嘘と決めつける訳にもいかない。

 

「葉山さんはどのようにした方がいいと思われますか?」

 

 真夜は自分の考えと葉山の考えが一致しているかを確認する為問いかけた。

 そのどのようにしたらいいか,という問には2つの意味がある。

 1つ目は彼を放っておくこと。魔法力増大なんて全く持って馬鹿らしい話であると切り捨てる。

 2つ目は……彼を捕らえ人体実験にて彼の持つ魔法力増大という恐らくBS魔法に該当するものを確認し研究するか。

 

 既に彼の情報は手元にまでやって来ていて,家族構成は彼を入れて3人家族。但し両親は既に死亡して彼自身は都内の両親が残した一軒家に子犬と住んでいる。

 その住所と通っている学校,他にも音楽事務所が出しているプロフィール以上の情報が既に調べ上げられていた。これは音楽事務所のセキュリティーがざるなのではなく,四葉の持つ情報収集能力は文字通り桁が違うのでアーディストのプライバシーを保護する事務所が手も足もでないのは仕方がないとも言える。

 

 閑話休題

 

 既に天涯孤独の身であれば――家族がいたとてだが,彼を人体実験に使うのも躊躇いがない。もしも魔法力——魔法を行使するのに必要な全ての技能が一時的とはいえ増大するなんて能力が本当にあるのならば少数精鋭である四葉の戦力が今以上のものとなる。

 息子のやろうとしている事にもきっと役に立つことだろう。

 

 そしてもしも勘違いだったとしても,記憶を改ざんしてまた日常に送り届ければ四葉が関与したとは思われない。真夜の意見は既に2つ目に偏っていたが葉山の意見は少し違った。

 

「老いぼれの意見で恐縮ですが,私は様子見が妥当だと思われます」

「理由は?」

「彼は既に,今日のライブで世間の注目を浴びています」

 

 真夜はそれを聞きながら画面へ目を移す。

 世間では彼の事を「焔の絶対王者」という異名を付け,凄まじい速度で彼のライブの感想が流れていく。

 彼のメジャーデビューを果たした今日のライブは,メジャーデビュー直後にも関わらず数千人規模の会場でチケットも完売し配信でも凄まじい人数の申し込みがあったらしい。

 真夜は音楽という趣味がないので知らなかったが,メジャーデビューをずっと待たされていた注目の新人プロだ。

 

「葉山さんは彼が注目を集めている今,彼を私達の下に置くのは得策ではないと言いたいのね?」

「さようでございます。もしも魔法力増幅など無かった場合,その後始末にも少々時間がかかると思われます」

 

 だから言外に今騒ぎを大きくする必要はないと。それに四葉は今の所もっとも目立っている十師族の1つ。これ以上目立つのも得策ではないと葉山は言う。

 目立つことが目的であれば良いが,今回はまだIFの段階。

 

 身内でもないからか彼らの話の内容自体は非人道的な事ばかりだが,それがなんとも絵になる状態である。

 

「では彼の様子見に誰を付けるか……ですね」

 

 彼の住所は東京で音楽科高校に通う高校2年生,時間に融通がある程度利く人間で東京に住んでいる者が望ましい。

 だけど,司波達也は現在忙しい身。

 消去法で四葉の分家である黒羽の誰か。ただでさえ人員が少ない四葉なので,出せても1人だろう。だがまあ,魔法を使えない一般人の監視など魔法師を出すのも過剰戦力というものだが。

 それに情報によると彼は武術はある程度出来るらしいが,あくまでもある程度の範疇。

 

「文弥さん…は,今はやめておいた方がいいわね」

 

 今司波達也を暗殺しようとしている輩の対処に当たっている黒羽家次期当主である少年は忙しい身,ならば…本当に過剰戦力としか言えないが彼の双子の姉が様子見に妥当だろう。

 情報によると,彼の次のライブは1カ月後。メジャーデビューを果たしたばかりと思えないほどの速度だが,それだけレーベルも彼の能力を買っているという事。だが彼の様子と,彼が本当に魔法力増大などという眉唾物のBS魔法師なのか確かめるには十分な時間だった。

 

「亜夜子さんに繋いで頂戴」

 

 真夜は任務を伝える為,東京の四葉本社ビルにある彼ら双子の部屋に動画電話をかけるように指示をした。

 




お疲れさまでした!

原作ではソーサリーブースターや,十文字家のオーバークロックなど魔法力を増やすという概念自体は存在しているので設定として使わせてもらおうと思いました。

普通に考えて魔法師になんのリスクも無くバフをかけられる代物を持っている人間がいるとしたら四葉は放っておかないだろうという感じで四葉が主人公に眼を付けました。

では,次話が実質的な1話目です!
短い間ですが,よろしくお願いします!

どのお話見たい?

  • 達也&焔矢(UBW強化話?)
  • 空澤&焔矢(亜夜子についてあれこれ話す)
  • 貢&焔矢(修羅場)
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