蛇王龍進化論~evolution theory~ 作:IF君
ブランはとあるキャラバンに生まれた。そして両親はハンターだった。
キャラバンが誇る看板ハンター。実力は折り紙つきでキャラバンの団員からの信頼も厚かった。しかし、十年前。その二人のハンターはクエスト中に大型モンスターに囲まれ死亡。キャラバンに遺されたのはまだ弱い新人ハンターと物心もつかない歳のブラン。中型モンスターですらまだ危ういハンターではキャラバン団員全員を養う事はできなかった。
キャラバンの団員は行く宛もないため必死にやりくりをしていたが、そこでどうしても邪魔になるのが亡きハンターの忘れ形見。それでもブランをキャラバンにおき飯を食べさせていたのは亡きハンターへの恩返し、ではなく、ただ怖がってただけだった。殺しては呪われるのではと。
団員たちはブランに盗みを教えた。生きたいなら自分で盗ってこいと。最初は慣れずに捕まり何度も酷い仕打ちを受けた。それでもブランは決して自分の人生を恨む事はなかった。そして盗みが見つかり捕まった今でもブランは運が悪かったなとしか思っていなかった。
ブランは多くの人から気付かないぐらいの少しのお金を盗む。例え気づいてもまあいいかで済まされるぐらいの。そのお金でいつもお世話になっている雑貨屋で、何日もたっているようなしなびたパンを買って生活している。
だが、今回はアマデュラがいた。そのためにいつもより少し多めにお金を盗ったのだ。本来ならそれでも気にならない程度なのだが相手が悪かった。
「よくも人の金をとっててくれたもんだ。まあ、それも過ぎた話だな、返せなんて言わねぇよ。だが…」
そう言うと弓使いのハンターはブランを抑え腹を殴った。日頃から鍛えてあるだろう拳がブランの体にめり込む。
「うぐっ、かはっ!!」
吹っ飛ばされたブランはお腹を押さえながらゲホゲホと咳き込む。
「もう2度盗みなんてできねぇようにおしえてやるよ」
そう言い、もう1度殴ろうと腕を引くが
「いや、別にこんなガキ一人がいなくなったところで誰も気にしねぇよな…むしろ喜ばれるかもしれねぇ」
と笑いながら武器に手をかける。
「おい、流石にそれはやりすぎだろ!痛い目合わせるぐらいで充分だ」
あまりの狂気じみた発言に仲間のハンターも止めようとする。しかし、弓使いは明らかに正常な判断が出来ていなかった。
「うっせぇ!むかつくんだよ!なんにもできねぇくせに盗ることばっかり考えやがって!そんなやつ殺したってなにも変わんねぇだろうが。だから殺す」
ハンターが弓を引いてブランに照準を合わせたその時
ゆる、さない
〜〜〜〜←
(あわわわ、ど、ど、ど、どうしよう)
アマデュラは迷っていた。今ここで出てブランを連れて逃げるべきなのか、それともブランが逃げ出せるのを信じるべきなのか。
(やっぱり勇気を出して行かないとダメだよね。でも、泥棒って悪いことじゃなかったっけ…)
わからなかった。なんであそこまで優しいブランがひとを不幸にする盗みに手を染めた理由が。
アマデュラが迷い判断が遅れる。その結果
うぐっ、かはっ!!
ブランは殴られ、壁に叩きつけられていた。それを見た瞬間。今までアマデュラが無意識に押さえつけていた感情がとうとう表に出始めた。
(ブラン…??)
一体何を信じればいいのか。ブランは友達。盗みは悪いこと。しかし、それでもブランを殴るのは正しいことなのか??
アマデュラは考えても答えが出せない。それが未だにアマデュラの怒りという感情が暴走しようとしているのを抑えてる。だが次に聞こえた単語によってその抑えはいとも簡単に、壊れた。
だから殺す
アマデュラの理性は押しやられる。
(ゆる、さない)
その言葉が最後の鍵だった。モンスターの本能によってアマデュラは支配された。
〜〜〜〜
あたりは暗くなり重々しい雰囲気がバルバレを包む。
そしてアマデュラはどす黒いオーラをまとっていた。
ゆっくりと弓を持ったハンターに近づいていく。
音で気づいたハンターは弓を引きながら呆気に取られてアマデュラを見るが、すぐにアマデュラが以前逃したモンスターだと気づく。
「こいつは前逃がしたヤツじゃねぇか自ら死に来たのか。このガキと一緒に殺してやるよ!」
仲間のハンターもそのことに気づくがそれと同時に以前と明らかに様子がおかしいことにも気づいた。
「お、おいあれ、やばくないか。に、逃げた方が」
その言葉は残念ながら弓使いには届かなかった。
「そうだ!いいこと思いついたぜ。このモンスターがガキを殺したことにすればいいんだ。そしてそれをハンターギルドに言ってモンスターの死骸を渡してやればちょっと報酬が出るかもな、へっ」
そして弓を引き絞ろうと手を伸ばす、刹那
木が3人のハンターを捉え縛っていく。突然のことに驚き弓使いは武器を落とし、恐ろしい力を持った木に直立の姿勢で拘束される。
あたりを見回すと木はキャラバンの荷車から伸びている。さらにようやくモンスターの様子がおかしいことに気づく。
「う、うわっ!…た、たすけて」
モンスターの具現化しそうな程溢れ出る殺気に怖気つくハンター。しかし、ハンターを拘束する木は止まることなく巻き続け、ついには顔まで隠し完全なミイラ状態へとなった。さらに容赦なくハンターを圧縮していく。
「んーーーーっ!!んっ」
くぐもった悲鳴が木の隙間から漏れるがそれでも木の力は緩まることが無い。そして声は聞こえなくなり代わりにバキバキと骨と鎧を壊していく音が響く。血は一滴も垂れることがなくすべて吸収され栄養となり木からは緑が溢れていた。
アマデュラにはただ目の前にいるものを壊す。それ以外はなかった。恐らくハンターが絶命する直前。アマデュラの脳に直接届いた声があった。
(もっと…ちやほやされるものだと思ってた)
それと同時に脳内に映像が流れる。
ハンターになり乾杯を上げる三人。どこに行っても気にとめられることはなくハンターランクの高いハンターばかりが輝く。狩りは成功せず、不安は募り、ハンターをやめようかと考える毎日。それでも一生懸命に狩り続け、ようやく倒した大型モンスター。これまでに持ったことのない大金を抱えてお祝いをしようと考えていたところに、金を盗んでいく子供…
その過去はアマデュラを正気に戻し消えていき、残ったのはハンターがその場にいたと証明する弓だけだった。
(…どっちが悪いとか正しいとか僕にはわからないよ)
アマデュラは少し後悔をしている。殺したことに。しかし迷いはなかった。
(だけどブランは友達。それだけは確かにわかることだから)
そう思い倒れているブランの元へと動く。ブランは急所に当たったのか気絶しているようでぴくりとも動かなかった。
アマデュラはブランの顔をじっと見つめた後目を閉じ集中する。胸は白く輝き強くなり、体全体を覆っていく。
テレパシーの範囲をバルバレ全域に広げ、さらにその中から条件にあった人を探すために現在だけではなく過去までさかのぼっていく。
莫大な量の情報がアマデュラの中に一気に流れ込み頭が割れんばかりの頭痛がアマデュラを襲う
(う、い、痛い。頭が)
それでもやめることなく必死に探すことを続ける。数分たち、ようやくテレパシーを解除したアマデュラは休むことなく植物を操り、器用にブランを背中に乗せる。
そしてある場所を目指して移動を始めた。
(僕が君を幸せにして見せるから…)
〜〜〜〜♪
外に人がいる。助けてやって欲しい
キャラバンのベットで寝ていた男はその言葉によっておこされた。どこからか送られてきたような不思議な感覚に首をかしげながらも、神のお告げなのかも、と好奇心につられ外を覗いてみる。するとそこにはボロボロな布切れをまとった一人の少年が寝ていた。
「こんなところに人が!?それに酷い格好をしている。おーい!ちょっと来てくれ!」
驚きながらも少年を抱え仲間を呼ぶ。
「息は…しているか。しかしどこの子なんだ一体?」
すると先程の言葉が脳裏に蘇る。
助けてやって欲しい。
この子を育てればいいのか。こんなボロボロな…今まで一体どんな生活を…親はいない、または愛情などない。なら、キャラバンのみんなに相談しないとな
少年の青い目には一粒の涙が浮かんでいた。
すごいやっちゃったことがあります。ブランの年齢この話まで全然書いてませんでしたすみません(他にもあるかもしれないけど)十年前に親が死にその頃に物心がついてないとあったのでだいたい十二歳ぐらいということで…はい。バルバレ編はとってもシリアスになってしまいましたが、どうでしょうか?正直この話自体が一番やってしまったかと思ってたり。読みにくかったら頑張って読んでください!!(読んでくれるなら)