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「…これがこの星の普通の人々の街並み…
ホテルでのやり取りから数十分後、ラマウアは客室で着替えたハイレグレオタードアーマーの格好のままだが、アーヴ最大の特徴である青髪は金髪となって
「うわー、やっぱり歩いている姿だけでもすごく様になっているわねーマウアちゃん♪ これならどこからどう見ても魔法騎士に変装してお忍び訪問中のエルフのお姫様よ♪」
そのラマウアを彼女が用いているビジネスネームであるマウア・フィズ=メルキアーナで呼ぶのは、黄緑色の学生服を思わせる魔女の格好をした七草真由美である。
「それを言うなら深雪こそまるでイーリュンの高位尼僧みたいだな」
「あらまあ、本場の人に言われると嬉しいわね」
ちなみに真由美の隣にいる司波深雪は、白無垢のように綺麗な純白でシンプルだが元々の面貌からもはや尼僧か女神官にしか見えなかった。
「二人ともに会長、あまりお喋りにかまけて歩くのが遅れるとこんな道ではすぐにつまりますよ」
その女子三人と同行している司波達也は砂漠の砂のような色合いの肩当て付き和装で編笠を被っていた。
そんな状態で四人は和やかに談笑しながら街中を歩いていく。
「あ、そうねー。今回はマウア(ラマウア)ちゃんのお付き合いだけどー…やっぱりマウア(ラマウア)ちゃん目立つわねー。私達が見ているのと周囲から捉えられているあなたの容姿と気配の特徴は書き換えられるけどー…。やっぱその衣装は今のままがいい?」
「申し訳ありませんが会長、これは私の恩師が先祖代々から継いできたという形見の品で、機能以外の方は元の姿を留めておきたいのでー…」
「会長、この子は兄である彼と違って向こうであの一族として長く暮らしてきた身ですから、風呂や着替え中でも教育役も兼ねた警護や監視もいるからこれが自然だと思いましょう」
「そ、そーよねー! それにー司波君たちの実家以上に“触るな危険”であるあの一族の一員がーこんなさして珍しくない女冒険者の格好をしてるだなんてーほとんどの人は思わないだろうしー♪」
「何だか無理やり自分を納得させている無理をしている感じがするのですが…それよりもそちらも私にわざわざ同行して大丈夫ですか? そこまでお世話になるのはー…」
「いいえ、むしろ私達の方がお世話になったわよ。それにあの事件からの瓦礫の片づけとそれに埋まっていた人達の救助作業であなたが一番働いていたしー」
「そのお礼として、今日は足りない素材や物資を迷宮で調達する班という名目で実質休日にしてもらえたしな」
「…ええ、それにこの辺り…
だが、そんな中でマウア(ラマウア)の表情に時々翳が生じるが、そこで彼女の足は桟橋を踏み外して底まで見える澄んだ海水のクリークへ飲まれそうになる。
「あ! マウア(ラマウア)ちゃん危な―――!」
「大丈夫です。水の上も魔術で歩けますから」
「―――あべし!?」
それを真由美は引き留めようとするも、当のマウア(ラマウア)本人が少しこけそうになりつつも水面も普通の地面のように踏んで見せたので、彼女自身がドボンと落ちてしまう。
「キャア! 会長!?」
「深雪落ち着いて! 会長直ぐにつかんで!」
「ゲホゲホ! あ、ありがとう…」
(…今は帝国の現神教系古式魔法の水系によるもの…。うっかり桟橋から足を踏み外して水へ落ちそうになった状況でも無意識且つ即座に使うとは…。さすがはドゥリュースの妹か―――)
「地味に凄い場面なのは理屈でわかりますけどまずは会長を助けませんとお兄様」
「―――あ…すまない…」
その状況に達也はずれた感想を覚えるが深雪に突っ込まれるとすぐ救助に加わった。
「…はー、そろそろ必要な原料を得られるダンジョンの入り口がある区画に付くけどー…って、やっぱり大勢いるわねー。それに
数分後、濡れた真由美の衣装は魔術ですぐに乾かして四人は目的地付近の光景を目にして、そこに大勢いる自分達と似たような格好をした冒険者たちの群れを目の当たりにする。
「ですけどお兄様、真に脅威と呼べるほどの人はー…」
「ああ、今の所は見受けられないな…?」
その面々の力量を感じ取りつつも一行は過剰な警戒を生じさせずに小声で確かめ合いながら人混みの中を進んで行くが、そこでマウア(ラマウア)がピタッと立ち止まった。
「? どうしたのマウア(ラマウア)?」
「いやぁ、何か環境がなれないためか…急に足が強く痒くなってー…ちょっと掻こうか…」
「あー、それはちょっと待って、似たような格好の人はこの辺りにはたくさんいるけど…あなたの見た目はその辺そうした状態でも目立つから、掻くんだったら裏路地にしましょうねー」
そこで痒そうな顔で足を大きく掻こうとしたマウア(ラマウア)だが、彼女の美貌と今現在の格好の破壊力を知る真由美は彼女を適当な裏路地へ連れ込んだ。
「…んーーー、右足の脛が痒いと思ったがー…何か右足の魔甲長靴に違和感があるなー…」
数秒後、ラマウア(マウア)はダンジョンの入り口付近の町の外れの路地裏で、右足をI字バランスで高く上げて、右足を掻いたりしながらも自らの装備を幾つかを点検し始めた。
「…うぐぐ…本当に15歳というのが信じられない我儘盛り込みボディ…!!」
その周囲を他の三人は見張りとして固めているが、4人の中で最も背が低い真由美はマウア(ラマウア)の長身且つ魅惑的な曲線美を持つ姿にジト目と化す。
(…あの齢であの身体能力のこの身の柔軟性…アブリアル一族故に魔法の才もあるのはわかっていたが…お互いに
「お兄様どんなに真面目な顔で真面目な考察や回想をされてもこの状況だと良くてむっつり助平にしか思われませんからお止めください。これからあの迷宮で合流される
4人の中で唯一の男である達也は真面目な顔で見守っていたが、深雪に可哀そうな子を見る顔で目に蓋をされてその場から引き離された。
(…間違いない…この小娘が…この星に来ているアブリアルの一員…)
マウア(ラマウア)の足元の小さな凹みから何やら一般人の目には見えない何かしらの存在が盗み見ていたが、4人の中でそれに気づいているような反応を示しているものは
「…ふう、申し訳ありません。勝手にこちらの不調に付き合わせて…」
「そんな気に掛ける事じゃないわよ。むしろダンジョン探索なんて私と深雪ちゃんは初めてなんだから、経験者であるあなたと達也君の準備が良い状態であることに越したことはないわ」
数分後、マウア(ラマウア)の足の痒みと装備の不調が収まった一行は冒険者の中に混じった。
ちなみに、ラマウア(マウア)以外の三人は彼女と違って見た目は変装だけの状態だが、実際には彼女と共に外部からの監視に干渉や操作を加える高度な認識阻害科学複合魔術を掛けられている状態である。
「…うわあ、これがこの星の観光最大の観光名所の一つで、最大の未調査領域エリアの広さと深さを誇る“ルマーヤ海底迷宮”」
数分後、4人がたどり着いた丘の上から見下ろした先には、水平線まで続く複雑な海底遺跡のような迷宮が水面から見える広大な亜熱帯サンゴ礁の海原と、その出入り口付近を囲むように広がっている大きな海上都市、そこへ続く一つの石の橋を中心に様々な種族の冒険者が大勢行きかう光景で、真由美はそれに感動を覚える。
「…まだ不明な部分や領域も多いですが、産出される希少資源の量や質において、銀河系で公認されている探索可能ダンジョンでは十の指に入る巨大海底迷宮です。そろそろ
マウア(ラマウア)は電脳で他の三名に映像資料を見せながら注意を行うが、そこで周囲を行きかう現地民と思わしい子供の何人かが急に彼女の背後へ駆け寄ってきた。
「あー! エルフだ!」
「本当だ! すげー耳がなげー!」
「髪も顔もすげーきれー!」
「…ん…まあ、そうよく言われるな。君たちは何の用で来たのかー…!?」
それに始め可愛いものを見るマウア(ラマウア)だが、彼らから彼女が次の瞬間に受けた仕打ちは子供らしい、けれども今この場では
「うわー! 胸だけじゃなくって下もすげーエロー!!」
「変態だ変態!!」
「痴女痴女!!」
「エロフだエロフ!!」
何と子供達はマウア(ラマウア)のマントを勢いよくめくり上げたのだ。
ちなみにマウア(ラマウア)が今現在身に纏うハイレグアーマー型魔術礼装は、スカートは前面に付いている長い暖簾のような鎖帷子だけであり、後ろは黒のTバック状態でマントだけで隠されている状態であった。
要するに、今現在のマウア(ラマウア)は15歳にしては発育が良くて且つ若い引き締まりでバランスもいい生尻が衆目にほぼ丸出しで曝け出されてしまったのである。
「うっわぁ、エルフの冒険者はここでは珍しくねえが…」
「ヒュー、今まで見てきた中でもとりわけ極上だぜぇありゃあ…」
「あたしから見ても同性だが一晩楽しみたいねぇ…」
「…あ、これは…俗に言う…スカート捲り? いや、この場合はマント捲りか?」
当然、周囲の冒険者たちも種族や老若男女問わずニヤニヤとしたり、口笛を吹いたりしたところで目をパチクリとさせていたマウア(ラマウア)は少し恥ずかしそうな顔になった。
「いやいやマウア(ラマウア)ちゃん、そんな少し恥ずかしそうだけどそれ以上は反応に困るって場合じゃー…あなた達も悪戯は止めなさ…!?」
それで真由美が子供達を注意しようとしたその時、彼女の後方の遠くから何度か経験したことのあるゾッとする寒気があの何度か親交を結んだことのあるあの少年を思わせる感じで生じてき、それを乗せた何かが彼女の真横をゴウっと高速で通り過ぎた。
「「「ブギャア!!??」」」
その何かを鼻っ面に投げつけられた子供達は、血と何本かの歯を撒きながらその場をあっという間に吹っ飛ばされ、サンゴ礁の上をまるで水切り石のような要領で何度も跳ねながら飛んでいき、遠くの白い砂浜で小さくない砂塵を巻き上げた。
「…え? あ…? 先程ごくごく一瞬だが…昔…
それにマウア(ラマウア)はキョトンとした顔を浮かべるが、他の三人は色々な意味で懐かしくも複雑そうな顔で彼女を除けてコソコソし始める。
「…た、達也君…今さっきのはー本当にー…ごくごく一瞬だったけどー…」
「…ええ会長、俺も見捕らえたのはごくわずかですが…先ほど通り過ぎたのは…
「…四葉の方でも調べた結果…少なくとも生きているのは確実視されている…
どちらかというと安堵の念と懐かしさが強いマウア(ラマウア)に対し、他の三人の先の現象に対するそれは複雑だがあまり表沙汰にしたくないという感じが見え見えであった。
『…臨時ニュースです。先の古代文明巨人兵器暴走事件を起こした例のグループですが、ここパルミュラの難民受け入れより増えていた少年犯罪において関与していた証拠がわかりました。具体的には賞金ゲームと子供達に偽ってターゲットに悪戯をさせ、その都度にプレゼントという名目で盗聴器や監視カメラに発信機、更には爆弾などを仕込ませるということもしていた模様です。押収されたそれらの証拠品には素材や構造からして銀連圏製や、もしくはそこで製造されたものと思わしい特徴を持つものが混じっておりー…』
故に、今の4名は近くのカフェから流れているそのニュース映像に気づいていなかった。
ましてやマウア(ラマウア)の布面積が少ないTバックショーツに小さなボタンのようなものが付けられて、それがショーツへ吸い込まれるように同化したことなど今この時点で気づきはしなかった。
次回は、本作主人公達の今回出てきた迷宮に挑む姿と、それに絡めた政治情勢について触れる予定です。