星界の輪廻   作:oosima

107 / 107
今回、あの地獄少女的ジャンプ漫画のあのそろって地獄少女的ヴィランエンドが原作では決まっている兄弟がその手前で踏み止まれるルートになります。


107 大罪は意図せぬ綻びで引き出される◎

 ○C.E(コズミック・イラ)71年2月27日昼(帝国暦952年2月27日昼)現地時間夕刻 銀河連合 旧人民主権星系連合体大星域 銀河中心領域付近 シュリア星域 パルミュラ王国 第一パルミュラ星系 第二惑星アンティオキア 首都セレウキア 密林海岸遺跡区域 ルマーヤ迷宮エリア付近 某海上遺跡再利用ホテル○

 

「焼きそば出来たよー」

「あ、こっちのBBQも持って行ってー」

 

 イルヤとテリヤのあまり評判が良くなさそうな兄弟が怪物に襲われて数時間後、その現場のある島の隣にある海上遺跡ホテルの白い砂浜の近くにある古代遺跡再利用大広間では美味しそうな匂いと鉄板が焼かれる音が生じていた。

 海上遺跡ホテルではD.S.S.Dとアークエンジェル側が夕方BBQパーティーを開いていたのだ。

 

「…あーもー皆して馬鹿みたいな勢いで食べていってー。しかもさーまだ街は死者はほとんど出てなかったとはいえあちこち復旧作業中だってのに…」

 

 そんなパーティー会場の鉄板の前にいる料理人の一人に、青いブーメランパンツ式海パンとエプロンだけという姿のリュールもいた。

 

「…まーこのだだっ広い銀河で自然災害や戦災が起きてない日なんてないんだからそう言ってたらおちおちパーティーなんてやってられないわよ。あの巨人に滅茶苦茶されてた狸さん達なんか土地返還と休戦協定が決まってからもうあちこちの集落を回って絶賛宴会中だし…」

 

 そのリュールが調理している焼きそばを出来た傍から皿に盛り付けて口にしているセレーナが指さした通信映像の先では、地下大防空壕の中で包帯を身に巻いたものも含めて和風テイスト全開などんちゃん騒ぎをしている狸達の大群が映し出されていた。

 幹部たちの迅速かつ適切な避難誘導や指示にドクツゲルマニクス時代の屈強な地下大要塞のおかげで、軽傷者こそ出たが死人が出なかったとはいえ、なかなかの図太さにポジティブ精神である。

 

「あそこじゃモルゲンレーテやD.S.S.Dの一応銀連加盟国系の大手出資者とうちの子達に混じって、この星の女王様も、ザフトの女将校さんも混じってビーチバレーをしているし…」

 

 そこからセレーナがはにかんで視線を変えた先には、この前の巨人討伐のお礼のためにお忍びでここまで来たこの星の女王ゼノビア、セレーナやリュールの友人であるD.S.S.D所属かそのスポンサーの美女達、近日に撤退予定のザフトに属するアイシャがビーチバレーに興じている姿があった。

 ちなみに、今回のアークエンジェルの宇宙帰還の目途が立った件については、ゼノビアが今回のお礼の一環で協力してくれたので、お忍びで訪問してきたことに一行は驚いたが断り切れず、今の状況となった。

 

「数日前まで殺し合いをしてた連中とビーチバレーだなんて…アーヴと慣れ合ってると頭がおかしくなるわけ…?」

「砂漠ばっかの住める土地が少ない星系に何百年も放浪してた連中を大昔の契約を理由に押し込んで現地民や周辺と戦争しまくりを何十年とさせている間に和平しろ二国家共存しろとか言うしかほぼしない無能よりかは行動的且つ平和的でしょ」

「………あんた…!?」

 

 その光景にキュルケ・シュタインホフは如何わしいものを見る顔を向けるが、優雅に夕べの砂浜でリクライニングチェアに座ってサングラスをかけているネーナに辛口で横槍を入れられると、憎々しそうだが言い返しづらい表情になった所で大きな水飛沫が起きた。

 

「きゃー!? 何よあなた達それー!?」

「おいリュール! この星では外来種のワニを捕まえて来たぞー!」

「こいつもすぐに切りさばいて鉄板BBQにするネー!」

 

【挿絵表示】

 

 その水飛沫が収まると、複数の足を持つ巨大なガララワニをそれぞれ担いでいる海パン一丁の両津勘吉と、何処かの時間軸では2年後バージョンと呼ぶだろう今の肢体に相応しい赤いビキニ水着を着た神楽が海中から泣いている鰐を担ぎ上げた状態で戻ってきて周囲を驚かせた。

 

「…全く、初めて会った頃の13歳くらいのアニメだと声優無駄遣いゲロインとか呼ばれるだろう小娘が体ばっか成長させやがってー…」

 

 その様子を見守っている面子には、デカ盛りサイズ宇治金時を頬張りながら双眼鏡越しに神楽の深い胸の谷間中心で、周囲の水着美女達を見まくって鼻の舌を伸ばしまくっている銀時の姿も混じっていた。

 

「最近は科学技術の進歩が著しいですからねぇ。神楽ちゃんが傘無しでこの南国の晴れの下を泳ぎまくれてるようなくらいですし…」

「だが、それ自体は良いことだっしょ。こうして次世代へのバトンを物理込みで繋げられる美女達が平和な時を過ごせられるようになるのはー…」

 

 ちなみにその銀時の傍らには同じく双眼鏡付きで鼻の下を伸ばしながら鼻血まで噴出している新八とバッチグーの姿もあった。

 この3人は美女達の周囲に不審者がいないかの監視役を任されていたのだ。

 

「おおー、あのお姫様にクレオパトラ風なお姉さん本当に素晴らしい尻をしてますなー…!?」

 

 だが、銀時がビーチバレー組の美貌やスタイルを盗み見ようとしていた時、海面に先ほど以上の派手な水飛沫が生じた。

 

「…え? 何だろうあれー…?」

「たたたた助けてくれええええ!?」

「ピぎぃええええええええええぇ!!」

 

 BBQを調理中のリュールが見やると、その水飛沫から泣き叫びながら逃げているテリヤと、それを追う巨大な3つ目と何本もの手足を生やした巨大な大蛇の姿があった。

 

「…デデデデビル大蛇(おろち)ぃ!?」

「あの金髪の不良どこかで見たようなーー…ってこっちに逃げて来てるぅ!?」

「マジでぇ!?」

「ちょっとぉ!? それを追う形でぇあのデビル大蛇(おろち)まで近づいてきてるんですけどぉお!?」

 

 その大蛇の正体に一行は気づいて驚くが、それが自分達に近づいてきてることに気付くと血相を変えた。

 

「!? ギャオオオオオオオ!?」

「ああ!? 私の鰐肉ステーキの材料ガアアアァア!?」

「うわー! 儂の超高級鰐皮があああああああ!?」

 

 そうして生まれた動揺による僅かな隙を突いて、捕まっていた鰐は身を大きくひねって二人の手から海中に逃げ出し、脱出されてしまった神楽と両津は悲鳴を上げてしまう。

 

「そんなことをしてる場合か神楽に両津! あのMSサイズはある化け物がこちらに向かってきて―――!?」

「こんクソガキに馬鹿蛇がーーー! 儂が失った超高値販売可能高級鰐皮財布をお前らの身で払えーー!!」

「―――えってぇええーーーーーーーー!!」

 

 それにナタルの叱責が飛んできたその直後、両津は怒りで顔を真っ赤にして海面を猛烈な勢いで駆け出して彼女を驚かせた。

 

「だ、誰だぁ!? 誰でもいいから俺を助け―――!」

「邪魔だクソガキィ!! お前みたいな校内犯罪の恨みで地獄少女してるあい辺りに地獄へ流されそうなクソガキなんぞ知らんわぁ!!」

「―――ぇぶべーーーーーーーーー!!??」

 

 テリヤはそれに希望を見出した顔で泣き付こうとしたが、金銭絡みでは無類の強さと執念を発揮する両津には小石同然に鼻から蹴り飛ばされて宙を舞った。

 

「お前もさっさとくたばって儂の金になれくそ蛇ーーーーーー!!」

「ピぎイイやああああああああああああああ!!??」

 

 そんな両津の怒りパワーを乗せた拳は、デビル大蛇(おろち)もその下顎からアッパーカットで粉砕する勢いで宙高く飛ばした。

 

「うわぁぁ!?」

「こっちまで飛んできたぁ!?」

 

 そして、宙を舞ったテリヤとデビル大蛇(おろち)はパーティー会場に近い白い砂浜の波打ち際に落下し、誰も巻き込まれなかったがその場にいた新八達を驚かせた。

 

「…あ、アへへ…」

「ピ、ピぎイイイイ…」

「…ぁ…アアアアぁぁぁ…」

 

 生きてはいるがデビル大蛇(おろち)に襲われた負傷や疲労に加えて両津の蹴りを顔面に浴びせされたダメージで辛うじてという状態のテリヤの傍らに、ぴくぴく痙攣するだけとなったデビル大蛇(おろち)の口からゲロまみれの状態で酷い噛み傷だらけの超衰弱状態となったイルヤが吐き出されて落ちてきた。

 

「…あ、こいつらは確かこの星の難民キャンプで半グレ組織の元締めをしてたイルヤとその弟のテリヤだ」

「え? マジなのゼノビア?」

「ねーちょっと皆ー」

「何ーリュール君?」

「何か他に危険な猛獣が近くにいないかと水銀をあちこち伸ばして調べてみたらーなんか今日に沈んだばかりっぽい飛行カーが見つかったんだけどー…中からこのご時世に怪しさ満点の紙の書類がたくさん出てきてー…」

「とりあえず車の方は調べながらこの二人は病院に送って治療させよう」

「両さん、デビル大蛇(おろち)の方は好きにして良いから早くこのデカいの何とかしてよー」

 

 とりあえずデビル大蛇(おろち)の方は両津に任せて、リュール達は明らかに重傷な方の兄弟を優先した。

 翌日、テリヤが入手元不明な違法の携帯電話型危険猛獣操作魔術礼装を所持してそれを用いて多数の人間を襲撃していたこと、その兄イルヤが海の藻屑になっていた彼の車から発見された各種資料で人身売買や誘拐に麻薬取引など多数の重犯罪を多数働いていたことが発覚し、速やかにニュースや情報サイトの一面を飾った。

 

 

 

 

 

 ○C.E(コズミック・イラ)71年3月1日正午(帝国暦952年2月28日正午)現地時間昼 銀河連合 旧人民主権星系連合体大星域 銀河中心領域付近 シュリア星域 パルミュラ王国 第一パルミュラ星系 第二惑星アンティオキア 首都セレウキア 首都中央病院○

 

『…昨晩に猛獣デビル大蛇(おろち)事件で発覚した一大非合法物資闇取引拠点ですが、本日はこれまでBETA戦災孤児を対象に臓器販売を行っていたことが発覚したパルミュラ社会民主党系列の“天の子財団”本部へ家宅捜索が入りー…』

『付属団体からの関連施設からは大量の違法臓器及び麻薬が発見されており、また行方不明者も多数発見されていて…』

『パルミュラ政府はコルシカ条約に基づいてサード・サマリア大使館の外交官特権の停止を宣言し、関連施設の立ち入り調査を…』

『今回の動きに対し銀河連合人権委員会は現地機関の独断と暴走であると表明しており…』

『銀河連合国際刑事機構は共同調査のための調整をパルミュラ政府に求めー…』

 

 リュール達の所でデビル大蛇(おろち)が撃退されて2日後、テリヤの向こう見ずな犯罪の失敗で、彼とその兄イルヤが関わる犯罪の発覚が各方面を巻き込む形で起きまくってまた複数国を巻き込み始めた頃、それはニュースとしてパルミュラ最大の病院でも放送されていた。

 

(……不覚! せっかく先輩と偽装とはいえ夫婦になれたのに…あの他所の三流情報機関やそれに買われるようなカスな現地組織が目覚めさせたあのデカブツのせいで重傷を負って…こんな病院に缶詰めさせられるなんて…!)

 

 先の巨人事件のせいでスピードリング参加中に重傷を負って入院中のウェスタニア工作員フィオナ・フロスト、コードネーム“夜帷(とばり)”は無言無表情で病床にいたが、内心では滅茶苦茶腸を煮えたぎらされていた。

 

『…まだどこの誰があのデカブツを破壊してくれたのかわからんが、とりあえず止められて良かったな。あれに今のわかってる被害以上に暴れられたら我々WISEも相当巻き添えを受けた』

 

 そのフィオナに話しかけている眼鏡が似合う知的な面貌をした看護婦の仲間が表向き使う名の一つはシルヴィア・シャーウッド。

 フィオナと今回は彼女と共にスピードリング国際大会に出たロイド・フォージャーのWISEにおける上司で、シルヴィアの時はウェスタニアのラクファカール大使館の書記官をしている。

 今現在、フィオナとシャーウッドは表向き患者と看護婦の何でもない会話をしつつ、実際は唇の動きを通して情報を交換し合っていた。

 

『…とりあえずお前の傷が治り次第我々はこの星を引き上げる。それと今回の主目的であるD.S.S.Dに流れてきている疑似星核粒子炉の確保任務はこの星では見送る』

『書記官! 足は万全でなくとも私には情報魔法が…うご!? そ、そこは骨折箇所…!』

『馬鹿を言うな、あの能無し屑ガキとその甘やかしくそ兄貴の下衆兄弟の間抜けのせいで他所が一気にあちこち芋づる式で引っ張り上げられてるんだ。こっちは今は大人しくしてるから()()()()()()()もあって追及されずに済んでるが、帝国もデカい分に色々それに不満を持ってる派閥もあるから、今の状態ではお前でもすぐに捕まって連中に群がられる口実にされるぞ』

『…で、ですが…』

『“黄昏”の足を引っ張りたくは無いだろう(個人的には子供ばっか食いつぶした今回の連中の巻き添えは食いたくないし…)』

『…わかりました…!?』

『!?』

 

 だが、その途中で二人は静か且つうまく隠されているが、己の感覚では確かに感じ取れる強大な気配を2つ院内の近くより感じ取る。

 

「…ここがラマウ…間違った、マウア達の友人たちが入院中という病院か…マウアと深雪に頼まれていた病院見舞いの品を持ってきたけがー…」

 

 二人がその気配に釣られて病室の窓から下をのぞき込むと、病院正門前の駐車場をセリカがその赤い髪を風に靡かせながら

 

((…何で十三武海の一人であるあの“戦女神”が来てんだよ!? もうこの星には“巌窟王”もいんだろ!!??))

 

 その姿を病室の窓より確認したフィオナとシルヴィアはポーカーフェイスも忘れて無言だがギョッとした顔で、その銀髪のエルフを見下ろしながら内心で悲鳴のような叫びを上げた。

 

「…ゼハハハ、あいつが自分の女を殺してその荒田を奪ったっていう“神殺し”か…確かに感じ取れる分だけでもすげえ“覇気”だ…」

 

 一方、病院の屋上の一角より、以前リュールとチェリーパイ絡みで意気投合した樽のような巨躯の男がセリカを盗み見ていた。

 

「ティーチ船長、踏み越えたくなるお気持ちはわかりますし可能ではあるでしょうが…」

「わかっているさ、今はコツコツだがしっかりと売り込んでいくさ…ゼハハハ…」

 

 樽体形の大男は部下らしき姿と相槌すると、まるで黒い煙のようになってその場から姿を消した。

 彼らがどのような目的でこの星へ来たのか、そしてリュール達とどのようにかかわり合っていくのか、この時点でそれを()()できたものはいない。




とりあえず、テリヤとイルヤの兄弟は豚箱(刑務所)行きとなって助かりました(今の所は)。
え、全然助かってないって?
いや、まあ、地獄に送られちゃうよりかはマシかと…。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。