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シュリーヴィジャヤ星系での怪獣騒ぎから十数日後、ゲートの都合で同星系と期間限定ながら隣に位置するその星系に、中立国オーブの首都星系は存在していた。
現在の大戦の開始に伴うプラントからの工業製品輸出停止、帝国の経済制裁で困窮した銀連軍参加諸国とプラント・帝国の間を仲介する加工貿易業で同国は経済的繁栄を平和と共に謳歌していた。
だが、人類間戦争では中立と言ってもオーブは対BETA戦争では友好的な他国へ派兵も含めた支援を行うなどしており、決して“無力な非武装中立国”などではなかった。
故に、その影ではその独立と中立を守るための軍事力も高い技術力で研ぎ澄まされており、その地下施設の一つが本星にある大陸の一つオノゴロのある地下にあった。
「…だーかーらー今回は量産型だからあまり詰め込み過ぎて将来の拡張性を潰すべきじゃないって! それに帝国はともかく他の国じゃ前線じゃ十分な整備が出来る国は少ないんだから詰め込み過ぎたらその手間が増えるしー!!」
「だからこそここへ先輩にも来てもらったのではないですか! 一度詰めるだけ詰め込んでから小型化技術にナノテクや錬金術系複合形質転換システムを用いて拡張性の研究もー…!」
その広大な地下施設の一角で、リュール・ソードリュはエルフの少女ではと錯覚させるまでに美しい銀髪の中性的少年エルネスティ・エチェバルリアと、唾を飛ばし合うまでの口論を繰り広げていた。
「…今日のこれでー、あの二人の口喧嘩はもう何度目だろう…?」
その議論をキラ・ヤマトは微妙な苦笑いの表情で見守っていた。
「…あー、銀色坊主も青髪兄ちゃんもあれになったらもうこっちじゃ止められん―からあー。あの二人が何時ものようにアイディアがかみ合って仲直りするのを待った方が良いぜ」
「…うん、あの二人が喧嘩している間はこっちで進められる実験や試験を進めていこう…」
「ええ、今は…やるべきことが色々多いしー…」
周囲を取り仕切る、ここオーブの国営防衛兵器企業モルゲンレーテの技術者重鎮である才女エリカ・シモンズは、もう見慣れたという表情で窓の向こうの試験場を見やる。
「あなた達ー、感じはどうー?」
『はい! この前のOSや同調装置に比べて全然違いますよ!』
『本当に自分の体みたいに動かせて背中から翼が生えたような感覚です!』
科学や魔術で周囲の認識から隠されたその広大な訓練場を、オーブの飛行機型MAに変形可能な新型正式MSのMVF-M11Cムラサメが、人間を大型化させて飛翔できるようにしたような動きで動き回っていた。
今現在、キラとリュールらアークエンジェルの技術者もしているメンバーは、オーブ側に軍事技術で協力している状態にあった。
(…うーん、ここの軍事技術協力をしないと行けなくなった時はヒヤッとしたけどー…とりあえず今は上手くお喋りで誤魔化したり、路線を逸らさせたりでここの技術の延長線上に留まっているけど…早く船の修理と補給が終わらないかなー。あのヘリオポリスでの生活からして少なくともここのお偉いさん達に僕の正体を知ってる人がいる可能性は大だしー…。疑似星核粒子技術とかに触れられるとまずい…。そもそも何でこんなことにー…?)
「おー、今日も想定よりも早い速度で進んでいるなー」
何故そうなったのかとリュールが思い出そうとすると、その理由の一つであるカガリがこの場に現れた。
カガリのフルネームというか真の名はカガリ・ユラ・アスハ。
ここオーブ連合首長国の先代首長で今も実権を握っているウズミ・ナラ・アスハの長女である。
先のシュリーヴィジャヤ星系での怪獣騒ぎの時、アークエンジェル側にいた彼女がオーブの訓練中であった艦隊に暗号通信で救助を求めたことで、アークエンジェルはオーブに匿ってもらえたのである。
無論、タダというわけにはいかず、アークエンジェルは修理や補給をしてもらえる代わりに、その間はオーブと軍事技術で協力せねばいけなくなって、リュール達は技術者としてここモルゲンレーテの施設に放り込まれてしまったのである。
ちなみにエルネスティは、オーブや帝国と古くから友好関係を持つノルド連合王国に所属するフレメヴィーラの天才魔法機械技師で、リュールとは彼が記憶喪失時代にモルゲンレーテのヘリオポリス支所に務めていた頃からの仲であった。
「あ、こんにちわカガリー…って、この前のオーブに匿ってもらえた時も驚いたけどー、今のその軍服の礼装も何かー…凄くきりっとした女の子って感じでー…」
「その言葉は褒め言葉と受け止めさせてもらおうキラ・ヤマト君」
「オーブのレスキュー隊に救助されてアークエンジェルで再会した時のドレス姿を見た時はー顔が似ている親戚のお嬢様かと思ったし…」
「おい、お前はよくわからん病気がうつりそうだからあんまり私達には近づくな」
「キラとのこの差は何!?」
「お前の女性関係を知れば当然の対応だろ」
だが、その辺りは若人なのでこのような軽口(?)を叩き合えるまでに、キラとカガリにリュールは打ち解け合うようになっていた。
「カ、カガリー…私の場合はリュールに我儘を聞いてもらっただけだからー…」
「油断するなキラ、こういう一見優しそうな男は裏から手を回して女の方から頼んできて男に受け取ってもらってるという形にして罪悪感は女に押しつけて邪魔になったらきれいにスパッと切り捨てられるようにしているんだ」
「君さその齢でどういう教育受けてるの!?」
その結果、リュールはカガリにジト目を向けられてズケズケ言われてメンタルにグサグサ来る頻度が多くなっていた。
「…そのようなことは言わないでくださいカガリ様、元はと言えばテロのせいであの星に流れてしまったことが原因で彼には咎はー…」
そのたびに日光が弁護してくれるのでリュールは彼女に菩薩のようなオーラを感じることも増えていっていた。
「…それはまぁセレーナやステラからも聞いているが…」
「うぅ…日光ぅ…」
「その前からラッキー助平系女難体質だけど仕事自体は非常に出来て偶々大型宇宙船免許も持ってて無害そうな顔だったからって理由で女友達の間で宇宙船を操縦してもらうも遭難した先が媚薬成分あり過ぎな生物が多い惑星でそこで唯一の男だったから集中砲火的な襲撃を掛けられ続けて女の子同士でも関係を持っちゃってズルズル引きずっていったら色々な意味で関係も深まってお互い器用になってその状態で救出された後も皆が世間には言いづらいものですから上手く清算できずズルズル今に至るまで引きずるようになってー…」
「…ぐふうぅ…」
一方で、完璧なお姉さんキャラに見えて割と非常に天然且つ嘘が下手な性格もあって止めを刺すことも多く、今も日光の
「ちょっとリュール君、これ以上床を壊したら君に弁償してもらうわよ!」
「エリカさん止めてあげてよぉ!」
「心配しなくていいネ。どうせ野郎のキノコと同じでほっとけばマゾ体質も重なって再起動するヨ。割とスペックは高い野郎版み○ちゃんみたいなもんネ」
「神楽ちゃんその地球時代社会派障害者系古典みたいな言い方は今まずい気がするけど!?」
割と周囲はその器物損壊もまた見慣れた感じになっていっていた。
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オーブは自国の理念を護るのであれば、種族や遺伝子調整の有無を問わず移民を受け入れてきたことで発展してきた。
その中には帝国出身も含めた亜人種、その他に比べればごく少数だがアーヴも混じっている。
彼らは地球人間族圏では魔術や
「…おい、まだか?」
「待て、この感じ…あと一分くらいだ…」
その亜人系が多く暮らす区域の古びた倉庫にある使われなくなったとされる井戸の周囲で、始祖鳥やトカゲに似た旧コヴナント系の亜人種で、銀連圏ではジャッカルと蔑称されるキグ・ヤー達が何やら作業をしていた。
リュールのまだ戻っていない方の記憶に属するテレビゲームに出てきた同族の設定と同じく、キグ・ヤーはこの世界でもグレーやダークなゾーンでのビジネスが強かった。
「…侵入には成功したようだな…」
「ご苦労様だ。ほれ、これが事前のIDカードだ」
やがてその井戸から全身を特殊工作用のダイバースーツに身を包んだ者達が続々と上がってきて、それにキグ・ヤー達は色々と手渡してきた。
「…間違いない、本物だ…」
「着替えはー…いらなさそうだな。用意してある…」
「事前に説明したとおり、グリーンエリアまではこのパスで通れる。だが、グレーエリア以降は監視が順次に強まってお勧めできん」
「ああ、こちらも事前に聞かされている。こちらも“オーブの獅子”を敵に回したくないからな…」
一通り確認しあうとダイバースーツの者達はマスクとゴーグルを脱いでいく。
そうして素顔を泡らにしていく彼らの中に、アスランやメアリの姿も混じっていた。
次回、本作主人公とSEED主人公が幼馴染たちと不本意な再会を果たす予定です。