それと、登場はまだちょびっとですけど今後の話の展開で大きく絡むだろう子(の同位体)が、異世界系ハーレム風味(実質陰惨ハード)系漫画から登場します。
〇帝国暦949年6月22日夜
「…やはりプラント側は理事国家群各国による分割編入形式には反発の様子を示していますな」
「まあ、これは元から吹っ掛けだし、向こう側も自分たちが出した要求がそのまま飲み込まれるなんて思ってはいないだろう。今のBETA大戦下ではお互いに関係は断ち切れん」
「あとは強硬派や過激派に勘づかれて動かれる前に、表向きは難航しながらもどうにか条件をすり合わせあったように見せて、向こうも含めて合意済みの条件で既成事実化することですな」
ドゥリュース達が緊急速報番組を通じてプラント小銀河で起きた大事件を知る数分前、ジブリールを含めたこの世界のブルーコスモス穏健派と、銀河連合圏融和派の要人達はお互いに地球へ極秘訪問していたプラント側代表との、プラント小銀河の統治及び自治権についての秘密協議を行っていた。
「た、大変です! 我々は各方面の強硬派に出し抜かれました!!」
困難をかみしめているが希望も見据えている彼らの協議に、別室で作業中の補佐官が血相を変えた表情で横やりしてきた。
「何事だ!?」
「一週間前にプラントに向けて出発した銀連の代表団ですが、プラント小銀河に入った今朝にて魔術爆発起因時空間異常現象によって全滅した模様です! 更にそのブラックボックスの情報はサルース圏諸国を介して広範囲に流出している模様で…!!」
「…何!?」
「詳しい内容はこちらの資料に…」
急な横やりに室内に集う高官達は声を荒げるが、補佐官が持ち込んできたその報告の内容に人々は逆に声音が小さくなって、代わりに表情にこわばりが生じてしまう。
〇帝国暦949年6月23日朝
『…銀河連合圏内ジャンク屋ギルドによる救出作業で回収されたブラックボックスによって発覚した此度の魔術爆発性時空間異常現象テロで新たな動きが出ました。此度の事件はサード・オルムス共和国のマサダ機関が主要支援者の可能性が高いと各国で目されております。これに対してサード・オルムス共和国は即座に公式発表で否定してジャンク屋ギルドを非難し、大星洋連邦も拙速且つ非客観的な結論を出すのはまだ早いとの声明を…』
後に銀河中から“災厄の門月”と呼ばれることになる日から次の日の朝、
「…自由時間の残りの日日が施設待機になったのってこれか…」
「既に民間人居住区や各国租界の各地では…、反戦派や平和派の団体、親オルムス派のそれとでデモ活動が起こり、双方の衝突が起きている場面もいくつかあるらしいです…」
「け! まったくこれで俺たちまで残りはずっと駐屯地内で缶詰しながら予定になかった基地内業務の手伝いかよ!!」
「…でもお、これでぇ前から労働状況のひどさで不満が高まってたってプラントは、例の現場だけじゃなく軌道都市内部や地上世界までテロが起きて大きな被害を受けたから、秘かに結成していた武装組織や治安隊を出して実質武装蜂起したって話でしょ? 理事国から派遣されていたお役人さん達も追い出して働いていた役所も占拠し、例の新たに出現した
「…あ、たしかあなたって個人契約形式でお父さんと御祖母さんが、プラントに技師として雇われて今もいるって…」
その番組を見て
この銀河世界でのプラントは、表向きは帝国と人類宇宙を二分してきた銀河連合のうち、大星洋連邦やAEU所属列強諸国に日本皇国など自由主義陣営の有力国の出資で作られたが、その創成期には“全銀河の国際協力による平和的発展”という名目で、新ソ連にハニア等を中心とする社会主義陣営と帝国にも協力が呼びかけられたのだ。
当時は経済的停滞なども重なった新ソ連などもオブザーバー参加したが、帝国の方は軍事だけでなく技術や経済面でも他国よりも優位で安定していた状態なので国としては返事を保留として実質遠慮していた。
だが、アーヴを始めとする帝国人の大勢がその方針には従っても、それとは反対の道を選ぶ少数派が出てしまうものである。
この世界のアーヴは星界原作と違い数億人も存在し、原作と大きく違う歴史をたどってきた経緯で内部における様々な意見の相違や争いがあったため、そうした状況に不満を覚えて、法の抜け穴をついて個人としてプラントに流れ込むものや、利益追求の目的でそれに関わる企業が少なからず存在していた。
「メアリも大丈夫? たしか親御さんが事故で亡くなってから育ててきてくれたお姉さんがプラントの方で錬金術系魔術の技師として働いているって…」
その中でドゥリュースが見やったのは、地上人に近い黒いセミロングヘア―をして右目を隠し、髪の左側の一部を三つ編みにして、アブリアルとは違う形で耳が斜め上に向けて尖がっているエルフ型アーヴで一歳年上の凛とした少女メアリ。
そのフルネームはサンドリオ・ボルジュ=バイルカニュ・メアリと言い、地上人エルフの魔術師である父を亡父として、その人が物心つく前に亡くなった以降は齢の離れた姉に育てられた経緯の持ち主だ。
ちなみに、その亡父がかつてはラムキースのクラスメートで旧友であったこともあり、その姉と彼女の後見人にして修行もつけてくれたのがラムキースであったこともあり、ドゥリュースとも幼馴染の間柄で、彼よりも一年早くスュルグゼーデ修技館に入館している身で、今回は新入生たちの引率役の一人として来ている身であった。
「心配はしていない。殺しても死ぬことのない修行をお前の母親に共につけてもらえた身だからな。あれに比べればなぁ…」
「まぁねぇ…」
「それよりも、こっちまでプラントと
「だよなあ、どっちにも悪化することを望む困った人たちがいるだろうし…」
そのメアリとドゥリュースは他の級友たちとは違う心配を抱くようになっていた。
〇帝国暦949年6月26日昼 銀河連合 プラント小銀河 アプリリウス市 首都星系アプリリウス・ワン 第一プラント○
「グレン氏! 此度の動きは実質的な武装蜂起と見てよいのでしょうか!?」
「理事国各国は直ちに武装解除と防衛艦隊増派を受け入れるように求めているとのことですが!?」
「どのようなお考えで!?」
ドゥリュースとメアリのそのような会話から3日後、そのプラントもまた混乱は増すことはあっても収まる気配を見せない状況にあった。
「…どえらいことになったな兄貴ぃ、こいつは開戦前の数日間って感じだ…」
それを現すマスコミや市民、彼らを大人しくさせようとする警備員達に取り囲まれる形で、今現在のプラントを実質的に取り仕切る秘密結社“新黄道同盟”の要人達が乗る車両があったが、その中にBETA(帝国における
『感じではない! 我々は今や文字通り独立のためにそれへの道筋を歩んでいるのだ!!』
「あ、兄貴ぃ…」
そのドズルを車内テレビの画面越しにしかりつけているのは、彼の兄であるサスロ・ザビ。
新黄道同盟では防衛部門の責任者の一人をしているドズルに対し、主に諜報部門に属して自治を通り越して独立を主張する強硬派の若手主要メンバーの一人だ。
ドズルが巨漢で筋肉質な軍人らしい体格と強面に対し、サスロは顔つきこそ似ているが科学者が元々の本業なだけあってスマートな面貌をしている。
「そんな言い方はまずいよ。この前はこっちじゃなんとか撃破したけど未だにBETAによる侵略には銀河中が血の色を薄くしていっている一方なんだぞ」
『銀河中が戦争だと!? ふん! 実際に銀連で戦争しているのは前線になっているAEUの非有力諸国や怠惰さから天川銀河侵攻を招いてしまった社会主義圏の連中と、理事国連中に目障りだと目されて捨て駒同然に送り込まれている我らの同胞だろうが! 大西洋連邦なんぞ援軍を出しても自国民は指揮官だけで派遣部隊の大半は我らの同胞か帰化と市民権を餌に釣った難民達だ! 連中と違って領域を守り抜いている帝国も今では国境宙域のゲートの多くを整理凍結して半ば引きこもっている状態だ!!』
だが、ドズルが現場の観点からいかつい風貌に似合わず協調的な意見を口にするのに対し、サスロの方はその前線の実態や戦況の経緯も交えつつも強硬な意見を口にしていた。
『二人とも落ち着きなさい。今は誰が何処でいかなる聞き耳を立てて、どのように聞いた言葉の意味を書き換えようかと狙っているかわからん状態だ』
「…うぐ…ジョージ先生…」
『グレン最高顧問、しかし…』
その二人の口論はサスロの方の隣に座っていた、しわが目立つ老人だが地色がよくて且つ普段は明瞭そうだが今は憂雰囲気を保っているその男、この世界においても激動を続ける現状の大きな原因の一つになっているジョージ・グレンによって宥められた。
現在のこの世界におけるグレンは百歳に近い老人で、公的には隠居人の身となっていたがプラントの建設には初期の段階から携わってきた身なので、大きな影響力とプラント住民からの尊敬の念を持つ有力者であり、今現在はコーディネイターとナチュラルの悪化し続けている関係改善のため老体に鞭を打ちながらも激務に身を投じている最中であった。
「ん…!? ちょっと待て! そこの君! 車道に出ると危ないぞ!!」
だが、それゆえにこの世界でも、いや、本来の時間軸よりも世界の幅が広がっている分に負の思念を向けられる対象にもなっており、それは今この場でも現れようとしていた。
「…あ、あんたの…! あんたのせいで…! 俺は宇宙飛行士になる夢が…!!」
そう言いながら車道に飛び出したその少年が、グレンとサスロの二人が乗る車の前で止まった次の瞬間、辺りを強烈な閃光と灼熱を伴った爆炎が覆いつくした。
「「「「「キャアアアアアアアアアアアァアア!!??」」」」」
「のわあああ!?」
爆炎は二人が乗る車だけでなく辺りとそこにいた人々も包み込んで悲鳴と怒号を上げさせ、巻き添えを受けて破壊された後続車両の一つに乗っていたドズルの屈強な肉体にまで傷を入れていく。
「…救急車だ! 救急車を呼べぇ!」
「ママァ! ママーーーー!!」
「お、俺の足ガアアアアアアア!?」
「サ、サスロ兄貴ぃ! ジョージ先生! 皆ぁ!!」
周囲が物言わぬ屍となったかそれに近づきつつある人々の悲鳴や絶叫で満たされていく中、全身が血だらけになりつつもドズルは爆心地に走り込んで、肌を焼く熱や火もものともしない勢いで力や魔術で火を消して残骸を押しのけながら人命救助を試みる。
「…うう! く、くそぉ! やられたァ! 二人ともぉ! どこの誰がしやがったんだ! こんなことをぉぉぉぉぉぉ!!」
だが、その結果は最悪なものであることは、ドズルの手で燃え盛る残骸から解放されつつも、もはや骨肉が多くむき出しとなって血で彩られたサスロとグレンの身が証明してしまった。
これが後に、BETAによる初のプラント方面大規模侵攻、この数日後に起きる銀河中を襲うことになるあるパンデミックと共に、“六月の三厄災”に数えられるこの世界での“ジョージ・グレン暗殺事件”である。
次回、ガンダムSEEDの設定を中心に含めつつも、別のダークファンタジー作品でキーになっているある病が登場します。