星界の輪廻   作:oosima

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今回も、別作品のキャラ(の同位体が改変込みで)が新たに登場しますが、主人公達も今回の事態の解決のために動き始めます。


042 テロと不規則な事態は不可分

 〇帝国歴951年1月25日夜アーヴによる人類帝国(フリューバル・グレール・ゴル・バーリ) 某宙域 技術特区 地球 コペルニクス区 アーヴ風高級旅館“霞外籠(かげろう)” 水上大広間エリア 高層石庭園〇

 

「よし、これでこの場にいる全員が集め終えたな!」

「全員、手を上げて膝を付け! これより危険物等がないか調べる!」

 

 乙女による国宝破壊未遂行為とそれによるハワードの災難から数分後、高層石庭園に集っていたクリスト伯爵一行は、突然現れたテロリスト達による拘束を受けつつあった。

 

(…どうやってこの旅館に今このタイミングでこれだけ忍び込めたのか頭を悩ませるけど…。まー、今回の警備はほとんどがうちじゃなくてごり押しで分捕ってきたあの国だし…言葉遣いや訛りからして…)

(気になるし魔力から考えられるこっちとの実力差を考えると数秒くらいで制圧できそうな人たちだけど、これ以上関わると面倒くさくなる事態になるから止めとこう。僕らはともかく他の人達じゃー怪我をさせずに済むなんて保証は今一つ持てないし…!?)

 

 それに混じりつつも冷静にこちらで軽く制圧できそうな戦力差があることを見抜くラムレルーシュに対し、同族からアブリアルらしくないと評されるドゥリュースは周囲に聞かれないよう魔術による念話で制止を掛けるが、そこで彼の願いを無情にも潰す存在が現れた。

 

「よし、まずはアーヴ、特にアブリアルだ。下手に暴れられないように()()()製の首輪と手錠を…?」

 

 二人の念話の間にテロリストが今この場で最も人質として価値があると判断したアブリアル二名に特殊な手錠を掛けようとしたその瞬間、片割れであるドゥリュースの背後にきらめく夜空の一角より強烈に輝く星が出現し、それは見る見るうちに大きくなりながら轟音と震えを強め始めてきた。

 

「…え? な、何だ…!?」

 

 それでこの場にいた何名かが怪訝そうな顔を浮かべた直後、その星の正体である宇宙船が正体を彼らに視認させるまでもう接近したその直後、そのままの勢いで石庭園に不時着してきた。

 

「「「「「ギャアアアアアアアアアアアアアアァアア!!??」」」」」

 

 当然、石庭園は破壊されて轟音と煙に瓦礫と衝撃波が周囲に散乱し、それに混じる形でテロリスト達は悲鳴を伴って周囲へ飛び散った。

 

「…な、何々何!? 何が起きたの!?」

 

 但し、人質にされそうになっていた子弟達はほぼ無傷ですんでおり、その内の一人であるルナはテロリストたちの惨状と自分達をその巻き添えから救ったと思わしい、いつの間にか現れていた半球状の水のドームの存在に気付く。

 

「…な、何とか助かったな…そこまで丈夫ではない船で助かったが…、何処の誰だ…!?」

「あッはっはっは! 久しいのー地球はー!」

 

 それを魔術で張ったと思わしいラムレルーシュがその不時着した船を見上げた時、その船首に一人の男が姿を現した。

 黒く短い天然パーマと黒い丸渕サングラスをした和風の男であった。

 

「…あ、あんたは辰馬さん!」

「あっはっはっは! 久しいのーリュー坊主! お前さんのおふくろさんに修行で流星系に飛ばされた時以来かのー!?」

 

 その姿を見て微妙に引き攣った顔を浮かべたドゥリュースに対し、やけに親しんでいる様子を見せるその男の名は坂本辰馬。

 日本皇国の武家階級に出自を持つ貿易商人で、ラムキースと古い知己の仲の一人でその縁で帝国側の貿易港星系への出入りを許可されている一人だ。

 

「今回はここで雇われたオルムスあたりのお客さん達をこの星へ運ぶ仕事で来とったんじゃがー、そんでそのお客さん達が今こうして伸びているのはどうしてかの~? 何かお前さん達と揉めてるのが見えたからと見に来たんじゃが―――」

「やっぱあんたが絡んでたんかいいいいいい!!」

「この天パ眼鏡ぇ! 俺の平和な高収入バイトタイムを返せこらアアア!!」

「―――あぶべぇ!?」

 

 だが、その商売は厄介ごとも持ち込んだりすることが多く、今回の事態にも自覚なく関わっているのをあっさり口から漏らすと、船の高さまで一瞬で飛び上がったドゥリュースと何処からともなく現れた銀髪パーマの男の拳がその辰馬を船首から殴り落した。

 

「あ!? あなたは…銀さん!?」

 

 その辰馬を殴り落した銀髪天然パーマに、今度は乙女が知り合いに対する驚きの声を上げた。

 

「え? またお前たちの知り合いか?」

「あーうん…僕の地球留学時代で世話になった人の一人で万事屋って何でも屋をしていた坂田銀時さん…」

 

 ラムレルーシュの問いにドゥリュースは答えるが、それにはうんざりとする思い出を多く思い出した苦笑いが浮かんでいた。

 

「…えーーっと、それで今回はどうして銀さんたちもここに?」

「…あー、金がまた少なくなってきたからハセガワさんにここの清掃員のバイトを紹介してもらったんだよ。だがまーまたしてもこいつがどこぞの宗教馬鹿やうさんくせぇナショナリストを連れ込んじまったせいで台無しになりそうだ…」

「…じゃー、その流れで行くと他の二人も」

「ああ、神楽の方は飯に釣られて普通は重機なしじゃ動かせねえ荷運びのバイトをしてる。まーあいつの方は心配はいらねぇだろ。新八の方は眼鏡の置台に過ぎねえからこいつらに気付かれはしねえから大丈夫だ」

「まあ、悲しいけど今はそれが良いね…」

 

 その銀時と何だかんだ親しげな様子で会話をするドゥリュースだが、他の子弟達も落ち着きが戻ってきて今の状況のまずさを認識し始める。

 

「…え!? じゃあ…今回のテロリストってこの男の人が連れてきたの!?」

「じゃあ、その男と知り合いってこのアーヴ連中もグルなのか?」

「ど、どうすんだよ!? 人質にされるのか!?」

「お、おい! お前ら何が目的なんだ―――!?」

「何が起きたんだ…ってうわぁ!? な、何だこのこれはぁ!?」

 

 そうして上がってきた不安の声の多くがドゥリュース達に向けられ始めたその時、轟音と揺れで騒ぎを聞きつけてきたテログループの他のメンバーが石庭園の惨状を見て驚く。

 

「―――ああってままた来たぁ!?」

「こうしたのは誰だ!? 誰が同志たちをこのように!?」

「ここここいつらです! このアーヴ連中とこっちに倒れてる男がこうしたんです!」

 

 立て続けに生じる騒動の音で起こされていたハワードは、怒りを強めた様子で銃を突きつけてくるテログループメンバーに怯えて、ドゥリュース達と辰馬を指さした。

 

「ッ!? ア、アーヴか! 死ねえこの化け物ォ!!」

 

 それを見てテログループの若いメンバーが怒りと恐れを隠せない様子でドゥリュース達に銃の引き金を引いた。

 

「ッ!? 危な―――」

「いからそっちはあんま近寄らないで」

「―――いぃぃい!?」

 

 ルナはそれを見てドゥリュースを突き飛ばして凶弾から逃れさせようとするが、能面を浮かべた彼の手で逆に突き飛ばされた。

 

「馬鹿! 大事な人質に何を!?」

「死ねええ!」

 

 結局、無数の凶弾は仲間の制止も及ばずドゥリュースに向けて放たれるが、それが当たって噴き出てきたのは血ではなく水銀であった。

 

「…ッ…あーすぐ直せるからって穴を開けちゃって…、後ろに人がいなかったからよかったけどもしも跳弾して他の人に当たったらどうするつもりだったんだ?」

「「「「「…は??」」」」」

 

 ドゥリュースは重い液体の揺れる音と共に体へ凶弾がめり込んだ証である無数の穴に気分を害した顔を浮かべるが、それに周りの多くが呆けた声を出すと、それに釣られるように傷口は銀色に変化して見る見るうちに塞がっていき、何もなかったかのような状態に戻った。

 

「な、なんでだ!? こいつも魔術か!?」

「馬鹿! そいつらアブリアルにただの銃弾が聞くわけがないだろ! 魔楼石製兵器を持っている連中がたどり着くまでは相手にするな! 他のガキどもを盾にそいつらを大人しくさせ…!?」

 

 それにテロリスト達は戸惑い慄くが上役が適切(?)な対処を取ろうとしたその時、彼らの持つ武器が次々と分解されて部品となった状態で地面へ落ちていく。

 

「…悪いがそこまで待つ義理はないのでな」

 

 いつの間にか達也が拳銃型CADをテロリスト達に向けている姿があった。

 

(あのスピードで“分解”を使うなんてさすが…)

「!? アーヴ以外にも魔術師か魔法師が!? この裏切り者共がばぁ!?」

 

 それらの理由と関係性をドゥリュースが見抜いた直後、テロリスト達の混乱と怯えが最高潮に達したその時、彼らの身は何か見えない巨大な手か足で払われたように真横に吹き飛んだ。

 

「!? ここ今度は何!? 人間ポルターガイスト!?」

『リューにいにー! 怪我してないー!? 他に周りの人とかは大丈夫ー!?』

『銀ちゃん! 大丈夫あるかー!?』

 

 その怪奇現象を思わせるまたしても急な異変にルナがパニックを起こしそうになると、そこで二種類の少女の声が拡声機越しに割り込んできた。

 

「!? その声はネーナ!?」

 

 ドゥリュースがその声に馴染みのある反応を見せると、テロリスト達のいた箇所の何もない宙に青色の粒子が突然生じて、その中からスローネが浮かび上がるように姿を現した。

 

「お久しぶりーリューにいにー、ほっほー、馬子にも衣裳とはこのことですなー」

 

 そのスローネの背部にある操縦席区画が開くと、その中から赤色の癖が強いツインテールヘアーに黄色の瞳をしてそばかすのある可愛い系に整ったアーヴの少女が茶目っ気のある笑みで出てきた。

 

「アーヴの子がそんなここの給仕の子で機械甲冑機(ソウォーヴィ)の中から出てくる方が別な意味でアーヴらしい感じがするんですけど? 常在戦場?」

 

 それに対してドゥリュースも皮肉交じりの苦笑いを返したその少女の名はトリニティ・ボルジュ=カーマイン・ネーナ。

 これまたドゥリュースの母ラムキースが死んだ戦友の子を引き取って育てた子供達の一人で、彼とはこれまで出てきた人物と同じく幼馴染で妹分である。

 

「あーこれはここに給仕の臨時バイトで来たんだけどー、途中で何か予定の品にないデカいコンテナがあって邪魔だったからどけてくれってバイト先の上司に頼まれて近くにあったこのスローネで運ぼうとしたんだけどー、そうしたら今さっき蹴とばした連中の仲間みたいなおっさん達がいきなり銃をぶっ放してきてー」

「そんでこのツインテール娘がこのロボでそいつらをしばきだしてそんで逃げ出した連中を見かけたら、そいつら今度はこっちに襲い掛かってきたからふんじばって、そのままそこにいるのもなんかなーって感じだったからこの子のこれに乗らせてもらってきたわけアルよ」

 

 そのネーナが説明していると、その席の後ろから今度は青い瞳にオレンジのシニヨンヘアーをしたうさん臭いチャイナ口調で同年代そうな少女が頭を出してきた。

 

「ああ!? かか神楽ぁ!?」

 

 その少女に今度はアルベールが引き攣った顔を見せる。

 ネーナに続けて姿を現したその少女神楽は、銀時が営む万事屋で働いている従業員の一人で、これまたドゥリュースとアルベールの地球留学時代で知り合った仲である。

 但し、神楽と関わるとアルベールは大抵酷い目に遭ってしまうので彼から苦手に思われていた。

 

「そんで銀ちゃんは何処にいるアルか?」

「…だ、だれかぁぁ…俺を壁という闇の世界から現実に引き戻してくれえぇぇぇぇ…」

 

 その神楽がスローネから降りたところで銀時の苦しそうな声が割り込んできた。

 

「あれ? なんか銀ちゃんがデカいロボットに蹴とばされて壁に張り付いたような状態になってるネ」

「いや、今さっき君達二人がテロリスト達をそうした時に巻き添えを受けたんでしょ」

 

 ちなみに、その背を向けさせられた状態になってる銀時の周囲には、先ほど姿を消していた状態のネーナ登場スローネに同じく蹴り飛ばされて壁に張り付いて意識を失っているテロリスト達の姿もあった。

 

「も、MSで人間を蹴り飛ばすなんて何を考えてるんだよあの女…」

 

 死人こそ出ていないが色々と直視しづらいレベルの怪我人が出ている状況にハワードは顔を青くしていた。

 

「あーもう色々急展開過ぎるからってそんな怯えなくていいから。ネーナは(00原作の時期に値するだろう前いた世界の過去の同位体と違ってボディだけじゃなくソフトも色々な意味込みで)生意気な時はあるけど基本いい子だから、じゃーとりあえずネーナ、コンテナの一つでも持ってこれない?」

「あー、下の階でボコって大人しくさせた連中が隠れていたのがあるけどどうするの?」

「スローネでそれを運んできて戦えない子達をそこに乗せて外の安全なところに脱出させてほしいんだ」

「なるほどねー、でもそれだとリューにいにー達はどうすんの?」

「とりあえず達也達と協力して残りの危ない人達もふんじばってこの騒ぎを少しでも早く沈めに行くよ」

 

 そうした面子を安心させるような言葉を吐きつつ、ドゥリュースは巻き込まれた子供が言うにしては色々とあれな発言をかましていく。

 

「俺も参加するんだな」

「一緒に避難してって言っても深雪さんとかも他の部屋で巻き込まれてるだろうこの状況じゃあ聞かんでしょーに」

「それはまあな」

 

 達也が仏頂面でそれにあっさり同意すると、他にも続々と子供の身で参加者達が出始める。

 

「私も行こう。大広間などに残した友人達が心配だ」

 

 比較的責任感を覚えさせる表情でラムレルーシュが周囲に浮かぶ水の球体を纏わせた状態で名乗り出た。

 

「そうね、陛下もまだいるかもしれないからあの方が加わってしまった時の周囲への影響などで心配だし」

「あー、こんな悪目立ちしそうなのは予定になかったけど仕方ないわね」

 

 他にも面倒そうだがレイカとジョセフィーヌもその輪に加わり、他にも何名かが子供に似つかわしくない戦闘力をすでに持っていとはいえ参加を表明していく。

 

「「「「「………………」」」」」

 

 その光景に他の子の多くはこれまでの急展開の連続と、その中で見せたドゥリュース達の常軌を逸した戦闘力にかける言葉を失ってしまっていた。

 

「…え、えーーっと伯爵…何か我々…忘れられていませんか??」

「………………」

 

 それを見せつけられたリーゼントヘアーの執事の言葉に、モンテ・クリスト伯爵は返せる言葉をすぐには出せなかった。




こちらの伯爵閣下、まだいろいろと影が薄くなりがちですけど色々と設定は練っています。
それらの描写も含めた先のパートまで書けるように、時間が出来た時でいいのでお気に入り登録や感想に評価付与の方を今後もよろしくお願いします。
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