星界の輪廻   作:oosima

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今回、一応は地球における此度のテロ事件は集結しますが、かなり駆け足な展開な印象を与える可能性が高いのでご注意をお願いします。


043 難題そうで短期且つ簡潔に解決する場合もある

 〇帝国歴951年1月25日夜アーヴによる人類帝国(フリューバル・グレール・ゴル・バーリ) 帝都ラクファカール 帝宮(ルエベイ) 宰相府(ボーシミアシュ)

 

 帝国(フリューバル)の頂点に立つ皇帝(スピュネージュ)が暮らす帝宮(ルエベイ)は、嘗て地球時代に彼らの祖先が故郷を出発して外宇宙を探査するのに用いられた、当時の太陽系で発見され改修されて再利用された先駆者(フォアランナー)時代の大型宇宙船を心臓部とし、その後にここラクファカールに存在した先駆者(フォアランナー)の遺跡の一つで直径一万キロを誇るスペースコロニーたる大円環型軌道都市(ヘイロー)の一つへ移されて構成されている。

 同都市だけでも40万人のアーヴを中心として数千万人の人口を抱えており、銀河系に存在する人工物では最大のそれの一つであった。

 その都市の一角に存在する宰相府(ボーシミアシュ)は、諸人類宇宙最大国家の官僚機構の頂点に位置するだけあり、巨大な規模と膨大且つ優秀な官僚を抱えていたが、今日はとりわけこわばりが強くなって人の出入りが激しくなっていた。

 

「…全く、今回のプラント問題を協議するために開かれた多国籍会議で警備の主責任役を任せるよう強硬に押してきたというのに…今回のテロに至るとは大星洋連邦め…」

「まあ、我々としては長期的に見てそう悪い話ではないのでは? 今の色々垢ぬけてない不動産屋出身大統領とその誕生を受けてまた調子に乗り出しているオルムス首相には良い教訓になるかもしれませんよ」

 

 宰相府(ボーシミアシュ)の一室で、今現在の地球で起きているそのテロ事件を受けて帝国(フリューバル)の中枢に位置する者達は各々の表情や思いを露わにしていた。

 

「冗談は演説くらいにして真面目にしてください帝国宰相(ルエ・ボーシフ)。こちらに合わせた状態で難民受け入れ再開を進めるつもりであった我々には、今回の事態は対応次第で有利と不利どちらの要因にもなりえます」

「なーにせ、陛下(エルミトン)がお忍びで訪問中な挙句に、現地で集まっている我が国の若いのも含めて集まった各国要人子弟にゲリラ訪問なんてしくさったらしいですからねぇ」

「それで犯人グループの要求は世間に公表されている前にこちらには伝えられているかね?」

 

 その中心に位置する現在の帝国の内閣閣僚達の中心には、今現在その話し合いの中心となっている霞外籠とそこを占拠して立てこもり、子弟達を人質に取っているテログループ達が空中投影映像で映し出されていた。

 

「まだ世間に公表されてはいませんが、概ね我が国に対する難民受け入れ制限再開の撤廃、難民の拘束的状況改善、逮捕及び収監された仲間の解放、何より地球及びそこまでの帝国領内での通行の自由化とー…」

「いつも通りだな。偶には新たな要求を出すとか想像力を働かせてくれんのかねぇ?」

「ですが、前々の難民受け入れ条件が穏健派政権による銀連側の要望ばかり受けた現状軽視のものだったのもありますが、前の強硬派政権が掛けた難民受け入れ制限強化が厳格すぎたのもあって、昨年に誕生した中道派という位置づけになっている我が内閣が進めている真ん中を取った修正案を通すためにも、まずは連中が世間に要求を公表する前に鎮圧及び人質の救出をせねば…」

「そうだな、公表された後でだと制圧の結果がどうあれ、我々の難民受け入れ条件修正案を出したら強硬派からテログループに屈したと非難及び付け入るための口実にされるだろうさ…。外部には他にテロ事件を起こしても要求を通せられると悪用される前例になる…」

「現在、警備主責任を務めている大星洋連邦捜査局特殊部隊が現地を包囲し、いつでも突入準備が出来る状態を構えているようですが…」

「まあ、向こうからしたら自分達に赤っ恥をかかせた以上は即座に制圧に動くのが当然の責任という理屈だろう。まあ、意図的であれ偶然であれ、オルムスとずぶずぶな現政権はいつもの反サルース及び反難民妄言など棚に上げてこちらを反オルムス主義及びその政策が原因だと転嫁しに来るだろうが…」

「だがまー、私としてはテログループの方の身柄の安全が心配だがねー」

「…それでは、日本とオーブ及びノルドの提案を受けるとしましょうか?」

「そうですな、今現在あちらにいるこの方々含めた色々有望な若人達がこの状況を見ていられなくなる前に…!?」

 

 そうした映像も交えて打つべき対策を協議しつつ、閣僚達がそれに交えてある若者達の映像写真を出すが、そこで緊急連絡が入れられてきた。

 

『…すみませーん。残念ですがー…あのー…“人間暴風女王”の御子息様が暴れ始めた模様でしてー…、この現場の運気と血には抗えなかったようで―…』

 

 その映像写真でとりわけ大きく表示されているドゥリュースのそれの真横に、それを指さしながらハセガワが別時間軸で無職になってからそれが板についた時のような微妙な表情で映像越しに姿を見せた。

 

 

 

 

 

 〇アーヴによる人類帝国(フリューバル・グレール・ゴル・バーリ) 某宙域 技術特区 地球 コペルニクス区 アーヴ風高級旅館“霞外籠(かげろう)” 某廊下〇

 

「「「「「ギャアアアアアアアアアア!!??」」」」」

 

 ラクファカールによからぬ報せが入ってから数分後、その件の地でテログループとある眼鏡をかけた平凡な少年の悲鳴が沸き起こっていた。

 

「な、何だぁこのヘドラが擬人化したけど全然可愛くなくて寧ろきもさが増したような化け物はああ!?」

「ギャアァアア!? デビッド隊長助け…えアアアァアア!?」

「ぐ…わぜろおおおおおおおお!!」

 

 銀時や神楽と共にハセガワの誘いで今回の高収入バイトに来たものの、別部署に配置されて働いていたところ、あのラマ―ジュの腕に捕まえられていたはずの怪物に、眼鏡が特徴的な平凡な少年志村新八は周囲のテログループと共に追われる身となっていた。

 

「な、何だぁあの化け物はぁ!?」

「さっさと仕留めろぉ!」

「だ、駄目です! 再生力も高すぎてこちらが今持つ火器では致命傷には至らず…」

 

 その怪物によって旅館は各所が破壊され、それで生じた出入り口から大星洋連邦捜査局特殊部隊が突入して交戦に入っていたが、戦況は芳しくは無さそうであった。

 

「お、おい! 体内に仕込んである自爆装置付き制御装置はどうしたんだ!?」

「あ、あの呪物ウィルス感染生物カナジョーを再発見した時、あいつはひどく重傷を負っていました…。おそらく暴走して我々から離れていた間に何者かと交戦してその煽りで抜けたのかと…ギャアアアアアアアア!?」

 

 新八は悲鳴を上げつつ涙目で逃げていっていたが、周りのテログループメンバーや大星洋連邦特殊部隊員達が次々と飲み込まれていく中で新八もその足から掴み上げられてしまう。

 

「うわああああ! だだだ駄目だアアアァ! 銀さあぁああ―――!?」

 

 それに新八が人生をあきらめかけたその時、その身を飲み込もうとした怪物カナジョーの横っ面に何者かの足蹴りが喰らわされた。

 

「あババアアアアアアアアァアアアアアアアアァアア!!??」

 

 見た目は圧倒的な質量差があるにもかかわらず、そのキックを喰らわされたカナジョーはゲロまみれのテログループメンバーや特殊部隊員達と、何処かの神秘以外は出来るわかめのような悲鳴を吐きながら盛大に蹴り飛ばされ、壁に深々とめり込んだ。

 

「―――あああ!? 助かったけど危ない角度で落ちちゃ…!?」

 

 その弾みで新八は結構な高さで落ちてしまいそうになるが、そこで彼の身は腰帯から何者かによって掴み取られて事なきを得た。

 

「ぎ、銀さん!? ありがとうございます! 助かりまし…!?」

 

 それに新八はいつもの依頼での流れから、自分が何だかんだ最も尊敬しているあの男の名を口に仕掛けるが、

 

「…ふう、うるさい小姑みたいに口やかましい側近達から今の自由時間を引き延ばそうとこの館内を回っていた途中であの童がいつの間にか腕から逃げていたがこんな所まで来ていたとは…」

 

 そう言いながら新八を腰帯から掴みとめていたのは、ホテルの清掃員の格好をしたラマージュであった。

 

(……ってこ、こ、こ…皇帝かよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおぉぉぉぉぉおおおお!!!??)

 

 だが、その変装状態でも、新八は原典における同位体と同じ運の悪さなどから彼女と仲間たちと共に出来ていたある縁からその正体を見抜き、 怪物化カナジョーを見てしまって襲われた時以上の命の危機を覚えた。

 

(ちょっと何でこの人またこんな所にいんだよぉおぉぉおお!? 今この旅館はこの僕なんかでも知ってる範囲内でも地球圏屈指の戦闘力ばっか高い馬鹿が集まる魔の海域なんだぞおおおお!? そんな状況であんたに来られたら…飢え切った鮫が泳ぎまくってる荒海の中にマラカス持ったマツケン…を見せてその着ぐるみを超科学で無理やり着させたゴジラをぶち込むようなもんだろぉおおおおおお!!??)

 

 新八は過去における最高値で命の危機を今さっき自分を助けてくれたラマ―ジュに抱いてしまっており、内心ではあるメジャー施設でパンツ一丁になった将軍を目にした同位体のような声すら出ない絶句の顔と化していた。

 

「…さあ、とりあえずこんな若いのが無作為に罪を犯し続けるのを黙ってみるのはどうだし…!?」

 

 だが、その新八の前でラマ―ジュは悩ましい顔で考えをしていたその最中、彼女の後頭部にボーリング玉ほどのサイズはある砲弾が直撃して周囲の大気を震わせた。

 

「…い? あ…あーーーーー……」

 

 当然、ラマージュはそれで後頭部に出来たたん瘤へ吸われるように意識が薄れていき、宙からその身は重力に引かれるようにして落ち始めた。

 

(…って今度は出たとたんに皇帝が逝っちゃった―――!?)

 

 それに新八がますます絶句の度合いを深めながら落ちていったその時、新八の視界の中を幾つかの黒い影が音をも置き去りにする速度で通り過ぎた。

 

「―――あ…今のはぶ!?」

 

 新八はそれに気を取られた隙に床へ横っ面から落ちてしまった。

 

「…はあ、やっと確保できたぜ…。マジで生涯最大の奇跡を見たよ…」

「で、でもぉ大丈夫ですかぁ? こんな陛下の玉体に傷をつけるなんてええ…しかも怪獣用の麻酔弾を使うなんてぇ…」

「大丈夫だ。今回は色々多忙の後であられたから運よく怪獣用麻酔弾を当てられたが…これくらいじゃ普段は立ち眩みもせん。ましてや今でも死にもせん。並の人間用のでは立ち眩みもさせられんからな…これ以上この場をかき乱される前に後方の軍の基地へお連れするぞ」

 

 一方、ラマ―ジュの身はその新八の視界に僅かだけ映ったその影たる男達によって、他の視界には映らぬ瓦礫の影に移されていたが、その中には以前ここ地球でドゥビュースと接触したルッチの姿もあったが、その姿はすぐに瓦礫の影へ溶け込むように姿を消した。

 

「…ひ…バケモンは…邪魔はやっと消えだ…! 残りは…お前ら全員…肉にな―――」

「いいや、悪いがここからはお前が豚箱に行くための作業だ」

 

 一方、ラマ―ジュに与えられたデカすぎる一撃にもどうにか再生で立ち直れた怪物化カナジョーは、喉元を通り過ぎれば何とやらで既に大半が自身に喰われて継戦能力と繊維を喪失していた特殊部隊やテログループの残りに向き直るが、その大きな背中に変装した司波達也が降り立って、その手に持つ拳銃型CADを向けてある魔法を発動した。

 

「―――あ!?」

 

 それに気づいたカナジョーが背後を見やろうとした次の瞬間、達也がかけた彼固有の魔法で怪物化した己の身体の一部が稲妻を伴いながら大きく迸り、そこから素っ裸のやせこけた状態ながら人間だった頃の彼が理解の追い付けていない表情で吐き出されたのだ。

 達也が生来持つ二つの魔法、“分解”でカナジョーは人体実験で怪物化した己の体より残っていた人間部分が切り離された後、“再生”で人間としての部分が再生され、後先考えない暴力人間だった金城タカシへ引き戻されたのである。

 

「お…お前は…!?何をしやが―――!?」

 

 金城は自分を引きずり出した達也の姿を見て、獅子に睨まれた手負いのネズミのような顔になるが、その顔も次に現れた別の二人によって塗りつぶされてしまう。

 

「「「邪魔ぁ!!!!」」」

 

 後から降り立ったレイカとジョセフィーヌに乙女の三人同時ハイキックをもろだしになっていた股間から、金城は遠慮も容赦もない様子で叩きつけられたのだ。

 

「―――あってホデュアアアアァアアアーーーーーーーーーーーー!!??」

 

 当然、人類全体を見ても魔法込み問わず既に若い身で常軌を逸した身体能力を身に付けている三人のハイキックを浴びせられ、金城は肉団子が二つ潰されたような音を出した直後に、何処かの海賊の船大工のような悶絶の悲鳴を伴ってその身は盛大に打ち上げられ、頭上のシャンデリアに顔から叩き蹴られてめり込み、そこから絞首刑が終わった後の死体のようにブランと力なく身は宙づりとなった。

 

「…はー、どうにか終わりそうだな―――」

「ゴギャアァアアアアア!?」

 

 続けて吹き抜けで繋がっている上階からドゥリュース達といった面々が遅れて到着するが、その安堵の表情が浮かぼうとしたところで金城が抜けた怪物化した体が醜悪な変貌を遂げながら咆哮を上げた。

 

「―――あ…ってー、何か馬鹿だけど曲がりなりにも脳みそとして制御していた部分が抜けたからー今度はそれから自由になった残りの細胞が暴走し始めたって感じかこりゃー…」

「面倒くさがっている余裕があるならさっさと残りの退治に取り掛かるぞ」

 

 それに眉を八の字にしたドゥリュースに対し、達也は冷静なままの表情でその背中から降りてCADを構え直した。

 

「…やっと上の許可が下りたから来てみたら…まーたあの坊主とその周りのガキンチョ達が巻き込まれたとはいえ色々進めちまってるなこりゃー…」

「ま、あの醜怪な残り香はあの子に任せておけば大丈夫でしょう。私も正直あんなのには触りたくないしね。じゃー、あの怪物の周りで動けなくなってるテロリストの捕縛と特殊部隊員達の救助に取り掛かりましょうか」

 

 その様子は吹き抜けで繋がる別の上階の手すりから、紫色のショートヘアーに赤い瞳で知的な面貌をした美女を中心とした、別の特殊部隊と思われる者達が盗み見ていたが、その姿も空気へ同化するように姿を消した。

 結局、カナジョーだった怪物はこの後少しは暴れ続けたものの、地力の違いも相まってドゥリュースや乙女といった人外戦闘力をすでに保持していた少年少女グループによって退治されたが、その事などは表世間へ広まることはなかった。

 だが、今回の後に“霞外籠事件”と呼ばれる事件は、オルムス系のテログループが持ち込んだ生物兵器によって甚大な被害が出たものの、警備に末端ながらく加わっていたプラント理事国穏健派諸国の特殊部隊によって鎮圧され、テログループ生き残りと警備主責任をしていた大星洋連邦特殊部隊員達は彼らによって救出されたという事実は表世間に流布した。

 それは今回の警備責任者を強行して勤め上げた大星洋連邦の信頼に大きな不安を投げかけ、特に同国歴代政権で最も親オルムスと呼ばれて且つ反アーヴと目されている新政権の能力に大きな疑問符を投げかけることとなった。

 結局、このテロ事件が理由で地球にて予定されていた、帝国を仲介としてプラントとその理事国家群の経済利権問題についての協議は延期となり、後日に別の場所にて仕切り直されることとなったのであった。

 一方で、この後に“三者協議を潰したテログループと魔法生物兵器は、実は各国要人子弟交流会に参加していた少年少女たちによって潰された”と言う都市伝説が、一部に界隈で少しの間は流布されることとなる。




今回、話を大幅に早く進めるためにこのような駆け足気味な話となりました。
次回、ガンダムSEED ファンなら良くない意味で知らない人が圧倒的に少ないだろうあの大事件が、この世界での変化を付けて起こる予定です。
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