星界の輪廻   作:oosima

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今回、種の方での主人公(の本作品世界TS同位体)など、種の方での人達の場面が中心になります。


049 叶わなくなったはずの再会

 〇C.E(コズミック・イラ)71年1月25日朝(帝国暦952年1月25日朝) 銀河連合 オーブ連合首長国 ヘリオス星系 軌道都市(コロニー)ヘリオポリス ヘリオポリス工業カレッジ カトー教授研究室○

 

「…ふえぇええ~~、沁みる~~…」

「あーもー私と一つしか違わないのに連日残業がやっと終わった後のOLみたいな感じが板に付いたわねー」

 

 リュール達が戦火の気配を感じとらされる少し前、カレッジにある別の研究室で猫背になったキラの背に、ほんのりとした光に包まれた手をかざして医療系現代魔法の治癒術を掛けているフレイの姿があった。

 

「何かやけにこの人型作業機械のOS研究の課題やバイトってここ最近はやけに密度高くないかぁ?」

「サイ、学生がバイトも兼ねている課題の裏側をどう探っても一文の得にもならないわよー。下手にお喋りしたら損する話かもしれないしー」

 

 先ほどまでキラは教授から出された、ここで研究されている人型作業機械のOSの電脳作業での調整を行っており、眼鏡を掛けた少年サイ・アーガイルに交代してもらった後でフレイに作業の疲労を治癒してもらっていたのだ。

 

「あー、そんな話よりもさーキラー、先月クリスマスの時にーあのアーヴの幼馴染に似てる青い髪の研究員のボーイフレンドとはー、宇宙空間作業で助けられてからどうなってんだよー」

「ちょ、ちょっと!?」

「? 何ーその話ー」

 

 その最中にトールがニヤニヤした表情である話題を吹っかけるとキラは顔を真っ赤にし、別の作業をしていた黒髪の平凡な少年カズイ・バスカークの興味を惹いた。

 

「え? 何々? もしかしてあのおとなしそうだけど意外と倍率が高そうなあのアーヴの男の子がどうかしたの?」

「あーフレイ、あなたの友達の王留美(ワン・リューミン)が去年に連れてきた、アーヴの孤児の男の子とキラがねー…」

「ミ、ミリー! まだその人とは名前も知らないし! 助けられた時だってヘルメットでの反射光が原因で顔だってよく見てなくて…!!」

 

 それにフレイも興味を惹かれた顔を突っ込んできてキラを更に赤面させた。

 

「ほほー、幸いにも留美もまだここにいるようだし聞いてみないとねー」

「あー、それ止した方がいいフレイ。今は()()()が留美の所をやけにしつこく回ってるって話だから。下手にあのアーヴの話で接触すると面倒くさくなりそうだよ」

「うげ、もしかしてまた()()()が戻ってきたの? ハワー…!?」

 

 だが、サイが横やりを入れてある人物に触れてフレイが少々面倒そうな表情を浮かべたその時、研究室へ見慣れない人物が入ってきた。

 

「ん? 何あの子達? 栗色の髪の子に…短い金髪をした子?」

「ああ、あの子達はカトー教授のお客さんだってさ…!?」

 

 キラ達の興味がその新たな来客達に惹かれたその時、研究所全体を大きな揺れが包み込んだ。

 

「…え? 何これ? 何か嫌な予感…!?」

「大変だ! ここヘリオポリスの中に銀連軍がいるらしくてそれに気づいたザフトとの間で戦争をおっぱじめたって…!?」

 

 フレイがその揺れに悪寒を感じたその時、ドアを慌ただしく開いて研究所職員がその理由を伝えてきたその直後、そう遠くない所から響いてきた爆音混じりの大きな揺れが全員を襲いかかった。

 

 

 

 

 

 〇銀河連合 オーブ連合首長国 ヘリオス星系 軌道都市(コロニー)ヘリオポリス 大気層某所○

 

「あぁもう! コロニー内部まで攻め込まれちゃったし! 乗ってきた船までやられちまったよ!」

 

 リュースやキラなどがいるカレッジを大きな揺れが襲っていた頃、宇宙空間でザフトと交戦していたムウ・ラ・フラガは苦い表情でオレンジの宇宙戦闘機*1メビウス・ゼロを駆ってコロニー内部まで来ていた。

 当然、クルーゼ艦隊所属のザクと交戦しながらであり、メビウス・ゼロの有線式遠隔操作可能ビームバレル*2を展開して応戦していたが、その動きには眼下に見える人々が平和に暮らしていた居住区へ配慮できる余裕は無かった。

 

「…うっひょー、さすがデニム隊長達。メビウス・ゼロを抑えながら研究所の上を抑えてやがる」

 

 その様子はヘリオポリス工業カレッジを見下ろせる山の中腹の茂みより、地下の極秘軍事工廠で作業をしていたザフトの工作部隊が見上げていた。

 

「おい、見ろディアッカ。研究所で隠されて作られていた例の新型MS…そこから出ようとしているが案の定入口で詰まっている」

「メアリとルイス達が上手くしてくれたみたいです。あそこで足止めされているうちに抑えましょう」

「OKニコル、じゃー行くぞ」

 

 工作部隊達はその身に付けた飛翔可能装置を起動させて、研究所に向けて飛び立った。

 

 

 

 

 

 〇銀河連合 オーブ連合首長国 ヘリオス星系 軌道都市(コロニー)ヘリオポリス ヘリオポリス工業カレッジ 倉庫区画○

 

「早くメインゲートの閉鎖プログラムを解除して! 第二班はまだ格納庫内にある“ストライク”と“イージス”及び“オリジナルGフレーム機”の搬送できるように!」

 

 ザフト工作部隊が飛び立った頃、その目的地であるカレッジ内の倉庫区画の閉ざされたゲートの内側で責任者と思わしきオレンジ色作業服を着た女性が指示を矢継ぎ早に下していた。

 

「ラミアス少佐! 残りの三機はまだプログラムの誤差修正が終わってないと!」

「それにメインゲートの方のOSロックがまだ解除が…」

「そんな泣き言は後にしなさい! もうすでにザフトのザクが目と鼻の先まで迫ってきているのよ…!?」

 

 だが、その女性マリュー・ラミアスが叱咤した直後、彼女の近くにいた作業員が頭部を撃たれてその血飛沫で彼女の身を濡らした。

 

「!? もうザフト兵が研究所まで…!?」

 

 マリューが視線を変えると、その方角には先ほど山の中腹の茂みから飛び立ったザフトの工作員部隊が降り立っており、その中には数名の研究所所属研究員と思われる者もいたが、両者は共通してマリュー達の排除及びに彼女達が運び出そうとしていたコンテナ車の中身の確保に取り掛かっていた。

 

「まさか既に研究所にも協力者か工作員が…アア!?」

 

 目に見えて悪化していく状況にマリューが歯噛みした時、彼女のそばにある大型コンテナ車の上部が内部からこじ開けられ、その中から灰色のMSが幾つも姿を現した。

 

「…GAT-X102デュエル…、OSの頭文字を繋げると…“ガンダム”か。連中にしては悪くない名だな。まだ内側にある例の“Gフレーム”にあやかったか」

 

 その内の一機の内部で、銀色のおかっぱ頭が特徴的なイザーク・ジュールがにやりと笑みを浮かべていた

 

『メアリとルイスの方は?』

『あの二人なら大丈夫さ。アスランとラスティ達がいる班もさっき内部へ突入したからな』

『…だといいのですが…』

 

 イザークが乗るデュエルのコクピット画面に映し出された仲間の画像に、緑の柔らかな髪が相変わらずなニコル・アマルフィの心配げな顔が映し出された。

 

「あーもー! 何で銀連やらザフトやらがここの中にまで来て戦争(ケンカ)してるわけ!? これじゃー昨年にあの大惨事の後であちこち嫌なお偉いさんに頭を下げたりムズイ仕事やってまでここまでとんずらしたのが意味ないじゃない!」

 

 一方その頃、ザフトの別部隊が侵入してきたなど知らず、リュール達は他の職員達と共に避難シェルターを目指す道中にあったが、その一人ネーナが齢相応の金切り声を上げていた。

 

「…やっぱりあの噂が本当だったんじゃないか? オーブと共同で銀連軍の新型機動兵器開発がここで行われててー…?」

「あ…? あぁ…ぐぅぅぅ…!?」

 

 避難していく人々に混じる研究所職員の一人が噂話をぼやくが、それを偶々近くにいたリュールは耳にしてしまうが頭を抱えて苦悶の表情を浮かべた。

 

「ちょっとリュール君、また頭痛が…?」

「…あ、はい…先輩…ザフトと銀連が、ここへ侵攻してきたと聞いてから…ずっと、頭の中に…見たことがないはずなのに…懐かしいような…光景が…」

「…! ちょっと急ぎましょう。さっきの爆発で転んで頭を強く打った時に何処か可笑しくなったかも…(まさかこの状況で記憶が…)!?」

 

 それを見た彼の方を支えるセレーナは表情を僅かにだが引きつらせるが、その途中で大きなホール状の空間に出たところで、本来ならここヘリオポリス内部にはいないはずの銀連の歩兵達と出くわしてしまう。

 

「ッ! おい! アーヴだぞ!」

「さっきのザフトにもアーヴがいたからあいつも違いねぇ! やっちまえ…!?」

 

 その銀連歩兵達はリュール達の姿を見るや、敵意をあらわにして彼らに銃口を向けるが、それが火を噴く前に彼らは真横の壁が突如として破壊されて撃ち出されてきた瓦礫を撃ち込まれて瞬く間に絶命してしまう。

 

「きゃあ!? ここ今度は何…!?」

 

 それにネーナは驚きつつも飛び散った瓦礫や粉塵から身を守るが、それで狭くなった視界で幼年より長く突き合いがあるが、昨年のあの惨劇の後に行方が知れなくなった馴染みが白衣を着た姿で通り過ぎたのを見てしまう。

 

「…え? あれは…たしかメア―――?」

「…ッ、ネーナ…今は皆を避難場所へ…」

「―――ぃ…ってそ、そうだよね。今は皆を安全な場所へ…!?」

 

 ネーナはそれに懐かしさと嫌な予感を覚えるが、今も苦悶を顔に浮かべるリュールに注意されて無理にその感触を振り払おうとしたが、そこで彼らのいるホールの床が大きく崩れてリュールはその身を吸い込まれてしまう。

 

「…アアァ!?」

「リュ!? リューにー!?」

「それ以上は駄目だ! 君も巻き込まれるぞ!」

 

 リュールはより下の階へ瓦礫と共に落ちてしまい、ネーナたちがいる上階と瓦礫で遮断されてしまう。

 

「…うう? ここは…?」

『スゥー』

『トリィ』

 

 そこでどうにか身を起こしたリュールの肩に、何処かへ飛び立っていたスーがトリィを引き連れて戻ってきた。

 

「…え? スー…? その…よく似た子は…?」

「アアァ! ちょっと待ってよトリィ! 瓦礫で他の皆とはぐれたこの状態でまた勝手に何処かへ行っちゃ…!?」

 

 そのトリィの姿にリュールは何故か懐かしさを覚え、それに比例して頭痛とその原因たる見たことのない景色の記憶の強まりに苛まれたところで、初めて聞くはずなのに何故か頭痛を伴った記憶と同様に懐かしさを感じる声が鼓膜を振るわせ始めた。

 

「……き、君は…!?」

 

 頭痛に伴って朦朧となっていく視界に映ったその声の主に、リュールが懐かしそうな声を上げたところで、視界は短くだが回復してその声の主の姿を映し出す。

 

「…え? リュ…リュー…ス…!?」

「…!?」

 

 その視界に映し出されたところで、声の主である少女キラ・ヤマトがもはや会えなくなったはずの友への嘗ての呼び名を自身に向けたその時、リュールは自身の奥底で何か本来太かったが急速に劣化しだしていた縄がブチっととうとう千切れたように、短くも深い頭痛を覚えた直後に意識を失った。

*1
この世界では諸事情あって星界原作の機雷など長距離誘導兵器は実戦でほぼ使えなくなっているので、こうした宇宙戦闘機が復活しつつある。但し、SEED原作同様にMSには大きく劣っていて対BETA戦でも時間稼ぎが限界

*2
この世界のメビウス・ゼロの主兵装は実態弾ではなくビーム式




果たして、種の方の主人公キラ(のTS同位体)が出会ってしまった、このアーヴの少年リュールの正体はいったい!?(棒)
次回は、キラがもう一人の幼馴染とこの再会するあの場面のこの世界でのそれが書かれる予定です。
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