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『よし! それでは事前に決めた作戦通りに動くぞ! 儂らはアークエンジェルとこれから見えるだろう敵艦隊の中間点で自分の身を守りつつもザフトMS・MA部隊の目を引きつけられるだけ引きつける! セレーナ達はアークエンジェルと仲間の背を何としても守り通せ! その間にフラガ少佐率いる別動隊が別の道をこじ開けてザフトの連中を埋め立てにかかるからな! 生き延びて向こうへたどり着けば儂らの勝ちだ!!』
アルテミス・ヘリオス間ゲートのヘリオス側出入り口に繋がる宙域にて、アークエンジェルMS隊の臨時副隊長に就いた両津勘吉の激励がMS全機に鳴り響く。
(…ドゥリュース、大丈夫かな…?)
その先行していく両津率いるMS前衛部隊に混じって彼に次いで前を進む幼馴染が乗るバルバトスの後姿を、ストライクのカメラで見ながらキラはその今は隠されている名で不安げにその身を案じていた。
『報告! アークエンジェル後方○○キロ宙域点にてこちらが先ほど発射したデコイを追って離脱していたと思わしきローラシア級一隻とムサイ級突撃艦四隻を確認! それからデュエル・バスター・ブリッツ及びザク四十機の発進を確認! 更に前方デブリエリア○○宙域点にてナスカ級一隻及びムサイ級四隻及びイージス・シールダー・ルーラー・ベヒモスとザク三十六機出撃を確認!』
「…え!?」
だが、そこでアークエンジェル艦橋から入ってきたその通信がキラにもう一人の幼馴染みをよからぬ意味で思い起こさせた。
(…ってことはアスランもあれに乗って!?)
「…そんな、奪ったGをもう全て投入してきたというの!?」
一方、その報をキラに入れたアークエンジェルの艦橋にてこの世界では同艦副長に就いたマリュー・ラミアスが、同じ報せで愕然としていた。
「今は敵よ! 予定より二分十五秒早いから我が艦も予定より早く今すぐにデブリエリア234宙域点に這うようにして前進!!」
それに対しノスメラギ・李・ノリエガは苦い顔を見せつつも即座に決断を下す。
「…アークエンジェルがもうデブリエリアに…敵がもう近づいてきたのか…!?」
同じ頃、前方を進んでいた両津MS隊に混じるドゥリュースもといリュールはその戦況の変化に目を少し細めたが、そこで
「両さん!」
『ああ! こっちも今さっき見えた! 全機守備球体陣形にてザフトMS部隊に向かうぞ!』
『『『『『了解!』』』』』
同じくその気配をナチュラル以前に人間離れした感覚で気付いた両津の指揮の下、アークエンジェル前衛MS部隊は遅くぎこちない動きで展開し始める。
『デニム隊長! 敵MS前衛部隊十機を確認! 球体守備陣を取っている模様です!』
『わかった! こちらは三機フォーメーション基本として四鶴翼包囲陣形で包囲殲滅する!』
それに対し、ナスカ級高速戦艦ヴェサリウスが率いる方の艦隊から出撃したMS部隊の方は素早く陣形を変えながら速度を速めた。
「…デニム隊長、あの水色のGフレーム使用機には私が…!?」
飛ばされる指示を受けてザクの多くが素早く陣形を変える中で、イージスを駆るアスランは従いつつも具申しようとしたところで、彼の真横を別の機体が高速で通り過ぎた。
『デニム隊長、あの水色のGフレーム機は私が捕獲、出来ないと判断すれば即座に破壊します』
「な!?」
その通り過ぎていったベヒモスより割り込んできた通信映像で少し目を細めたメアリが割り込んできた。
『メアリか、確認しているそのGフレーム搭載機とこの戦場の環境を考慮すれば適任だろう。行け―――』
「っ! お待ちくださいデニム隊長! メアリの三マンセルには私も参加します!」
『―――っ何!? どういうつもりだ!?』
それにデニムが妥当との判断を下すも、それに今度はアスランが割り込んで了承を得ぬままベヒモスに追いすがる。
『アスランめ何のつもりだ?』
「わからん、だがあの二人だけには任せてはおけん。ミゲル、お前もあの機体と交戦経験がある! あの両名を指揮しつつ水色Gに当たれ! 他はそのまま銀連軍新量産型に当たるぞ!」
『了解!』
デニム達はそれに戸惑うものの即座に修正案を打ち、そして両方のビーム砲が号令のように戦火を切り開いた。
(…あれは銀連とオーブがこっそり発見して研究していたというGフレーム使用機体…! それにこの感じ…やっぱりあのカレッジでの状況からして…!?)
そして、近づきつつあるバルバトスの姿にアスランはあの時に覚えた疑念が確信にいたるが、その彼が乗るイージスの真横をベヒモスが
「っ!? あの動きは…!?」
それをバルバトスのカメラ越しにリュースが嫌な予感を覚えると、ベヒモスの身から青い稲妻が大量に迸り、それらはその機体の周囲に浮かぶ無数の残骸をかき集め、その形を作り替えて巨大な
「あっぶなァ!」
バルバトスはそれを間一髪の差でかわすが、代わりにその戦斧の一撃を与えられた廃棄コロニーの巨大ミラーの残骸は地割れのような亀裂を無数に生じさせて四散した。
「…この魔術併用攻撃に初見から見下しとかないけどその分の遠慮のない攻撃…まさか」
『…その声は! やはりお前か!』
「っ!? この声は…メアリ!?」
それらの動作にリュールが懐かしさを覚えたその時、それを確信へと至らしむ声がオープン回線で繋がってきた。
それはリュールが、アブリアルに連なるドゥリュースで公に呼ばれていた頃の幼馴染みにして、昨年に起きたあのユニウスセブンでの大惨事で別れ、今回起きたあのヘリオポリスでの襲撃で研究所職員に変装して潜入していた、サンドリオ・ボルジュ=バイルカニュ・メアリの声であり、それを介して伝わる魔力や気配が彼女を今ここで対峙している相手であるガンダムベヒモスのパイロットであることを証明してみせた。
『メアリ! 何をしているんだ! もしも撃墜してリュースだったらどうするんだ!?』
『今ので堕ちたらあのしぶとすぎる逃げ足の速いあいつじゃないという証拠だ』
「…あーうん、このやりとりメアリだ。そんであのイージスに乗っているのは今でもアスランか…ぬお!?」
その途中から慌てた声で割り込んできた地球留学時代の幼馴染みの一人もまた割り込んできて、リュールは若干昔の気分に戻ったが、その間にもベヒモスが振るう戦斧にバルバトスの両足を狙われたので器用にバック転のような動作をさせてまたギリギリで回避する。
『やはりド…じゃなくてリュースなんだな! 生きていたのか!』
一方のアスランは途中で本名を呼びそうになりかけるもよからぬ可能性を感じて慌てて昔の愛称の方で呼び、安堵と疑念の入り混じった声をぶつけてくる。
『どうしてお前と彼女が…キラが銀連軍の機体に乗っている!? 何でナチュラルなんかの味方をしているんだ!? ましてあの惨劇の場にいた一人であるお前が!?』
「…っ…それは…っ!?」
その必死の問いかけにアーヴと言っても精神は今の年齢相応に若く未熟なリュールもといリュースは苦い表情を浮かべるが、それに引きずられて動きも若干鈍くなったのか、受け流しはしたもののベヒモスの戦斧の一撃を片足に受けて水色の装甲が一部砕けて実際の質量物に充てられた時以上の衝撃を覚えてしまう。
『生け捕りにしてからでも詳しいことは聞ける! 今は手加減しない方がいい! こいつは堕とすつもりでかかって何とか戦い続けられなくなる傷を負わせられる相手だ!』
『…っ! だが…!』
『説得はその間にも続けられる』
『…わかった!』
だが、その合間にもメアリはベヒモスを容赦なく駆り、強引な論法でアスランをしぶしぶ了承させると二人一組でバルバトスに襲い掛かる。
「くそ! リュールめ球体陣を作る途中で迫ってきたあのGに追い払われて捕まっちまって離れられんか…! しかもイージスまで付いたとなるとスキュラをぶつけられると―――」
『りょ、両津さん! 私が助けてきます!』
「―――おってちょっと待てぇ!」
それを球体陣形で守りを指揮しながらも両津は見て苦い表情を浮かべるが、そこでキラの駆るストライクが守備陣形を抜けてバルバトスに向かいだすと表情がさらに悪くなる。
「…! あれはキラの…まずい! 今この状況で来られても…あー! やっぱり!」
それに嫌な予感を覚えたリュールの前でベヒモスは即座にストライクへ向かってその戦斧を振りつけた。
「きゃああああああ!?」
その戦斧の一撃をストライクは慌てて高速機動に重きを置いたエールストライクの装備の一つであるシールドで何とか防ぐも、戦技と出力の差から呆気なく別のデブリに叩きつけられてキラは悲鳴を上げてしまう。
「アスラン、あのストライクに乗っている方は反応こそ速いが戦闘技術自体は素人だな」
『…! あ、ああ…?』
「お前はそのストライクをあしらいつつ中の操縦手を説得して適当に弱ったところを捕まえろ。お前があれを相手していればあの水色の方のはそれに気を割かれてこちらとの戦闘に集中できなくなる」
『っ! わかった!』
「ミゲル先輩はストライクよりか戦慣れしてる水色の方を共にしてもらえるか?」
『ああ! それ向けの装備も持ってきているしな!』
その動きを見てこの場における最適解を割り出したメアリは即座に僚機を仕切り直してバルバトスに向かい直した。
〇オーブ連合首長国 ヘリオス星系 デブリエリア宙域 某廃棄エネルギー製造コロニー○
「…フラガ少佐、連中は予定よりも二十秒早く指定のエリアに近づいているようです」
キラとリュールを苦境が襲おうとしていたなか、ザフト艦隊を隙間越しに見られるデブリの中の一角に、メビウス・ゼロと作業用宇宙船数隻に数機のウィンダムの姿があった。
「ああ、こっちも確認した…。けどまあ、あの状況でこんなのを思いつくなんてとんでもないねーあのアーヴの坊主は…」
『フラガ少佐、こっちの作業は終わりました。衛宮君達の方もあと二分くらいで作業は終わりそうです』
この状況の向こう側で戦っているその若人に舌を巻いているムウ・ラ・フラガの眼前に、映像越しに黒のツインテールに翡翠色の瞳をした一部西洋系の血筋を感じさせるアジア系の少女が報告してきた。
「よし、作業が終わり次第に俺達も
『『『『『了解』』』』』
今も銃火が行きかう戦場の中で戦う仲間達の苦境にやきもきしつつ、フラガ達も自分達の役目を全うすべく必死に作業を進め続けた。
フラガ少佐、本作主人公と戦術予報士お姉さんの悪知恵のために動いている感じですね。
ですが、次回の方で本作主人公とあの子が割とピンチになるかもしれません。