星界の輪廻   作:oosima

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今回、あの種ガンダム世界のスキンヘッド分野での代名詞(?)なあの人がようやく登場します。


060 敵味方の曖昧なる境界

 〇C.E(コズミック・イラ)71年1月26日昼(帝国暦952年1月26日昼) 銀河連合 オーブ連合首長国 ヘリオス・アルテミス間平面宇宙 銀連軍宇宙戦艦アークエンジェル○

 

「…ふう、何とか明日には味方の基地に入れるって話だったけど…」

 

 ザフトのクルーゼ艦隊との戦闘をどうにか切り抜けた日の翌日、キラはアークエンジェルの展望区画で視界に映る平面宇宙の光景に不思議な安らぎを覚えながらこれまでのことを思っていた。

 この世界の平面宇宙は、リュール達アーヴが物語で描かれている別時間軸と同じく一次元の時間と二次元の空間で構成され、宇宙船はその内部を時空泡に包まれた状態で進むことで、星系間を超光速で進むことができるというのは同じであったが、いくつかその別時間軸にはない特徴がこの世界の平面宇宙にはあった。

 

「…でも本当に不思議だな、この平面宇宙って―――」

「はあああああ!? じゃあ!? この船ってザフトに追われてるのかよぉ!?」

 

 その目の前に広がるもう一つの宇宙についてキラの想いが深まろうとしていた時、ここ最近にて面識が出来たが苦手意識がある少年の声が邪魔してきた。

 

「―――って…え…この声は…」

「だったら何? あのまま宇宙の中をさまよってお陀仏か戦闘の巻き添えで花火にでもなってる方がマシだったの?」

 

 キラがその声に釣られて展望エリアに近い食堂の一つの入ると、昨日にて救助された作業用宇宙船から出てきた一人であるジョン・ハワードが周囲の目を気にせず狼狽し、フレイがそれを窘めていた。

 

「すまん、こちらとして選択肢は限られていてな…」

「どの道、この銀連軍の船とあのザフトの交戦でヘリオポリスも崩壊した以上はどの道この船に拾われるしかなかったからな。むしろこちらは感謝すべきだ」

 

 その食堂内ではサングラスをかけて銀連軍の白い成人用正式軍服を纏い、大きな黄色いアフロをした青年が、ハワードと同じく昨日に救助された一人だが黒い短髪でクールな容姿と雰囲気をした少年のカオル・サウドノーツに謝罪していたが、むしろ感謝の意を示されていた。

 

「…っ…」

「…?」

 

 そこで別のドアからリュールが食堂内に入ろうとしていたが、カオルの姿を見ると少し居づらそうな顔を浮かべてきた道を戻り、それにキラは不可解な感覚を覚えた。

 

「リュール? どうし―――?」

「リュール、急ですが仕事が入りました。すぐにMSのOSにロックを掛けてこちら以外には解除できないようにしろとのことで…」

「…あ、わかったよ。今すぐに行く…」

 

 その理由を問おうとしたキラの前で、日光が作業着で現れてリュールをMS格納庫へと連れ去ってしまう。

 

「―――ぃ…あ…」

 

 そうして自分には気づかないまま小さくなっていくリュールの背を、キラは呼び止めることはまだ出来ず、彼とそれを連れて行った日光にモヤモヤとした。

 

「…おーい、今やっと戻って来たー。門の向こう側には敵はおらん! それと先にアルテミスへデータを送ってみたらすぐに要塞内部への入港許可を出してくれたぞー」

 

 十数分後、リュール達が作業を行うMS格納庫にて、アルテミスにウィンダムで先行していた両津が朗報を携えて戻ってきた。

 

「本当ですか!?」

「これでとりあえずは一安心ね」

 

 その報せにMS格納庫で作業していた面々から喜びが湧き出る。

 これから入港が決まったアルテミスは、銀河連合の有力国及びプラント理事国の一つE.Uに所属する準惑星を改造した要塞で、準惑星の表面の相当な割合を改造した大規模拠点で準惑星表面全体を覆うことのできる光波性科学防御幕、俗に言うバリアーの一種である通称“アルテミスの傘”で守られて難攻不落と名高い。

 

「…でもさー、そんな安全な味方の基地に入るってのにどうしてここでこんなOSロックとか大急ぎでしてるんですか? 要塞に入ってからでもよくないですか?」

「あー、そこは大人の事情というかー…」

「「「「「????」」」」」

「「「「「…………」」」」」

 

 そんな味方の安全地帯へ行く前の準備とは思えない状況に天の助達は首をかしげるが、ムウの言葉にリュールなど何かを察している風な面々は黙って作業を続けた。

 

「…何だろう? これ…ヘリオポリスで襲撃を受けた時から、研究所のアーヴの人たちが大事そうに運んでたし…中には何が…?」

「あ、駄目です。それは帝国から条件付きで貸してもらった代物で、下手に傷をつけたりすると国際問題になりますから…」

「…あう、ごめんなさい…」

 

 その訝しんでいる作業員の一人に混じるキラは、中に入っているかわからない巨大なコンテナに不思議と惹かれ、日光の注意を受けたりもした。

 

 

 

 

 

 〇C.E(コズミック・イラ)71年1月26日夜(帝国暦952年1月26日夜) 銀河連合 オーブ連合首長国 ヘリオス星系 ヘリオスゲート前デブリエリア クルーゼ艦隊○

 

「アイザック、ガモフ、同宙域ユアノン操作術式展開布陣への配置が完了しました」

「各ムサイ級の微調整位置への配置も終了です」

 

 アークエンジェル内部で不穏さを感じさせるやり取りが行われてから数時間後、彼らを取り逃す形となったクルーゼ艦隊はヘリオポリスの近くにあるその平面宇宙で出入りするゲートの前で、複数の艦が何らかの機器でつなぎ合って大きなサークルを形作っていた。

 

「ユアノンの同調数値も安定しました」

「…そうか、ではゲートを繋げろ」

 

 そして、クルーゼの命令を受けてサークルの内部を白い稲妻が生じて次第に大きくなり、それはヘリオス星系のゲートに比べれば小さいがれっきとしたそれの同類になった。

 これは、ユアノンの固まりであるゲートを利用したザフト側の技術の一つで、ユアノンが深層霊質では距離に関係なく繋がり合っているという特性を生かし、外部からそれに干渉することで遠方にあるゲートと一時的に繋がり合うというものだった。

 これを用いたNジャマー散布やMS投入によって、BETA戦があるとはいえ数で圧倒的に勝る銀連軍を相手にザフトは今に至るまで優勢に戦ってこられたのだ。

 但し、そうした短期人工ゲートを作るには、時期や対象となる近くの長期ゲートの状態にもよるので、いつでも何処から何処へでもではなかった。

 

「…対アプリリウス人工ゲート側から信号を着信。ヴェサリウス及び損傷した艦の帰還を認めるとのことです」

「及び、代わりにマネキン艦隊を送る故に残存するクルーゼ艦隊所属部隊は次の命令までその元へ赴任するようにとのことです」

「よし、拝命する。それでは行くぞ」

 

 そして、ヴェサリウスらクルーゼ艦隊の傷ついた艦が短期人工ゲートをくぐって姿を消していき、代わりにゲート側よりその数を凌ぐ数百の艦船が姿を現してきた。

 

「…うっひょー、壮観だなー。初めからこれくらい使えたら逃げられることもなかったのにさー」

「あのときは表向き習熟航海で大軍は連れてこれなかっただろうディアッカ」

「はいはいメアリ殿、ところで本国への報告にはどいつが行くことになったんだ?」

「専門分野の都合でアスランだな…!?」

 

 そこで残るガモフの展望席よりクルーゼ隊所属赤服の面々が目を見張らせるが、そこで彼らがいる展望の窓ギリギリで一機のザクが高速で通り過ぎてきた。

 

「うわ!? あれはたしかヤヌアリウスのコーラサワー!?」

「!? あの“不死身のコーラサワー”か!?」

「大戦前のパワーローダー競技で全試合自機クラッシュを起こしても本体は未だに無傷ってあの!?」

 

 そのザクの登場の仕方と機体に付いていたシンボルマークから、展望区画に集まっていたザフト兵達は色めき立った。

 

「…あの馬鹿、またパワーローダー競技気分を出しおって…」

 

 但し、短期人工ゲートより出てきた艦隊の旗艦バッハの艦橋よりその姿を見る、眼鏡を掛けた知的且つ冷静な雰囲気が似合うその美女は、頭が痛そうな表情を浮かべていた。

 

 

 

 

 

 〇C.E(コズミック・イラ)71年1月27日朝(帝国暦952年1月27日朝) 銀河連合 銀河中心領域付近 E.U所属アルテミス星系○

 

「…おおー、あれが噂の難攻不落要塞アルテミスか」

 

 ザフト側でも新たな動きが生じた日から次の日、アークエンジェルの展望区画にて先のMS戦闘でもウィンダムの一機に乗って出撃し、その機体も用いた難解な魔術(?)も駆使して突破に貢献した一人である、黄色い大きなアフロと黒いサングラスが特徴的な青年ボボボーボ・ボーボボが、ようやく目視できる距離まで近づいたその目的地に安堵の声を上げていた。

 彼もドゥリュースが記憶喪失を起こして亡命アーヴの成年リュール・ソードリュとして、王財閥の仲介でヘリオポリスのオーブ・帝国共同研究事業に従事していた頃、被験者や魔術技術者として知り合って縁を深めた人物の一人である。

 

「アルテミスの傘と通称されているあのバリアーは帝国から見ても高ランクで優秀な防御兵装みたいですよ。まー、一度展開されたら味方とその攻撃も通せないらしいですけど」

「でもま~、これで安心だよなー。こんな手厚い歓迎まで受けてるし…」

 

 その隣りにはリュールの姿もあったが彼はボーボボと共に両手を上にあげており、二人の周囲を始めとしてフロスティブルーの軍服を着たE.U所属銀連兵が銃を突き付けて人々を連行していっていた。

 

『二人とも現実逃避はそこまでにしておいてくださいませ。この船は味方であるはずの者達に制圧されてしまったのですよ』

 

 電脳通信越しでリュールとボーボボに伝えられた王留美の冷静な突っ込みが示す通り、アークエンジェルは平面宇宙をアルテミス側ゲートより出てアルテミス星系通常宇宙に出たところで、待ち構えていた要塞アルテミス所属のE.U系銀連軍艦隊に包囲されて拿捕され、今は要塞へ牽引されている途中であった。

 

「…ヘリオポリス崩壊及び大星洋連邦の極秘兵器研究開発覚の噂は本当だったようですね…」

 

 そして、その様子は準惑星アルテミスの表面の多くを覆うように築かれた要塞の司令室より、その事態を起こしたE.U系の銀連軍将校がニタニタとした表情で望遠映像越しに見られていた。

 

「…まあ、そのあたりの詳しい話はここへ彼らが到着した後でゆっくりと聞くことにしよう。向こうとて孤軍の状態でザフトから逃げ延びて疲れているだろうからなぁ。艦と機体のことも含めてな…」

 

 その司令室の中心にて、要塞アルテミス及び同星系駐留艦隊司令官である、E.U所属銀河連合軍中将ジェラード・ガルシアが野心を隠さない笑みを浮かべ、映像から放たれる光をその剃り上げた(?)頭で反射していた。




最後の最後でようやくあのスキンヘッド親父を出せました(階級は一つ上がっていますけど)。
次回、種ガンゲームのネタが出てくる予定です。
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