星界の輪廻   作:oosima

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今回、久々のこの作品の投稿です。
それと作者の地元系のネタもありますので、興味があれば作者のⅩ(twitter)にその元ネタがあるので興味があれば時間がある時でも見てほしいです。
同じように作者地元系ネタを用いた作品があるので、それらも読んで楽しんでj暇な時にでも応援していただければ嬉しいです。


098 催事に隠れる新たな謀

 ○C.E(コズミック・イラ)71年2月23日早朝(帝国暦952年2月23日早朝)現地時間朝 銀河連合 旧人民主権星系連合体大星域 銀河中心領域付近 シュリア星域 パルミュラ王国 第一パルミュラ星系 第二惑星アンティオキア 首都セレウキア郊外 エンパイア・ワールド・コンビ・スピードリング大会会場○

 

「な!? 何これ!?」

 

 レースが始まって早々に起きた爆発に、レースの出場選手として出たリュッカ(リュール)選手とミッカ(日光)の二人のマシンの整備スタッフとして偽名と変装で参加しているマリューは驚愕を隠せない。

 

「ギャアアァアァアアアアあぁ!?」

「…あー、レースが始まって一秒未満後に大会選手の何人かがさっそく妨害行為に出たり、それで排除されたりしたわねー」

 

 自身の足元に破壊されたマシンとそれに漫画みたいな煤だらけのボロボロだが命には別条はなさそうな状態で転がってきた選手を見て、同じく整備スタッフ枠で出ていたセレーナが感心したふうな顔を浮かべていた。

 

「おい!? 大会の運営役はどうしてるんだ!?」

「いや、最初から魔術含めた選手間での妨害はOKと言ってたじゃないですかナタル…ナタルールさん」

「ちょっとリュールく…リュッカ君は大丈夫なの…!?」

 

 それでアークエンジェル正規クルー大人組の多くが動揺している中、巻き起こる爆炎の中からそんなのお構いなしとばかりに無数のマシンが飛び出てきた。

 

「うっわ! 開始早々に魔術で爆炎ぶつけてくるなんて…日こ…ミッカがいて斬り飛ばしてくれてよかったよぉ…」

「あなたの魔術による強化が無ければ一発で沈んでましたね…」

 

 その飛び出たマシンの群れの中で先頭に近いそれの一つに、リュッカ(リュール)とミッカ(日光)の少し驚き慌てつつも深刻そうではない様子があった。

 

「「ギャアァアアアアアァ!!」」

『おおっとーー! レース開始してから0.23秒後に先頭に躍り出たマイヤー商会会長ジミー・マイヤーとその秘書コビー・ウットキナーが脱落しましたー! そして! マイヤーコンビを後ろから撃破してその後に躍り出たのは―――!?』

「ふ! 先走りばかリする愚かなちび豚め!」

「殿…ではなくて社長、今は人目も多いですのでそのような炎上を集めそうな言動はあまり…」

 

 ギリギリぶさ可愛いと言えそうな豚のぬいぐるみのような姿をした、明らかに成金趣味全開な金ぴかなパイロットスーツを着た豚型亜人の小男と、目元を隠す青のヘルメットを付けて何処か和風っぽいスーツを着た男が乗る、豚の蹄のような装飾が付いた無数に突いた金ぴかなスピードリングであった。

 

『―――アアっとぉ! 常に有力者に媚び売りまくるも没落し始めれば途端に足蹴にして根こそぎ奪うという非合法ギリギリな商売でのし上がったブリブリグループ会長ぶりぶりざえもんと同氏に全銀河労働基準条約無視でこき使われていると噂のアクション仮面乃助氏だー!!』

「だから今の私の名前は吉良ブリのす…っではなくてレオナルド・デカぶりオだ! それと根も葉もない造言を抜かすなー!!」

 

 実況のギリギリを普通に越している放送に怒りつつも、その金ぴかスピードリンクを乗りこなすデカぶりオが今度は先頭に躍り出る。

 

「…うーん、名前が変わってもあの人は変わりませんね…」

「何か妙に憎み切れないよねー。結構な頻度で止めを刺したくなる思いは抱かせられるけど…うわ!?」

 

 続くのはリュッカ(リュール)とミッカ(日光)が乗るマシンだが、その後続からも続々と他のマシンも追ってきてくる。

 

「…激しいというのは聞いたけど、ここまでだなんて…あの子達は大丈夫なの?」

「マリュ…マリアさん大丈夫ですよー。そっちが考えているよりもあの子達って強いしー…何よりズルいから♪」

「…え…ズルい?」

 

 その自分達の目にはあまりにもデンジャラスすぎるように見えるレースとレーサーたちに懸念を強めるアークエンジェルの正規クルー達に対し、セレーナらリュッカ(リュール)と付き合いの深く長い面々は楽しそうな眼差し、急速に小さくなっていく二人の背に向けて周囲を戸惑わせた。

 

「うおおお! スタート開始早々からさっそく派手に馬鹿がまた潰れおったぞぉ!」

「次はどいつがどう脱落するぅ!?」

「…何か今は隠しているが愉快そうになったら一番愉快そうな若者二人が混じっているぞ」

「でも、なーにか正直な走り方を無造作に縛っているような動きですわねー」

「所々で見たことがある動きをしているが…」

 

 展望フロアに設けられている海上パーティーも盛り上がり始めているが、少数派の落ち着いているように見える面々、特に帝国から来た大公爵三名は選手たち、とくにリュッカ(リュール)とミッカ(日光)には奇妙と興味深いものを見る表情を向けていた。

 

「お待たせしました。地球起源夜光貝の亜種ドイサック産金剛夜光貝のジュデール産十五種香料包み焼きでございます」

「ああ、ご苦労」

「よく、このようなご時世に地球産の繊細な貝類をよくもここまで自分らの好みや他の種族の舌にも受けるものにしてみせたな」

「食には一番手を抜かないジラルハネイさん達らしいですわねー。記者さん達にも良い食費の元になるでしょう」

「それを言うならこの銀河で馳走を口にすることすら罰当たりにならずに済む者のならない日ももはやないぞ」

 

 そこで帝国産食材と料理人による料理が運ばれて来て、ダイアモンドを思わせる白を基調として澄んだ虹色の輝きを放つ巨大な巻貝を皿とし、その肉を用いた上等な料理が運ばれて来て客達を沸かせた。

 

「…ふむ、この時代では貴重な天然食材をこちらの舌にも合う味にされるとは…、星達の眷族は言葉と違い他への気遣いは怠られませんなウルス大公爵」

「まだ人や国の多くが未熟であった頃に戻された時の内に、偶々早く良い船を作れて扱えるところに生まれた運も混じって多く先どりで来た結果ですよミナ卿」

 

 その中で帝国から来た大公爵三名の席には帝国内外から来た多くの要人が集ってきており、今はオーブから特別大使として来たロンド・ミナ・サハクとゼスカハは談笑していた。

 ミナはオーブ連合首長国の五大氏族の一つサハク家の出身で、黒くしなやかに伸びた長髪と紫色の瞳で、アーヴとは異なる凛々しい地上人の美貌を持ち、女性にしては高い190センチ台の身は、抑えられているとはいえ帝国の大貴族三名と同席しても震えずに悠々と接していた。

 

「…ええ、その通りです。故に…より先へ進んでより多くのものたちを引き上げられる高みへ進める者達を、力ある者達は後押しすべきだと私は思うのです。今、あなた達が密かに期待を向けられている彼らのように…」

 

 その皆は夜光貝を素材とした匙で、今はレース会場を出て野外コースエリアに出たレーサー達、特にリュッカ(リュール)とミッカ(日光)を指し示して、憂慮と期待を静かに混ぜた瞳も向けた。

 

 

 

 

 

 ○C.E(コズミック・イラ)71年2月23日早朝(帝国暦952年2月20日早朝)現地時間朝 銀河連合 旧人民主権星系連合体大星域 銀河中心領域付近 シュリア星域 パルミュラ王国 第一パルミュラ星系 第二惑星アンティオキア 首都セレウキア近郊砂漠地帯 レース可能領域内○

 

『おぉー! もう早速マシン達は危険が潜む砂漠地帯に突入しましたー! 先頭を切るのはーーー…日本の謎が深き美しいレーサー“ノーヘッド・ゲン”と“ヤング・ケンジ”の“ノーヘッド.com”だー!』

「うわー! ゲンさんにケンジ君どっちもすごいねちーちゃん!」

「…表向きは何処にでもある小規模地上運送会社が…落差凄すぎでしょー…!?」

 

 要人達の華麗な舞台に隠れたやり取りも始まって数分後、スピードリング達はもう郊外すらも出てこの星の大半を占める砂漠の一角に入っており、その様子をカメラ越しに町の中にある日本皇国辺りから来た普通な美女二名は対照的な反応だが喜び合っていたその時、そこで画面が突然生じた巨大な砂塵に包まれた。

 

「…む、こいつは…」

『おおっとー! 砂漠の番人が姿を現す! かつて大戦期にドクツ・ゲルマニクスが撒いた危険極まる生物兵器由来外来種“ヤマタノサソリ”だー!!』

「「「「「キシャアアアアアアアアアァア!!」」」」」

 

 現場でその華のある金髪とさわやかな美貌で下あごが見えなくなるまで首が太いことも愛嬌に見せるゲンがその砂塵の中より見たのは、咆哮を放ってその名の通り巨大な八本の尾とハサミを振りかざす、マシンよりも大きな巨躯を持つヤマタノサソリの群れであった。

 

「…そろそろ良さそうだな」

「ああ、彼女を下ろそう…」

 

 その群れを見た時、帝国から参加しているあるレーサー二名が乗るスピードリンクから一つの部品がポロっと落ちて、それは砂漠地帯にある谷のような深さを持つ遺跡の底へと落ちていく。

 

「…聞いてはいましたけど、本当にレースでここまでするのですね…」

「…帝国ではもっとありえねーな所をコース場にしたりするけどねー。まー…この辺りは君が向いてそうだからお願いするよ」

「…ええ、今のところはお任せください…」

 

 一方、近づいてくる猛獣たちの群れにリュッカ(リュール)がハンドルを握りなおすと淡くも澄んだ白銀色の光の線が一瞬だがそのマシンの表面を覆い、目を細めたミッカ(日光)が手を軽く払うと、それからは半透明状の霧のような魔力が刀のように出るもすぐに消えた。

 

(…あちらが今回のお祭りに乗じて皆さんを害そうとする人たち、遠慮はしませんよー…!)

 

 一方、帝国から出た別のチームから落ちたその部品は谷底へ落ちていく途中で姿を変えるが、それは特殊部隊の衣装に身を包んだブライア・ボルジュ=イービァラ・ヨルとなった。

 

「…ふん、連中もまた調子に乗りおって…」

「まぁいいさ、今回こそは連中に赤っ恥を掻かせながら奪ってやる…!」

 

 そのヨルの視線の先には遺跡とその闇に隠れる形で現地民に扮した不穏な武装勢力の姿があり、彼らが何やら怪しい幾つかのコンテナの点検をしている姿を見ると、ヨルの双眸は細まってその姿は空気へ溶けるように消えた。




次回、話が早めに感じられるような展開になるかもしれません。
ちなみに、今回の料理の元ネタはこちらが運営しているこのX (https://x.com/kaioosima/status/2062563563932471691)に載っています。
他の作品にも用いている色々な資料や写真が載っているので、興味と時間が出来たら見て拙作の数々と共に応援して下さると嬉しいです。
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