ウチのウララがえらいのチームに連れてきた   作:鹿頭

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新時代の扉を開いた記念


ハルウララは 暴君を つれてきた!

 ───アオハル杯。

 

 その昔トゥインクル・シリーズと並行して開催されていたが、チーム戦、また単純に走る回数が増えることもあり、不参加者の続出で自然に廃れていった……らしい。

 

 それを何処からか知ったとあるウマ娘がちびっこ理事長に復活の嘆願をした結果、あのウマ娘思いの理事長は復活させ───アメリカに出張していった。

 

 なんと無責任な……と一時期トレーナーの間でも話題になったが。

 ベテラントレーナーを中心に例の計画(Project L'Arc)に向けた布石である、との見方が強まってからは(どうもそういうことにしたらしい) そういう事も無くなった。

 

 だが──ウチのハルウララには関係のない事だ。

 そもそもそんな余裕はない。

 ウララは中央は疎か、地方ですら勝てるかどうか、のレベルだ。

 

 どうしてここに居るのか、居れるのか?

 

 なんと理事長が面接一本で通したのだ。

 一体何をしているんだ。

 そんなウマ娘の面倒を見ている自分も何をしているんだか。

 

 ───それはともかく、今はまったくそれどころじゃない。

 

 まずは一勝。

 

 その為にも、すぐに集中が切れるウララにしっかりトレーニングをさせなければ……あれ、もしかしてアオハル杯は打ってつけなのでは?

 

 それなら話は別だ。

 

 是非ともウララにはチームメンバーを探してもらおう。

 

「わかった。だけどアオハル杯参加にはチームメンバーが必要だから───」

 

「わかったよトレーナー!ともだち沢山連れてくればいいんだね!」

 

「4人でいいからな!」

 

 ハルウララのコミュ力は重賞級だ。

 

 お世辞にもウララの実力的にアオハル杯の為のチームが集まるような事は難しいかもしれないが……もしかしたら面倒見の良い同室のキングヘイローや、仲の良いライスシャワーとかなら有り得るかもしれない。

 

 思うにキングヘイローは短距離〜中距離に適性があり、ライスシャワーは生粋のステイヤーだ。

 どれもウララには無いものを持っている。

 

「トレーナー!チームにはいってくれるって子を連れてきたよ!」

 

「えっ」

 

 勢いよく滑り込むように部屋に入ってきたウララは、開口一番にそんなことを言った。

 

 いくらなんでも早過ぎるだろ?

 ああ、まぁきっとキングヘイローだろう。

 そんな事をトレーナーは軽く考えた。

 

 彼女は日常生活の面倒をよく見てくれているから『もう!仕方ないわね!このキングがウララさんに力を貸してあげるわ!』とかなんとか言って来たのだろう。

 

 とはいえ彼女はあの有名なGIバを母に持ち、上昇志向が非常に高い。

 生憎苦手なタイプだが……ウララのためにもある程度は合わせて───

 

「オルフェちゃんだよ!」

 

「へ?」

 

 ───空気が塗り潰されていく。

 

 一歩、一歩と彼女が歩みを進める度、部屋の空気が彼女の所有物と化していく。

 さも当たり前のように。 

 最初からそうだったように。

 

 それがオルフェーヴル。

 

 全てを踏み砕かんと君臨する黄金の暴君。

 

 彼女の威光は学園のみならず、レース界に広くその存在感を示している。

 

 ウチのウララとまっっっっっっったく接点が思いつかない。

 どこで彼女と知り合ったのか、というより何をどうしたら連れて来られるんだ。

 

「ウララ……お前どこで知り合ったんだ?」

 

「オルフェちゃんとはよくボールで遊ぶんだ!」

 

「よくボールで遊ぶの!?」

 

「うん!」

 

 まるで信じられない。

 

 あの暴君と謳われ、彼女を崇拝するウマ娘も大勢居るほどのオルフェーヴルがハルウララとボール遊び!!?

 

「こないだリフティング教えてくれたんだ!」

 

「リフティングを教えてくれたんだ!?」

 

 リフティングをするの!!?

 オルフェーヴルとうちのウララが!?

 

「トレーナーにも今度見せてあげるね! とっても上手になったんだ!」

 

「え、ああ、うん、ありがとう」

 

 空返事気味に言葉を吐き、黄金の暴君へと向き合う。

 

「あの……ウチで本当にいいの?」

 

「くどい。王に二言は無い」

 

「わかった」

 

 その一言を聞いたのはウララだけなんだが。

 指摘しない優しさがあった。

 

「それで、トレーニングは?アオハル杯の非公式なものとは言え一応どうするかは聞いておきたいんだが」

 

「王に相応しいモノであれば献上せよ」

 

「わかった。考えておくよ」

 

「…………」

 

 品定めするような目線。

 いや、事実されているのだろう。

 

 ()()ハルウララを担当しているトレーナーが二つ返事で返したからだろう。

 俺は未だに、ハルウララを勝たせていない。

 この中央で未だ未勝利トレーナー、という訳だ。その事は自覚している。

 

「して、他の者は?」

 

「オルフェちゃんが最初だよ!」

 

「ほう。最も早く余に声を掛けるとは、流石よなウララ」

 

 暴君はご満悦そうだった。

 

「後3人連れてくるんだよ」

 

「うん! わかったトレーナー! すぐ探してくるね!」

 

「いってらっしゃい」

 

 ばびゅーん、と走り去っていくハルウララ。

 そうして残されるはウララのトレーナーと、暴君オルフェーヴル。

 

「して、だ」

 

 軽く息を払ったオルフェはトレーナー室の全く役に立っていなかったパイプ椅子に威厳たっぷりに腰掛けた。

 

「王たる余が出向いたと言うのに茶の一つも出さぬのか」

 

「ごめん! ちょうど切らしてるんだ。にんじんジュースならあるけど」

 

「構わん。疾く捧げよ」

 

 暴君陛下が仰せなので戸棚から出したコップににんじんジュースを注ぐ。ウララのお気に入りだ。

 

 あのハルウララとは言え、専属契約を交わしているため与えられたこのトレーナー室の来客用のコップが役に立つ日がまさか来ようとは。

 

 アオハル杯、侮り難し。

 

「どうぞ」

 

 そう言ってジュースを机に置く。

 

 それを手に取ったオルフェーヴルは一口飲むと、その紫水晶の瞳をこちらに向ける。

 

「ハルウララのトレーナーよ」

 

「何?」

 

「貴様はハルウララに何を求めている?」

 

 嘘偽りは赦さぬ、と言わんばかりに強められた眼光。

 皇帝といい、やはり強いウマ娘はこの手のオーラを気軽に操る。

 その度に、トレーナーとしての存在意義が判らなくなるくらいだ。

 

「まずは一勝かなぁ」

 

 未勝利のハルウララがこの学園にいるのは()()()()()だ。

 地元の高知じゃグッズが爆売れしているとか。

 だが───トレーナーとして、彼女の勝利を願わないのは、ありえない選択だ。

 

「───良い。励めよ、トレーナー」

 

 そう言って目を閉じた暴君は再び杯に口をつけた。





ちなみにオルフェーヴルは育成未実装なので英雄王と神王と日笠キャラを参考にしているからキャラ違っても許してね!
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