ウチのウララがえらいのチームに連れてきた   作:鹿頭

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アオハル杯プレシーズン第1戦 ③

 

 ハルウララのレースは次に期待が持てそうな結果だった。

 一見すると、もしかしたら勝ってたかも?とも捉えられるようなレースだったが。

 

「エ、エルの勝ち…デスけど……心なしかみんなが冷ややかな目線をしてる気がするデェェス…」

 

 エルコンドルパサーが絶不調。

 そしてハルウララが珍しく発揮した根性が合わさった結果なのだろうと、事情を知っている者であれば容易に判断できる。

 

「……はぁ…っはぁ…」

 

 息も絶え絶えにゴール板を過ぎた側で倒れ込んでいるハルウララのもとに、歩み寄ってくる影があった。

 

「良いレースだったわ」

 

 ラモーヌは、心からの称賛をハルウララに贈る。

 彼女を知るものだと珍しいと思う光景だった。

 

「っ……でも…負けちゃったよ、わたし」

 

「けど、美しかったわ」

 

「……きれい?」

 

「───ええ、とっても」

 

 慈母のように微笑む今のメジロラモーヌに、魔性と呼ばれ得るような雰囲気はどこにも無かった。

 

「つぎはいっちゃく、とりたいなぁ……」

 

 コレが、悔しさの味なのだと。

 ハルウララは涙ながらにそう思った。

 

「なら、努力を重ねることよ、()()()()()

 

 微笑むラモーヌは手を差し伸ばして。

 

「………うんっ!」

 

 ハルウララは、その手を取り、ゆっくりと、確かに芝の上に立ち上がった。

 

「歩ける?」

 

「うん、だいじょうぶ!」

 

「流石ね」

 

 二人はターフから離れていき、他のメンバーの元へと進んでいった。  

 

 その光景を暖かく見守るウマ娘が、向こう側にふたり。

 テイエムオペラオーと、キングヘイローだった。

 

「ボクの走りが、言葉が届いたようで何よりだね!流石はボク!はーっはっは!」

 

 オペラオーが満足げに高笑う。

 

「ウララさん…よく頑張ったわ…」

 

 キングヘイローは感動にうっすら涙を浮かべている。

 

「キングも頑張るわ…! 大切なのは諦めない気持ちね…!」

 

 その勢い、自分の試合がまだ済んでいない事も若干忘れるほどだった。

 

 ハルウララがチームメンバーの元へ戻った時、トレーナーが来ていたのにウララはそこで初めて気がついた。

 

「あ……トレーナー」

 

「ほら、脚冷やせ」

 

「……うん」

 

 トレーナーはウララを座らせると氷嚢を渡した。

 受け取ったウララは早速両脚につける。

 

「痛みとかは?」

 

「ぜんぜん!でも、ちょっとつかれたかも…」

 

 とはいえ、特に痛む部分もないから、どこを冷やしていいのかわからず、適当なところに押し当てるのだった。

 

「……本当に頑丈ですわね」

 

 ジェンティルドンナが半ば呆れたように呟いた。

 

「無事之名。いい事だよ、本当に」

 

「───?」

 

 その時、トレーナーは何処か遠い所を見ていたようにジェンティルは感じた。

 

「あれ、トレーナー、オルフェちゃんは?」 

 

 オルフェーヴルの姿がない事に気がついたウララは、行方を尋ねる。

 

「いや、見てない。ま、負けたのが悔しいんだろ、ほっといてやれ」

 

「そっか。やっぱりくやしいんだね。オルフェちゃんも」

 

「そりゃな」

 

 トレーナーは頭を掻いてから、座るウララに目線の高さを合わせて、じっと目を見据えた。

 

「勝つぞ、ウララ。有記念」

 

「───うん!」

 

「よし」

 

 そういってトレーナーは立ち上がった。

 

「あら、トレーナー。オルフェーヴルさんは慰めなくていいのね?」

 

 ジェンティルが揶揄うようにトレーナーに尋ねた。

 

「いやその………俺、負けて悔しいウマ娘の慰め方とか正直よく知らないから……」

 

「………あ、そう」

 

 ジェンティルドンナは梯子を外された様な気分になった。

 

「次は……シリウスの番ね」

 

 今まで様子を静かに見ていたラモーヌが口を開く。

 

「相手はメジロマックイーンか……」

 

 トレーナーはターフの上で準備をしている二バを見つめた。

 

 現在、三戦一勝。

 ここで負ければ、今回の試合には負けるが、負けた所で特に何かあるわけでもない。

 アオハル杯は、お祭り騒ぎのようなもの。

 チームを解散させて他のチームに合流するも良し、そのまま続けても良しだ。

 

 それに、管理教育を掲げる理事長代理の敗北条件はチーム〈ファースト〉の陥落。

 アオハル杯に参加するという面では、何一つ〈にんじんぷりん〉に問題はないし、関係もないか。

 

(すげぇな!このメンツで負けそうなのか!)

 

 この状況をトレーナーは内心面白がっていた。

 

 メジロラモーヌ、オルフェーヴルにジェンティルドンナやシリウスシンボリが居て、三勝を取れない状況。

 

 この出ても出なくてもいいようなお祭りにウララの下にコレだけのメンバーが集まったのも予想だにしてなかったが。

 

 そんなお祭りの最初の相手がテイエムオペラオー、エルコンドルパサー、メジロマックイーン、キングヘイローにツインターボだ。

 これまたどういう繋がりで集まったのか不思議である。

 

(───ま、トゥインクルシリーズやドリームトロフィーリーグ関係なく走れる騒ぎ、ウマ娘なら参加するか)

 

 果たして次の第二試合はどんなチームと当たるのだろうか。

 それとも───

 

 そんなことを考えつつ、次の試合に目を向けるのだった。

 ───アオハル杯プレシーズン第1戦、中距離部門。

 シリウスシンボリ対メジロマックイーン。

 

「シリウスシンボリさん…」

 

 マックイーンはゲート前でシリウスに話かける。

 

「……なんだよ」

 

「貴女に恨みはありませんわ」

 

 マックイーンは穏やかな表情を見せて、それから真剣な眼差しでシリウスを見つめた。

 

「ですが───今の私は穏やかな心を持ちながらスイーツ禁止という深い悲しみにより目覚めたスーパーウマ娘」

 

「なんだって?」

 

 シリウスシンボリのやる気が下がった。

 

「絶好調のユタカがグッとしたらアレするように……私のアレも揺るぎませんわ」

 

 メジロマックイーンのやる気は絶好調をキープしている!

 

「………もういいから早く走ろうぜ」

 

 シリウスシンボリのやる気が下がった。

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