怪我の具合も良くなってきた頃合、いつもならトラウマのひとつやふたつ抉り出す私だけれど
「はぁ、どうしたのかしら」
そんな事する気も起きない。そもそもここ、地霊殿に訪れる人間や妖怪は数少ない。ただでさえあの幻想郷の創設者である八雲紫ですら私に近づくのを避けるのに
彼はどうすればいいのか
彼の待遇を決めないとペット達からも何か言われるわね
そう考えると私は立ち上がり彼がいる部屋へ足を運ぶ
ノックをして扉を開けると呆れてしまった。彼は寝てる
それはいい、何か今すぐさせるためにきたわけではないのだから
でも
「こいし?貴女の部屋があるでしょう」
「ほぇ?お姉ちゃん?」
どうやら先程までは眠っていたようだ。こいしは優さんを気に入ってるようだけれどいつ飽きるか
「って何してるの!?」
「ほぇ?ほっぺスリスリだよ?なんだかねぇ、この人といると心地良いの〜」
似た者同士でか、ムカムカするこの感情は何かは置いといて、とにかくこいしを離さないと
「離れなさいこいし」
「お姉ちゃんもしかして嫉妬してる?」
嫉妬?私が?有り得ない、一介の人間に情を抱くなど...
そこまで考えあの箱の中身を思い出す
「....」
幻想郷では能力があるという話はしたが私達がどんな能力を持ってるかまでは話していない
多分こいしも嫌われたくないから無意識にその発言をしないよう避けてるのだと思う
ベッドに腰掛ける
優しく頭を撫でて微笑む
「やっぱりお姉ちゃんも気になる?この人の事」
「...少なくともどんな人生を送って...とかは聞きたいわね。でもそれには優さんから歩み寄ってもらわなければいけないわ」
立ち上がり私は部屋を後にした
そのまま仕事部屋まで行きいつも通り仕事をする
時間が過ぎるのは早い、私が作業をしている中も過ぎていく
そんな中彼が部屋へ入ってきた
「あった」
「これの事ですか?」
この負の塊とでも言えよう木箱。ただの木箱なのに中には悪意が詰まっている
戒めのつもりなのか彼は私が持ってる木箱を睨んでいる
顔つきから警戒、もしくは気に食わないと言った顔かしら?
「見た?」
「はい。一応危険物でないか確認の為に」
「...そう」
それだけ呟くと木箱を取りに近づいて来た。警戒は...している。しながらもだなんてどれだけ他人を信用してないのか
「返して」
「これは貴方の下にあるべきものではありません。お空に頼んで焼却してもらいます...っ!?」
この木箱をこの世から消す、そういう発言をしたつもりだった。そう、その発言で彼から異常なまでの殺気が溢れ出した
幻想郷のルールは教えているが従う人間かどうかは怪しい
そもそも弾幕ごっこもパワーバランスが崩れないように作られたものらしいし
特にこれに関しては...
「どうしてこれが必要なんですか?失礼とは思いますがハッキリ言います。これを持ち歩いても得はありませんよ?」
「...僕が僕であるために」
言っている意味がわからない。でもここで渡さなければ何か危険な事になりかねないと私は直感した
直感なんて私にとって縁がないものなのだけれど
「返す代わりに条件があります」
「なに?」
「この屋敷から出ないこと。それだけです。あとはもし声がかかったらその時仕事を手伝ってください」
少しだけ彼は無言になり、ため息が出た後に
「分かった」
その言葉を聞くと木箱を手渡した...が、彼の手に木箱が渡った瞬間、一瞬だけ彼の心が垣間見えた。それは
憎悪
だけどその心もいつの間にか読めなくなっており首を傾げている優さん
「...部屋に戻って大丈夫ですよ。食事の時は呼びますから」
「分かりました」
彼が部屋から出たのを確認すると私は椅子に腰掛け肩で息をしながら頭を抑える
「あの木箱、ただの戒めと思っていたけれど」
実の所は違った。たった一つ覗けただけで優さんが真にやりたい事が分かった。復讐
心を閉ざしながらもその原因を取り除く、取り除いても心は開けない
なんの解決にもならない
「こいしったら大変な人間を拾ってきたわね...」
悪態をつきつつこれからの事を考える
ヒロイン必要?
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必要
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必要ない
-
さとりとこいしで
-
さとりで
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こいしで