物語の途中で殺される悪役貴族に転生したけど、善行に走ったら裏切り者として処刑されそう   作:maricaみかん

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466話 準備の成果

 敵が予定している襲撃に対して、俺たちは準備を整えてきた。その結果として、敵を叩き潰す盤面は作り上げられたと言えるだろう。

 

 罠や戦力などをしっかりと配置して、その上で敵の動きを誘導する。失敗しても二の矢三の矢を打てる体制もある。油断は禁物だが、そう負けることはない。

 

 戦闘要員はすでに転移していて、罠も十分に仕掛けてある。そして今、敵が近寄ってくるのを確認している。東西南北、様々な方向から攻めてきており、ほとんど同時だ。かなりしっかりと準備してきたのがうかがえる。

 

 とはいえ、勝つのは俺たちだ。そんな気持ちを込めて、作戦実行班を見回した。

 

「さて、来たようだな。みんな、準備はできているか?」

「僕とミルラさんは、闇魔法の罠をいくつか作動させるつもりです」

「効率よく誘導できるよう、事前に計算済みでございます」

 

 ジャンとミルラのふたりは、俺の渡したアクセサリーを通して、闇魔法を起動することができる。戦術眼としては、俺よりふたりの方が優秀だろう。任せておけば良い。

 

「私たちは、魔道具の動作確認だね。クリス、良い?」

「大丈夫だよー。状況もちゃんと確認できているねー」

「ひとまず、問題ないのです。後は、実際に罠が作動するかどうかなのです」

 

 ソニアとクリス、マリンは魔道具をいくつか手に持ちながら、モニターらしきものを見ている。白黒だし画質も荒いが、状況は分かるという程度。人の姿はぼやける感じだな。とはいえ、少なくとも今回の作戦では十分だろう。

 

 魔道具を遠隔起動して、それで敵兵たちを倒していく予定だ。どの程度の効果が出るのか、しっかりと確認できると良いな。

 

 いま俺のそばにいる相手は確認できたので、今度は通話で戦闘要員の状況を確認しよう。

 

「なら、敵の動きを待っておくか。フェリシアたちも、場についたみたいだし」

「こちら、軍勢を確認しておりますわ。魔法は、いつでも撃てますわよ」

「メアリも大丈夫! ちょっとだけ、待てば良いんだよね?」

「僕も確かめられたよ。見た感じ、余裕かな」

「あたしも、問題ありません。では、予定まで待機します」

 

 フェリシアは優雅に、メアリは元気よく。ジュリアは堂々と、ラナは真面目な雰囲気で返事をする。

 

 ひとまず、妙な緊張はなさそうだ。まあ、みんなある程度戦いには慣れているからな。ジュリアの言葉も、油断には聞こえない。とりあえず、良い感じだと思える。

 

 よし、ひとまず準備は整ったようだ。ということで、待機する。その間にも、敵は動いているようだ。

 

 しばらくして、ジャンがこちらを見てきた。つまり、始まるということだろう。

 

「マリンさん、目的の場所に誘導します。ミルラさんや兄さんも、お願いします」

「了解なのです。では、用意しておくのです」

「こちら、闇魔法を起動いたします。敵の撃破を確認いたしました」

 

 マリンたちは魔道具を準備して、ミルラは事前に侵食させておいた魔法を発動する。今回は、トゲが出るものみたいだ。単純に行き先を限定できるから、魔道具のもとに誘導する上では悪くないのだろう。

 

「敵の行き先がズレそうになったら、こっちで撃つんだな。分かった」

 

 俺は適度に上から魔法を叩きつけつつ敵の動きを操作していった。ミルラも、いくつかの罠を起動していく。その甲斐あって、どの方向の敵も良い感じに誘導できていた。

 

「目標位置への到達を確認したよ。発射するね」

 

 そんな声と同時に、マリンたちが装置をいじる。すると、敵に向かって炎や電気が飛んでいく。初手で何人か死んで、敵は魔道具を見つけて離れたり妨害しようとしたりする。

 

 思いっきり武器を叩きつけられたり魔法をぶつけられたりすれば、さすがに壊れるみたいだ。ただ、ちょっとやそっとの衝撃で壊れるレベルでもない。つまり、乱暴に運用するくらいなら大丈夫そうだな。まあ、今後の検証も必要だろうが。

 

「うん、良い感じで敵を減らせてるねー。蹴飛ばされたくらいなら、問題ないみたい」

「ひとまず、撃ちきったのです。残りは、皆さんにお任せするのです」

 

 魔道具の攻撃が終わり、次は戦闘要員が出ていく。敵は立ち止まらず、それぞれに攻撃しようとしている様子だった。

 

「さて、腕がなりますわね。いきますわよ、舞炎(スプレッドフレイム)!」

「僕も負けていられないよね。拡散剣(カレッジブレイド)!」

「あたしのところにも、来ましたね。水の槍(アクアランス)!」

「メアリの本気、見せてあげるの! 凝縮岩竜巻(ブラッドストーム)!」

 

 フェリシアは広がっていく炎を飛ばして、敵を燃やしていく。ジュリアは収束した魔力を一気に爆発させて、敵を吹き飛ばしていく。

 

 ラナは水の槍を大量に叩きつけて、一気に敵を貫いていく。そしてメアリは、岩や炎なんかが混ざった竜巻をぶつけて、敵を血煙に変えていった。

 

 総じて、苦戦することすら無く敵は崩壊している。俺は動きから見て重要そうな何人かに魔力を侵食させて、地下牢へと転移させておいた。

 

 ひとまず、戦いは終わったと言って良いだろう。大勝利だな。

 

「ふむ。一通り片付いたみたいだな。後は、こちらで情報を集めるだけか。みんな、帰ってきてくれ」

 

 俺の力でみんなを呼び寄せると、それぞれに俺に近寄ってくる。そして、みんなは話し出す。

 

「退屈でしたわね。戦力が足りなければ、この程度ですか」

「レックス様の敵が弱いのなら、ありがたい話ではありますけど」

「メアリ、いっぱい倒したよ! お兄様、褒めて!」

「今回で終わりだと良いよね。レックス様、どう?」

 

 抱きついてくるメアリをなでながら、俺は捕らえた敵の脳から情報を集めていた。指示を出した相手や金の流れなんかの情報が集まってきたので、有力な情報になるはずだ。

 

 ジャンやミルラと情報を共有すれば、おそらくは黒幕にたどり着けるんじゃないだろうか。すでに怪しい人間の候補はいるので、条件を確かめていくだけだからな。

 

「これだけ情報があれば、特定はできると思う。ジャン、ミルラ、手伝ってもらうぞ」

「分かりました、兄さん。ミーアさんにも連絡しないといけませんね」

「では、私が。レックス様に、手間はかけさせない対応をする所存です」

 

 ミーアとも連携すれば、確かによりスムーズに進むだろう。その調子で、黒幕を明らかにしてもらいたい。

 

 今回は大掛かりな動きだったから、それなりに情報が集まった。だから、ミーアの方でつかんでいる動きとも合わせれば、ほぼ確実に特定できるはずだ。

 

「私たちは、今回の結果を実験に反映しないとね」

「実戦で使うと、やっぱり研究が進むよねー」

「はいです。もっともっと、進歩させられそうなのです」

 

 マリンたちは、前向きに頷き合っている。黒幕に関する有力な情報は手に入れられて、魔道具の実験も進んだ。成果は上々といったところだな。

 

「ひとまず、今回の目標は一通り達成できたみたいだ。みんな、お疲れ様」

 

 俺の言葉に対して、みんなは笑顔で返してくれた。さて、結果が出たら、後は黒幕を倒すだけになるだろう。メアリを狙った罪、必ずあがなわせてやろう。

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