物語の途中で殺される悪役貴族に転生したけど、善行に走ったら裏切り者として処刑されそう   作:maricaみかん

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16章 皇帝への道
548話 止まらない問題


 ひとまず、レプラコーン王家で起こった反乱については落ち着いたと言えるだろう。もちろん、まだ問題はあるのだが。

 

 地道な復興作業や人心の安定は必要になってくるし、流民の問題だって出てくるだろう。だから、まだ終わったわけじゃない。同時に、今すぐ解決する問題でもないが。

 

 ただ、俺ができる大きなことは、もう無いと言っていいだろう。一歩一歩、確かに進んでいくしか無いんだ。

 

 というわけで、ブラック領でまた人員を集めるかもしれない。そんな計画を、少しずつ動かそうとしていた。

 

 課題に頭を悩ませる中で、ノックが響く。出ると、ミルラとジャンがいた。

 

「レックス様、ご報告がございます。今すぐ、時間を作っていただければと」

「ブラック家には直接関係ないんですけど、兄さんにとっては大事ですからね」

 

 ふたりとも、真剣な顔をしている。まあ、ミルラもジャンもいつも真面目なタイプではあるが。だが、いつもより深刻そうに見えるな。眉間にシワも寄っているし。

 

 まあ、深刻な事態には慣れてきてしまったんだが。そんなことあるか? まあ、物語の中に生まれ変わった時点で、必然とも言えてしまうか。

 

 ちょっと、歯を食いしばりたくなってきたな。それよりも優先すべきことがあるから、やめておくが。

 

「分かった。そうなると、俺の友達になにかあったのか?」

「そうなる予定とでも言いましょうか。いずれ爆発する問題でございます」

「兄さんが動くかどうかで、大きく未来が変わるでしょうね」

 

 つまり、今は問題がないが、そのうち大問題になると。

 

 俺の動き方次第では、事前に抑えられるかもしれない。あるいは、早期に問題を解決できるかもしれない。そういうことだな。

 

 誰の問題かは分からないが、それでも俺の選択は変わらない。ただ、全力を尽くすだけだ。

 

「なら、すぐにでも聞かせてくれ。いったい、何があった?」

「では、簡潔に。スコルピオ帝国が、レプラコーン王国に攻め込もうとしているのです」

 

 少し、息が止まった。原作では、攻め込まれるまではしなかったはず。確か、皇帝に挑む権利のある大会に参加して、優勝を狙う話じゃなかっただろうか。

 

 やはり、俺が動いた影響はいろんなところに広がっている。分かってはいたが、もう原作知識は当てにならないと思うべきだな。

 

 理由は、明らかだ。王家に対する反乱によって、レプラコーン王国が弱っているから。それ以外にありえない。

 

「なっ……。いや、敵国からすれば、妥当なタイミングなのか……」

「兄さんは、レプラコーン王家に滅んでほしくはないですよね?」

 

 ジャンは問いかけてくるが、まあ分かっているのだろう。とはいえ、確認は大事だ。俺が望むからと何も聞かずに動いて、実は違ったらな。

 

 ということで、聞かれること事態は受け入れるべき。むしろ、感謝すべきくらいかもな。

 

「当然だ。ミーアにもリーナにも、できる限りの協力をする。できれば、みんなにも協力してほしい」

「当然でございます。私も、微力を尽くす所存でございます」

「魔道具の運用も、必要になるかもしれませんね。ひとまず、僕たちで計画を練りましょう」

 

 帝国に攻め返すのか、専守防衛で収めるのか。その辺も含めて、かなり方針が大事になる。そして、準備も。

 

 ただ、最終的には1大決戦となるのだろうな。帝国の実力主義から考えて、力の差を思い知らせるのは絶対に必要になる。

 

「さて、どうしたものか。ミーアやリーナにも、話は通したいが」

「どこまで協力できるかを固めるのも、大事でしょうね」

 

 王都はレプラコーン王国の奥深く。実際に戦うのは、国境沿いになるだろう。そうなってくると、王女姉妹に戦ってもらうのは難しいかもな。

 

 とはいえ、王家にもできることはあるはずだ。少なくとも、ブラック家より優秀な諜報機関は持っているだろう。ブラック家に攻めようとする敵を教えてもらったこともあるんだ。

 

 まあ、まずは一度話したいところだな。細かいことは、そこからだ。

 

「ああ。こまめに相談するのが、理想ではあるが……」

「通話があるのですから、不可能ではございません。ただし、どこまで開示するかも問題になります」

「そうだな。ミーアとリーナが何度も不審な行動を取ることになる。何も説明しなければ、だが」

「同時に僕たちが、いえ、兄さんが疑われる諸刃の剣でもあります」

 

 王女姉妹と密談をしているというのは、どう考えても疑われる原因になる。他の家と連絡していても、同じだろう。

 

 だからこそ、慎重に事を運ぶべきなんだよな。ブラック家の敵にも、王家の敵にも、隙を与えるべきじゃない。

 

「そうなんだよな……。あまり保身を考えたくはないが、状況が状況だからな……」

「王国内で不和をもたらしていては、必ず負けるでしょう。兄さん、どうしますか?」

 

 かなり難しい問題だからこそ、即断はできない。もちろん、できる限り早く決めないといけないが。

 

 通話はとても便利な道具だから、できれば多く使いたい。それと同時に、危険を招きかねないものでもある。本当に、難しい。

 

 まあ、相手のあることだ。考えるのは、俺だけじゃないか。

 

「それこそ、俺ひとりで決めるべきことではない。ミーアたちと相談すべきじゃないか?」

「レックス様が望むのであれば、そのようにいたします」

 

 ちょっと引っかかる物言いだな。いや、ミルラに悪意があるわけじゃないのは分かるが。

 

 シュテルのこともあって、全肯定されるのは怖い。俺が間違った時に止めてくれる人がいないと、暴走しかねないからな。

 

 特に、俺は圧倒的に強大な力を持っている。だからこそ、ブレーキがなくては止まれない。

 

「いや、俺の案に問題があるのなら、ちゃんと言ってくれ。それが忠義だと思ってくれ」

「ハッキリ言ってしまえば、どの案も危険があります。だから、どれを優先するかだけなんですよね」

「ですので、私どもはレックス様のご意思を優先いたします。それが、最善でしょう」

 

 ああ、そういうことか。なら、俺の役割を果たしているだけと言えるだろう。集団のリーダーがやるべきことは、とにかく方針を決めることだからな。

 

 過剰に俺の意志を優先して、反対意見を飲み込んでいるわけではない。なら、十分だ。

 

「なら、良いが。それなら、通話のタイミングを計らないとな。さて、どうしたものか」

「一言二言程度を一方的に送るのも、手段でございます」

 

 ふむ。悪くないかもしれないな。こちらから用があるとだけ伝えて、向こうの都合で通話する。メールにも通じるやり方だ。

 

 なんだかんだで、技術というのは最終的に似たような使い方をされるものなのか。ミルラは俺の世界を知らないが、同じような発想をしている。

 

 とはいえ、有効なのは間違いない。ありがたい意見を聞けたな。

 

「ああ、なるほど。手紙のような形で運用するわけか。そうだな。それでいってみよう」

「では、雑事はお任せいただければと。最善を尽くさせていただきます」

 

 ひとまず、ミーアたちにメッセージを送ろう。それから、返事に応じて行動を変えれば良い。

 

 さて、どんな返答が返ってくるだろうか。かなり、気になるところだ。

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