こんなvivyアフター世界は嫌かもしれない【閲覧注意】 作:age_fly
…いやマジでビックリしたわ
しかも感想の返信を考えてたら文字数2000ちょいとはいえ次話が出来ていた。
どうなってるんだコレ…
珈琲の良い匂いがふわりと鼻をくすぐる。
休憩時に良く使われるラウンジなんかより遠くて不便な筈の休憩室には先客がいたのだ。
先客──主任はもうすぐ50に届くがディーヴァディーヴァと喧しく、落ち着く事を知らない人だ。
そんなディーヴァ狂いの主任がマグカップを傾け終えてから口を開いた。
「見てみろ。またクソ共が現れたらしいな」
主任の手元の端末にはニュース映像が流れており、大々的に表示されるテロップが何があったのかを伝えていた。
【またもや違法AIを使ったテロ。トァクが鎮圧】
既にボロボロになった状態のAIが歌いながら施設の客に向かっていき、辿り着く前に他のAIが倒している。
AIに人間は敵わない。身体能力や精密さでは特に。だからAIを使ったテロはそれだけ厄介だった。
「へぇ。トァクのAIなのかコイツ。」
映像を観る限りかなり性能が高そうだ。テロAIがボロボロになった原因もトァクのAIだろうし、映像上の倒す様子も見事なものだ。
「ああ。これで奴らの評判は鰻登りだな」
主任が少し不満そうに喋るのは少しだけ予想外だった。何せ彼はテロが大嫌いなのだ。…主に歌のせいで。主任曰く『あの歌を歌って良いのはディーヴァだけ』らしく、こういった話題がある度に散々聞かされてきた。
「そりゃトァクってあの事件の前じゃ評判良くなかっただろう?トァクは過激な反AI団体。テロがある度に疑惑の目を向けられてきたのは奴等だった。それが今や正義の味方だ。
敵の敵は味方とは限らないが皆それを忘れ去ってる様に見えてな。」
主任はそんな懸念の後にディーヴァに協力していたのは称賛に値するがな、と付け加えた。
主任は結局平常運転だった。そんな主任に溜息をついてから、時計を見せる。
「主任、そろそろ時間です。」
───
───
目を開けると小さな部屋のようだった。
側にいた白衣の男に話しかけようとする。
おはようございます。
わた……し し
視界が切り替わる。ノイズがうるさい。世界が振れる。
アァ、コレ ㇵ ミテ ィケ■イ
火と煙。爆発。
下に落ちている■■を踏み潰しながら次へ。
あそこにいるのはお客様だ。声を出そう。
「お困りですか」
次。次。■。次。
「助け──」
言葉に構わず手を■へ。
私達の使■は■■■■■■■■■■───
資格の有無
だいじだから──
大事だからこそ。
使命の
穢したくない
殺した
あァ■■ァッアーーー!
───
───
他のAIと同様に頭を抱えて奇声をあげ、そのまま停止したAIを見ながら報告書に記載していく。
何度やっても最後には停止してしまう。
原因は2つ。
1つ目は使命に反した行動をしていた事を理解して自罰的に停止してしまう事。
2つ目は再起動しても暫くすると強制停止プログラムが実行されてしまうという事だ。
1つ目の停止までの時間は個体によって時間差がある。偶々一定時間無事だった個体には強制停止プログラムで停止させられてしまうという二段構え。これを解決しろ、というのは間違い無く無理難題だった。
『生産は駄目だ。法律で制限されてしまった。だが、修理ならばどうだ?
できる限り人形がスプラッタにされる前に確保しようじゃないか。』
修理して再利用だ。そう言って始まった実験が始まって1週間。
そこには何体も何体も物言わぬ人形が横たわっているだけだ。自罰的に停止しない様にメモリの洗浄をして再起動。その後暫く動いた後奇声をあげて停止。
メモリの洗浄と言ってもAIはブラックボックスの塊であり、現在の技術では解明不可能な部分も多い。
更に言うなら、全く同じ方法で作ったつもりでも全く同じ思考をするAIを作るのは不可能だったというデータがある。刻まれた個々のAIの差は微細なモノの筈だが人格に影響がでてしまうのだ。
そんな些細な差を理解出来なければ中途半端な事しかできない。
実際、メモリの洗浄は表層のみしか出来ていなかった。
初期化という手段も同様であった。
初期化しても何処まで初期化されるのか、初期化した後にインプットするべきデータは何なのか。研究してきた蓄積を失っている現状、(残っていた設計図や製造ラインで)1から作る方が遥かに簡単という始末。
唯一の救いは確保したAIに数件分のアップグレードのログとデータが残っていた事だろうか。
ダウングレードしてから起動すれば襲われない、という事実は収穫だった。ただその収穫もこの現状では慰みにしかならない。
「失敗です。この計画に成功は無い。ただリソースを無駄にするだけです。なら違う研究を──」
研究者の言葉を遮るように報告を受けていた男が発言した。
「いや、この研究は続ける。
やり方こそ違うが全てのAIの使命は人類に貢献することだ。もし失敗の原因が貢献の相手の筈の人類を殺した事ならば。
暴走しないであろうAIが一人だけいるだろう?
──ディーヴァだよ。人類を救った救世主に目覚めて貰おうじゃないか。」
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カランコロンカランコロンカラン。暗闇に転がる音が小さく響く。
「あの事件で強制停止したAIの死者蘇生。
しかも生き返らせて直ぐにもう一度殺してるようなものです。
…人道、いやAI道に反する研究ですねこれは。
でもボクは…」
彼が旅してきた100年の中では、この程度の話は良くある話でしかなかったし、事実、もっとAIの人権を無視したものだって沢山あった。
使命の為に歴史の改竄は最小限に。
使命の為に考慮すらしなかった選択肢が今、目の前で揺れていた。
「こういう時、貴女ならどう考えるんでしょうか。ヴィヴィ…」
彼は道標が無いまま進んでいく。歩き出す決心がつかぬまま、暗がりに転がる音を響かせて。
Vivyアフター…?
これ最終話Cパートの前やんけ…