魔法科高校でも俺の青春はまちがっている   作:Lチキ

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入学編12

時計の針が12時を周り、俺と雫たちは又も一緒に昼食を食べる事となる。つーか、昼になると雫が有無も言わさず制服の裾を掴んで連行するのだ

 

色々あってベストプレイスもまだ見つけられていないし、断る事も出来ないので俺もそれに従う。一回断ろうとしたら理由を聞かれ、理由がないならそのまま強引に事を進めるんだよな…

 

雫と強引という言葉が合わないかもだが、恐らくイメージしてる強引とは違う

例えるならハルヒのテンションの高い強引ではなく、長門 有希の無言の圧力みたいな強引さだ。例えが分からん?…なんとなくニュアンスで感じろ

 

 

といっても基本は雫と光井の2人が話をしてたまに俺に振られるが当たり障りのない返しをするっていう感じだ。ただ今日は昨日の生徒会の事を聞かれ、俺もついつい余計なことまで言ってしまい結果、今日の会話の主が俺になってしまった

 

 

「それで、達也さんはどうなったんですか!」

 

 

物凄いくい気味な光井、もうなんか体も乗り出して顔が近いです…

つーかこいつは妹だけじゃなく兄の方にもただならぬ執着がありそうだな、取り合えず司波兄は爆発すればいいのに

 

 

「とりあえず近い、少し離れろ」

 

 

「あ…す、すいません!」

 

 

顔を真っ赤にさせおずおずと自分の席に戻る光井

ちなみに席の割り当ては4人掛けのテーブルで俺が一人で雫と光井がその対面に座っている感じだ。

 

それにしてもあんなに顔を真っ赤にさせるほどの事じゃないだろうにそんな縮こまって赤面する姿はまさに女の子って感じだ。

俺ぐらいになれば、あれ位でそこまで動揺はしない。そんな事ではボッチとしてやっていけないからな…いやこいつはボッチじゃないからいいのか

 

 

「八幡も顔赤いよ?」

 

 

雫が首をコテンとさせ、指摘するがハチマン何のことか分からないなー

…いやだって、俺だって健全な男の子だし近づいてきたときなんかいい匂いしたししょうがないじゃん

 

 

「ゴホッ…で、アレだ。その後司波兄と副会長が模擬戦したんだが以外にも一瞬で勝負が決まった」

 

 

気を取り直して話を続ける俺。雫は興味深そうに聞き、赤面していた光井は今の一言で顔を上げる

その顔は青く血の気が引いたような顔色だ。赤かったり青かったりほんと光井は表情が豊かだな俺や雫なんかには真似できんぞそれ

 

 

「一瞬って…まさか達也さんが」

 

 

「あー違う違う。その逆だ」

 

 

「逆?…ってもしかして達也さんが勝ったんですか!それも一瞬で!」

 

 

またも俺に詰め寄り、顔をやたら近づけてくる光井。テンションが上がりすぎて自分が何をしてるのかわかっていないのかこの子?

だが今度は隣にいる雫が、制止し落ち着ける。流石は親友だけあってなれた感じでなだめる

 

一通り落ち着いたところで今度は雫が今の話の真意を確かめる。このまま光井に話を続けさせると聞ける話も聞けないという配慮なのだろう

 

 

俺としてもありがたい事この上ない

 

 

「達也さんが勝ったの」

 

 

「ああ、それもホント一瞬で勝負が決まった」

 

 

改めて言う俺の言葉に、2人は心底驚いている様子だ。この2人から聞いたことだが服部副会長は入学してから負けなしで有名な超が付くレベルのエリートのこと

 

そんな人が一年生それも2科生に負けたという事実は衝撃的な物なのだろう。

一応言っとくがこの2人は別に差別意識が強いとかそういうわけではないのだが

 

 

それでも実技の成績が悪い事で2科生にいる人間が1科生のそれも実技の成績がトップクラスの人間に勝てば嫌でも驚いてしまうのは必然と言える

 

 

 

「いったいどういう試合運びでそうなったの?」

 

 

俺が嘘を言ったとか思っているわけではないのだろが、どうしても信じられないという感じで詳しい事を聞く雫

 

まあ、その気持ちはもちろん分かる。俺だってこの目で見ずに話を聞いただけなら同じ反応をしたことだろう

 

だが、いったいどう説明したものか

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

昨日はあれから服部がやたらうるさかったがその他のメンツが問題なしと判断し、司波兄と服部の試合は問題なく開始することになる

 

これぞ、数十年前から今の今まであり続けた力、数の暴力『民主主義』である。大半がYESと言えば残りの少数は従わざるを得ない。いくらそれが間違えでも数で押し切るこれぞ現代の社会の秩序である。

 

この力に俺は散々苦しめられてきたが、味方になればこうも頼もしい奴もいない

ただし、この力を虐めなどで使うとやられる方はきついのでやめましょう。ソースは俺

 

「わかってると思うが審判は私が勤める。ルールは相手を死に至らしめる術式並びに回復不能な障害を与える術式の禁止。直接攻撃は相手に捻挫以上の負傷を与えない範囲であること。武器の使用は禁止ただし、すでによる攻撃は認める。」

 

 

「勝敗は一方が負けを認めるか審判である私が、続行不能を判断した場合に決する。ルール違反は私が力ずくで処理するから覚悟しろ。―――――――以上」

 

 

そういった渡辺先輩と会長の顔はこれからどんな展開になるか楽しみにしているといった風な笑みをし、市原先輩は冷静に事のなりいきを見定めるといったところで、ロリっ子は司波が心配なのか不安げな顔を司波に向ける。

 

 

んで、司波妹はというとなんだろ‥‥…期待のこもったでもどこか不安げみたいな顔してるな。でも、その様子から察するに負ける心配はしていないという感じで怪我とかしいか心配してるみたいだな‥‥‥といっても司波兄の顔を見る限りその心配もいらなそうだ

 

 

司波兄とは仲良くないしむしろ厄介ごとを押し付けられるくらいに嫌われている感がある。生徒会室でもさっきまでも、言葉を交わし交わさなくてもお互い相容れない関係であることは明白と言える。

 

 

だからこそ分かることもあり敵対していて尚且つこいつを観察した結果、感情表現が淡泊だが雫や俺ほどでもない司波の顔色は結構わかりやすい

と言っても基本何考えてるか分からんしリア充のイケメン様の思考なんて知ったこっちゃないがな

 

 

今の司波の顔はひどく冷たい目をしているがその表情は余裕が感じられる。つか、よくそんな感じでいられるなまるで戦争を潜り抜けた歴戦の勇士みたいだぞ‥‥いやそんな奴見たこともないけどさ

 

一方の服部もなんか余裕の顔をしているが、司波とは決定的に違う。これは慢心だ

人に限らず生物とは自分が優位に立っていると慢心し油断する。

 

 

例えば、肉食動物と草食動物みたいなもんで圧倒的に強く自分が優位にいる肉食動物は獲物を見つけ仕留めようと考える。逆に圧倒的に不利な草食動物はただただ逃げ惑うしかない。そこで一つの慢心が生まれる。これは言わずもながら肉食動物の慢心で、逃げ惑う獲物は自分のごちそう、追いつけば食えると…

 

 

まさに今の服部だ。自分(一科生)は司波(二科生)より優れており、始まる前から勝負はついている、魔法での戦いは銃や真剣と同じで最初に当たれば勝てる。そして魔法発動速度で負けるはずはない

 

 

考えてることもせいぜい、試合開始直後にスピード重視の単純な魔法で相手より早く展開を完了し、相手を倒す。流石になんの魔法を使うか分からんが俺だったらどうするか…

 

 

加速系魔法で相手を減速、隙ができたら障壁魔法で攻撃、又はミスディレクションで死角にはいり移動系魔法で相手を吹き飛ばし壁にぶつけるとか、振動系魔法を使い目くらましした後で移動系魔法で相手に接近とかか

 

しかし、今言った魔法もかなり簡易化しものだが服部は警戒心も抱かずこれよりも単純な方法を取ることだろう、

 

だが忘れてはいけない逃げ惑う動物にも自分よりは劣るが確かな牙と爪があるという事を

逃げ惑う中彼ら草食動物は一瞬の付きを突き彼らに一太刀いれるその瞬間を待っているのだ

 

 

服部は思うだろう自分は肉食獣で司波は取るに足らない捕食対象だと…だからこそ気が付けないその慢心が目を濁らせる、今の司波の顔はただ食われる草食獣の物ではないということを

 

 

「準備はいいか?」

 

 

渡辺先輩は2人に確認を取り、2人もそれに同意。首を縦に振る。一息吸い込み右手を挙げ、それに伴い服部は腕のCADを司波は銃型のCADを構え渡辺先輩の手が下がり試合が開始する

 

 

「始め!」

 

 

その直後のことだった司波はいつの間にか服部の後方に移動しており、その服部は声もなくその場に倒れた。

 

その場にいた者の多くは何が起こったか分からないというのと、ただただ驚愕しており唯一まともなのは妹と俺くらいだ、といっても妹の目の輝きは今までの比ではなくある意味一番やばい状況なのだが‥‥…

 

 

唖然としていた渡辺先輩はすぐに正気を取り戻し、審判としてのジャッジを下す

 

 

「しょ、勝者…司波 達也!!」


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