白いエプロンにTシャツ、ハーパン姿で俺を出迎えたのは我がマイシスター比企谷 小町であった。
ひまわりのような笑顔が魅力のこの妹は、どうやら母さんに言われ俺が真面目に一人暮らしをしてるのかを確認するべく派遣された調査員らしい。
ちなみにこの調査を落としてしまうと仕送りが減給されるとのこと、八幡大ピンチである
「いやーこの部屋テレビも漫画もないし小町退屈だったよー」
もっとも当の調査員は調査をする気が毛ほどもないらしく、現在この部屋唯一のベットの縁に座り、足をばたつかせている
「じゃあ自分でなんか持って来いよ。つか、事前に来るなら来るって言えよ」
「やだな~言っちゃたらドッキリにならないじゃん」
冗談のような口調で首を傾げ何言ってんのこいつみたいな風に言うが、その木漏れ日のような笑顔こそが本当のドッキリだよ、コンチクシヨウ
「つか、玄関どうやって入ったんだよ?」
そこで少し疑問がわく、ここの鍵は先も言ったとうりスペアを合した2本とも俺が管理しており、小町にも渡していない。なのにどうやって入ったのか?
「管理人さんに事情を話したら開けてくれたよ」
「マスターキーかよ。でも、管理人のおっちゃんお前が俺の妹だって知らないよな?よく開けてくれたな」
この部屋は俺が魔法科高校に通う事になった翌日に契約された部屋で段取りとかなんかは全部、比企谷家がやったので、俺も管理人に会ったのは入居した当日だ
なので小町はおろか、両親の顔も知らないはずなんだが
「初めは渋ってたけど、渋カッコいいとか褒めてたら開けてくれたよ」
「それで大丈夫なのかよここの防犯?」
「さあ?」
小首を傾げ頭に?マークを出している姿は可愛い‥‥はっ!さては管理人もこの可愛さにやられたな!?
「それよりお兄ちゃん学校どうなの?小町お兄ちゃんが学校で孤立してるのはいつもの事だけど虐めとか受けてないか心配だったんだけど、暴力とか受けてない!大丈夫?」
「なんで孤立してる事が前提なんだよ。平気だよそれなりにやってらー」
多分だけどな
「えーでも魔法科高校って校内で魔法使ったりするんでしょ?事故に見せかけた魔法がお兄ちゃんの頭にこう…どかーん!バコーン!みたないな?」
「見せかけったってわざっとて事だろうが…どんだけ俺嫌われてるんだよ。大丈夫だからそんな心配すんな……今んとこわな」
「うわぁー最後の一言で全然安心できない。相変わらずごみいちゃんはごみいちゃんダナー」
そんな凄い懐かしいやり取りをある程度した後、小町と一緒に夕食を食べお風呂に入りダラダラと過ごした
その時、俺の高校生活や魔法科高校での事を軽く話もした。ただ、司先輩とかのことは除いてな
流石にこれは色々ヘビーだし、ただでさえ心配かけてるのに余計な心配をかける必要もない
で、話は小町の提案の何か面白い事件というお題を出されとりあえず、初日の事なんかを話してる。主に愚痴だけどな。あの森の野郎とかの
「その森なんとかって人、性格に問題ありすぎでしょ‥‥」
「ありすぎじゃなくて問題しかないんだよアレは」
「そういう人って別にイケてるわけでもないのにやけに自信過剰のナルシストだったりするんだよね。小町的にないわー」
「流石は妹、俺と全く同意見だぜ」
と、八幡はキメ顔でそういった。
「ないわー」
「なんでだよ。そこはいつもみたいにポイント高いとか言えよ」
じゃないと泣くぞ!お兄ちゃん泣いちゃうからな!!
それにしてもよく断片的な事しか話してないのに森の事を言い当てる事ができるな
イケてない自信過剰のナルシスト勘違い野郎、まさにあいつのためにあるような通り名だ
「それでそれでお兄ちゃん!ほかの人特に女の人はどういう感じなの?もしかして彼女とかできたとか!」
なにやら目を輝かせながら聞いてくるが、もちろん俺に限りそんな感じの事はない
まず、雫とは何かと話すが知り合い以上友達未満って感じだし光井は司波兄妹に対するラブが強すぎて軽くストーカー気味だ
エリカはクラスも違うからそもそもあんま交流がない、でも雫の次に話しやすくはある
美月もあんま自己主張するタイプじゃないし話したこともあんまない、もっとも体の一部の自己主張は強いけど
生徒会とは服部(笑)の事件以降、風紀員つながりで割と交流があるが
会長はなんか碌でもない事をたくらんでる風な感じがして苦手で、ロリっ子先輩はCADオタクで司波と俺のCADになんか異状に興味を持っている
市原先輩はこの中じゃ一番まともでよく雑談とかもするけど、お互い男女の意識を持つことはない。そもそも俺じゃこんな人たちと釣り合わないんだけどな
渡辺先輩?渡辺先輩は‥‥‥‥‥‥怖い
「ないな」
「お兄ちゃんだしね」
ヤレヤレといった風でため息交じりに言うが、分かってるなら聞くなよ
「‥‥‥そういや小町、ちょっと聞きたいんだけど」
ふと、壬生先輩の事を思い出し、なんとなく小町に聞いてみた
「ん?なに、小町には彼氏とかまだはいないよ?」
「おう、もしできたら教えろよ。名前とか住所とか家族構成とか」
もしそんな野郎がいるなら見つけ出して色々やっちゃうぞ?
「そうじゃなくて、もしもの話なんだが例えばドラえもんののび太がいるとするだろ?」
「うんうん」
「のび太は勉強はできないけど射的は大会とかで賞をもらうくらい得意なんだ。でも中学に上がって射的の勝負を挑んだら相手に冷たくあしらわれたんだ」
「なんで?」
「その理由が勉強ができないんだから相手にならないみたいな感じで射的と全く関係ない事だったんだけど、一つの事ができないからって自分の得意な事が否定されたってすごい怒ったんだ」
「あー確かにそれは怒るね、人には得意、不得意があるんだし。でものび太君はむしろ射的と昼寝以外だめな子だよ?」
「例え話だし、そこは気にするな」
「はーい」
「のび太はそれ以降、ずっとそのことで怒ってるんだけどもし小町がのび太ならそこまで怒るか?」
「ずっとってどんくらい?」
「ん~・・・一年くらいとか?」
「それは相当だね……………ん~そうだなー普通はいくら馬鹿にされてもそこまで怒らないと思うけど、小町なら人によってはそんくらい怒るかも」
「ほう…人って例えば誰ならそんくらい怒るんだ?」
「その相手がスネ夫やジャイアンだったら、多分そこまで怒らないと思うけど相手が出木杉君ならそんくらい怒るかも」
「その心は?」
「スネ夫とかはのび太君とは結構違うじゃん。でも出木杉君て静香ちゃんが好きみたいなところでライバルみたいに思うんだよね。のび太君的には」
「成績とか運動とかでは絶対勝てない相手だから、唯一自分が勝てる物は負けたくないみたいに思うとおもうし。そんな相手だからこそ、自分の駄目な部分だけで全部を否定されるのは悔しいと思うな」
つまりは自分と同じベクトルに立つもの同士だからこそ生まれるライバル意識からくる相手えの劣等感
逆にあまりに自分と違ければそういう感情も起こらないって事か
もし壬生先輩もこれと同じような感じなら、その相手は剣で有名の恐らく女性だろうか
それなら相手の特定は結構簡単かもしれないな。
「で、それがどうかしたの?」
「別に、なんでもない気にするな」
「えーここまで来て、そういうごまかし入れるの小町的にポイント低いよ~ま、別にいいけどね」
流石に長い付き合いなのでお互い触れられたくない話には、深入りをしない
そのあと少し雑談を入れてふと、時間を見れば22:00を周っており小町に帰らなくていいかと聞くと
「え?今日はここに泊まっていくよ」
「なん…だと…」
と、引っ越したばかりで布団も一式しかないこの部屋に泊まると言いだし
仕方なく同じ布団で寝る事になり、長い長い夜になるのだが、それはまた別のお話