悲しみのない場所へ… 作:ナグマシ
あと個人的に分かりにくくなりそうだった場合もカタカナにします
波の音がする
海の匂いがする
私は艦娘に担がれたまま、全く変わらない景色をぼんやりと眺めていた
艦娘達は何か喋っているが、私の耳に入らない
なぜなら海に出た時、ヲ級の残骸が浮いていたからだ
もはや『家族』とも言えるヲ級が死んでしまったんだ
信じたくないけどレ級だって…もう…
長い長い時間が過ぎた
遠くに陸が見える大きな建物と数人の人影も
あぁ…やっぱり解剖とか…されちゃうのかな?
「調査部隊、帰投した。被害はなし」
私を担いでいる人が言う
「わかった。ありがとう長門…で、その子があの?」
白い服の男の人が質問する
私の方を見ていたので私のことかな
「あぁ、そうだ。私が大破状態だった。深海棲艦に入渠は効果あるのか?提督」
入渠?なんのことだろう
「大丈夫だ。効果はあるからな。疲れているだろうし、長門達も入っておいてくれ」
「わかった。電、吹雪この子を連れて先に行っておいてくれ」
「長門さんは入らないのです?」
「提督に報告しないといけないことがある。それだけやったらすぐに行くよ」
「分かりました。ところでその子足を怪我しているようですが…」
「それなら私が手伝いますよ」
「ナニヲ」
さっきまで黙っていた眼鏡をつけた艦娘が口を開く
そして私の方へやってきて私をお姫様抱っこで持つ
「それじゃあ行きましょう」
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4人が入渠しに行く一方提督は長門の報告を聞いていた
「そんなことが…」
長門の報告を聞き、提督は横須賀に不信感を抱いた
確かに彼女らが、深海棲艦である以上この行動は正しいだろう
だが、人体実験で生まれた被害者を容赦無く攻撃し、今まで何も被害を出していないレ級とヲ級を沈めたのだ
この行動は、間違ってはいない
これはただの提督のエゴだ
心優しい提督の自己中なエゴだ
それでも提督は横須賀を許せなかった
「ところで提督、あの子の処遇は?」
長門が最もな質問を飛ばす
それに対し提督は少し考えてから
「信頼できる近くの提督にだけ話してここで匿う」
と答える
ちなみにここはトラック泊地だ
「信頼できるってことは佐藤提督のことか?」
佐藤提督
彼はパラオ泊地の提督のことだ
階級は少将
艦娘道具派と人権派という、軍の2つに分かれた派閥のどちらにも所属していない
だが、どちらかと言われれば人権派と答えるだろう
なぜ彼が信頼できるというかと言うと、彼はここの提督の恩師であるからだ
「そうだ。佐藤提督なら信じられる」
「まぁ佐藤提督なら安心できる。だが近々くる視察はどうするんだ?」
彼女の処遇は決定された
しかしここは艦娘人権派の筆頭基地のため道具派が揚げ足取りでもいいから問題点を見つけようと何度も視察を送ってくる
そしてそれが今週にあるのだ
「あいつらは問題点を見つけるため基地の隅々まで見るぞ?」
「奴らが見ない場所…会議室にとりあえず匿おう。あそこは防音だし、視察官のルールとして見てはいけないと言うルールがある。視察を送れなくなるのはあっちも嫌だろうし…」
「そうだな」
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私は今、機嫌が悪い
あの三人、私が小柄なのをいいことに何から何までやってくる
体を洗うのも、髪も乾かすのも、服を着るのも
全部やってくる
まあ、私が動かないのも理由かもしれないけど
「海防艦のサイズでやっとぴったりなのです」
「電より小さいなんてほんとに小柄ですね」
それって悪口じゃない?
「このあとはどうしよう?長門さんからは部屋から出るなって言ってたし…」
確か私を見れば皆が混乱するからだっけ
適当に理由をでっち上げるって言ってたけど…
「とりあえずでていいって言われるまで遊ぶのです!」
「そうだね。何がいいかな」
あそぶ?
「アソブ?」
…声に出ていた
「はわっ、遊ぶことを知らないのですか!?」
「ん〜なら教えてあげようか。きっとすぐに分かるよ」
数分後
あのあと私はフブキさんとイナズマさんに遊びを教えてもらい、カードゲームやビデオゲームで遊んだ
結構楽しかった
いまは静かに絵本を読んでいる
私が読んでいるのは『はらぺこあおむし』
イナズマさんは『ぐりとぐら』
フブキさんは漢字で書いてあるから読めない
とりあえず難しそう
コンコン
「長門だ。上げてくれ」
ナガトさん?が来たみたい
「分かりましたぁ」
そう言ってフブキさんが扉を開ける
ナガトさんは素早く中に入り扉を閉めた
「一応うまいことその子のことを伝えれた。だが、いまは電と吹雪と一緒に行動するようにしといてくれ。ここの奴は優しい奴ばかりだが、深海棲艦と同じ場所で過ごすのは嫌な奴もいるだろう」
「やっぱりそうですか。大丈夫です。この子は私達でしっかり面倒を見るので!」
え?面倒を見る
やっぱりお世話されちゃうの?
「とりあえず執務室に行ってくれ。その子の名前とかを決めないといけないそうだ」
「分かったのです」
「ならすぐに行きましょう」