悲しみのない場所へ…   作:ナグマシ

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今回は三人称であります


unlucky girl

翌日牡丹達は買い物をするために船に乗っていた

軍用の船だが、こんな私情で使ってよいのだろうか?

 

提督達の服は皆私服であり、軍所属だとバレないようにしている

だがそもそも艦娘は機密事項ではない

なので普通にいつもの服でもよかった

牡丹は全体的に白や灰色の服にフードを被っている

何も知らない人が見たら提督と長門が夫婦で吹雪達が子供と勘違いしそうだ

牡丹はその声故に喋れないため、長門と手を繋いではぐれないようにしている

 

 

 

しばらく雑談を交えていると、港が見えてくる

ここはあまり大きくないが、牡丹達が向かっているショッピングセンターはかなりの大きさを誇る

問題としてはここが横須賀の管轄内ということだろうか

基本本土にある鎮守府はその管轄内で買い物等を済ませる

運が悪ければ遭遇することもある

何より横須賀は100人ほどの艦娘がいる

この町で艦娘が見れるのは珍しい事ではない

しかし日和っていたら泊地に1人しかいない海防艦の服を使い回さないといけなくなる

 

 

「久しぶりに来たなぁ。ここのショッピングモール。相変わらずでかい」

 

このショッピングモールは4階建てで中は大量の店が並んでいる

服屋、駄菓子屋、日常品、ゲーム、本etc

トラック泊地から本土は時間が掛かる

短い時間で大量に買えるここは本土ではない泊地などからしたら天国のような場所だ

しかし横須賀の艦娘と出会いやすいこの場所で、深海棲艦の牡丹を連れてきているため今は緊張感たっぷりの場所だ

 

「うしっ、まずは服だな!確か1階だった筈だ」

 

そう言い提督は歩き出す

牡丹達もついていき、しばらく歩いていると服屋が見えだした

ここは提督評価の高い場所だ

品揃えの良さは他の追随を許さない

 

「わぁ…前来た時より服が増えてるのです」

 

電のその言葉を皮切りに牡丹達は服に群がりだす

 

「それじゃあ、長門。これを買ってきてくれ」

 

「分かった」

 

一方で長門は食材名等を買いに行く

時間短縮のためだ

ここの長門は"ながもん"だが、我慢ができるタイプのながもんだった

優秀である

 

「これ似合いそうなのです!」

 

電が何枚か服を持ってくる

 

「こっちも似合うと思うよ!」

 

吹雪も服を持ってくる

 

いつしか牡丹は着せ替え人形のように沢山の服を着せられていた

整った顔立ちのため、結構いろんな服が似合うのだ

 

一方で提督は

 

(これは時間掛かるな)

 

と悟っていた

 

 

 

結局服屋から出たのは30分後だった

途中提督や帰ってきた長門が着せ替え人形にされたり、ながもんが現れかけたりしたが、それは割愛しよう

 

「次は日用品だな!」

 

大量の荷物(主に服)を持った提督が元気に言う

空元気であると予想する

 

 

 

日用品売り場では何事もなく、提督の荷物が増えただけだった

駄菓子菓子…失礼、だがしかし買い物はまだ終わらない

傘や鞄と言ったものは買えていない

提督の限界は近いが、長門がいるので大丈夫だろう

 

コレガイイ

 

牡丹が隣の吹雪達しか聞き取れないような声で囁く

 

「これね。それじゃあ司令官買いましょう!」

 

吹雪が水玉模様の傘を取り出しつつ提督に向けて言う

この日で提督の財布が寂しくなったのは言うまでもない

 

 

 

後は帰るだけという時

 

「お前は…トラック泊地の提督か?」

 

と言う声が聞こえた

この声を提督は知っていた

横須賀鎮守府の提督である、草薙大将

艦娘に対しては優しく、慕われるが深海棲艦相手にはまるで、鬼のようになる

この姿は沢山の提督達の憧れであった

しかし深海棲艦を連れている今、最も会いたくない相手だった

 

艦娘だけなら良かったものの草薙もいるのは提督にとって誤算だった

相手は海軍大将

無視するわけには行かない

長門が自然に牡丹の前に立つ

それを一瞥して提督は振り返る

 

そこには草薙と5名の艦娘がいた

その艦娘達は牡丹を追い詰め、ヲ級達を沈めたもの達だった

牡丹は体が震えてしまうが、吹雪達に手を握られ少しずつ落ち着く

 

相手の艦娘の蒼龍、飛龍は偵察機と攻撃機で牡丹達を追い詰め

武蔵は砲撃で牡丹を大破させた

木曽は牡丹は知らないが、レ級を沈めた艦娘だ

霞はその魚雷でヲ級を撃破した

 

すべて牡丹の顔を知っていた

牡丹はその艦娘を前にこう思った

自分はなんて不幸なのだろうか…と

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