俺の強さは仲間の数が決めてくれる   作:MMO太郎

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オリジナル作品が久々に脳内に降り掛かってきたので、3日かけて作りました。

プロットはまだ決めてません、見切り発車です!


それでもいいって人は、ゆっくりしていってね!!


1話.アバターを作ろう!

【Yotta Gate Fantasy】。

 昨年リリースしたフルダイブ型VRMMORPGで、今最も注目されているゲームの一つだ。

 

 十数年前では何かと話題になっていたフルダイブも、今となっては当たり前の技術となり、子供たちの手に渡るものとなったそれが、何故今になって注目され始めたのか。

 

 それは、これを制作した会社によるものが大半だろう。

 

『G ロケット』。

 数々のゲームを世に送り出し、そのどれもが世界的に大ヒットを引き起こす、ゲーム制作界隈の顔といった会社だ。

 ここ数年は新しいゲームを出すこともなくなり、ついにネタ切れか? とファンたちの間で囁かれていたG ロケットだが、この数年は【Yotta Gate Fantasy】を出すための準備期間だということを、リリースされる一年前に突然投稿された、トレーラー映像によってわからされることとなった。

 

 そして翌年、Yotta Gate Fantasy──長いので略して【YGF】──が世に放流(リリース)され、【YGF】は見事なまでに大ヒットを記録した。

 予約してあったものは、ものの数時間で売り切れ、購入しようものならこの先一年は待つのは確定であるほどだった。

 

 ──さて、前置きはこの辺までにして、【YGF】がリリースしてちょうど一年経つ頃、俺──鈴鳴(すずなり) 数多(あまた)の両手にはしっかりと【YGF】のパッケージが握られている。

 そう、あまりの興奮に予約購入をし忘れていた俺は、一年待ってようやく【YGF】を手に入れることができたのだ。

 

 俺は急いで家に戻り、部屋の中へ入り、ゲームの準備を始めた。

 といっても、フルダイブ型のゲームは前々からやっていたのもあって、大元は出来上がっているため、俺がすることといえば、ゲームの交換ぐらいだ。

 まぁ、当たり前だが、数分も経たないうちに準備は完了する。

 

 俺は事前に持ってきておいた飲み物をベッドの近くに配置し、俺もベッドに横たわり、VRヘッドギアを頭に填める。

 

 ……これは余談だが、このヘッドギア、なかなかに重い。

 見た目的に自転車のヘルメットほどの大きさなのだが、中身がぎゅうぎゅうに詰まっているからなのか、首が少し痛くなる程度には重い。

 なのでこの対処法として俺は、横になるときに体がフラット()になるようにすることを心掛けている。

 こうすることで、ほんの少しだが首への負担が無くなる……ような気がするのだ。

 

 閑話休題。

 

 俺はVRヘッドギアの電源を入れ、ゲームの読込を行う。

 この辺は性能が高いヘッドギアのおかげか、十数秒ほどで完了し、俺は無事、ゲームの世界へと意識を落とした。

 

 

 

 ──────────

 

 

 

『──本日は【Yotta Gate Fantasy】を遊んでいただき、誠にありがとうございます』

 

 辺り一帯から同じ声が聞こえるという、いつも通りの謎現象によって意識を覚醒させられる。

 ……毎回思うんだけど、このゲームを始める前に意識飛ばすやつ、どうにかなんねぇのかな。いや、ゲーム世界に意識を飛ばす過程で気絶しなくちゃいけないのは理解してるんだけどなぁ……。

 

 なんて愚痴りながら、新しくゲームを始めるときに毎回聞くアナウンスを聞き流す。

 

「……スキップ機能でもあれば幾分かマシなんだろうけどなぁ。まぁ、今後の本体のアップデートに期待しよう」

 

『──以上で説明は終了です。何か質問はございませんか?』

 

「え、あー特になし」

 

『質問なし。……以上をもって【Yotta Gate Fantasy】を開始させていただきます』

 

 ようやくだ、ようやくである。

 割と長いゲーム説明と利用規約を聞き終えた*1俺は、グッと背筋を伸ばす。

 

『──────起動──おはようございます、現在は11:31です。スズナリ様は【Yotta Gate Fantasy】で遊んだことはございますか?』

 

 起動の言葉とともに、先ほどの声とはまた別のものに変化するアナウンス。

 

「ない」

 

 俺は端的に言うと、ゲームアカウントの作成から始めるようだ。

 といっても難しいものではなく、これから【YGF】で使うアバターとかゲームで使う諸々を決めるだけなのだが。

 

『アバターを作成してください』

 

 そのアナウンスが終わるや否か、目の前、いや、周囲にホログラムが現れ、たくさんの文字と絵がズラリと並ぶ。

 

「はへ~、シンプルに形だけじゃなくて種族とかも選べるのか。今までのゲームだと人間一択だったり、一種族に限定するようなやつばっかりだったからなぁ。それでも数が多いが」

 

 ホログラム板をスクロールするが、底には一向にたどり着く様子はない。

 俺は一度ホログラムから目を離し、上を向き、しばらく考え事をしてから、アバター作成をし始めた。

 とはいっても、リアルの俺をモデルにして作成するため、そう時間はかからない。

 

 髪の色と目の色を変えて……少しだけ身長を足して……まぁこれぐらいでいいでしょ。

 

 ってことで完成したのがこちら。

 髪の色を黒から茶色に変更して、長さを肩甲骨あたりまで伸ばし、目の色は明るい緑、いわゆるエメラルドグリーンにしておいた。

 せっかく自分のアバターを作れるのに、いつもの自分にするのはあまりにも味気ないからな。

 あとは身長を170cmぐらいまで伸ばした。

 伸ばしすぎは、リアルでの生活云々がどうたらこうたららしいけど、これぐらいなら大丈夫だろうってことでこんぐらいだ。

 ……リアルの身長が低いからこういう機会で背を伸ばせるのはいいんだけど、なんだか虚無感がすごいね、ほんとに。

 ……いや、一回これは置いておこう。

 

 俺はアバター作成を終わらせ、目の前にある決定ボタンを押すと、自分から少し離れた場所に自分と見た目そっくりな人型──先ほど作ったアバターが出現した。

 俺はそれに近づいて、隅々まで見通しておく。

 アバターは服を着ていない、いわゆる全裸だが、全年齢共通のゲームであるためか、大事な部分は詳細に描かれるわけではなくて安心した……って、

 

「ん? なんだこれ」

 

 アバターを眺めていると、アバターの頬の部分に、作成した覚えのないものが刻まれているのが見えた。

 俺はアバターに手を伸ばして、頬を指でなぞっていく。

 バグ……っぽくはないな。

 隠し要素的な感じなのだろうか。ほら、この世界に突如現れた異世界人には、体の一部にこういうのがある、みたいな……って、誰に言ってんだ俺は。

 

「んー、意地張らずに少しだけでも攻略サイトを眺めておくべきだったか。……それにしても、この紋様、どういう意味なんだろう」

 

 なんだか色々なものが重なり合って何を伝えたいのかわからない。

 

「まぁ、そんな深い意味はないでしょ、きっと」

 

 そう決めつけ、俺はアバターから指を離す。

 

「アバターはこれでいいとして、あとはステ振りなんだよなぁ」

 

 アバターの画面を隅に置き、ステータス画面が開かれているホログラムを引っ張りだす。

 

 ステータスと聞いて、"STR"とか"AGI"などの専門用語を思い浮かべる人がいるとは思うが、このゲームにそんなものはなく、代わりにあるのは、"頑丈さ"、"精神力"、"幸運"の3つの項目だ。

 おそらくだが、"頑丈さ"はSTR、DEFの代わり、"精神力"はMIMD、INT……つまり魔法系統の力の数値の代わり、最後に"幸運"はその名の通り、LUKの代わりだろう。

 で、他にもPN(プレイヤーネーム)だったり、クラス(職業)だったりと、色々あるのだが、まぁここではあんまり関係ないので割愛する。

 

「さーてーと、これでオッケーかな」

 

『最後にPNを決めてください』

 

 グッと背筋を伸ばしていると、アナウンスの声が響き渡る。

 

「PN? それならスズナリで──」

 

『不可。VR本体と同名は安全面から考えて──』

 

「あーあー、わかったよ。じゃあ……スズ。スズにしよう」

 

 なんだか話が長くなりそうだったので、本体の名前の最初の2文字から取ったものにする。

 

『PN.スズ、で決定しました。──それでは、この広大な世界を存分にお楽しみくださいませ』

 

 その言葉を皮切りに、俺の足元からキラキラと砂のようなものが纏わりついてくる。

 おそらく、この砂が俺を【YGF】の世界へと運んでくれるのだろう。

 

 ふと、俺は目の前を見ると、そこには人型の何かが立っているのが見える。

 そいつは、俺が見ているのに気づくと、ニッと笑ってこちらにサムズアップをしてくる。

 俺は思わず、誰だ!! と叫びたかったが、どうやらもう時間も無いようで、砂が俺の顎の辺りまで覆ってきていたのが、視界の端で確認できた。

 

 人型はヘッと笑うと、腕を大袈裟に広げ、言い放つ。

 

「クフハハハハ!! 未来の■よ! いつかあの世界で■■■■になる資格を持つものよ! 貴様が俺のところへやって来る日を、待っているぞ!!」

 

 そんな、訳の分からないことを自信満々に言う、この人型を、俺は何も言えないまま眺め続け、ついに何も見えなくなってしまった。

 

 結局あいつはなんなのか、わからずじまいではあるが、きっとゲームを進めていけばわかることだろう。

 

 と、頭を切り替えることにして、俺は、新たな世界がどんなものなのか、ワクワクしながら待つことにしたのだった。

*1
聞いてない




~用語説明~
・Yotta
10の24乗。
漢字にすると、「秭」
この作品に出てくる、Yotta Gate Fantasyに込められた意味は、「無限に等しく存在する異世界」
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