ノーダメ縛りの男、神ゲーに挑む   作:ハンター

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第3話

 

 

 

「──こんなゴミ買い取れるかよ」

 

エリアボスとの死闘を越え、第2の街セカンディル。

そこの武器屋へ早速やってきたが、ゴブリンの手斧がゴミと呼ばれてしまった。哀れゴブリン。お前たちの武器はゴミだそうだぞ。

 

「ふーむ、じゃあ致命の包丁(ヴォーパルチョッパー)は?」

「おわ!?おま、なんでこんなに持って…!すげえなアンタ…!」

 

ゴブリンの手斧を仕舞い、代わりに取り出した致命の包丁を見せれば表情を変える店主。

その反応からしてやっぱりレアアイテムだったのか。

 

大蛇との死闘でそれなりに消費したがそこそこの数を未だ持っている。これなら資金面では困ることは無さそうだな。

 

「これだけあれば……アンタ、使う得物は?」

「え?弓」

 

「これを素材にすれば弓のヴォーパル装備を作れるぜ」

「あらほんと?」

 

「ああ、まあいくつか鉄鉱石が必要だけどな。こっからサードレマに向かう途中の場所、【四駆八駆の沼荒野】で鉱石を採取できる場所がある。そこで採れる鉱石を持ってくれば装備を見繕ってやるぞ」

 

ふーむ、なるほど。採取か。

……苦手だなあ。

 

モンスターを倒す、とかなら余裕で任せとけなんだが、こういう地道な素材周回って飽きてきちゃう性格だからなあ。

まあやるしかないか。

 

「んじゃあ、ちょっくら向かいますか。あ、防具とかって作れたりする?」

「ん?ああ、売ってるものもあるが素材を渡してくれるならこっちでそれなりのもん用意できるが……」

 

んじゃ大蛇さんの素材でなんか作れねーかな。

そんなことを思いつつインベントリから素材を取りだしカウンターへ。

 

「ほおぉ……これは貪食の大蛇の素材か。だがこの量だと……作れて、部位ふたつってところか」

「んじゃ腰と足で。鉱石採取の間頼める?」

 

「おう任せとけ。なんなら鉱石を多めに持ってきたらより良い防具に仕立てあげられるぜ」

「お、それならちょっと俺ちゃん頑張っちゃおー。んじゃ行ってくるわ」

 

「おうよ、待ってるぜ」

 

そんな会話を最後に店を出る。

とりあえずピッケル買って……にしてもNPCのAIはすげえな。あんなに自然に会話できるとか他のゲームだとマニュアル通りって感じの対応なのに。

 

つくづく神ゲーだなあ。

 

 

▷▷▷▷▷

 

 

さて、やってきたぜ四駆八駆の沼荒野。

早速張り切って鉱物回収を──

 

 

 

「おっし!取れたァ!」

「うっわ、ズリィ」

 

「すぐスタミナ尽きちゃう……」

「ステ筋力に振った方いいぞ」

 

「足が…重い…!」

「だははは、おっせー」

 

 

 

──人が多い。

夏休み時期。始める人も増えるか。

ヤバいな鉱石採取の場所取りに出遅れた。なんてこった。痛恨のミス。

 

後、足が進まね。なんだこれ。沼地にしてもやりすぎだろ。

右足を踏み出したらそれが地面に着くまで左足を踏み出せない。そういう仕様なんだろうが。ストレスが溜まっちゃうぞ神ゲーさんよぉ。

 

あと、みんなご友人と楽しそう。俺はぼっち。

くっ…!精神的ダメージをプレイヤーから貰うなんて…!

 

「……ま、気を取り直して頑張るか」

 

インベントリからピッケルを取り出し、早速近場の岩へと振り下ろす。

ガキィンと音がなれば石の破片が落ちるモーションが出た。

 

手を取り確認してみれば、

 

【石ころ】

 

「…………」

 

これは長丁場になりそうだなぁ(遠い目)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

振り下ろす。

 

──ガキィン

 

【石ころ】

 

 

振り下ろす

 

──ガキィン

 

【石ころ】

 

 

振り下ろす

 

──ガキィン

 

【灰色鉄鉱】

 

 

 

「……ふぅ」

 

これで3つくらいか。

 

まさかの1時間かけて目的の素材3個とは。確率バグった?神ゲーさんが?

何よりもピッケルひと振りすればそれだけでスタミナがほぼ全損するってどゆこと?

 

クソ効率が悪い。

 

「レベルアップ時のポイント振りはおいおいのために取って置いてるけど……」

 

ここまで効率悪いとSTR(筋力)STM(スタミナ)に全振りしたくなってくるな。

ぶっちゃけ弓使い。回避行動を多くとるからスタミナ振りでもいいんだが、やっぱり先を考えるならもう少しポイントは温存しておきたい。

 

──ガキィン

 

【石ころ】

 

とはいえこれは飽きてきちゃうぞ。

 

 

▷▷▷▷▷

 

 

──ドサッ

 

「持ってきたよ…!」フゥーフゥー

「お、おう……なんか雰囲気変わったか…?」

 

6時間…!6時間ぶっ続けで鉱石採取してやったわこんちくしょう…!

飽き性の俺がこんなに続けられたんだ。誰か褒めてくれ。

もはや俺は炭鉱夫だ。ジョブチェンジしなきゃ。

 

「にしてもよくこんだけ集めたな……って、お?沼棺の化石もあんのかよ。それならこれも作れるぞ」

 

そう言って宙に投影されるリストに目を向ける。

 

「ほぉ、じゃあヴォーパル弓と大蛇防具の他にこれも頼む」

「おう任せろ。とりあえず時間をくれ。そこら辺うろついてな」

 

 

 

 

 

 

うろついてな、と言われても暇な時間は暇なもの。

てなわけで。

 

「大蛇さん〜♪遊びましょ〜♪」

 

『………っ』

 

エリアボスの大蛇さん。

ドロップする素材は売れば高値。さらに矢の加工で毒矢が作れる事がわかった。それなら何回か討伐するでしょ。

 

「素材を寄越せー。わーわー」

 

『グギャ…!』

 

 

 

 

 

「お、出来てる出来てる」

「やっと来たか。遅かったな」

 

「蛇と戯れてて」

 

そんな会話をしつつカウンターに置かれた2つの弓を手に取る。

 

【湖沼の弓】

致命の弓(ヴォーパルアロー)

 

水色を基調とした弓と赤黒のイケメン弓。

カッチョイイ。

 

手に取り性能確認。

 

 

【湖沼の弓】

クリティカル判定後、一定時間、耐久値の減少が半分になる

 

【致命の弓】

クリティカル攻撃に補正が乗る

 

 

ふむ、無難に強いな。

しかも使い分け出来るのはありがたい。耐久値の減少も二つに分ければそこまで痛手じゃないだろう。

 

「んじゃ制作費だ」

「………あ」

 

大蛇さんの素材で手にしたお金が吹っ飛んだ。

これは痛手、ぴえん。

 

 

 

 

 

さて、試し打ちだ。

お試しに使うのはもちろん──

 

『グ、グギャァ……』

 

──貪食の大蛇さん。

当たり前だよなあ。

 

セカンディルから近くて素材も高値。矢の素材にもなる。俺からしたらウハウハだ。

何度目になるか、もはや行動パターンは完璧に把握した。

 

俺からすれば金の成る木。

完封なんてお手の物。心做しか大蛇さんも俺を見てたじろいでる様子。

 

「素材と金を寄越せー」

『……っ、グ、ギャア…!』

 

 

▷▷▷▷▷

 

 

さて、何日か経ち……とは言っても2日間程だが。

大蛇を倒すこともはや3桁近い。

 

毒矢もレベルもお金もウハウハでホクホク顔が止まらない。

なんなら大蛇の頭と胴装備も出来て大蛇一式も作ってしまった。

軍帽みたいな頭装備に愛着も湧いた。

 

さて、ゲーム内もリアルも既に夜。

……まさかこの2日間、蛇と戯れることになるなんて思ってなかった。

 

もう少しだけ毒矢の調達をしとこう。

そう思って今日も今日とて大蛇さんを討伐……だが、この日だけ少し様子が違っていた。

 

「……なんか蛇の雑魚エネミーが多くね?」

 

貪食の大蛇を小型にしたようなモンスター。

名前を"ドスサーペント"。

 

ぶっちゃけ吹けば飛ぶようなクソ弱モンスターだ。

ただその数が異常だ。

 

セカンディルから出て、大蛇を倒し、そのまま森を歩いているが行けども行けども蛇しか出てこない。

 

──なんだこれ?

 

そんなことを思いつつもこの不可思議な現象にワクワクするのはゲーマーの性なのだろう。

だがしかし、そんな気持ちは次の瞬間には吹き飛ぶことになる。

 

 

 

「………っ!?」

 

 

 

横から飛び出してきた大きな1つの影。

すぐに回避し、そのモンスターと相対する。

 

「……えー、うっそん」

 

『シャアァァァ………』

 

そこには貪食の大蛇とは比べ物にならないほどの巨大な蛇がいた。

 

まさかの唐突な中ボス戦。

すぐに弓を構える俺。

 

そして睨む目の前の巨大蛇。

 

 

 

 

 

 

 

 

【モンスター"グラトス"と遭遇しました】

 

 

 

 

 

 

 

 

一目見てわかるやばさ。

唐突なボス戦が始まった。




Qえ?このモンスターと野良エンカするの?

A分からん。独自解釈のストーリーです。
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