ノーダメ縛りの男、神ゲーに挑む   作:ハンター

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ノリと勢いで書き殴ってるんだから細かい部分まで考えて書いてるわけが無いんだよなあ(開き直り)


第4話

 

 

 

──ヤバい

 

まず出てきた言葉がそれだった。

 

貪食の大蛇と比べて一回りも二回りもでかい体躯。故にパワーも桁違い、のくせしてスピードも一段階上。いや、一段階程度ですまないか。

 

圧倒的上位互換。

そして何よりも──

 

『…………』

 

「………っ」

 

AI知能の高さ。

無闇矢鱈に攻めてこない。こちらを窺うような動き。

さらにフェイントも織り交ぜてきて貪食の大蛇と同じような攻撃しかしないのに厄介さが跳ね上がっている。

 

さらに矢が刺さると身震いして矢を抜く始末。何よりも通常攻撃だと矢が刺さらん。

クリティカル判定が発生して最低限。確実にダメージを与えるならスキルが必要。矢が刺さっても抜くからスリップダメージも期待できないし、恐らくだが毒に対する耐性があるから毒矢も意味なし。

 

おいおいオワタで工藤。風呂食ってくるわ。

 

まさかのここでノーダメ縛りが途切れてしまうのか…!?

 

……ふっ、なわけが無いだろう。

戦い始めてどれほどか。恐らく10分15分てところか。

 

ここまであまり攻めに転じず、回避を主体に立ち回ったおかげで動きもタイミングも全て頭に入った。隙を見て矢を射ることでダメージも稼げてる。時間はかかるがこの調子ならまず負けることは無い。

 

え?ダメージ通らないんじゃないかって?

通常攻撃は通らず、毒矢は意味がなし。スキルも無限じゃない。ならばクリティカルを出せばよかろう。

 

クリティカルの発生は"弱点部位への攻撃"、もしくは"理想的な攻撃モーションで攻撃を与える"ことで発生する。

ならば常に理想的な攻撃モーションを取ればいいだけだ。

 

動きを完璧に見切った俺ならそれが可能。

こちとらノーダメRTAとかもしてんだよ。プレイヤースキルナメンナヨ。

 

にしてもこんな強敵、中ボスがこんな初心者ゾーンに出てくるとはな。

いや確かに色んなゲームでステージ1とかでそこら辺をのそのそ歩いてる『うわあこいつ強そう。倒せたらいい素材貰えそう』とかいう奴がいて挑んだらボコボコにしてくるタイプの敵いるけどさ。そういう感じの方?

 

『………!』

 

「おっ……と」

 

突進を回避し弓を引く。

治りかけの傷口へ向けての射出。クリティカル判定でさらに傷を広げる。

 

当たれば即死の攻撃。ならば当たらなければいいのさ。

ヒットアンドアウェイを心情に、慎重な立ち回りをしていこう。

 

と、そんなことを思っていた時だった。

 

 

 

地面が蠢いた。

 

 

 

「っ!?」

 

盛り上がる足元。

すぐさま後ろへと飛び距離を空ける。

 

地面にヒビが入り、穴が開き、そこから飛び出してくる大きな影が3つ。

 

「……いや、あの、これはさすがにしんどいて」

 

 

 

 

 

【モンスター"ヴァレモス""アベルシア""サナトス"と遭遇しました】

 

 

 

 

グラトスさん並みの巨大な蛇がさらに3体。

合計4体の蛇、いやもはや蛇と言うより龍が4体いますね。

 

いやー、しんど。

群れなす系ボスさん方?はた迷惑ですねー、帰ってどうぞ。

 

「はああああああああ」(クソデカため息)

 

もうノーダメ諦めてこのまま殺されて街戻ってもええんじゃない?誰も文句言わんよ。

 

……まあでも俺負けず嫌いだし。

 

「全部ぶっ倒して気持ちよく寝るかぁ」

 

そう言って弓を片手に、矢を手にする。

弦にかけ、出方を伺いながら一定の距離を保ち、そして──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──ゾワッ

 

 

 

 

 

「うお…!?」

 

唐突に背中を走った悪寒に、さらにバックステップで距離を空ける。

視線が向いた先は4体の蛇のその奥。そこから歩いて……歩いてくる?1つ、いや、1人の人影。

 

暗い夜の闇から姿を現し月明かりに照らされたその姿は……1人の少女だった。

ズダボロの民族衣装のような服を一枚着た真っ白な少女。あの悪寒の正体。今まさに警鐘が鳴り響く。

 

 

 

 

 

【ユニークモンスター"無尽のゴルドゥニーネ"に遭遇しました】

 

 

「ユニークモンスターだぁ…?」

 

思わず出る苦笑い。

嫌な冷や汗が流れるのを感じた。

 

 

▷▷▷▷▷

 

 

戦い始めてどれほどだろうか。

もうかれこれ30分は戦って……いや、"耐えている"。

 

攻撃することは最初の5分でもはや選択肢から除外した。攻撃に回る余裕が無いのだ。

何せ、ゴルドゥニーネという名のユニークモンスターさんだけでなく他の4体の蛇がまとまって攻撃を仕掛けてくるのだ。

一体一体の動きを見極めて、ゴルドゥニーネが放つ即死攻撃を蛇を盾にして躱したりと集中がとぎれればその時点でアウトな避けゲー。

 

このまま避けてても意味は無いのは分かるが、だからとて何か出来る訳でもない。

 

それにもはや俺がやられるのは時間の問題だろう。

 

「あああああああ、この毒うっぜぇ!!」

 

範囲攻撃の毒攻撃によって広がる毒霧のようなもの。それのせいで行動範囲を絞られ、視界も悪くなる。

そんな中で4体の蛇の突進噛みつきやらしっぽやら。そっちに集中しすぎるとこんどはゴルドゥニーネが作り出す毒の武器、剣やら槍やらが襲いかかってくる。

 

まさしく、逃げ道を塞いでくような物量的な戦い方。確実に追い詰めてくる様はまさに捕食者だ。

 

「腹立つ戦い方するクソガキだなぁこいつ…!」

 

見た目は中学女子のくせにエゲツナイ戦い方。

俺の事嫌いなのかなぁ…!?

 

「……って、やべ…!」

 

スタミナ管理に気を取られ回避行動が一拍遅れた。

それをこうきとばかりに、毒霧の中から飛び出した毒武器の剣が左腕前腕に突き刺さった。

 

「クソがよ…!シャンフロ初めてのダメージじゃないの…!」

 

とは言ってもショックを受ける暇は無い。

このままだとまず俺は毒で死ぬだろう。

 

であれば──

 

「最後っ屁で意地見せてやるわ、このガキンチョめ」

 

──弓を取り出し、矢をつがえる。

毒霧で場所の特定は難しい。

 

それでも今出来る最大の火力で迎え撃つ。

火力武器の致命の弓(ヴォーパルアロー)を構え弦を引き絞り、スキルのチャージショットを発動。

スタミナが持つ限り溜めることが出来、ため時間が長いほどに威力が上がるスキル。

 

先の見えない霧の中へと矢を向け、そのまま待機。

 

次の瞬間、霧の中から飛んできた剣、それの奥に向けて矢を放つ。と同時に頭に突き刺さる毒の剣。痛みは無いが気持ちのいいものでは無い。が、矢が突き進んだ先。そこの霧が晴れ、姿を現したゴルドゥニーネ。

 

「頬に一筋の傷とかショックだわ」

 

一筋の切り傷。しかし次の瞬間には治るそれ。

無表情の少女はこちらに目を向け、手のひらを向けてきた。

 

それに従うように大蛇の1体。確かこいつはグラトスだったな。

そいつがその巨体で体を締め上げるようにして体を持ち上げられた。

 

「いててて、も少し優しくしてよね。俺は緊縛プレイは趣味じゃないんだから」

 

『…………』

 

「……無言かい。言葉は通じるかガキンチョ。そんな癇癪垂れてなにか気に入らないことでもあったのかい?」

 

『…………』

 

「まったく、思春期か?……はああ、しゃーない。今回はお兄さんが負けを認めてあげよう。ただ……次会った時はお前の癇癪は俺が受け止めきってやる。そのうえでボコボコにするから覚悟しろよ」

 

『…………』

 

終始無言のゴルドゥニーネ。

作られた毒の槍が、頭を横に引き裂こうとした瞬間、微かに目の前の少女に少しだけ微笑みが浮かんでいたのが見えた。

 

 

▷▷▷▷▷

 

 

「──ああああああああ、俺のノーダメ縛りが……」

 

まさかの理不尽エンカにあうとは。完全に予想外。

 

セカンディルの宿屋のベッドにて頭を抑える。

とはいえ、エンカウントすれば確実な負けイベぽかった。つまり、これは仕方の無いことなのさ。ノーダメ縛りをする上で致し方のないものだった。そうだ、そうだろ?

 

……いやダメだショックがでかい。

 

それもこれもあのガキンチョモンスターのせいだ。

絶対、ずぇ〜ったいあの小さな頭の上にゲンコツを振り下ろしてやる。

 

「……それにしても」

 

自室にある姿見に目を向ける。

そこに映る自分。

上裸で、"頭と左腕"についたキズのような紫色の痕、そして、"体全体"に蛇が巻きついたような痣がある我が身。

 

 

 

 

 

【ゴルドゥニーネの呪い(マーキング)

 

 

 

 

 

……うーむ、なんだかめんどくさい事になった気がする。




いつになったらサンラク君達と出逢えるのだろうか。
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