今回は話が、あまり進んでいないかもしれません
体力に自信があったとしても不眠不休で動き続ければ、いずれ身体には限界が来る。
休息と睡眠は、誰にだって必要なものだ。
毎日オールフォーワンのアジトを幾つか潰していく日々の最中、頑丈な私は平気でも、流石にレディ・ナガンには休憩が必要だと判断。
という訳でヒーロー公安委員会が用意してくれた休憩場所に移動した私とレディ・ナガンは、交代で見張りをしながら仮眠を取ることにした。
購入した食品や飲料に毒が仕込まれていないか見聞色で確かめた後、安全が確認できた食品と飲料だけを口にしておき、先にレディ・ナガンに仮眠を取ってもらう。
4時間ほどの仮眠を取ったレディ・ナガンが起きたところで、今度は私が仮眠を取る時間となるが、私の仮眠は短い時間で充分だ。
「何も無ければ1時間程度で起こしてください」
レディ・ナガンにそれだけ言って横になった私は、眠りにつく。
寝つきがいい私は瞼を閉じて直ぐに睡眠を始めることができたが、懐かしい夢を見ることになった。
それはワノ国でサムライとして生き、親友リューマと共に外敵や竜と戦った日々の記憶。
握る愛刀、秋雨は、歴戦を経て黒刀と化し、ひとたび振るえば敵は散る。
国を守り、人を助け、竜すらも斬った黒刀に、刃こぼれ1つありはしない。
ワノ国のサムライは、此処にありと、世界に示した2人の男。
刀神、霜月リューマと、もう1人。
五月雨シグレ、それがかつてワノ国に転生した前世の私の名だ。
ワノ国をリューマと共に外敵から守ってからは、剣神シグレとも呼ばれるようになっていたな。
そんな記憶を夢の中で映像として見ていると、場面が移り変わり、私がリューマと一緒に馬鹿やってた頃の姿を見ることになる。
鍬を使わずに素手で畑を耕して、手がボロボロになって土で汚れた私とリューマが、互いの顔に土をつけあって「顔が真っ黒」と言いながら笑い合う姿が目の前に映っていた。
ああ、こんなこともあったな、と思い出す私の前に映る記憶が、とても懐かしく感じてしまう。
五月雨シグレが幼い子どもだった頃の記憶は、殆どがリューマと一緒に居る記憶ばかりで、喧嘩して、遊んで、馬鹿なことをしていたが、記憶の中の私はリューマと一緒に笑っていることが多い。
大人になっても仲が良かった私とリューマは、サムライとして剣の腕を磨いて、切磋琢磨しながらも、子どもの頃みたいに馬鹿なことをやったりもしたな。
それでもワノ国を守る為に、刀を握った時の私とリューマは、サムライとして戦った。
数え切れない程の外敵を相手に戦った時は、互いの背を預けて、前に居る敵だけをひたすら斬ったこともある。
何の為に戦うのかを考えるよりも先に、助けを求める人々が居れば、身体が勝手に動いてしまう私とリューマは、誰かを助ける為に戦い続けていたが、ワノ国の人々にとって私とリューマはヒーローだったのかもしれない。
夢で見ていたかつての様々な記憶の映像が消えていき、親友のリューマだけが私の前に現れた。
晩年の姿ではなく、まだ大人になったばかりの若々しい頃の姿をしたリューマが口を開く。
「なあ、シグレ。今のお前は何の為に戦うんだ?」
そう問いかけてくるリューマが、夢の中の存在で本人ではないとしても、私は親友に嘘をつくつもりはない。
「これからを生きる子ども達の未来を守る義務が、大人である私にはあるからですね」
そう答えた私に「相変わらず真面目なのは変わってねぇな」と言ったリューマは笑う。
「貴方は随分と若作りが激しくなったようですがね、リューマ」
なんてことを言いながらリューマの顔を見た私に、笑顔から一転して渋い顔を見せたリューマ。
「それはいいだろ別に、ジジイが若々しい言葉使うのは変だから、今のお前の年齢に外見合わせたんだよ」
「そういうところは気にしなくてもいいのではないでしょうか」
「いや気にするだろ、というか何でお前は生まれ変わって若くなってんだよ」
「何故生まれ変わっているのか、その理由は、私にもわかりませんね。何処に生まれ変わっても私が私であることに変わりはありませんが」
「まあ、何度生まれ変わっても、お前がお前のままなら、拙者の親友のシグレであることには変わりはないか」
深く頷いて再び笑ったリューマは、腰に差していた刀を鞘から抜き、構えた。
リューマの愛刀である秋水は、秋雨の兄弟刀であり、リューマの覇気で常時黒刀と化している大業物だ。
「久しぶりに勝負しようぜ、シグレ」
黒刀、秋水を握り、白い着流しを着たリューマが、黒い刃の切っ先を此方に向ける。
「構いませんよ、リューマ」
黒い着流しを着用し、黒警棒を装備した私も笑みを浮かべて構えを取った。
黒刀と黒警棒が連続で打ち合う度に、響き渡る激しい金属音。
歴戦を経て黒く染まった得物同士を幾度も打ち合わせることになっているが、どちらも1歩も譲ることはない。
親友であり、サムライであるリューマを相手に遠慮も容赦もすることなく一刀の技を全力で振るうが、全て受け止められてしまう。
並大抵の相手なら一刀の技を1つも使えば倒せているが、数多の一刀の技を用いても倒せないリューマは、流石といったところだ。
「此処は夢だ。夢なら秋雨を使うことだってできる筈なのに、何でその警棒を使ってるんだ?」
疑問に思ったのか、刀を振るう手を止めて問いかけてきたリューマ。
「貴方には、秋雨を握っていたかつての私ではなく、今の私を見てもらいたいと思いましてね」
リューマからの問いに、そう答えた私は「生まれ変わった私が編み出した新たな一刀の技を、お見せしましょう」と言いながら黒警棒で構えを取る。
「そいつは気になるな」
黒刀を構え直したリューマが、間合いに踏み込み、刃を振るってきた。
横一文字を描くように振るわれた黒刀の刀身を黒警棒の柄頭で弾き落として防ぎ、その勢いでリューマとの距離を詰めた私は、渾身の一刀の技を放つ。
「一刀、黒縄天譴・断鎧縄衣」
流桜と八衝拳の術理を同時に用いて、武装色による防御すらも完全に貫通して内部に響く一撃を繰り出す技こそが黒縄天譴・断鎧縄衣だ。
リューマよりもかなり長生きした私が出会った八衝拳の使い手から教わった八衝拳の術理を、応用した一刀の技は、リューマの意表を突くことに成功。
腹部に直撃した黒縄天譴・断鎧縄衣でダメージを受けて血を吐き、動きが止まったリューマの首もとに黒警棒の切っ先を突きつけて「今回は、私の勝ちですね」と宣言しておく。
「確かに拙者の負けのようだが、なんかお前、ワノ国に居た時よりも更に強くなってないか」
「私は貴方が死んでからも鍛練を欠かしていませんでしたし、今生も鍛練を続けていましたので、前の私よりも強くなっているのは確かですね」
「腑抜けてたら叩っ斬ってやろうかと思っていたが、衰えていないようで安心した。久しぶりに本気のシグレと戦えて良かったぞ」
「私も久しぶりにリューマと戦えて嬉しかったですよ」
リューマとの勝負の結果は私の勝利となったが、久しぶりに親友と楽しい一時を過ごせたのは悪くない。
その後、親友であるリューマに私の近況を話したりして、穏やかな時間を過ごす。
楽しい夢にも、いずれ終わりは来るもので、目が覚めて瞼を開けると、最初に見ることになったのは此方を見ているレディ・ナガンの顔。
そして後頭部に何やら柔らかい感触があるが、どうやら今の私はレディ・ナガンに膝枕されている状態のようだ。
特に敵意も悪意も感じなかったので起きることが無かった私は、レディ・ナガンに膝枕されることになっても眠ったままだったらしい。
とりあえずいつまでも膝枕されている訳にもいかないので起き上がっておくと「まだ寝ていても良かったんだぞ」と残念そうな顔をしたレディ・ナガン。
「膝枕で足が痺れていたりはしませんか?」
もし足が痺れていたら、回復するまでしばらく休憩しておく必要があるので、一応聞いておいた。
「痺れはないが、膝枕をもう少し続けたい気持ちはある」
するとレディ・ナガンからは、そんな答えが返ってきて、膝を軽く手で叩いたレディ・ナガンが手招きまでしてきたが「今日は、もう膝枕しなくても大丈夫ですよ」と断っておく。
「今日は、ということは今日以外なら膝枕していいってことだな」
なんてことを言い出したレディ・ナガンは、私に膝枕することを諦めていない。
「私に膝枕しても、良いことはないような気がしますが」
「友達と遊んでいる子どもみたいに楽しそうな笑顔をしてたブレイドハートの寝顔が見れたのは、わたしにとっては良いことだぞ」
そう言って笑ったレディ・ナガンは、とても珍しいものが見れたと嬉しそうな顔をしていた。
「私はそんな寝顔で、笑っていましたか」
「ああ、良い笑顔だった」
私が楽しい夢を見て笑っている子どものような顔をしていたところを、レディ・ナガンには見られてしまったみたいだ。
今生では家族以外に寝顔を見られたのは初めてだが、寝顔についての感想まで言われるとは思ってもいなかったな。
まあ、夢の中だとしても、また親友に会えたのが嬉しくて、思わず顔が笑っていたのかもしれない。
リューマは原作よりも長生きしてジジイになるくらいまで生きましたが、剣心の前世であるシグレは、それ以上に長生きしました
五月雨シグレの愛刀、秋雨は秋水の兄弟刀で、最初は良業物でしたが、歴戦を経て黒刀となったことで位階が上がって大業物となっており、秋水と並んでワノ国の国宝となっています
ちなみにレディ・ナガンは、寝ているブレイドハートの寝顔をこっそりと撮影してスマホの待ち受けにしていたりしますね
見たい番外編があれば選んでください
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志村菜奈世代に転生
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オールマイト世代に転生
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緑谷くん世代に転生
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最終話の続き