個性の使用を許可する免許を持たない者は、公の場で個性を使用してはいけないことになっている。
個性の無断使用は犯罪であると判断されるからだ。
異形型と常時発動型でもない限り、公の場で個性を使用した者は犯罪者として扱われてしまう。
一応私有地でなら、ある程度は個性の使用も許されており、自宅や庭で個性の訓練をする者も少なくはない。
私が今住んでいる家は、かつてヒーローだった両親が訓練用に使っていた家で、広い庭と頑丈で規模の大きい地下室もある為、個性の訓練をするには充分な場所だ。
現在はヒーローを引退して、のんびりと暮らしている両親は別の家に住んでいるので、訓練用の家の扱いは私に任されている。
両親には「好きに使っていいよ」と言われているので、基本的には住まいとして使っているが、ヒーロー科がある高校に入学したいと考えている生徒達の為に使うこともあった。
親族がヒーローである場合、個性の訓練をする為に訓練用の施設を用意することも可能だが、それは一般家庭では難しい。
それでもヒーローになりたいと思う生徒達の手助けをしておくのも、先生としての仕事だろう。
これまで様々な個性を持つ生徒達の訓練を手伝ってきたが、全員無事にヒーロー科に入学することができたようで、今では仮免を取得している子もいたな。
中学を卒業してヒーロー科がある高校に入学した教え子達は、いまだに私の家に訓練しに来ることもある。
ちなみに先日は忍野さんが遊びに来たりもしたが、何故か雄英の制服を休日なのに着用していた。
「拙者の雄英制服姿を見せに来たでござるよ先生!」
そんなことを言いながら雄英の制服を見せつけてきた忍野さんは、楽しげに笑っていたな。
笑えるくらい元気なら問題はないだろう。
「1年A組は入学式が無くて、いきなり担任の相澤殿の指示で個性把握テストがあったでござるが、とりあえずクラスメイトの1人には「粗品のエロブドウ」というアダ名を付けといたでござる」
「何故そんなアダ名になったんでしょうか」
「そいつが体操着に着替え中の女子の裸を覗こうとしていたからでござるな。犯罪行為だと言われても悪びれもせずに「オイラのリトルミネタはもう立派なバンザイ行為なんだよォォ!」とかも言ってたでござる」
「そんな生徒が雄英入学試験に合格していたという事実に先生は驚いています。本当に大丈夫なんでしょうか雄英は」
「清く正しい忍者な拙者が居るから大丈夫でござるよ」
「先生は貴女が居ることも心配なんですが」
「拙者は立派なものをお持ちな八百万殿に興味があるだけなので特に問題はないでござる」
「その八百万という女子生徒さんに何をしたんですか貴女は」
「触ったらムチッとしていて実に素晴らしい触り心地だったでござるよグェッヘッヘ」
「何処が清く正しいんでしょうか。貴女が女子だから許されているだけで行っていることは完全にセクハラですし、女子にあるまじき邪悪な笑い方をしていますよ忍野さん」
「同性で同意の上での行為なのでセーフでござるよ先生」
「先生としてはアウトにしておきたいところですね。担任の相澤さんも大変でしょう」
「そういえば相澤殿は先生のことを知っているようでござった」
「個性を抹消する個性と個性を無効化する個性のどちらが優先されるのか試すことがありまして、そこで相澤さんと知り合いました。互いに同じ雄英の卒業生ですが先生の方が後輩ですね」
「それで相澤殿と先生は、どちらの個性が優先されたのでござるか」
「先生の無効化個性が優先されたので、相澤さんの抹消は効きませんでしたよ」
「流石は先生でござるな」
相変わらず妙なテンションの忍野さんが私と喋れるだけ喋っていった日の翌日、今度は士傑高校で2年生になった氷造さんが私の家にまでやってきた。
流石に氷造さんは士傑の制服姿ではなかったが、ヒーローコスチュームを持ってきていたので、私の家で訓練していくつもりらしい。
「2年生になった今年は仮免試験があるんだ。今の僕に出せる全力が、どれだけのものなのか、しっかりと知っておきたいと思ってね」
そう言って空き部屋でコスチュームに着替えてきた氷造さんと一緒に移動した地下室。
防寒と身体を暖める効果がある特殊な外套を着用している今の氷造さんなら、自在氷の個性を全力で使っても問題ないだろう。
氷造創さんの個性である自在氷は、氷を作り出して自在に操るという個性だ。
中学生の時に私の家で個性を訓練することで、氷の形や大きさも自在に変えられるようになった氷造さん。
士傑高校に入学してからも半年に数回程度は私の家に来ていた氷造さんは、家に来る度に「常無先生のおかげで、僕はヒーローになる道を選べたよ」と言って感謝してくる。
今回地下室で行うのは、氷造さんの個性を全力で使った戦闘訓練。
「バレット!」
個性で作り出されて放たれた数多の氷の弾丸が飛んでくるが、手に持つ警棒を振るい全て砕いていく。
手応えからして氷の弾丸の威力は、鉄板を貫く程度だった。
歴戦を経て、黒刀ならぬ黒警棒と化した頑丈な警棒なら鉄板を貫く威力が有ろうと問題ない。
これは氷造さんの訓練なので、私は無効化空間を半径1ミリに狭めており、自在氷の個性を自由に使ってもらうようにしている。
氷造さんの自在氷に対処する時も、私は警棒や剣術と素の身体能力だけを使うことにしておいたが、それは無効化個性と流桜まで使ってしまえば、氷造さんの為の訓練にはならないからだ。
「ドラゴン!」
今度は氷で作り上げた竜を操り、此方に飛び掛からせてきた氷造さん。
竜の速度は氷の弾丸よりも遅いが、巨大な氷塊で作られた竜の破壊力は、弾丸とは比べ物にならない。
氷の操作も巧みで、まるで生きているかのように動く氷の竜を見ていると、かつてリューマと共に斬った竜の群れを思い出す。
懐かしい気持ちになったお礼として、氷の竜を一撃で砕き、砕いた氷の散弾を氷竜の操り主に飛ばしておいた。
高速で迫る氷の散弾に対して不敵な笑みを浮かべたまま「シールド!」冷静に氷で大盾を瞬時に作り上げて防いだ教え子。
その後も、全力で個性を使う氷造さんと戦闘訓練を行っていき、完全に体力が尽きた氷造さんが倒れるまで終わることのなかった戦闘訓練。
全力を出しきって満足そうな顔をしていた教え子にスポーツドリンクを渡しておくと「常無先生は、相変わらず凄いね。あんなに動いたのに元気で汗もかいてないなんて」と言って笑っていたな。
「まあ、一応ヒーロー免許持ちですから、まだまだ若い子に負けませんよ先生は」
「負けた僕の方は汗だらけだよ。シャワー借りても良いかな常無先生」
「構いませんよ」
「あと着替えを忘れたから常無先生の服を貸してくれないかな。常無先生が今着ている服が良いね」
「そう言うと思って、先生は貴女用に新品の服を沢山用意してあります。それを着ておいてくださいね」
「くっ、使用済みの常無先生の服を着て嗅ぎたいという僕の行動は、お見通しってことかい」
「先生は、こんなことをお見通しにはなりたくありませんでしたが」
そんなやり取りをした後、1日泊まってから帰っていった氷造さんは、とても元気だった。
まあ、教え子が元気なのは悪いことではない筈だ。
峰田のリトルミネタがバンザイ行為になるのはコミックスだと7巻くらいでしたが、入学式の日にまで早まりました
ちなみに氷造創さんは女子で、僕っ娘です
見たい番外編があれば選んでください
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志村菜奈世代に転生
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オールマイト世代に転生
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緑谷くん世代に転生
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最終話の続き