日本のビッグイベントの1つであり、かつてのオリンピックに代わる祭典の雄英体育祭。
かつて雄英体育祭の開催日当日に休みを取る者が多かった為か、今では雄英体育祭が行われる日が休日となっていることも多いようだ。
私の勤務先の中学校も雄英体育祭当日は休日であり、雄英高校に用意された観戦席にまで足を運ぶ学生や教師達も少なくはない。
「是非とも先生には拙者の活躍を見てもらいたいでござるよ」と忍野さんが言っていたので、教え子の頑張りを見ておく為に雄英高校にまで向かってみる。
到着した雄英高校では雄英生徒と教師以外で入場する者には入場検査があり、ヴィラン襲撃事件があった影響で、かなり厳重な検査が行われていた。
入場検査中、身分証明に持ち歩いているヒーロー免許を見せると「コスチュームは着ないんですか」と聞かれたが、どうやらヒーローとして雄英生を見に来たと思われているらしい。
とりあえず入場検査をしていた人には「ヒーローではなく先生として教え子を見に来ましたので、私はコスチュームを着ません」と答えておく。
長い入場検査も終わり、入場しても問題が無いと判断された私は、1年生ステージが観戦できる席に向かうことにした。
雄英体育祭のシステムは、サポート科や経営科に普通科とヒーロー科が一纏めになり、学年ごとに各種競技の予選を行って、勝ち抜いた生徒が本選で競う学年別総当たりとなっている。
予選競技は毎年毎回変わるが、最後の本選が1対1で戦うトーナメント形式となることだけは変わることはない。
1年ステージのスタジアムで観戦席に座り、雄英の生徒達が入場してくる姿を眺めていると体操着を身に付けた忍野さんを発見。
今日も忍野さんは元気そうだと思っていると、18禁ヒーローと言われるミッドナイトさんが選手代表として忍野さんを呼んでいた。
「選手宣誓を行わせてもらう忍野久能でござるが、何があろうと拙者は、真っ直ぐ自分の道を曲げない拙者の忍道を貫かせてもらうでござるよ!」
壇上に用意されているマイクによって、スタジアム内に響き渡る忍野さんの声。
「そしてこの雄英体育祭で完全勝利し、その勝利を!拙者が何度も様々な意味で、お世話になった恩師である常無剣心先生に捧げるでござる!」
日本のビッグイベントであり、ヒーローからの注目度も凄まじく高く、テレビ放送での視聴率も高い雄英体育祭。
その雄英体育祭の選手宣誓で、恩師として私のフルネームまで出した忍野さん。
特に知名度を上げたい訳ではないが、嫌でも私の知名度が上がりそうな気がするな。
そんなことを考えていると予選第1種目の障害物競走が始まった。
忍法変化の術で燕に変化した忍野さんは様々な障害物を楽々と回避していく。
かなりの速度で飛ぶ燕に変化した忍野さんはスタジアムの外周を移動していき、他の雄英生を完全に置き去りにした圧倒的な1位でスタジアムに戻ってきた。
燕から元の姿に戻った忍野さんを出迎えたのは、観客達の大歓声。
続けて行われる第2種目は障害物競走の通過者である上位42名までによる騎馬戦。
騎馬戦は、ポイント付きのハチマキを奪い合うものとなるが、障害物競走の順位によってそれぞれ42名に与えられるポイントが違っており、1位は1000万ポイントとなっていた。
凄まじく高いポイントの忍野さんを避ける生徒は多かったが、確実に全員に狙われる1000万ポイントを避けたいと思うのは悪いことではないだろう。
それでもなんとか仲間が集まったようで、サポート科らしき女子生徒や、複数人の気配を宿している緑髪な男子生徒に、指先に肉球がある女子生徒と騎馬を組んでいた忍野さん。
サポート科の生徒は発目さん、複数の気配を宿す生徒は緑谷くん、肉球が指先にある生徒は麗日さん、何かしら理由があるとしても忍野さんと組んでくれた3人の名前と顔を私は覚えておくことにした。
様々な忍法を使える忍野さんが騎手となり、先頭が緑谷くんで左右の斜め後方に発目さんと麗日さんが居る騎馬。
「フルカウル」と言って個性を発動し、機敏な動きで騎馬として動く緑谷くんは、身体能力を増強する系統の個性を持っているようだ。
発目さんは自作のサポートアイテムで、麗日さんは肉球に触れたものの重さを無くす個性で協力し、忍野さんをサポートしていく。
様々な妨害があろうと全て乗り越えて1000万ポイントを含むポイントを最後まで守りきった忍野さんが1位で終わった騎馬戦。
騎馬戦を勝ち抜いた16名によって行われる最終種目が始まる前に、ちゃんと昼休憩がある雄英体育祭。
今の内に昼食を食べておこうと思った私が観客席から移動したところで「先生を発見したでござる!」と言いながら近付いてきた忍野さん。
しかも忍野さんは1人ではなく黒髪でポニーテールの女子生徒も一緒だった。
「拙者のクラスメイトの八百万殿を紹介するでござるよ先生」
そう言って八百万さんのことを紹介してきた忍野さんは、八百万さんの良いところも10個ほど紹介してくれる。
クラスメイトにそんな紹介をされて恥ずかしそうにしながらも嬉しそうにしていた八百万さんは、忍野さんと仲が良いのかもしれない。
「普段の学校生活などで忍野さんが、貴女に迷惑をかけていたりはしませんか?」
それでも一応気になっていたことを八百万さんに聞いてみた。
「ほぼ毎日忍野さんに胸部や臀部を撫で回されたり、揉みしだかれたりはしますが、同性では良くあるスキンシップらしいですので問題はありませんわ」
「ちなみに良くあるスキンシップと言っていた人は誰でしょうか」
「それを教えてくれたのも忍野さんですわね」
「忍野さん、ちょっと先生は貴女に話があります」
「先生の目が怖いでござるよ」
純粋で世間知らずな女子を騙して毎日セクハラしていた忍野さんを厳しく叱っておき、流石に毎日ならスキンシップには収まらないセクハラ行為であることも八百万さんに教えておく。
学友の言葉だとしても全て迷わず信じるのではなく、たまには疑うことも必要で、それが正しいことなのか確認することも大事だ。
純粋で世間知らずなせいか騙されやすい八百万さんに、先生として教えることがあったりもした昼休憩の時間。
その後、昼休憩の時間も終了し、レクリエーションに参加する生徒達。
大玉転がしや、借り物競走などが行われたが、レクリエーションに参加していなかった生徒達も数名居たな。
自由参加のレクリエーションも終わると、ついに始まる雄英体育祭最後のトーナメント。
総勢16名からなる今年のトーナメントは、1対1のガチバトルとなっているようだ。
参加を辞退する生徒も2名ほど居たが、繰り上げでトーナメントに参加することになった1年B組の生徒達は特に気合いが入っていた。
様々な個性を持つ生徒達によって行われていく激しいトーナメント戦を順調に勝ち進んでいった忍野さん。
特に苦戦することなく決勝戦まで来た忍野さんの相手は、爆破の個性を持つ金髪の男子生徒で、名前は爆豪というらしい。
爆破の個性は強力であり、使い手の爆豪くんも才能があって、並みの雄英生とは比べ物にならないほど強いみたいだが、流石に今回は相手が悪すぎたようだ。
既に戦闘能力だけなら並みのプロヒーローより遥かに強い忍野さんは、瞬く間に忍法を放つことが可能であり、繰り出された忍法金縛りの術。
今まで忍野さんが使ってこなかった金縛りの術で、瞬時に身体の動きを封じられた爆豪くんは抵抗することもできなくなり、あっさりと場外に押し出されて決着となったトーナメントの決勝戦。
決勝戦が終わってから始まった表彰式で生徒達にメダルを授与するのは、雄英新任教師でナンバーワンヒーローなオールマイト。
生徒達にそれぞれアドバイスとなる言葉をかけながらメダルを授与していったオールマイトが最後に金メダルを渡す相手は、雄英体育祭優勝者となった忍野さん。
「伏線回収見事だったな忍野少女。恩師の先生に勝利を捧げることができた感想はどうかな」
「勝利だけじゃなくてこの金メダルも常無先生に捧げておきたいところでござるよ」
「流石にそれはとっておきなさいよ忍野少女。常無くんもそう言う筈だ」
「そう言うオールマイトは、常無先生のことに詳しそうでござるな」
「ああ、それは私が常無くんに助けられたことがあるからで、ってこれは内緒だったな。えっ、今のも全国に放送されてるの、マジで!」
「やっちまったでござるなオールマイト。間違いなく常無先生に怒られるでござるよ」
そんな忍野さんとオールマイトのやり取りも、カットされることなく全て全国に放送されていたようで、試しに確認してみるとネットの検索ワードで上位になっていた私のフルネーム。
雄英体育祭とオールマイトの相乗効果によって、凄まじく私の知名度が上昇することになってしまった。
知名度が上昇した結果、かつて私が参加して優勝した雄英体育祭の動画もネットにアップされているようだ。
流桜は使わなかったが、無手で放つ無刀の技を用いた私が優勝した過去の雄英体育祭。
そんな過去の映像には「こんなに強いのに何であんまりヒーロー活動してないの」と疑問のコメントが多数書き込まれている。
ヒーローよりも先生になりたい気持ちの方が強かった私は教職を優先して、あまりヒーローとしては活動していない。
その為、今では知名度もそこまで高くはなかったが、雄英体育祭の忍野さんとオールマイトの発言で私の知名度が爆発的に急上昇。
知名度が上がり過ぎた結果、勤務先の中学校やヒーロー公安委員会からもヒーローとして活動してくれないか、とお願いされるようなこともあった。
そんなこともあり仕方なくヒーローとして活動することを決めた私は、長らく着ていなかったヒーローコスチュームに身を包んだ。
頑丈な黒い着流しに合金で作られた金属製の竹刀を腰に差した姿となった私が、パトロールでもしようかと考えて自宅を出ると、忍野さんと遭遇。
スマホを此方に構えてカメラ機能を用いながら何度も写真を撮ってきた忍野さんは「先生のヒーローコスチューム姿とか、めっちゃレアでござるな!」とテンションが高かった。
とりあえずパトロールをする前に、ハイテンションな忍野さんを落ち着かせておいた方が良さそうだ。
忍野さんの助言で体育祭の時点でフルカウルを使えるようになっていた緑谷くんは、トーナメントの轟くんとの戦いでも善戦しましたが、轟くんの悩みをぶち壊す為に自分の身体を壊してでも戦いました
緑谷くんと轟くんの勝負の結果は同時に場外となって引き分けでしたが、緑谷くんの怪我が重かった為、轟くんが先に進むことになったようです
ちなみに常無先生のヒーローコスチュームはリューマの着ていた着流しを黒くした感じですね
見たい番外編があれば選んでください
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志村菜奈世代に転生
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オールマイト世代に転生
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緑谷くん世代に転生
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最終話の続き