個性無効化サムライ先生   作:色々残念

6 / 21
なんとか思い付いたので更新します


教え育てることと、差し出された手

人々に宿る個性というものは身体機能の1つであり、その個性に適した身体に成長するようになる為、個性を使ってみたいと思うようになるのは自然なことだ。

 

例えば血液に関係する個性を発現した場合、血液に興味を持つようになってもおかしくはない。

 

それを理解しようともせずに否定するのは良くないことだろう。

 

私が中学生だった頃の夏休み、遠くに引っ越した友人の家にまで遊びに行く途中で、小鳥から血を吸っていた幼い女の子を激しく叱る親を発見。

 

「そんなの普通じゃない」とか「異常だ」などと否定するようなことを言う親に傷ついた顔をしていた女の子。

 

「誰かに見られたらどうする」なんてことも言っていたが、子どものことを考えておらず、明らかに自分達の世間体のことしか考えていない。

 

何も見なかったことにして通りすぎるつもりはなかった私は、その一家に「外に聞こえるような大きな声で幼い子どもを叱っているあなた達の方が異常に思えますね」と話しかけてみた。

 

「わたし達は異常じゃない!この子がおかしいんだ!」

 

そんなことを言った幼い女の子の両親は自分達が異常だと思われることは嫌なようで、自分達の子どもを異常だと言うことには抵抗がないみたいだ。

 

「今は多種多様な個性を持つ人々で溢れている超人社会ですよ。血を吸いたいと思う程度のことで大騒ぎし過ぎなんですよあなた達は」

 

「何も知らない子どもが他人の家庭に首を突っ込むな!血を吸いたいなんて普通じゃない!」

 

「その子にとっては血を吸いたいと思うことが普通なのでしょう。あなた達は今まで生きてきて1度も個性を使わなかったことがありますか」

 

「それは」

 

「いいですか、血液を摂取することで発動する個性を持って生まれた子が、血を吸いたいと思うことは普通なことです。それを普通じゃないと否定して抑え込もうとすればいずれ何処かで限界が来ますよ」

 

「どうしてわたし達に、こんな異常な子が」

 

嘆くような声で言う女の子の両親は、まるで女の子が生まれてこなければよかったと言わんばかりで、やはり自分達のことしか考えていなかった。

 

私個人としてはそんな相手に怒りもあったが、今は冷静に諭す場面だと判断して怒りを飲み込む。

 

「その子は異常じゃありません。普通の人間ですよ。個性という力を持っていようと人間は人間です」

 

「人間」

 

「頭ごなしに否定するのではなく、何故駄目なのかを教えるということも確かに必要です。子どもにとって最初の先生が親なのですよ。親が子どもを、教え育てなければいけません」

 

「親が先生」

 

「例えば今回の小鳥の血を吸っていたことも、血を吸うことを否定するのではなく、衛生的に問題があるとすれば良かったでしょう。小鳥にはバイ菌が沢山あるから、あまり触らない方がいいと言えば、わかってくれた筈ですよ。わかりますね」

 

「はい、すいません」

 

子どもを大切にしない親に対して、うっかり怒気が漏れていたのか、私が何か言う度に謝ってくるようになった女の子の両親。

 

異常だと否定して、子どもの個性を拒絶するばかりだった渡我家の両親を諭し、考え方を改めさせた頃には、すっかり夜になっていた夏休みの日。

 

一応その日は友人に電話で謝罪を入れて家に帰ることになったな。

 

そんなことがあったが、中学生の私は友人の家に向かうついでに渡我家に立ち寄ることもあり、小鳥の血を吸っていた女の子とも話すようになる。

 

女の子の名前が渡我被身子ということも知り「被身子さん」と呼ぶ此方に対して「剣くん」と私を呼ぶ被身子さんに血を提供することもあった。

 

血を摂取することで相手に変身することが可能な個性を持つ被身子さんは、血を吸いたいと思う気持ちがあっても定期的に私の血を吸っていたので、我慢できないほど追い詰められていたりはしなかったようだ。

 

その後、私が中学を卒業しても渡我家を訪れることはあり、今でも交遊関係は途切れることもなく続いている。

 

4年前私が教育実習で向かった中学に被身子さんが通っていたりもしたのは、縁があったのかもしれない。

 

今では高校2年生となった被身子さんは、教育関係の道に進もうとしているそうだ。

 

「わたしも剣くんみたいな先生になりたいのです」と言っていた被身子さんは、どうやら私に影響されて教師になりたいと思ったらしい。

 

「きっと貴女なら良い先生になれますよ」と言った私に笑顔を返した被身子さんは、普通の素敵な女の子の笑顔をしていたな。

 

なんてことを思い出しながら、長い付き合いの掃除機を使っていると、流石に寿命が来たのか動かなくなった家電製品。

 

使えなくなった掃除機の代わりとなる新しいものを買う為、県内最多店舗数を誇る木椰区のショッピングモールに行くことにした私は、財布を片手に家を飛び出した。

 

到着したショッピングモールで、買うのは最新家電の掃除機にしようかと考えながら電器店に向かおうとした時、殺気に似た気配を感じて向かった先では忍野さんと対峙する男が1人。

 

相手の年齢は成人したばかりの20歳程度の男。

 

男が個性を使用できないように私の個性無効化空間を広げておき、無効化範囲内に男を入れておく。

 

近付いて確認してみた男の顔が、かつて子どもの頃に行方不明になった知り合いに似ていると思った私は試しに名前を呼んでみた。

 

「きみは、もしかして転弧くんですか」

 

私の言葉を聞いて私を見た男は、自分の頭を押さえながら苦しみ出す。

 

「剣心兄ちゃん」

 

苦しみながらもそう言った彼は、志村転弧くん本人で間違い無さそうだ。

 

此方に向かって手を伸ばした転弧くんは、助けを求める子どもの顔をしていた。

 

そう思った時には彼の手を掴んでいた私に「やっぱり剣心兄ちゃんは、掴んでくれるんだ」と嬉しそうな顔をしていた転弧くん。

 

「拙者を放置して良い雰囲気になっているところに不満は大いに感じるでござるが、とりあえず事情を説明してほしいでござるよ」

 

若干放置をされていた忍野さんの言葉に、それもそうかと思った私は事情を説明しておくことにした。

 

志村転弧くんがかつて私が小学生だった頃に知り合っていた相手であることと、彼が個性を発現してから数日後に行方不明となってからは会っていなかったことも忍野さんに伝えておく。

 

「そいつは嘘の災害と事故ルームに襲撃に来たヴィランの主犯格でござる。本名が志村転弧なら死柄木と名乗っていたのはヴィラン名ということでござるが」

 

「いや、剣心兄ちゃんが近くに来るまで頭にモヤみたいなのがかかってて、自分の名前も思い出せなかった。何か個性を使われて思考を誘導されてたみたいだが、死柄木と俺に名付けたのはオールフォーワンだ」

 

「まあ、暴れる気配も無さそうでござるし、詳しい話は警察で頼むでござるよ。そして拙者は、これから常無先生とショッピングデートをするでござる」

 

「剣心兄ちゃんが近くで無効化してくれてないとオールフォーワンの元に個性で俺が連れ戻されるから、しばらく剣心兄ちゃんには一緒に居てほしい」

 

「今回は転弧くんの方を優先させてもらいますね」

 

「おのれオールフォーワン!拙者の常無先生とのショッピングデートを邪魔するとか許せんでござるよ!」

 

そんな感じにオールフォーワンへと忍野さんが強い怒りを抱いたりもしたショッピングモールでの出来事。

 

呼ばれた警察に同行する形で、個性無効化の範囲内に転弧くんを納めながら移動した警察署。

 

そこで詳しい話を聞くことになったが、どうやらオールフォーワンにはドクターという協力者が居るようだ。

 

ドクターとやらが医療関係者であるのは間違いないらしい。




自分で家族は殺していないので、嘘の災害と事故ルームに襲撃に来た時の死柄木は身体に手を付けていません
志村転弧の個性発現が夜ではなく近所の公園に遊びに行っているときで、ブランコを崩壊させてしまいましたが、近くに常無剣心が居たので直ぐに崩壊は無効化されることになったようです
それから数日間個性のコントロールの為に常無剣心と共に過ごすことになった志村転弧は、発動するかしないかを選べるようになりました
しかしその後、志村転弧はオールフォーワンの手で行方不明となり、志村家も引っ越してしまいます

見たい番外編があれば選んでください

  • 志村菜奈世代に転生
  • オールマイト世代に転生
  • 緑谷くん世代に転生
  • 最終話の続き
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。