ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者   作:哀上

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春風 4

 採取も終え、ギルドに戻ってきた。

 

 またこの中に入るのか……

 外から見ても分かる、相変わらずの盛況ぶり。

 出来れば遠慮したい。

 と言ってもだ。

 報告するとこまで含めて初めて達成である。

 それ以外の選択肢は存在しない。

 

 渋々ではあるが、足を踏み入れる。

 列の最後尾に並んだ。

 俺が戻ってきたのに気づいたのか受付嬢と目が合った気がする。

 何やらジェスチャー。

 人差し指で、小さなバッテンを作って。

 ちょっと待てという事だろうか?

 別に急かすつもりはない。

 まぁ、流石に受け渡しを列の途中では難易度高いだろうからな。

 鑑定もあるし。

 善意での行為なのだ。

 これを無理強いするつもりは無い。

 

 みなさっさと依頼を受けたいのは同じ。

 列の長さはびっくりするほどの物になってこそ居るが。

 どうせ大体薬草採取だし。

 受付も慣れるという物。

 何時間も掛かる様な事はなく、案外すんなりと進んでくれた。

 これが午後とかになると。

 鑑定やら、買取の値段ちょっとでもあげてもらおうとしたり。

 一人一人の時間も長くなるからね。

 普段から午前中に仕事終えるようにしてはいるけど。

 この時期はかなり重要だったりもする。

 

 そんなこんなで、俺の番が回って来た。

 何時間も掛からないとは言いつつ長い物は長いからね。

 ようやくだ。

 と思ったら、突然受付をしていた女性が席を立ち。

 

 ……は?

 もしかして休憩?

 

 いや、大変なのは分かるけどさ。

 人が並んでる中、急に離席しなくても良くね。

 仮に離れるにしても。

 何も俺の直前じゃなくても……

 ここから並び直しとかは勘弁して欲しい。

 

「ちょっと、」

 

 頼むから、俺のだけ見てってくれと。

 そう引き止めようとした所。

 空いた席に、当然の様に受付嬢が座った。

 

 ……なるほど?

 

 離席した女性職員も後ろで何やら書類の整理でもしている様子。

 休憩に行く様子も無い。

 自主的に立ったというより立たされたらしい。

 受付嬢と目が合う。

 何かおかしいところでもありましたかと言わんばかりの自然な表情。

 違和感しか無いはずなのだが。

 あれ?

 そんな顔されると俺の方が間違ってる様な気すらしてくる。

 

「他の仕事中じゃ無かったのか?」

「おじさんの担当は私ですから」

「ふーん」

「何ですか?」

「いや、もう恥ずかしがるのは辞めたのかなって」

「取って来た物を出してください!」

 

 軽く揶揄ってやろうと思ったのだが。

 ジト目を向けられ、スルーされてしまった。

 仕方がない。

 麻袋ごと、カウンターの上に置く。

 

 にしても可哀想な職員さんである。

 朝から忙しい中頑張って、だんだん集中力も高まり。

 いつの間にか時間が過ぎる域に差し掛かってたかもしれないのに。

 有無を言わさずどかされ。

 しかも、これ終わったら戻されるのだろう。

 

 理由は上司の私情、……最悪では?

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