ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者   作:哀上

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春風 10

 そんなこんなで、テーブルを囲み。

 普段はギルドの片隅にて1人飲んだくれてる訳だが。

 今日はちょっとした飲み会に。

 

 ただ、流石Cランク冒険者と言うべきか。

 そこそこ忙しいらしい。

 数杯だけ飲み、仲間達はどこかへ。

 先約やら予定やらあったのだろう。

 いや、これに関して言えばランク関係なく大抵の人間はそんなもんか。

 俺が暇すぎる説。

 当日の予定がすっからかんって、冷静に考えるとアレだよな。

 

 まぁ、理想的な生活ではあるし?

 今更、日々のルーティーンをどうこうって気はないのだけど。

 こうやって真面目に頑張ってる人を見るとね。

 思う所がない訳でもない。

 そして、思うだけでまた時が過ぎていくと。

 

 青年の話じゃ、確かオーガの討伐依頼が数日中に迫ってるとかなんとか。

 その準備もあるだろうし。

 危険な、普段の依頼以上に命懸けになる。

 街を出る前に家族やら親しい人間と話しておきたい事も多いはずで。

 そりゃね。

 よく知りもしないおっさんと飲んでる時間なんて無い。

 むしろ、数杯とはいえよく付き合ってくれた物だ。

 俺がどうこうって話では無く。

 パーティーのリーダーやってる青年の顔を立ててって事なのだろうけど。

 

 ちなみに、お前はいいのかと青年に確認してみた所。

 俺も今やってるとの答え。

 命の恩人。

 そして、尊敬してる先輩。

 そんな人とこのタイミングで飲めて良かったと。

 

 ……

 

 ま、慕われる分には悪い気はしない。

 うん。

 過ぎたるは及ばざるが如しなんて言葉もある様に。

 何事もほどほどが肝心なのだ。

 行き過ぎると、ね。

 ちょっとした事で予想外の方向にぶっ飛びかねない。

 

 その点、こいつはポーションの効果をその身で実感してるからな。

 自分も盗賊相手に無双したのだ。

 俺に助けられたとは言っても、強さに関して言えば端っから幻想は抱いていない。

 先輩として。

 年長者としての尊敬こそあれど。

 ノアのような。

 勘違いじみたものは皆無。

 だから、そこにあるのは一般的な範疇での敬意。

 

 俺の方が強いだなんて思ってないだろうし。

 とっくに超えたって自覚もある。

 その上で、尊敬してると言って接してくれているのだ。

 改めて考えてみると、こんなにいい後輩も居ない。

 

 ノアのことを悪く言ってる訳では無いのだ。

 なんだかんだ絆されちゃったし。

 ああいう一途なところは、ノアの長所でもあると思うし。

 ただ。

 それで、男女の友情どころか同性の友情まで疑い持って。

 元から狭い人間関係。

 これを完全に殺しにかかるのはいかがなものかと。

 

 1つ前例があるからといって、ね。

 無駄に警戒して。

 好意を遠ざけて。

 どう考えても健全じゃない。

 一旦、認識をリセットする必要があるな。

 

 ノアは特別枠。

 あくまで例外として、他はこれまで通りだと思って接する。

 その方が色々な意味で健全な気がする。

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