黒服から鍵を受け取り、部屋へと向かう。
ドアを開けるなり受付嬢が駆け出し。
ばふっ、と。
そのまま勢い良くベッドに飛び込んだ。
「うー、疲れたー」
「……おい」
横になって布団に顔を埋め。
手足をバタバタさせ何やら喚いている。
結構溜まってる様子。
まぁ、さっきまで真面目に仕事してた訳だからな。
そりゃ色々溜まるよな。
ただ、受付嬢もいい大人である。
飛び込むのはどうなんだと思わんでもない。
半分呆れつつ。
軽く声を掛けてみるも、反応は無し。
へんじがない。
ただのしかばねのようだ。
ってのは冗談だが。
これでも、一応前世では社畜だからね。
その気持ちは分からんでもない。
しゃーない。
いくら歳取ったとて、そういう気分の時もあるよな。
もはや懐かしいぐらいの記憶だけれど。
いや、俺も同じく仕事帰りではあるのだが。
こっちの場合、仕事なんて言っても薬草採取だからね。
数時間も掛からず終わるし。
大して疲れもしなければストレスもない。
しかも、だ。
それが終われば、後はギルドで飲んだくれてる訳で。
その前から出勤してて今さっきまで仕事中。
受付嬢と同列に語るつもりはない。
仕事の内容も、言わば接客業だし。
最近じゃ部下も持ち始めたっぽいからね。
適当に働いてる様に見えて。
大変ではあるのだろう。
本人の性格がそう見せないだけで。
にしても……
多少は暴れて満足したのか。
ベッドの上でだらりと四肢を投げ出し。
リラックスしてる受付嬢。
その一部に視線が引き寄せられる。
スカート。
別にミニって訳でもなく。
普段ならそう視線を引く要素もない。
一般的な格好。
ただし、彼女はベッドに飛び込み。
ひとしきり暴れた訳で。
そんなことをすればスカートの防御力では心許ないのは自明。
一部が捲れ上がり。
白い太ももが部屋の明かりに照らされている。
下着こそ見えていないものの。
ぎりぎり。
あと数センチも捲れれば見えてしまいそう。
所謂、絶対領域ってやつだ。
男がこの魔性の魅力に逆らえるはずもなく。
例に漏れず、俺の視線も釘付けに。
「? あ、……おじさんのエッチ」
少し経って。
俺が黙ってることに疑問でも感じたのか。
こっちを振り返り。
一瞬、頭にハテナを浮かべていたが。
すぐ異常に気づいたらしい。
すっと、スカートを直し。
ベッドの上で座り直してしまった。
まぁ、ここまで凝視してたら流石にバレるか。
残念。
でもその仕草もそそるものがある。
内股気味に座り、手でスカートを軽く押さえるような格好。
んなことしなくてもここは室内である。
風なんてないし。
そもそも暴れなけりゃ、捲れようもないのだけど。
まるで手をどけたら勝手に捲れると言わんばかり。
完全な防御姿勢である。
別に服自体は一般的な物なのだ。
いくらスカートとはいえ、そんな気を張る必要は無さそうなもんだが。
実際、さっきまで気にしても無かった様だし。
一度意識してしまうと、ってやつか。
目を合わせようとするも逸らされてしまった。
頬が赤く染まっている。
娼館に来てる癖に……
そう思わないでもないけど。
恥ずかしいものは恥ずかしいらしい。