一回り以上年下の嬢相手に赤ちゃんプレイしてたとか……
受付嬢にバレたら、揶揄いの種にされるのは目に見えてるからな。
別に起きる気配も無かったのだけど。
油断は禁物。
色々筒抜けになってしまった今でも極秘事項なのである。
まぁ、俺が気をつけたとて。
嬢が話して仕舞えば何の意味もないのだが。
バラさないよな?
うん。
バラさないと信じたい。
下手に口止めするのも逆効果になる気がするし。
話題を避ける以外の選択肢も無い。
……このまま一緒にいると、また蒸し返される予感。
受付嬢が起きれば一巻の終わりである。
彼女の事は嬢に任せ。
早々に店を出る、もとい逃走した。
娼館があるのは街の裏通り。
早朝という時間もあって人通りは皆無。
外に出ると少し肌寒く。
しかし、刺すような刺激は無い。
心地の良い空気が肌を撫でる。
軽く深呼吸。
あぁ、空気が美味い。
やっぱり、なかなか良い季節だ。
腕をぐるりと回し、頭の上で手を組む。
嬢の言う様にあのベッドに3人は多少無理があったらしい。
チートのおかげで痛めることは無かったが。
硬くはなっていた様子。
朝日に照らされる街並みを眺めながら全身を伸ばす。
さて、本日は休日である。
薬草採取に向かう必要はなく、ただ特にこれといった予定もない。
ブラブラと街を歩いていればのんびりとした時間が経過し。
いい休暇ではあるが。
特にこれといった刺激がないのも事実。
悪くはない。
でも、あまり良くもない。
別に朝から酒飲んでてもいいのだけれど。
今日は気分ではないのだ。
春を意識したからかもしれない。
季節の変わり目、年に数回しかない特別な時間とも言える。
何でもないように消化するのは勿体無い。
この街、好きではあるんだけどね。
ずっと居ると飽きもする。
娯楽って点じゃ、この世界は前世より明確に落ちるからな。
店の品揃えはコンビニにも劣り。
そもそも、街にある店の数自体も少ない。
そりゃ仮にも異世界である。
ファンタジーな薬やら道具もあるにはあるが。
転生して36年。
王都ならまだしも。
この街の品揃えじゃ新鮮味は感じない。
ゲーセンやらなんやら、娯楽に特化した店など当然ある訳もなく……
かろうじて近い物と言えば書店だろうか?
しかし、一冊一冊が高い。
持ってはいるが、紙自体の希少性も相まって。
その内容自体。
娯楽より、学術面に偏った物がほとんど。
春の空気を感じながら爽やかに読書なんてシチュに合う物ではない。
これが毎日を生きるのに必死な者であれば違ったのだろうが。
生活に余裕のある人間。
一つの場所に止まるのは少々退屈になるのだ。
……そろそろ旅行にでも行こうかな。
冬だったのもあって。
学園祭を見に王都へ行って以来、街を出て無かったし。
だんだん暖かくなり、街の景色から雪も消え。
森でも。
薬草採取の際に見たかぎりじゃ、ほぼほぼ見なかったからね。
街道が塞がってるなんて事もないだろう。
ちょうどいい機会だ。
どこに行こうか。
近場で、港町にでも行くのが手っ取り早くはあるのだけど。
獣っ娘との約束。
明確な時期こそ言葉にしなかったが、温泉街に行く頻度。
これ自体はちゃんと増やす予定ではあった。
ただ、雪が解け移動できるようになったのは皆同じ。
春になって。
あの宿も徐々に忙しくなってくる頃のはず。
まだ始めたばかりで、不慣れな仕事。
お客さんが増えてきた時期。
ここに買った直後だけ一緒に居たご主人様帰ってくるのって。
これ、どうなの?
あの時は懐いてくれていたが、数ヶ月は前の話。
冷静に考えると結構めんどくさい様な。
でも、夏はそれこそハイシーズンで。
秋なんかも、なんだかんだ言って今の時期よりは忙しいのだ。
って事は冬になり。
いつの間にか1年ぶりってことになりかねない。
アレだな……
獣っ娘が仕事に忙殺される前に行く方がまだマシか。
うん。
このほうがいい。
どうせ、冬になる前に一度は顔を出さないといけないのだ。
女将さんにいろいろ丸投げしたっきり。
任せっぱなしになっちゃってるのもあるからね。
季節も変わった事だし。
今しかない!
ただ、せっかく春になって。
転移も味気ない。
久々に、温泉街まで馬車で向かうとしよう。
のんびり行きますか。