ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者   作:哀上

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旅路 2

 娼館を出て、そのまま。

 行く当てもなく。

 ただ、気の向くままに歩いていた訳だが。

 

 足を止め、周囲を見渡す。

 はて、ここは?

 ぼんやりと考え事しながら歩いていたせいだろうか。

 何処ぞかに迷い込んでしまったらしい。

 

 辺りは民家がほとんど。

 アンダーグラウンドな雰囲気こそ感じないものの。

 娼館やら飲み屋が並んでいた通り。

 あそこ以上に。

 どこか、排他的な空気を感じる。

 

 大通りの方へ出た覚えはないし、娼館からそれほど距離もない。

 だから、多分。

 住んでるのもあの辺りで働いてる人達だとは思うのだが。

 まぁ、住人以外が来る場所でもないしな。

 これも当然ではあるのか?

 むしろ、ウェルカムな雰囲気出してる住宅地がの方が珍しいか。

 

 見覚えこそないものの。

 流石に、この街に住んで何年も経過しているのだ。

 なんとなくの土地勘ぐらいはある。

 馬車の乗り場。

 これはどの方向だったか。

 

 ……確か、こっち?

 

 2択を何度か外しつつ。

 無事裏路地を抜け、大通りの方まで出た。

 

 我ながら、何年も住んでて情けない。

 自分の記憶力を信用したのがバカだった。

 そもそも見覚えもないのだし。

 そんな気がしただけ。

 土地勘なんてものは当てにならないって事だ。

 少なくとも俺に限っては。

 

 大通りに出た所からまたしばらく歩き。

 ようやく、何台か馬車が停まってる場所が見えてきた。

 港町行く時に乗った場所と同じ。

 ターミナル駅。

 そう言えるほどデカくはないけど。

 この街で馬車に乗るなら基本的にここ以外は無い。

 

 ウーヌから出ようと思うと。

 ここで適当な乗り合い馬車に乗って。

 ってのが、旅の共通項である。

 

 しかし、普段使う時に比べ場所の台数も人だかりも少ない様な気が……

 あ、なるほど?

 娼館を出てぶらぶら歩いていたのと。

 後は、移住して長いのに迷っていたのの合わせ技。

 時間的に早朝の便は出ちゃってるのか。

 それで少ないと。

 とは言え、別に早朝の便しかないわけでもないし問題も無いだろう。

 

 ……うん。

 

 朝の散歩がちょっと伸びただけって事で。

 居住地で迷子になったなんて、そんな恥ずかしい事実は無かった。

 

 そもそも、温泉街だとどうせ1日じゃ着かないのだ。

 港町に行くのとは違う。

 多少距離あるから、基本的には一泊前提。

 冬って季節以外に。

 それもあって、普段は転移で行ってた訳だしね。

 

 まぁ、過ぎたことを言っていても仕方がない。

 とりあえず温泉街行きの馬車を探すか。

 

 当然、今さっき思いついた事であり。

 予約もしていない訳だが。

 席に余裕さえあれば基本的には乗せてくれるはず。

 労力も経費もほぼ変わらないしな。

 この手の商売。

 基本、客が多い方が利幅も大きいのだ。

 

 数件ぐらい断られても問題は皆無。

 どうせ野営前提。

 普段港町に行くのとは違って、到着時間へのこだわりもないし。

 ある程度後ろに遅らせれば1人ぶんの空きぐらいあるだろう。

 そう言う意味じゃ、むしろ普段より気楽まである。

 

 いつもは、乗り遅れたらおしまいだからね。

 予約の時点で前金一部払っちゃってるし。

 寝坊とかして間に合わなかったりしたら損でしかない。

 

 金銭面とは別に、気持ちの面でも。

 旅行予定がパーになるのだ。

 結構なダメージである。

 いや、普通に転移で現地まで飛べばむしろ予定時刻より早く到着はするのだが。

 着けば良いとかそういう話ではない。

 

 旅行ってのはそこ行く事だけが目的なのではなく。

 馬車での旅路も楽しみの内なのだ。

 

 とか言いつつ、温泉街へは今まで転移で行ってたんだけどね。

 理由は単純。

 野営が嫌だったから。

 

 今回は良いのかと言われれば、何となくそんな気分なのだ。

 季節の移り変わりを感じてるせいか。

 別に良いかなって。

 むしろ、ちょっと楽しみまであるかもしれない。

 

 仕方なくの、必要に駆られての野営は面倒事でしかないけど。

 望んでの野営は立派な娯楽になり得る。

 

 前世で一時期あったキャンプブーム。

 これが流行った理由も、このブームが去った理由も。

 何となくこんなとこに由来するのだろうか。

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