ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者   作:哀上

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親子 18

 湯に浸かってどれぐらい時間が経っただろうか?

 何をするでもなく全身から力を抜いて、ただぼーっと天井を眺めていた。

 

 ポツン、額に水滴が落ちる。

 

 ……冷たい。

 ぼんやりとしていた意識が今ので覚醒した。

 危ない危ない。

 危うく、風呂で寝落ちする所だった。

 

 まぁ、仮に寝ちゃったとして。

 チートのおかげで、別に息が出来なくとも溺れたりはしないのだけれど。

 そう言う問題でも無いと言いますか。

 

 場合によっては、気持ちよく熟睡したままに成りかねず。

 周りから見れば永遠の眠りと同義である。

 

 全身から力が抜けて。

 浮力に抗おうなんて意思も消え失せて。

 ぷかぷか浮かんじゃったり?

 客観的に、その姿はほぼ水死体だ。

 

 浴槽でそんな状態にでもなってみろ。

 迷惑極まりない。

 周りの客相手にも勿論だが、女将さん相手にも……

 

 ほら、変な噂に成りかねないし?

 

 ……

 

 そろそろ上がった方がいいかな。

 何時間ぐらい入ったかはあまり覚えてないものの、それなりに長風呂をした自覚はある。

 結構、リフレッシュ出来た。

 

 冬以外は混んでるからとこれまで避けていたのだけど。

 なんだかんだ、別に楽しめるものらしい。

 

 湯船から上がり軽く体を流す。

 長いこと入っていたせいだろうか、ちょっとした浮遊感を覚える。

 これ。

 チート持ってなかったら立ちくらみでも起こしていたかもな。

 

 更衣室へ。

 

 廊下側から入ってきた時は。

 ドアを開けた瞬間、じめっとした熱気と湿度を強く感じたのだが。

 やはり人間の感覚とは相対的なものなのだろう。

 今はその逆。

 随分とからりとしていて、なんなら涼しげな印象すら受ける。

 

 その感覚の通りと言うか。

 視線を動かせば、自分の体から湯気がのぼっていた。

 

 温度差からくるこれ結構好きなんだよね。

 不健康な気もするけど。

 所謂、ととのうとかって物に近いのだろうか?

 

 このままここで黄昏ていてもいいのだが。

 共用のスペースを、目的外の用途で独占するのは少々気が引ける。

 それに……

 せっかくなのだから外の景色でも眺めつつ一杯やりたい気分だ。

 

 宿側が用意してくれているタオルで体を拭き。

 かごに丸めて放り込んであった、さっきまで着ていた服に視線をやる。

 

 ……これを着るのは違うな。

 

 更衣室には俺の他に客が1人。

 ただ、別に長居する場所でもないからね。

 待つ必要も無く、浴室へと向かった。

 

 ちょうど周りには誰もいない。

 いつ誰が風呂に入りに来たり逆に上がってきたりするかもしれないが。

 少なくとも。

 今ここにいるのは俺だけ。

 

 かごの中の服をさっとアイテムボックスに回収。

 清潔な服を取り出す。

 

 やっぱり、せっかく温泉入ってスッキリしたからね。

 着る服にしても。

 汚れた物よりは綺麗な物の方が気分がいい。

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