ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者   作:哀上

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親子 21

 獣っ娘の事を眺めてるうちに用意が終わった様子。

 ってか、仕事終えて業務時間外なら俺も手伝ったほうが良かったかもな。

 今更だけど。

 

 スープ、と言うよりはお鍋だろうか?

 

 卓上にふたセット。

 鍋と言えば複数人で一つの物をつつくイメージがあるが。

 今日の夕飯は一人鍋らしい。

 

 ……少し懐かしいな。

 複数人でつつくイメージがあるとか言いつつ、俺って一人暮らし長かったからね。

 適当に材料入れて出来合いのスープで煮るだけのワンパン料理。

 社畜時代は頻繁に作っていた記憶がある。

 

 忙しい独り身の現代人の味方的な印象あったけど。

 そういえば、江戸の頃にも一人鍋の流行があったとか聞いた事あるし。

 この世界もそうなのかも?

 

 もしくはなるべく備品を統一しておきたいって宿側の事情か。

 ほら、この宿って1人で泊まる客もそれなりにいるから。

 

 何にしても、美味しそうだ。

 

 一人前って考えるとかなりの具沢山。

 じゅるり。

 早速、と思ったのだが……

 

「あ、ちょっと待っててください」

「……へ?」

 

 直前でお預けをくらった。

 目の前にこんなに美味そうなお鍋が並べられた状態での待てとか、生殺しである。

 

 せっかくだし、温かいうちに食べたいのだけど。

 冷めちゃうよ?

 お鍋とか冷めたら良さ半減どころじゃない。

 

 あのー……

 

 実は、食事の準備任せて1人横でボケっとしてたの。

 怒ってたりします?

 いやいや。

 そんな、カップルの喧嘩じゃないんだから。

 

 お預けをくらい固まっていると。

 俺を置いて、獣っ娘が1人部屋から出ていってしまった。

 ごめんて。

 ……少し、奴隷相手だからって舐めてたかもしれません。

 すいませんでした!

 

 ほら、夕飯一緒に食べるって話だったじゃん?

 冷めちゃうから。

 

 などと脳内で1人あわあわしていたのだが、何でもないようにすぐ獣っ娘が戻ってきた。

 

「えっと……。ご主人様、どうしたんですか?」

 

 俺の様子にハテナを浮かべる獣っ娘。

 どうやら、単にまだ夕飯の用意が終わってなかっただけらしい。

 

 ……いや、本当どうしたんでしょうね。

 完全な一人相撲である。

 穴があったら入りたいとはまさにこの事。

 

 持って来たのは、コンロかな?

 と言ってもガスコンロとかそういう物では無い。

 旅館とかで。

 鍋の下に固形燃料が置いてある器あるじゃん。

 おそらく、あの類の物だ。

 

 まぁ、この世界に固形燃料なんて便利な物はない。

 あるのかもしれないが。

 少なくとも、俺が知る範囲には存在しない。

 

「外側、かなり熱くなるそうなので。なるべく触れないよう気をつけてください」

「了解」

 

 どうやら炭火を使うらしい。

 この為に、わざわざ客一人一人炭を用意するって……

 流石。

 食へのこだわりを感じる。

 

 前世じゃ別段珍しい事でも無かったけど。

 囲炉裏がある様な飲食店ならともかく、宿でこのタイプは滅多に見ないぞ。

 本当に凄いな。

 

 事前に火は通してあるっぽいし。

 この炭は、あくまで温度を保つための物なのだろう。

 

「お待たせしちゃってごめんなさい」

「いや、全然。あまりに美味しそうだからついフライングしちゃって」

 

 それでは、いただきます!

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