ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者   作:哀上

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親子 29

 全身に心地よい疲労感を感じつつ。

 ベッドの上に身を投げ出して、ぼーっと窓の外を眺める。

 

 かろうじて漏れ出ていた蝋の光も消え。

 月明かり。

 それだけが、この街と部屋の中をぼんやりと照らしていた。

 

 ふと、横に目をやれば。

 獣っ娘と女将さんが寝息を立てていて。

 2人揃って。

 随分気持ち良さそうに眠っている。

 

 格好はそのまま。

 あんなランジェリー着てもらって、フェロモンまでムンムンで。

 俺に自制が効くはずもなく。

 

 眠っていると言うか。

 途中で寝落ちしちゃったと言うか。

 ……うん。

 ちょっと、ね。

 やりすぎちゃったかもしれない。

 

 前回した時は、かなり劣勢だったような気もするが。

 2人とも結構疲れてたんだろうな。

 

 獣っ娘は言うまでもなく。

 

 数ヶ月経ち。

 宿の仕事に多少なれてきたとは言っても、だ。

 まだまだ負担は大きいに違いない。

 

 その上、休憩時間に森で狩猟までやったからね。

 いつの間にか回復してて体力全開に見えても流石に疲れが残ってた様子。

 

 女将さんも、多分……

 女手ながらにこの規模の宿を経営していて、かなりパワフルな人だとは思うけど。

 街道の雪も解け。

 温泉街に来る観光客自体が増えてるからね。

 

 毎年のこととはいえ。

 そりゃ、忙しくなれば疲労も溜まるってものさ。

 

 ベッドの上。

 2人並んで、尻尾も耳もお揃いだ。

 やっぱ親子みたいよな。

 

 まぁ、そう言うにはランジェリーがエロティック過ぎるか?

 でも逆によな。

 こんな格好した2人が母娘だと思うと、こう俺の男心をくすぐるモノがあるのも事実。

 満足だ。

 最早いつ死んでも悔いは無いまである。

 

 ……

 

 いや、冗談だけどね。

 うん。

 んな事させて、明日女将さんにガチで殺される可能性もなきにしもあらずだし。

 縁起でもなかったかもしれん。

 

「ご主人様……」

 

 獣っ娘に呼ばれた気がした。

 起こしちゃったかな?

 疲れてるんだし、せめてゆっくり寝かせてあげたかったんだけど。

 

 と思ったら、寝言か。

 相変わらずスヤスヤと気持ち良さそうな寝息を立てている。

 

 ただ、閉じられたまぶたに少しだけ水が滲んで見える気がした。

 

 頭をなでてやりたい欲求をぐっと抑え。

 よしよしと。

 エアーでなでるふり。

 この娘には寂しい思いをさせてしまった。

 

 ……別に、この水の理由がそれなのかは知らないけどね。

 でも会いたがってたらしいのは確か。

 

 俺の数ヶ月と、獣っ娘の数ヶ月は違うのだから。

 ちょくちょく会いに来てやらないとな。

 女将さんに丸投げして、現状ご主人様としての責務もほぼ果たせてない状態な訳で。

 せめて、ね。

 じゃないとこの宿出禁になっちゃうかもしれないし。

 

 本当、良くしてくれてるよな。

 獣人だし今日までの間に多少なりともトラブルはあったはずなのだ。

 なのにそんな事は関係ないって感じで。

 

 獣っ娘が懐くわけだ。

 

 彼女のお願いとなったら。

 なんだかんだ、こんな格好までしてくれるレベルである。

 ……こんな格好させて。

 今更ながら、明日が恐ろしくなって来た。

 

 殺される可能性もなきにしもあらずってか。

 普通に、濃厚なのでは?

 

 まぁ、過ぎたことを後悔しても仕方がない。

 だろ?

 やっちゃったものは諦めよう。

 

 獣っ娘よ、すまんな。

 ちょくちょく会いに来るとは言ったが、それも明日生き残れたらの話だ。




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