『ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者』をお読みいただき、誠にありがとうございます。
この度『ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者2』として、本書の続刊が発売されます。
それに伴い、Web掲載中の第六章〜第八章を取り下げさせていただくこととなりました。
読書途中の方、また読み返しを予定されていた方には、ご不便をおかけし申し訳ございません。
続きが気になる方は、ぜひ書籍版の方をチェックしていただけますと幸いです。
一巻以上に文章の加筆・再構成を行っており、既読の方にも楽しんでいただける内容に仕上がっているかと思います。
なにより、前巻に引き続きかれい先生の素敵なイラスト付き!
少しでも気になりましたら、お手に取っていただけますと嬉しいです。
王都(※お知らせ 2)
俺が昔学園に通ってたの、普通に違和感やばいよな。
今じゃただの飲んだくれのくせに。
貴族生まれでもない、田舎の農村生まれの少年が学園の門を叩く。
どんな天才だって話である。
とても今の自分の姿からは想像出来ない。
エピソードだけなら絵に描いた様なエリート。
でも、当時の俺も別にそこまで意識が高かった訳じゃない。
性格としては今とそう変わらなかったはず。
転生者だしね。
一度何十年も人生を過ごしているのだ。
その人格が、転生して数年で簡単に変わったりはしない。
あの時は固定観念があったのだ。
子供は学校に行くもの。
そんな、前世の日本で構築されたかなり強力な固定観念。
よく考えてみれば、そんなはずはないのに。
義務教育なんて制度が出来たのは最近。
この世界がそのレベルの文化水準に達してるとは思えないし。
そもそも紙ですら高級品なのだから。
学校に行ったところでどうやって授業するのか。
識字率ですら低いのだ。
学校に通うのなんて貴族か商人の子供か、それぐらい。
圧倒的少数派である。
農村生まれの子供は勉強なんてせずに親の手伝いをするのが普通。
それがどうして。
明後日の方向に突っ走ってしまった。
これは言い訳だが……
当然、この世界にはインターネットなんて便利な物は無い。
本も高級品。
そうなると情報を手に入れる難易度が上がってしまう。
村なんて閉鎖環境にいたら特に。
庶民が手軽に知れる知識なんてたかが知れている。
しかも、庶民に知れる知識でもどうやって調べれば分かるのかすら不明。
紙媒体が貴重となれば、そのほとんどは伝聞に頼ることになるのだから。
仮に村の中にその知識を持ってる人がいたとして。
誰に聞けばいいのか。
そもそもどうやって聞けばいいのか。
仮に聞けたとして、その知識の信憑性というのも怪しいところがある。
総じて情報の価値が高いのだ。
だから、前世の記憶を基準に判断する事が多くなって。
結果として常識の更新が遅れてしまった。
結構な間、前世の価値観を引きずって生きて来た。
いや、今でも引きずってはいるのだが。
そうだな。
例えるなら、観光地に旅行にでも来たような気分だった。
そう言えば分かりやすいだろうか?
転生したというのに。
文化の違いに困る事はあるけど、それ止まり。
生活の基盤がここにあるにもかかわらず。
現地の文化も尊重しなきゃダメだよね、と。
その程度の認識でしかない。
結局、村にいる間に常識が更新される事はなく。
子供は当然に学校に通うものだという。
ただそれだけの理由で。
俺は庶民でありながら学園に入学したのだ。
もしその事実をもっと早く知っていれば……
まぁ、何があったって事もないが。
もう少し早めに今の堕落した生活に移行していたかも。