ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者   作:哀上

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河岸 2

 今日も今日とて、いつも通り。

 ルーティーンの薬草採取の依頼をこなし、昼間っから冒険者ギルドで飲んだくれていた。

 そこへ受付嬢に絡まれ飲みに連れて行ってとのおねだり。

 

 普段なら、予定があると断ることも多いのだが……

 今日はたまたま予定がなかったからね、たまにはいいかと受付嬢が仕事終わるまで待ち一緒に飲みに来たのだ。

 

 この前はその"予定"について来てたって?

 あくまで悪ノリ。

 毎回って訳じゃない。

 まぁ、今でもたまに私も行くと言われて予想外に差し込まれることはあるが。

 

 この時間、俺は大抵娼館に居る。

 が、今日から数日ほど俺のお気に入りのいつも指名してる嬢がお休みらしい。

 それで予定が無かったのだ。

 

 別に怪我とか病気ではない。

 ノアとどっか行った。

 多分、王都の観光でもしてるんだと思う。

 俺が頻繁に旅へ行ったりするから嬢も興味を持ったのだろう。

 

 別にお気に入りの嬢が店にいないだけで、他の子を指名しても良かったんだけど。

 受付嬢の誘いを毎度断るのもどうかと思って。

 ちょうどいい機会だからと彼女の頼みを了承した次第である。

 

 にしても、ノアとねぇ。

 本当あそこの二人は仲のいいことで。

 

 ふと、店の壁に目をやる。

 サインが飾られてる。

 ノアのものだ。

 

 この前、俺がこの店に連れてきた時のではない。

 あの時はちょっとトラブったからね。

 ノアの告白騒動? とでも言うべきか。

 店主は欲しそうにしてた記憶はあるが、サインを頼めるような雰囲気では無かった。

 悪い事をしたと思ったものだが、無事に後々貰えたらしい。

 

 俺が連れてきた覚えはないし、一人で来たのだろう。

 もしくは嬢と。

 

 活動の拠点は王都に置いてるはずなんだが……

 学園の講師と真面目にやってるようで結構忙しそうではあるし。

 でも、頻繁にこの街に来てるんだよね。

 このサインもその時のもの。

 

 Aランクの身体能力だとそれぐらいの距離なら一晩で移動できるし、この前なんて俺を学園祭に呼ぶためにドラゴン便とかよこしてきたからな。

 本人的には、そう遠い距離でもないのだろうか?

 

 にしても高頻度だとは思う。

 まぁ嬢と仲良しな分には構わない、が。

 

 ここの店だけではない。

 他の居酒屋やら肉屋に八百屋、俺が行く店には大抵飾られている。

 なんなら娼館にも。

 

 ……ストーカー。

 いや、マーキングか?

 

 変な外堀の埋め方をされてる気がする。

 いや、別段それで困ることもないし今は放っておいてるのだが。

 

 深く考えると少し寒気がするので思考を戻そう。

 

 そんなわけで、今日は飲み会である。

 受付嬢とおばちゃんと。

 俺はすでに昼間っから飲んでたんだけど。

 

 受付嬢はいつもの制服ではなく、少し肩の力が抜けた私服。

 

 初夏に入り気温も上がってきたからね。

 ちょっと露出多め。

 といっても、谷間を出してるわけじゃない。

 半袖なのと胸元が少々緩いぐらいだ。

 

 一緒に飲むのは久々なような。

 違うような。

 

 ま、しょっちゅう会ってるからかな。

 実際、冒険者ギルド外じゃ結構久しぶりなんだが、そこで俺が毎度飲んだくれてるわけで。

 あまり久々って気がしない。

 

「注文いいか?」

「はいよ」

 

 店主に声をかけ、お任せでつまみを何品か。

 酒は、一杯目なんでエールを頼んだ。

 

 んじゃ、乾杯!!




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