ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者   作:哀上

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徒然 6

 昨日は結局まっすぐ家に帰った。

 どうせバーベキューやるなら、朝早くからじっくり時間をかけてやりたいしね。

 

 流石にこの歳になって明日が楽しみで眠れないなんてことはなく。

 むしろ、普段より熟睡出来た気がする。

 おかげでいい目覚めだ。

 

 ベッドに寝っ転がったまま、窓の外に目をやる。

 空はまだ朝焼けの途中。

 濃紺を明度の高い橙色がゆっくりと塗りつぶしながら、夜から朝への移り変わりを動植物に明示していく。

 

 薄暗い、静けさの残る時間帯だ。

 

 このまま黄昏れていてはせっかく早起きした意味が無い。

 のそのそとベッドから抜け出す。

 

 室内に干してある服から適当に手に取り、さっさと着替えを済ます。

 脱いだ部屋着はベッドの上に放置。

 結局片付けるのは俺なのだが、逆にだからこそ適当になってるきらいがある。

 

 誰に怒られることもないしね。

 簡単に現状復帰できるなら、ある程度は服やらなんやらが散乱してても気にしないタイプなのだ。

 

 ……あ、因みに。

 俺の部屋はゴミ屋敷では無いので悪しからず。

 

 むしろ男の一人暮らしにしてはそこそこ片付いてる方だと思う。

 足の踏み場がないなんて事はないし。

 服洗う時に、一緒に部屋も掃除するので散らかりっぱなしになる期間も実は少なかったり。

 

 後は、アイテムボックス様様である。

 

 最悪全部そこに突っ込んでしまえばいいのだから。

 一定以上散らかりようが無い。

 

 部屋がゴミ屋敷と化す主原因の、ほぼ使わないけどいつか使うかもしれない品物。

 それらをまとめて突っ込んでしまえるのだ。

 これほど心強い味方はない。

 

 もし今までアイテムボックスに入れてきた中身が全部出てきたら、って?

 多分物理的にこの部屋に収まりきらないんじゃ無いかな……

 それに巨大猪をはじめ、結構生モノも多いし。

 まぁ、どう希望的に解釈してもエグいことになるのは間違いない。

 

 ……しかし、

 

 一応寝癖ぐらいは治してから出るかと思ったのだが。

 そういえば昨日髪を切ったんだったか。

 

 短髪の寝癖は強敵である。

 別に今日は人に会う予定もないので、寝癖の強制は早々に諦める事に。

 身だしなみもそこそこに家を出た。

 

 時間が時間なこともあり、街もまだおねむらしい。

 通りに出ても人の気配はまばら。

 

 ひと気のない大通りを歩く。

 門を出て。

 そのまま草原を抜けた。

 

 季節の変わり目だからだろうか?

 朝露をたっぷり蓄えた下草。

 まだまだ春の気配を色濃く残すこの時期、昼夜の寒暖差も結構激しい。

 

 本来なら体調に神経使わないといけないんだろうな。

 薬草や魔法などファンタジーはあるものの、医療水準は前世と比べ物にならない。

 特に庶民など、病魔に侵されればあっという間。

 幸い、俺は転生して以来その手の体調不良とは無縁なのだが。

 

 目的地はいつもの森林。

 

 一応言っておくが、こんな早くから薬草をとりにきた訳じゃない。

 別件である。

 

 バーベキューをしに来たのだ。

 わざわざ森にまで来なくてもと自分でも思わなくはないが。

 家でやるのもね。

 この時代とはいえ、流石に迷惑が過ぎるかなって。

 

 本格的にやるつもりなのだ。

 朝早くから、半日近く、大量の煙を垂れ流す事になる。

 

 広い庭があるならともかく。

 俺の家があるのは結構な住宅密集地であり、部屋の中は論外なのでやるとすれば玄関横ぐらいしか選択肢がない。

 いや、普通にアウトだよなと。

 

 なんでそんなことになってるのかと言えば……

 この街は壁に囲まれてるのだ。

 案外、土地が少ない。

 

 国自体に土地は余っているのだろうが、そもそもとして人間が生態系のトップに立てていないからね。

 どこでもかんでも家を建てれるかと言われれば当然NOで。

 

 俺の家も1人で暮らすには全く困らないが、広々としてるかと言われれば首を振らざるえない。

 

 古代ローマの都市部とか。

 人口密度は、東京並みだったとかなんとか。

 

 この街はそこまでじゃないが、それでもそこそこ人口も多いしね。

 庭付きの家なんて金持ちの持ち物だ。

 今の俺の働きぶりだと、こじんまりとした物になる。

 

 この家でできるバーベキューなんて、せいぜい網で薄切り肉を焼く程度。

 これも迷惑かもしれないが。

 時代というか、それぐらいなら文句は言われない。

 

 でも、これじゃ単に外で焼肉をやってるだけ。

 

 ま、日本人のバーベキュー観的にはそれをバーベキューと呼ぶのかもしれないけど。

 俺も前世じゃこれ以外やった事ないし。

 

 憧れはあった。

 でも、値段的にもサイズ的にも装備は手が出せない。

 道具を借りようにもそんな所は皆無。

 そもそも休日も少ない。

 

 そんなこんなで、結局前世じゃやらずじまい。

 飯のお供に画面越しに美味そうだなと眺めるだけだった。

 

 ……でも、今はせっかく出来る環境にいるのだ。

 やらなきゃ損ってものだろ?

 時間もあってちょうどよく肉塊も手に入って、それでこじんまりと行こうってのは無しよ。

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