ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者   作:哀上

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徒然 14

 しかし、このグリル。

 素人の俺が適当に組み上げた割になかなかどうして便利な代物である。

 

 現状、金属板をテーブル兼皿代わりにしている訳だが。

 中で炭が燃えたままだからね。

 肉が冷めないのがいい。

 

 せっかくのバーベキュー、冷えた肉なんて食いたくもない。

 

 そして火加減も。

 炭を一方に寄せてあるおかげで、対角に置けば意図せず焦がしてしまうという事もないと。

 

 ……完璧では?

 おかげで変に急ぐ必要もなく、のんびりと酒と肉を堪能出来る。

 酒飲んでるとどうしても食べるペース落ちるからね。

 味を落とさず楽しめるのはデカい。

 

 最早、酒飲みの必需品と言っても過言では無いな。

 

 どっかの金持ちが大金出して買ってくれたりしないかな?

 そしたらしばらく薬草採取すらせずに済むのだが。

 

 ま、しないだろうな。

 そもそも持ち運び出来ないし、レンガ重ねただけで固定もされてないし。

 ってか、販売しようと誰かに見せた時点で作り方もモロバレである。

 

 持ち帰るのと組み立てで手間が変わらないのだ。

 誰が買うかって話。

 

 そして何より、営業なんていう仕事らしい仕事俺がやる訳がない。

 

 皮算用にすらならない儲け話の妄想。

 無意味ではあるが、こうやってくだらない事をあれこれ考えるのは結構好きだったり。

 

 改めて無価値の烙印を押されたグリル君。

 と言っても、現状有用であることに変わりはない。

 その上、まだ100%の力を発揮できてもいない。

 

 金属板の空白地帯。

 炭の真上。

 

 レアハンバーグじゃ無いので、わざわざジューっと再加熱したりはしないのだ。

 

 空いてるの勿体無いよな。

 せっかくスペースがあるのだから、有効活用しないと損。

 何が損なのかは知らないがなんとなく。

 

 ……適当に焼くか。

 

 エールと肉だけってのも寂しい。

 確かに美味いが、せっかく手間暇かけて作ったんだから目一杯堪能したいじゃないか。

 

 バーベキューの付け合わせといえば豆だろうか?

 今から煮る気力は無いが。

 焼いて食う分にゃ、大した時間も手間も掛からない。

 

 肉以外いらないって過激派の意見も分からなくは無いけど、俺はバーベキューで食べる野菜も結構好きだ。

 肉だけだと重くなるし、焼いて甘くなった野菜は相性抜群。

 

 この世界でそら豆なんかのデカいのはまだ見た事ないが。

 小粒のならいくつか。

 今も、ツルマメっぽいのの持ち合わせがある。

 

 豆が小粒だからかサヤも薄いし、丸ごと食べられるのでこれはこれであり。

 ホクホクした大粒の豆もうまいけどね。

 

 こう来るとアレだな。

 酒も、もっと別のが欲しくなる。

 

 エール、こういう肉との相性は抜群なのだが。

 ずっと飲んでたからね。

 ホルモンと肉は別腹理論、酒もエールと他の酒じゃ別なのだ。

 

 エール流し込むのも良いんだけど。

 ここは別の酒で、ちょっとしたアクセントも欲しいところ。

 

 無限ループなんじゃないのかって?

 無限キャベツしかり、無限ピーマンしかり、無限ではないのだよ無限では。

 酒が絡むとよくある話だ。

 

 何を飲むか。

 せっかくのメインディッシュだから、ちょっと特別感があってもいいだろう。

 

 確か、王都の方でちょっとお高めのワインを買った覚えが……

 

 お土産として。

 この街に帰ってきた時に受付嬢達と飲んじゃったやつも多いけど。

 まだいくつかは残ってたはず。

 

 ……

 

 これとか良いんじゃないか?

 普段飲むワインとは違うけど、多分バーベキューにも合うと思う。

 

 確か、ポートワインってやつだ。

 色々定義とか細かい定義があるのかもしれないが、俺はそこまで詳しくはない。

 簡単に言えば甘めのワイン。

 

 子供の頃、ぶどうジュース飲んで想像したワインの味ってあるだろ?

 成人してワインを初めて飲んだ時に顔を顰める一因。

 

 ポートワインってのは、まさにそれだ。

 

 発酵中にアルコールを追加するんだったか?

 すると発酵が止まる。

 糖分を分解してアルコールを生成してる訳で、そうなると糖分が多く残る。

 結果甘くなる、らしい。

 

 酒の席で語ってたおっさんの話じゃそんな理屈だったはず。

 信憑性は知らない。

 

 この世界での甘味は贅沢品である。

 だからちょっとお高め。

 と言っても、そんな目が飛び出るほどじゃない。

 

 俺が買えたぐらいだしね。

 お高めって言っても、普通のワインに比べればって話。

 

 まぁ、その分甘みもそこまでじゃ無いのだが。

 前世で飲んだのはもっと甘かった気がする。

 使ってる果実の品種のせいなのか、そもそも前世とは作り方が違うのか。

 

 詳しい所は知らない。

 結果だけ。

 まぁ、特に困ることもないしな。

 

 そして、甘さ控えめのおかげでこういうバーベキューに合わせても違和感は無い。

 気がする。

 

 ふわっふわなのは許してほしい、お酒は好きだが別に詳しくはないのだ。

 ペアリングだっけ?

 そこまで繊細な舌は持ち合わせちゃいない。

 

 赤ワインと赤身は相性抜群らしいし?

 その上で酸味や渋みが控えめ。

 あんまりにもワインの癖が強いと、そっちメインになっちゃうからね。

 あくまでお肉メインで食べたいならいい選択肢なはず。

 

 肉を頬張り、口内にワインを流し込む。

 

「うん!」

 

 美味いことだけは分かる。

 そこにマリアージュとやらがあるのかは知らないが、まぁ美味いことさえ分かればそれで良いのだ。

 

 エールと違って口内がさっぱりするって感じではないが。

 ゆったり楽しむなら。

 何となく、ワインの方が合っている気はする。

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