ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者   作:哀上

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書籍発売記念SS
釣り


 いつも通り、起きて冒険者ギルドに向かい依頼を受け薬草採取へ。

 幾度となく繰り返してきた日々のルーティーン。

 

 早々に薬草も取り終え。

 普段なら、まっすぐギルドに帰ってここから飲んだくれるところなのだが……

 魔眼を頼りに見つけた小規模な薬草の群生地からの帰路。

 たまたま、どこか良さげな雰囲気を漂わせる小川が目に入った。

 

 いつの間にか四季も移ろい、もう数週もすれば雪が降り出してもおかしくない今日この頃。

 

 時期が時期である。

 薬草が一斉に芽吹き、スラムの貧民や孤児のかきいれ時である春はとうに通り過ぎ。

 俺の場合、魔眼のおかげで効率こそそこまで変わらないものの。

 徐々に徐々にと森の奥へと採取の場所を移していた。

 

 魔眼、薬草を見逃さないのはいいけど。

 日を追うごとに確実に距離が伸びるのはちょっとネックだよね。

 

「ラッキー。今日は近場にあった!」

 

 なーんて出来事が起こりようもないのだ。

 取れば取るほど確実に移動距離が伸びていくという、なんとも言い難い現実。

 

 まぁ、採取にかかる時間が何十分も伸びるわけじゃないし?

 贅沢言うなって話ではあるが。

 この時期でも所謂かきいれ時である春に凡人が稼ぐであろう金額、それ以上の稼ぎを短時間であげられているのだから。

 

 そんなこんなで、普段あまり来ない森の奥。

 と言っても森全体の規模からすればまだ全然浅い方なのだろうが、そこでいい感じの小川に出会った。

 

 木々の間を縫うように流れる比較的穏やかな川。

 周囲の岩は苔に覆われ、近くによれば心地よい音が耳に入る。

 水はよく澄んでいて。

 日の光が森の木々の間から落ちるたび、水面がきらめき水草を視界から隠す。

 

 おそらく、街の近くを流れる川の支流の一つかな?

 

 雨が降れば増水し、それが続けば氾濫し……

 少し考えるだけでも川の近くに街を作るなんて行為リスクだらけだと思うのだが、この世界の街の近くには大抵そこそこの規模の河川が流れている。

 いや、この世界に限らずか。

 仮に川がなくても、その代わりとばかりに海に面してることがほとんど。

 

 高いリスクを犯すメリット。

 川にはそれだけの利用価値があるらしい。

 

 魔法なんてものが当たり前に存在する世界ではあるけど、その馬力には限界があるからね。

 特に、その技術のほとんどが個々人に依存していて属人性も高いとなれば尚更。

 出力に安定性にその維持にも、問題は山積み。

 となれば、街を維持する上で川や海の存在は必須である。

 物流も農業も何もかも魔法の力でスパッと解決! とはいかないのだ。

 

 俺みたいなチート持ちなら話は変わるんだろうが……

 あ、興味がある方はどうぞ。

 俺?

 そんな、自らを馬鹿でかい歯車に改造するような真似やるわけないじゃん。

 

 と、なんの生産性もない思考をしつつ小川を眺めていた。

 小さな影がすーっと。

 川の上流の方へと走っていくのが目につく。

 

 意識して見てみれば、水面の揺らぎに紛れて似たような影がいくつか群れているのが分かる。

 

 ……へぇ。

 別に、仕事終わらせて急いで帰った所で何があるわけでもないのだし。

 ちょっと寄り道してい行こうかな。




ってな感じで、本作の書籍発売を記念して連載を再開します。
……はい。完全に宣伝です!

今のところ、SSという名目で何話か投稿する予定。
まぁ、本作において本編と蛇足とSSになんの違いがあるのかと聞かれても作者自身少々怪しいところですが。
記念といえばSSでしょという安直な思考の結果、SS名目で投稿することにしました。

12/10頃に書店の方に並ぶそうで、通販サイトではすでに予約も始まっているみたいです。
ご予約していただけると、作者がとても喜びます。

正直詳しいことはよく分かっていないのですが。
ネットの情報によると、こういうのって売り上げ良ければ続きを出せるらしい……?

というわけで、目指せ重版!!
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