ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者   作:哀上

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釣り 2

 周囲軽く探索、適当に良さげな枝を拾う。

 少し曲げてみたところ、強度はそこそこありそうだ。

 これでいっか。

 

 前世では多少は釣りを嗜んだ方だと思う。

 いや別に、ガチってて自分の腕に自信があるとかいうほどではないのだけれど。

 単に親が好きだったのだ。

 その影響。

 フィッシングブームだっけ? 今思えば何度かあったらしいそれのうちの一つ。

 親父は丁度そこの世代だったのだろう。

 

 それこそ幼稚園に行く前。

 早朝、日の出前に家を出て、途中立ち寄ったコンビニでおにぎりとジュースを買って貰い、何時間か釣りをして、そこから幼稚園になんてことも結構あった。

 

 前世の時点ですでにぼんやりしていたであろう記憶だ。

 転生した今、さらに薄れて釣りに行った先で何をしてたかなんてほぼ覚えていないのだけど。

 自分で何匹も釣った記憶はないし……

 ただ、池や川、周囲の雑木林、なんとなく楽しかった気はする。

 

 学生になってからは親と釣りに行くことはほぼなくなり、頻度こそ落ちたもののそれでもたまに思い出したかのように1人で釣りに行くことはあった。

 

 と言っても、自分の意思で行くようになったからといって別に真剣にやり始めた訳でもなく。

 腕はないまま。

 そんなわけでわざわざ管理釣り場の様な場所に行くこともないし、釣りのために市を跨ぐような真似もしない。

 

 近所の川、思いつきで出かけて雑魚を数匹釣って終わり。

 そんな雑な釣行。

 

 でも、たまの気分転換としては丁度よかった。

 

 そんな付かず離れず、ずっと趣味数歩手前みたいな状態だったのだが一人暮らしになってからは全くといっていいほどやらなくなった。

 社会人ってのは忙しい。

 親父はよく園児の俺をつれて朝早くから出かけられてたものだ。

 いや、俺がブラック企業に入ったってのも多いに関係ある気はするけど。

 

 まぁ、釣りに行かなくなっても釣りをきっぱり辞めたのかと言われると微妙なところで。

 たまに思い出したように欲求が刺激されては、現実的にそんな余裕はなく適当に動画を見て慰めてみたり。

 それでも、100均で使いもしない釣具は買ったし動画の影響でコンパクトロットを衝動買いしたりなんて事もあった。

 結局使うことはなかったけど。

 せいぜい、ベッドの上で竿を伸ばしルアーをつけてニヤニヤする程度。

 

 出張の合間、パッと釣りに行けるのではなんて妄想もしたものだ。

 妄想は妄想である。

 実際はそんな時間はなく、仮に時間があっても休みたいって方が強い。

 

 別に、いっさい釣りに行けないほど時間が無いわけではなかった。

 俺自身にそんな元気がなかっただけで。

 

 ってか、今になって考えてみると出張の合間に釣りしようなんてちょっと夢見すぎよな。

 釣りってのは水があればどこでもいいってわけじゃない。

 釣れる場所と釣れない場所がある。

 特に都会だと、田舎と違って周囲の目も気になるし……

 

 それに、遊漁券。

 スマホでも買える様になって大した手間ではない、値段も高いというほどでもない。

 

 ただ微妙に痛い。

 

 その金で、どうせなら昼飯をちょっと豪華にしたくなる。

 どのみちチェーン店ではあるのだろうが。

 でも、数百円足してちょっといいものを頼んでみたりとか、単品でおかずを追加してみたりとか。

 

 海だと遊魚券が必要ない場所もそこそこ多いんだっけ?

 ま、細々とルールがある時点でね。

 たまたま出かけた出張先でパッと釣りをしようなんてのははなっから無理があったのだ。

 

 ちなみに、この世界に転生してからはというと。

 学生の頃と同じような感じでたまにならって程度。

 

 前世の漁業権ほどじゃないが、この世界の河川にも権利的な概念はあるらしく。

 どこでも好きな様にとはいかないのだ。

 異世界も世知辛い。

 街の近くの本流、面倒ごとは嫌いなのであそこではまず出来ないし。

 

 田舎ならばいいのかというと、そんなことはなく。

 むしろこの世界。

 明日の飯がかかってる分そっちの方が縄張り意識が激しいかもしれない。

 

 釣りをやるとしたら、それこそ今回みたいな。

 森の中でたまたま見つけた小川とかそういう人目の無いところでこっそりとってことがほとんど。




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