リラックスして、日向ぼっこに興じるトカゲ擬きに視線を向ける。
一瞬で終わるだろうし、このまま始めても問題ないと言えばないのだが……
その前に一応固定だけしとくか。
手法的に、別に逃げられたりとか暴れられたりって心配はあまりしなくてもいいんだけどね。
仮に想定外のことがあって多少切り口がずれたとして、その時はまた切ればいいだけだし。
手術とは違う。
俺には回復魔法ってチートがあるのだ。
が、だからって切り刻んてもいいという話にはならないというか。
なるべくは最小限の切り口で行きたい所存。
トカゲ擬きを気遣ってという面ももちろんあるけど。
それ以上に俺側の事情。
別にグロいの好きじゃないし。
そんな何度も何度も断面を見たいとは思わない。
このトカゲ擬きそこそこデカいのだ、まな板の上で魚を捌くのとは違う。
しかも今回の場合食材じゃないしね。
最悪どうとでもなるとはいえ、ちょっと柄にもなく緊張してきた。
ま、あまり考えても仕方ない。
パッパと行こう!
手を伸ばす。
すると、トカゲ擬きが何かを察知したのか。
咄嗟に逃げようと足をバタつかせた。
「こら、大人しくしろ」
さっきは一息ついた隙に魚を横取りされたわけだが、今回はそうはいかない。
トカゲ擬きの足はから回るばかり。
逃げる間もなく俺に捕まった。
必死に足をばたつかせるトカゲ擬き。
さっきまで余裕ぶってたが、仮にも自分より強者の横でくつろいでたことを今になって理解したらしい。
しかし、思ったより硬い質感してるんだなこいつ。
爬虫類の肌ってのはそもそも硬いものだけど。
それ以上というか。
目隠しして触ったら、金属製の置物かと勘違いしかねないレベル。
しっかし、さっきまで腹満たして満足そうに黄昏てたくせに。
勘だけはいいのか。
こんな人馴れしてるのに野生で生きてこられた秘訣だろうか?
さて、あとは適当に紐かなんかでアイテムボックスの中に転がってる気の板に縛りつければ。
簡単、即席手術台の完成! なのだが……
固定するにしても切断する場所は避けて固定しないとか。
針を取り出そうと切断したら紐も一緒に切れて、上半身だけ転がっていったりしたら事だ。
テケテケ的な?
チートがあるのでリアルで襲われる分には構わないが、夢に出てこられると困る。
ってことで、まずは針の所在確認。
目に魔力を流し魔眼を発動。
……え??
これは、ちょっと予想外。
なんだこの魔力。
メートル弱の生物にしてはやけに多いっていうか。
それに濃度も、こいつ規格外に濃い。
異世界なんだから、見た目似てても別種だろうとトカゲ擬きって適当に呼んでたわけだが。
こいつ、本格的にトカゲじゃないぞ。
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