ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者   作:哀上

46 / 267
散策 12

 女将と目が合う。

 

「いや、これは違くっ……」

 

 咄嗟に言い訳しようとした瞬間。

 パクリと。

 息子を食べられてしまった。

 言葉に詰まる。

 ちょっ、獣っ娘さん状況分かってます?

 女将さんいるから。

 見られてるから。

 もう少しだけ待ってださい。

 

「?」

 

 手で制するも、首を傾げるだけ。

 すぐに再開しようと口を近づける。

 おい!

 恥ずかしかったりとか無いの?

 このままだと俺。

 色んな意味で、死ぬ気がするんだけど。

 

 いや、別に責められる言われはない。

 強制とかしてないし。

 獣っ娘の方から手を出してきたのだ。

 仮に強制したとして。

 俺の奴隷だし。

 自分の奴隷とそういう事して責められる理屈はない。

 ないのだが……

 何故だろうか。

 謎に後ろめたい気持ちの俺がいる。

 

 女将が部屋に上がる。

 そのまま、俺と獣っ娘の近くまで。

 何で黙ってるんですか?

 怖いんですけど。

 別に怒ってるようには見えない。

 でも、時には真顔の方が恐ろしいと言うか。

 

 一瞬、美人局という言葉が頭をよぎる。

 いやいや。

 俺の奴隷だし。

 それはない。

 自分の奴隷に美人局かけられるのは前代未聞。

 

 ……って、言うほどでもないか。

 時の権力者って大抵。

 奴隷って言われて差し出された女が実は演技してただけとか。

 いくらでも聞いたことある。

 いや、大丈夫でしょ。

 契約の時魔法ちゃんとかかってるの確認してるから。

 さっき疑ったせいで不安だが。

 うん、問題ないはず。

 

「あ、あの女将さん。これはですね」

「待ってるように言ったのに」

「え?」

「ロルフ様と先始めちゃってたのね」

 

 どゆこと?

 獣っ娘を見る。

 こくんと頷く。

 

 いや、頷かれましても。

 意味わからないから。

 

「どうかいたしましたか?」

 

 俺の表情に気づいたのか、女将がそんなことを聞いてくる。

 どうかいたしましたかじゃないが?

 全くもって意味不明。

 とりあえず懸念したような事態ではないって事は確か。

 怒ってるようには見えないし。

 それどころか。

 今の状態も、女将にとっては事前に知ってたとでも言いたげな様子。

 

「怒ってたり、とか?」

「お客様が自分のお部屋でなさる事に、目くじら立てたりはいたしませんよ」

「ですよね」

「あんまりお声が大きいとかならともかく」

 

 あ、はい。

 そこは気をつけます。

 

 じゃなくて、

 

「えっと、俺に何か用事でも」

「そうですねぇ。ロルフ様に用事と言うよりは、彼女に」

「?」

「この娘にお願いされてしまって」

「お願い、ですか?

「経験ないから教えて欲しいって」

「それって、そういう」

 

 いや、これから女将さんに見られながら。

 それどころか、教えられながらするって事?

 どんなプレイだよ。

 

 ……でも、グッジョブ獣っ娘。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。